※この作品はR-18です。

東方妄想記 番外編   作:ガラフ

1 / 7
お気に入り100件突破記念

はぁ、行ってしまったわね

 

たったあれだけの交流でこんなにも喪失感を覚えるなんて……

 

これは深刻な異変と思った方がいいのかしら?

 

いやいや、私が気にすることじゃないはず

 

あなたはいつも通りの業務をこなしていればいいのよ、咲夜

 

そう、いつも通りに

 

「美鈴?彼らは帰りましたよ?」

 

「あっ……そう、ですか…………」

 

全く、そんな顔を私に見せてどうなるっていうのかしら

 

「彼からの伝言があります。『あまり考えすぎるな』だそうですよ。考えても考えなくてもそのうち心の整理はつく、ということのようです」

 

「あの人がそんなことを……わかりました!私は考えません!もともとそういうのは私の性分じゃないですよね!」

 

吹っ切れた……のかしら?何だか違う気がするけど……

 

「私は近いうちに休暇を申請するつもりです。あなたはどうしますか?」

 

「私は止めておきます。自分から会いに行くのは怖いので」

 

乙女、ねぇ。確かに奥手な女の子みたいね

 

「そうですか。では仕事に戻りましょう」

 

「はい!」

 

この明るさは羨ましいわね

 

さて、パチュリー様に苦言を呈したらお嬢様に報告ね

 

「はぁ、何でもフランクになればいいというものではないというのに、何故〝場”に相応しい格式というものを貶めるのでしょうか?」

 

紅魔館の大図書館の名を傷つけるようなことをするなんてパチュリー様らしくないわ

 

一体何に影響されたのかしら

 

「失礼します。咲夜です」

 

今読んでいるその本が例の艶本だったりしないわよね……

 

「定時以外に来るなんて珍しいわね。どうしたの?」

 

「先ほど聞き捨てならない情報が入ってきましたので、その確認にまいりました」

 

「何があったの?」

 

この真剣な表情からはとてもそのような趣味があるようには見えないわね

 

「何でも、この大図書館に普通ではない艶本が収蔵されているとか」

 

「あら、いけないのかしら?」

 

まさかそのような反応が返ってくるとは

 

「いけませんね。個人の趣味に口を出したりはしませんが、時と場所はわきまえていただかねばなりません」

 

「ここは私の部屋みたいなものよ?」

 

「そうかもしれませんが、図書館として利用している者もおりますし、何より紅魔館の公的な施設の一つです」

 

例えば応接室の調度品が人里のだんご屋程度であれば来訪された方がどのような印象を受けることか

 

公的な施設というのはその場に相応しい格式に合わせなければならないのです

 

「ふぅ、わかったわ。そういう類の本は全て私室に引き上げる。それでいいのね?」

 

「はい。他者に迷惑をかけるものでなければ、私室でどのような活動をされようと口出しいたしません」

 

「こあ、手伝ってくれる?」

 

「そのテの本には関わりたくないって言ったじゃないですか。ご自分でやってくださいよ」

 

これは……無理やり薦められて嫌な思いをした人の反応よね

 

「パチュリー様?無理強いをしているようであれば看過できかねますが?」

 

「批判をするなら読んでからにしなさいと言っただけよ」

 

ふむ、その主張はおかしなものではないわね

 

「無理強いはしていないのですね?」

 

「そこまで堕ちてないつもりよ」

 

それなら一安心ね

 

「では、お嬢様のティータイムが終わったら私が運びますので、運ぶものと運ぶ場所がわかるようにしておいてください」

 

「こあ?」

 

「……私室の場所空けはお手伝いします」

 

パチュリー様はもし完全に小悪魔に見放されたらどうするのかしら?

 

「ありがとう、こあ、咲夜」

 

「では失礼します」

 

あとはお嬢様への報告ね

 

艶本のことはいいとして、異変のことはお伝えしておかないと

 

あぁ、歓談のことも許可をいただかないと

 

休暇の話は……後日でいいわね。そんなにすぐに行くのもなんだし

 

「失礼します。咲夜です」

 

「あら?お茶の時間にはまだ少し早いわよ?」

 

「本日の来客についてご報告がありまして」

 

「何かしら?」

 

「現在博麗神社に人間の男が滞在しているようなのですが、この男には異性としての警戒心が起こらなくなっているらしいのです」

 

で、よかったわよね

 

「それは本人の能力なのかしら?」

 

「いえ、本人の能力ではないようです」

 

本人の能力ならあんな話し方はしないでしょうし

 

「ふーん、それは私にも効くのかしら?」

 

「どうでしょう?本人はお嬢様と妹様にはあまり会いたくないと申しておりましたが」

 

「あら?そうなの?」

 

「はい。ただ、妹様が普通の人間と話をするのにいいと思いまして、歓談の約束を取り付けました」

 

勝手なことかもしれないけど、普通じゃない人間とばかり交流するのもよくないでしょうし……

 

「普通なの?」

 

「セクハラが度を越している以外は魔理沙や霊夢よりよっぽど普通ですよ。セクハラにしても、お二人のことは恐れているようなのでしてこないと思います」

 

妹様が彼女らを人間の基準にしてしまったら困るのよね

 

「セクハラねぇ……」

 

「取りやめますか?」

 

「いえ、ティータイムにでも呼びなさい。できるだけ早く、ね」

 

「畏まりました。明日にでも神社を訪ねて予定を聞いてまいります」

 

今日聞きに行っても明日すぐに来れるということはないでしょうし

 

「うふふ、レミリア・スカーレットが楽しみにしていると伝えて頂戴」

 

それを伝えても警戒されるだけだと思います

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。