"GIRLS und PANZER" R-18版短編集 作:キルロイさん
本編
可愛い女の子パンツを見たい。見続けたい。飽きるまで見続けたい!
男子高校生である俺にとって、テストの成績や三度の食事や深夜アニメの視聴よりも優先しなければならない事だった。誤解しないで欲しいが、俺はパンツが見たいだけだった。パンツを食べたいでもパンツに成りたいでも無い。
冷静に考えればパンツを食べたいという発想が意味不明だ。パンツは消化が悪い以前に、飲み込もうとしても喉を詰まらす厄介な食べ物なのだ。餅やこんにゃくゼリーを喉に詰ませただけで新聞に載るほどマスコミがネタに飢えているこの国で、俺がパンツを食べて喉を詰まらせてしまったら新聞の一面にデカデカと載ってしまう。俺は文字通り死んでしまうし、父ちゃんや母ちゃんが社会的に死んで外に出られなくなってしまうのは目に見えている。
パンツに成りたいという発想も現実的では無い。もし、転生してパンツになる事が出来たとしても大きな問題がある。それはパンツを見る事が出来ないのだ。俺が自分の顔を見るためには鏡を見なければならないと同じように、俺がパンツになってしまったらパンツを見る事が出来ないのだ。
スカートの中を見てもつまらないし、パンツの中を見ても面白くない。女の子の恥ずかしいアソコが見られるが俺は興味が無い。飽くまでもパンツを見たいのだ。衣装タンスの中なら一面に咲くお花畑のようにパンツに囲まれることが出来るが、引き出しの中は暗くて見えないからダメだ。
そんな欲求不満を抱えて高校と自宅を行き来する毎日だったが、ある日チャンスが訪れたのだ。そうさ、パンツが見られる絶好の場面に出くわしたのだ。
それは学生服を着た五人組の女子高校生だった。駅から自宅へ向かう俺とすれ違い、反対方向にある駅に向かっていた。その五人組のうちモブキャラのように目立たないが栗色の髪が綺麗な女の子がいて、俺はその女の子に視線が釘付けになった。
可愛い。この子のパンツが見たい。もの凄く見たい。今すぐにスカートをめくってパンツを見たい!
すれ違いざまにスカートを掴もうとする手をもう一方の手で制止した俺は何食わぬ顔ですれ違い、少し間隔を開いてから反転した。彼女たちはどこから来たのか分からないが、今では少数派であり緑色を基調とした珍しいセーラー服を着ていた。当然、俺にとっては彼女たちがどこの学校の生徒であるか興味はなかった。俺にとって興味があるのはパンツだけだった。
間もなく彼女たちは駅前に近づいた。幾つかの歩道橋と広場を連結した空中庭園は、立ち並ぶビルによって発生した風によってスカートが捲れるパンチラスポットでもあった。そうした情報をこまめに調べていた俺は、彼女たちがここに辿り着くまで我慢に我慢を重ねて我慢していたのだ。
彼女のパンツはどんな色なのだろうか? 大人しそうな子だからパステル系のピンクやイエローかな? それとも大人っぽく赤や黒かな? 生理中ならベージュだし、地味なグレーかもしれない。もしかしたら、女子高校生において絶滅危惧種に相当する純白かも。ああ、もう我慢の限界だ。
想像に想像を重ねた俺の竿ははちきれんばかりにギンギンしていて、その先端からは我慢に我慢を重ねた我慢汁が漏れ始めていた。彼女のパンツが見れた瞬間、竿の先端から熱く粘り気がある液体が迸って俺のパンツをベトベトにするのは間違いなく、そのカウントダウンは始まっていた。
だが、最後の最後まで手を抜いてはいけなかった。彼女たちは階段を昇り始めたが、何段後ろから彼女を追い掛けて見上げるか計算しきれていないからだった。
彼女の身長と歩行速度、彼女のスカートの長さ、スカートを抑えるであろうカバンの有無と大きさ、太陽の位置と雲の動き、風向きと風速、彼女たちが昇る階段の幅と予想進路、駅前に到着したバスと下車客の有無、他の歩行者による視界の妨害、これらの要素を一瞬で計算しなければならないのだ。おまけにチャンスは一瞬である。俺が瞬きした瞬間にスカートが捲れてしまえば今迄の努力は水の泡だ。
俺は砲身に赤ワインを入れたグラスを載せたまま、車体だけ360度回転出来る抜群の砲安定装置を搭載した一〇式戦車の照準器の如く、彼女のスカートの裾を注視し続けた。標的への弾着にズレがあってはならないように、俺の照準は階段を一段づつ踏みしめながら登っても揺らがなかった。
間もなく、彼女たちは俺がPポイントと勝手に呼んでいるポイントに到達しようとしていた。そこは無風に近い穏やかなだった風が、髪を揺らすくらい強い風に変わるポイントだ。彼女たちは余所から来たのは間違いないから、このポイントで急に強くなる風に驚く筈だ。彼女は驚き手を伸ばすが、その前にスカートが捲れてしまい彼女のパンツを拝める計算だった。
だが、彼女はそれに気づいたようだ。カバンを握る手とは別の手でスカートを抑えたのだ。
畜生! 思わず呻いてしまったが諦めてはならない。まだ、俺の視界から消えるまでチャンスが残されている筈だ。
そのチャンスが偶然にも来たのだ。
狭い階段に縦二列で登っている彼女たちを掻き分ける様に小学生の一団がすれ違ったのだ。低学年であろう小学生たちは周りの目を気にせずに徒競争しているようであり、その小学生たちを避けるように彼女たちが動いた。
チャンスだ。千載一隅のチャンスが訪れた。あの子が小学生を避けようとしてカバンを持ち替えたからだ。当然、スカートを押さえる手は消え強風によってスカートの裾が揺れ始めた。
頼む。俺にお前のパンツを見せてくれ!
俺の心の叫びが届いたのかスカートの裾が捲れ始めた。俺が待ちに待ったその瞬間が遂に来たのだ。俺はコンマ数秒後に訪れるであろう、彼女のスカートに隠されていた桃源郷のような光景を目に焼き付けるべく、奇妙で不安定な体勢になりながらその瞬間を待った。
あと少し、あと少し、少しだ。そうだ、あ、見え……。
その瞬間だった。
「オジサン、邪魔」
階段を駆け下りて来た小学生の一団が、彼女のパンツを見ようとして奇妙な体勢になっていた俺を突き飛ばしたのだ。体勢を崩してしまい捲れ上がるスカートが視界から消えていくという絶望的状況に落とされた俺は、大人げなく小学生相手に罵声を飛ばした。
「おい、クソガキども、オジサンじゃなくておにーさんだ。言葉遣いに気を付けろ。バッカヤロォ」
だが、俺は最後まで罵声を言えなかった。小学生たちも最後まで聞いていなかっただろう。小学生に突き飛ばされた俺は階段から落ちてしまい後頭部を強打して死んでしまったのだ。小学生に突き飛ばされるなんて……。最近の小学生は恐ろしい。
こうして、俺は死んだ。
だが、話はそれで終わらなかった。すぐに転生して生まれ変わる事になった。理由は生まれてから今に至るまで補導歴や犯罪歴が書き連ねた書類が真っ白だからだそうだ。
そりゃそうだ。パンツは純白が一番だからだ! 間違えた。普通の高校生である俺が犯罪に手を染める理由が無いからだ。パンツを見たいからといって女子更衣室に侵入した事は無く、盗撮用カメラを設置した事さえないのだ。
そもそも、俺にとって脱ぎ捨てられたパンツは只の布切れでしかない。女の子が穿いている瞬間が最高でありパンツが輝いている時なのだ。想像してくれ。手で摘まみ上げられたパンツは重力と質量によってダランと垂れるだけであり非常に見栄えが悪い。机の上に置いたとしてもペッタンコなだけで何もそそらない。
だが、女の子がパンツに足を通した瞬間にパンツは変わる。女の子の大事な部分を守るという一般的な理由ではない。この時のパンツは、文章だけでは表現しきれないほど複雑で奥深いものになる。簡単に言えば彼女たちから女子の魅力を引き出し、美しく魅せると同時に彼女たちの内面を表現してくれるアイテムなのだ。
そもそも、女の子は性格、気分、体調によって様々な型や色があるパンツから気に入ったパンツを選ぶ。色だけで選んでいるのではない。
形状では、お尻をすっぽりと包み安定性が優れているフルバック、セクシーだが実用的なTバック、華奢で可憐な印象を与えるサイド紐、他にも様々な形状がある。
デコレーションも奥深い。プリントされた生地の場合、苺柄、水玉柄、星柄、文字柄といったデザインや縞柄がある。フロント側にデコレーションされたフリルリボンがある場合、カタカナのハの字型、V字型、U字型、足を通すゴムの縁取りというように様々なバリエーションがある。小さなリボンと組み合わせればそれは無数になる。
女の子が様々な条件によって選んで穿いたパンツは、女の子のお尻や腰といった艶やかな曲線を美しくエロティックに際立たせる。そして、スカートやボトムスで隠されているにも関わらず、可憐な刺繍やリボンによって女の子である事を控えめながら主張する。
そして、忘れてならないのはクロッチに覆われているあの丘だ。パンツは二次性徴期から盛り上がる神秘的でデリケートな丘を優しく包み込み、クロッチによってしっかりとサポートされるのだ。そして穿いた瞬間にはまっさらなクロッチは、彼女たちが身動きする度に捩れ、文章で表現するのが難しいほど複雑で深いタテスジの皺を作り、彼女たちの香りや分泌液を染み込ませていくのだ。
このためにパンツはこの世に生まれのだ。彼女たちが穿いている瞬間にしか輝けない事がお分かりいただけるだろう。
だから、転生先は四六時中パンツを見れるものに成りたかった。当然ながら女になるのは論外だった。男という性別を維持出来るからこの女の子のパンツを見たいのであり、女になってしまえばそれは当たり前の存在になってしまうからだ。では、男か? それでは死ぬ直前まで俺が歩んできた道筋をなぞるだけだ。
もっと効率よく飽きるまでパンツを見たいから、俺は「者」ではなく「物」になる事を選んだ。だが、何になるかが問題だった。
俺は必死に考えたが次々に浮かぶアイディアは俺自身が却下した。まずは道路だ。女子高校生が通る通学路なら見れそうだが、意外に見る事が出来ないのだ。何しろ、彼女たちは俺がいる地点を歩きながら踏み超えるのだ。スカートの中は影になって見辛いし、見れる時間は階段を下から見上げられる時間よりも非常に短くて一瞬しか見れない。だから、マンホール、側溝の蓋、階段の滑り止めといった物は却下した。
では、下駄箱の踏み板はどうか。靴を履き替える時に彼女たちはしゃがみこむからパンツをじっくり眺める事が出来る。だが、これは心情的に避けたかった。俺は靴や上履きで踏まれるのだ。それが用途とはいえむざむざ踏まれるのは気に食わない。おまけに、女の子の彼氏がいた場合は踏み台の上で長話するのは目に見えている。俺はお前らの会話なんぞ聞きたくない。
他にも色々考えた。跳び箱、教室の椅子、更衣室のロッカー、自転車のサドル、他にもあるがどれも一長一短である。学校の備品になるのは諦めようとしたその時だった。
俺は閃いた。そうだ、アレがあるじゃないか。
俺は神様の業務を代行している事務員へ生まれ変わりたい「物」を言った。俺の発言でメガネがずり落ちた事務員は「こいつは馬鹿だ」と顔に書きながら、「人生は一度きりだが本当にそれでいいのか」と聞いてきた。だが、俺の答えは決まっていた。
「俺は体重計に成りたい。パンツを見損ねたあの女の子が使う体重計になりたい!」
◇◆◇GuP◇◆◇
俺の願いは聞き入れられた。
最新式の体重計になった俺は、大洗女子学園という学園艦にある学生用の大浴場にいる。というより置かれている。俺は配送業者の手によってこの学園艦に乗り込み、清掃中で何人もの作業員が出入りしている大浴場の脱衣場に置かれた。そう、俺は今や最新式のスタイリッシュなデザインでポール付の体重計になったのだ。
ポール付というのは腰の位置まで高く伸びたポールの上にデジタル式液晶表示盤の載せたタイプであり、測定値が見やすくなっている。そして、俺は視線を体重計のどこにでも移動する事が出来る。つまり、俺は体重計に乗った女の子のパンツを下から見上げたり、腰の位置から見続けたりする事が出来るのだ。
幸せは歩いてこない。だから、我が身を捨ててでも幸せを取りに行ったのだ。父さん、母さん、俺は遂に念願のパンツライフを手に入れたよ。俺をここまで育ててくれて本当にありがとう。
誰かの声で「お前は、もう既に死んでいる」という言葉が俺の脳内を駆け回っていたが、そんな事を気にしている暇はない。俺は体重計として女の子たちが来るのを待ち構えたのだ。そして、その時が来た。
緑色を基調にしたセーラー服や体操着、船舶科専用である白を基調としたセーラー服、畑の土で汚れた作業着、様々な姿でここに来た生徒たちは、俺がいるにも関わらず一枚ずつ脱いでいった。まさに、審査員席に座る俺へ披露するように通り過ぎていく美しき下着モデルたちのように、個性豊かなパンツが次から次へと登場してきたのだった。
船舶科の白いスカートから現れたピンク色のパンツは女の子の優しさを表し、土や泥の香りが強烈に漂う作業着から現れた黒地に白いフリルのパンツは、男に媚びずに生き抜こうとする女の子の底力を表していた。背の低く胸も薄いツインテールの女の子が精神的には大人である事を示すかように光沢がある鮮やかな青色のパンツを穿き、引き締まった身体で気が強そうな女の子が大粒のイチゴ柄のパンツを穿いているギャップに萌える。
諸君、私はパンツが好きだ。諸君、私はパンツが好きだ。諸君、私はパンツが大好きだ。
例の少佐のように演説してしまったが、当然ながら俺の声は彼女たちには聞こえない。そんな彼女たちの姿を見て俺は喜んでいたが、仕事もしっかりこなしている。彼女たちの体重を正確に測定して表示しているのだ。
彼女たちは浴室に入る前か出て来た時に俺に載り、その数値に一喜一憂していた。時折「やだもー、全然減らないじゃない。この体重計は壊れているでしょ」と八つ当たりする女の子がいるが、俺は日本製だから精度抜群であり正確に体重を表示している。壊れているなんて心外だ。
文句が言えない俺は彼女をじっと睨む事しか出来ないが、偶然にも文句を言っている女の子の肩越しに見える一人の女の子に気づいた。脱衣場の奥でこそこそ着替えている女の子に見覚えがあったのだ。というより、間違いない。あの時にパンチラしそこなった子だった。
遂に見つけた。俺にとってのパンチラ天使を見つけた!
あの子はこれから大浴場に入る様子であり、脱衣場の隅でこそこそと衣服を脱いでいた。俺が固唾を飲みこんで見続けていると、俺の天使はセーラー服のリボンを外し袖の下にあるファスナーを開けた。健康な素肌が見え隠れする様になると、首を通して着ていた上着を一気に脱いだのだ。すると、女の子であれば当然身につけているアレが見える。
「ブ、ラジャー」
思わず口に出した俺自身が寒気を感じるほどつまらないダシャレであるが、天使が身につけたピンク色で飾り気が無いブラジャーが現れれば誰もが口にしてしまう言葉だ。天使はブラジャーを取らずにスカートに手を掛けた。今度こそ、天使のパンツをバッチリクッキリシッカリ見る機会が来たのだ。瞬きする必要が無い俺のクリッとしたつぶらな瞳は、その一瞬を捉えようとしていた。
だか、いつも誰かが邪魔をする。俺の前で文句を言い続けていた女の子が姿勢を変えてしまい、俺の視界を遮りやがったのだ。畜生め、女邪魔だ、どけ!
女の子に聞こえる事は無いのだが、思わず怒鳴りたくなる程にタイミングが悪すぎた。そんな俺の心境を気にする素振りを見せず、「ねえ、みぽりん。こっちに来て」と言って、別の女の子を呼び出したのだ。
もう、俺の天使は大浴場へ飛び立ってしまったのであろう。うなだれた俺は次の機会を待つつもりだったが、意外な事が起きた。俺の前に天使がやって来たのだ。まさか、俺の前に飛んで来るとは……。
女の子は天使に事情を説明したが、その理由はあまりにもくだらなかった。昨夜、1時間掛けてダイエット運動をしたのにコンマ5キロも痩せていないからだそうだ。そりゃそうだ。そんなに簡単に痩せられるのなら人類は飢饉に直面した時点で絶滅している。まあ、俺が説明したところで納得しないのだろうが、俺の天使を呼び出したのは評価してやる。今度、俺に載った時にはマイナス1キロをサービスしてやる。それより天使のパンツが大事だ。
天使の名前はみぽりんと言うらしいが、くだらない女の子の話をじっくりと聞いていた。聞き終わると考え込み、こう言い出した。
「わたしが体重計に載って見ようか?」
純粋な天使は俺が狂った表示をしていると思っているのか。では、気が済むまで載るがいい。そして、お前のパンツを堪能させてくれ。
天使は魅惑的な脚を俺の上に載せた。そして、遂に、遂に天使が隠していた桃源郷が俺の目の前に現れたのだ。
それは縞柄のパンツ、略して縞パンだった。白と濃紺で太めのボーダーラインが交互に引かれたパンツは、天使のスカートの中で控えめながら存在を主張していた。
ブラジャーとパンツがお揃いでは無い事に興醒めしたが、それ以上に嬉しかった俺は天使にサービスする事にした。よーし、みぽりんにはマイナス5キロサービスしてあげちゃうよ。
俺の表示を驚いた表情で見る天使に思わずニヤッとしたが、俺にとって少々物足りなかった。意外にもクロッチがしっかり見られないのだ。足を載せる天板に描かれている足形のマーキングに合わせて足を載せると、内股が密着する程に近づいてしまい奥にあるクロッチが非常に見辛くなってしまうからだ。
いつか、天使のパンツに密着するまで近づき食い入る様に見続けたい。俺はその日が来る事を願った。
それから一ヶ月経過した。
俺のパンチラ天使は、脱衣場に入ると隅の方で兵隊並みにテキパキと脱ぎ着するので、パンツをじっくりと眺めるのは難しかった。それが続いていれば俺は欲求不満になり、ひずみ計に過電流を流して溶着させてしまったかもしれない。だが、天使も年頃の女の子であり、時折俺の上に載っては体重を測定していた。
時々首を傾げるが、俺が天使限定でマイナス5キロサービスを続けている事が不思議に思っている様子だった。そんな可愛らしい天使の仕草を楽しみつつ、パンツを堪能していた。
天使の名前も覚えた。西住みほと言う高校二年生であり、戦車道という武道の隊長だそうだ。
天使は様々なパンツを俺に見せつけた。ある日は黒地にボコというキャラクターを白線で描いたパンツだった。また、ある日はピンク色に白いフリルリボンをカタカナのハの字の様に縫い付けたパンツだった。そして、ある日はパステルイエローの生地に赤いハート柄が散りばめられたパンツだった。他にも様々なパンツが俺の身体である天板を通り過ぎていったが、近付いてじっくりと眺める事は叶わなかった。
俺はその機会を待つ事しか出来なかったが、他の奴らは己の願望を思う存分に堪能していた。そうさ、脱衣場には俺以外にも人間の身体を捨てて機械になって奴らがいるのだ。
俺に会話能力が無いので尋ねた事は無いが、俺の隣に居る冷水器は胸フェチだった。貧乳や普通の胸の大きさである女の子では何もしないのに、胸が大きい女の子が来る時に限ってアレをするのだ。具体的に言うと、冷水が入った紙を掴もうとして胸の谷間が見えた途端に蛇口からチョロッと漏らすのだ。
他にも居る。何時の間にか脱衣場に無人床掃除機が配置されたのだが、ソイツも中々の下着フェチだった。常に床が濡れているから満足に埃を吸い取れないのにも関わらず、女の子が下着を落とした瞬間に脱兎の如く喰らいつくのだ。女の子が悲鳴を挙げながら下着を取り返そうとするが、ソイツは離さず必死に呑み込もうとしていた。
そんな事を何度もするからソイツは脱衣場から消えた。女の子たちの会話によると、ソイツは音楽室に移され誰も居ない時間帯に一台だけで走り回っているそうだ。派手にやり過ぎるとこうなってしまうという反面教師的な見本だった。
◇◆◇GuP◇◆◇
今日は大浴場は定期的に行われる一斉清掃の日だ。大浴場の湯を抜いて浴槽の底を磨くだけではなく、空調機や天井の埃が拭われたり風呂桶にこびりついた湯垢を擦り落としたりする。脱衣場も同様に雑巾でロッカーの埃をぬぐったりドライヤーの汚れを拭き取っていった。その作業員に何故か俺のパンチラ天使が混ざっていた。生徒会副会長から人手が足りないという理由で駆り出されたそうだが、仲の良い4人と一緒に嫌がる素振りを見せずに黙々と掃除をしていた。
天使は冷水器を丹念に掃除した後に俺の前に立った。情け無い事に掃除を終えた天使が背を向けた途端、冷水器はジョボッと音を立てながら冷水を漏らした。巨乳の女の子の胸の谷間を見た時より大きな音を立てたソイツは「待機中」の表示になって静かになった。余韻に浸っているのだろう。
俺の出番になった。天使は乾いた綺麗なタオルで俺の天板をマッサージするかの様に手を動かした。それは、俺にとって極上のマッサージであり、「スンゲェ、気持ちイイ」と表現するしかない快感を味わせてくれた。電気信号という血のめぐりも良くなり、俺の身体も熱くなってきた。特に身体の一部分が異様に熱くなっていた。まるで血が集まって勃起した竿のように神経が研ぎ澄まされ、絶頂へ向かう階段を一段ずつ登っていくかの様な快感を味わっていた。
天板を拭き終えた天使はその手でポールを掴み、上へ下へと動かし始めた。根元、裏スジ、カリに相当する箇所を丹念に擦られると、次第に俺がおかしくなってきた。人間の身体の捨てた筈なのに熱い液体が踊り始め、思う存分に迸らせたくなってきたのだ。不思議な感覚なのだが事実なのだ。同時に本能的に危険と感じる感覚だ。このまま迸らせてはダメだと判断した俺はそれを必死に制止しようとしたが、天使の手を止める事は出来なかった。
ああっ、あああっ、みほちゃん、俺、イキそう。スゲエ、気持ちイイ。マジでイキそう。だから、それ以上はダメ。俺、イキそうだからダメ!
絶望感溢れる悲鳴なのか抑えきれない悦びによる絶叫なのか訳が分からなくなってきたが、天使はポールを拭き終えると表示盤を拭き取り始めた。竿で言えば鈴口に相当する箇所だ。
ヤバイ! マジヤバイ! 出ちゃいそうだから、それ以上はヤバイ。ストーーーーープッ!!!
ようやく天使の手の動きは止まった。俺の声が聞こえたというより、拭き取り終えたからだ。寸止めで終わり俺はホッと息をついたが、天使は何か考えるように顎に手を当てながら俺を見ていた。そして、天使は何かを試すかのように俺の天板に載り、片足を上げたのだ。
まあ、何という事でしょう。天使のクロッチが御開帳しました! 俺は幸せものなのだ。もう、いつ死んでもいいや。いや、撤回する。それより天使は何をしたいのだ?
「やっぱり、変わらないか」
そう言って天使は足を下ろした。そりゃ、両足だろうが片足だろうが質量は変わらないから測定値が変わる訳がない。
「わたしだけ5キロ軽くなるのはおかしいよね。何処が原因かな?」
なるほど、それが天使にとって気になるポイントなのか。だとしたらマイナス5キロサービスは余計な事だったのか。物理の定理と異なれば誰もが疑問を持つのは理解出来るが、その原因を探ろうとしている天使は大胆な行動に出た。
天板に跨る様に座り、それに太腿とお尻を密着させた。更に、「これでどうだ」と言いながら両足を浮かして全体重をお尻で支える体勢になったのだ。
俺は幸せだ。歓喜の涙を流したくなるくらい最高に幸せだ。今日の天使のパンツは汚れが一切無い純白のパンツ、それが天使の温もりと一緒に俺に密着している。
やや蒸れている天使のパンツをじっくり眺めると、プクッと膨らんだ女神の丘を包み込むクロッチが目に焼き付く。その丘に深く刻まれているスリットは生命誕生の神秘と複雑な女心を表現するかのようであり、それをトレースするかの様にクロッチにタテスジがくっきりと現れていた。それから漂う彼女の香りは寝ぼけ眼のまま飲んだモーニングコーヒーの香りのように俺の身体の隅々まで行き巡り、崩すか切る以外に形を変えられない豆腐が溶けてしまう程の威力がある艶めかしい香りである。
俺は幸せだ。今、死んでもいい。
そんな俺の悦びの声が聞こえたのか、天使は一方の手でポールに綺麗なタオルを巻いて上下に擦りつつ、もう一方の手で「ここを押せば分かるかな?」と言いながら表示盤にあるテンキーに何度も指で突いていた。天使は無慈悲で正確だ。そこは俺の弱点であり悪巧みしている電子基板が取り付けられている。でも、俺には天使の手を止める気力は無くなっていた。
最高だ、みほちゃん、俺、イキそう。どこにイクのか分からないけれどイキそう。
天使は手の動きを次第に速めていき、俺の限界はグングン近づいて来た。
スゲエ、気持ちイイ。マジでイキそう。みほちゃん、俺の迸る熱い液を受け止めてくれ! 出そう! 出る!
絶頂に達した瞬間だった。俺の視界にヒビが走ると同時に視界が黒い霧で覆い隠されていった。余韻に浸る余裕が起きたか分からずに茫然としてしまったが、何が起きたか数秒で答えが出た。俺が力み過ぎて液晶画面の硝子板を割ってしまい液晶が漏れ出したのだ。更に、俺の身体に過電流が流れ次々に抵抗器やLED灯が焼損した。頭脳である集積回路は健在だが、抵抗器やコンデンサが焼き切れた今となっては生き続けられるのは時間の問題だ。だから、俺はみほちゃんに別れの言葉を言おう。
ほんの僅かな期間だったけれど、みほちゃんに出会えて俺は幸せでした。転生出来るか分からないけれど、今度はみほちゃんの旦那さんとして出会えたらいいなと思いました。さよなら、みほちゃん。さよなら、俺のパンチラ天使。
◇◆◇GuP◇◆◇
壊れた体重計は修理に手間が掛かるという理由で脱衣場から撤去される事になった。体重計を壊した犯人にされてしまったみほは、副会長である河嶋桃から「お前が壊したのだから弁償しろ」と説教されたが会長である角谷杏はみほの肩を持った。
「あの体重計はね、匿名で学校に備品を寄付したいと連絡があって届けられたものなのよ。盗撮カメラが仕掛けられていない事を確認してから脱衣場に置いたけれど、やっぱり変な体重計だったようね。だから桃ちゃん、今回の件は不問にしてね」
杏と桃の会話を聞きながら、みほは作業員の手で運ばれる体重計を見続けていた。その体重計がみほの脇を通過した時、聞き覚えが無い誰かの声がしっかりと聞き取れた。
その声はこう言っていた。「さよなら、みほちゃん」と。