※この作品はR-18です。

"GIRLS und PANZER" R-18版短編集   作:キルロイさん

8 / 10
 日本人は風呂が非常に好きな民族である。一日に一回は身体を洗わないと気が済まず、大きな湯船に張ったお湯に浸かる事が出来れば幸せと感じる民族でもある。

 今回の舞台は大海原を悠遊と航行している一隻の学園艦であり、盾無高校という山梨県の高校を乗せた学園艦である。

 この学園艦は他の学園艦と同様に大型正規航空母艦をそのまま拡大したような姿だ。飛行甲板に相当する甲板には校舎を始め多数の建屋が立ち並んでおり、生徒や住民はそこで生活をしている。当然、この船にも大浴場がある。

 今回はその大浴場から話を始める。


第三章 「君の縄。」
前編


 夕刻というには少し早いこの時間帯、学園艦唯一の大浴場は部活でかいた汗を流してから家路に向かう生徒たちによって賑わっていた。湯煙が立ち込める大浴場は女子生徒たちのおしゃべりで賑やかであったが、その一角で身体を洗っている二人の女子生徒がいた。

 

 一人は鶴姫しずかという名であり、楚々とした姿とは裏腹に中身は戦いに飢えた侍という複雑な性格をしている。とある者からは、彼女の髪形から「シナモンロール」と呼ばれている。

 

 もう一人は松風鈴(りん)という名であり、ごく普通の女子生徒である。

 

 この二人は強襲戦車競技(タンカスロン)に参加するチームメイトであり、この日は戦車を用いた練習の帰りに立ち寄ったのだ。

 

 しずかと並んで座って身体を洗う鈴(りん)は、丹念に髪を洗うしずかの裸体を横目で見続けていた。

 

 お人形のように綺麗でありその素肌は十分に美しい。くびれる所はくびれ、盛る所はしっかり盛り上がっている。ああ、その手で私の手を掴み、その足で私のうなじを撫でて……。ダメダメダメ! 私は何を考えているのよ! これ以上の妄想は私が変態だと自分で暴露しているのも同然じゃない!

 

 彼女は良からぬ妄想を断ち切るため、しずかの裸体から目を逸らし大浴場を見渡した。

 

 彼女の視界にはいつもと同じ大浴場の光景が広がっていた。いつもと同じように女子生徒が体を洗っていたり湯船に浸かっていたりしていた。そう、いつもと同じであった。だが……。

 

 何か違和感があるのだ。その原因を探るため鈴(りん)はもう一度大浴場を見渡し、一つづつ確認していった。

 

 幾度も磨かれて年期を感じさせる床タイルでしょ、私の身長より高い位置まで貼られたタイルでしょ、その上にあるクリーム色の壁でしょ、ショッキングピンク色のドアでしょ、いつもと同じだよね……。あれ、ピンク色のドア?

 

 落ち着いた色合いの大浴場で似合わないショッキングピンク色のドアが唐突に出現していたのだ。彼女にとって、クラスの中で誰からも相手にされない一人ぼっちの少年が思い切ってイメチェンしたが、センスが欠けているため奇抜なイメチェンをしてしまい周囲の生徒をドン引きされているような印象であった。

 

 困惑した彼女はしずかに声を掛けた。しずかも気付いたが彼女も困惑しドアを見続ける事しか出来なかった。変化は間もなく起きた。突然、ドアが開いたのだ。

 

 唖然とした彼女たちが見続ける事を気にしないかの様にドアは開き、「ねえ、しずかちゃん」と言いながら一人の少年が躊躇いなく女子専用の大浴場に足を踏み入れ、ずかずかと進み出した。湯煙で曇った眼鏡を拭きながら。

 

 少年は相当の近眼らしく、周囲の女子生徒の裸体さえ見えていない様子である。

 

 誰かが一糸纏わぬ姿を見られている事を恥じらって悲鳴を上げれば、流石に彼も立ち止ったのであろう。だが、誰も悲鳴を上げなかった。むしろ、未開の地に生息するグンマ―人と比べるのが馬鹿らしいほど、まったく差が無い秘境で生息している伝説のヤマナンシー人を目撃した時のように、誰もが目を丸くしていた。

 

 彼女たちが伝説の未開人のように少年を見た理由は、彼女達の殆どが少年を知っているからだ。だが、この場に現れる事はあり得ない存在でもあった。

 

 誰もが一度はマンガやテレビで見た事がある少年を簡単に説明すると、マンガの登場人物のような平凡な顔を持ち将来にはあやとり大臣になることを夢見ているといった独特の発想をする者であり、ペーパーテストで一桁の点数を平気で取れる程の図太い神経を持つ者である。

 

 同居人であり、少年の成績を向上させることで子孫に対する幸福な未来を実現させなければならない青狸が不憫に思えるほど向上心が失せている少年だが、しずかだけは少年の事を知らなかった。

 

「鈴(りん)、あやつは何者か」

「えっと、いつも同居人から馬鹿にされる程に中身が空っぽな男の子だよ」

「ふむ、そうなのか。納得した」

 

 鈴(りん)の適当な説明にしずかが納得したのは理由がある。

 

 彼女たちが会話を続けている最中に少年は浴槽の縁に足を引っかけてしまい頭から浴槽に突っ込んだ。浴槽の底に頭をぶつけてタンコブを作った少年は気絶したまま浮かび上がり、中身が空っぽで空気しか詰まっていない事を自ら証明していた。

 

 

 

     ▼△▼(^o^)/GuP▼△▼

 

 

 

 女子生徒たちは浴槽に浮かんだまま身じろぎしない少年を床に引き上げた。そして、冷水を何度も掛け続けると少年はようやく目を覚ました。冷水を掛け続ける事が面倒になった一人の女子生徒が、冷水を並々と湛えたタライごと少年の顔に落とした事が効果的だったらしい。

 

 だが、意識を取り戻した少年は仰向けになった姿勢のまま身じろぎさえしなかった。少年が今の状況を把握しきれておらず混乱していたからだ。おまけに少年の眼鏡は浴槽の底に沈んでおり、状況の把握に一番有効な感覚である視覚を使えない事が追い打ちを掛けていた。

 

 そんな事情を理解していないしずかは不審に思い、足の指先で少年の鎖骨や首筋に沿って撫で始めた。その様子は、目隠しされた女子高校生が足の指先の感覚を頼りに、弾力だけで豆腐とハンペンと消しゴムの区別をしようとして恐る恐る触っている姿と一緒である。彼女に言わせると、煩くて狭い戦車の車内において同乗者である鈴(りん)へ指示する時のコミュニケーション手段を少年に当て嵌めているだけであり、常識から外れた様な事をしているつもりは無かった。

 

 また、大きく足を開けずに恐る恐る触っているのも理由がある。彼女は身体にバスタオルを巻いて身を隠しているとはいえ、彼女を下から見上げた時に彼女の大事な部分が見えてしまうからだ。海が無いのに甲斐国と名乗る不思議な地で暮らす山梨県人にとって、この地の銘品である鮑の煮貝は一年に一度食べられるのが関の山である。この鮑の煮貝と同じほど貴重な存在である彼女の鮑を、見ず知らずの少年にさらけ出す訳にはいかなかった。

 

 そんな彼女のスキンシップに少年が素直に答えたが、その答え方は思慮が足りないと批判されても仕方が無いものであった。何しろ答えたのは少年の股間なのだ。水を吸って重くなっている布地をものともせず少年の股間はムクムクと高さを増していった。しずかは自覚していないが、その繊細で絶妙な指使いは女子である鈴(りん)でさえゾクリとさせ、雌としての本能を目覚めさせてしまうほどの衝撃を与えるものである。少年の股間が大きくなるのも当然である。

 

 遂に少年の股間は布地に拘束されつつ勃起を完了した。思わず一人の生徒が「あっ♡」と声を漏らすほど大きく勃起したその姿は南アルプス連峰の峰を連想させる姿であり、その過程を脇目を振らずに真剣に見つめていた女子生徒たちは恥じらう表情をしつつ様々な感想を抱いた。

 

 ある生徒は暫く帰省していない実家と家族への郷愁、ある生徒は中々会う事が出来ずに恋慕う彼氏を思い出した。だが、大半の生徒は只一つの文章を思い浮かべた。「凄く……、大きいです」と。

 

 大浴場はほんのりと桃色の空気に染まり始めたが、そんな空気を気にせずに彼女は続けると少年は声を漏らし始めた。

 

「うぐぐぐぐぐ、あっ、ああっ、し、しずかちゃん、上手だよ」

 

 見知らぬ少年から名前で呼ばれたしずかは困惑し、無意識にきつい口調で少年に尋ねた。

 

「お主の名を名乗れ。何故、わたしの名前を知っている?」

「の、野比 のび……」

「今、床に伸びているくらいは私にも分かる。お主の名前を聞いているのだ」

 

 しずかは少年の正体を本当に知らなかったのだ。慌てた鈴(りん)はしずかに説明した。

 

「この子は小学生の子供たちに人気があるマンガやアニメの登場人物で準主人公役なのよ」

「鈴(りん)、何故それを知っている?」

「順番に話すからしっかり聞いて」

 

 一通りの説明を受けたしずかは、彼女なりに少年の人柄を理解した、

 

「つまり、私の目の前で伸びているこやつは、あやとりだけは上手な馬鹿であり筋金入りの怠け者なのか」

「ま、まあ、そういう人物評価もあるよね」

「だが、射撃が上手という特技は中々のものだな。世間の荒波に揉まれつつも懸命に生きていく勇気すら持ち合わせておらず、雑兵としても使い道がない某八幡と比べれば幾分かマシではあるようだが」

「そういう比較をするのか……」

「こやつには将来性はある。だから、女風呂へ堂々と入る事に罪悪感を感じない幼稚な思考を叩き直せねばならない。こやつをこのままにしておけば出っ歯の亀太郎や○ーシロ第二号になってしまう」

「そ、そうよね。小学四年生にもなって女風呂を覗いたり入ったりする事が犯罪だって自覚していない事がおかしいよね」

「だから、こやつに反省させ二度と同じ事をしない事を誓わさせねばならない!」

「そ、そうよね」

 

 こうしてしずかと鈴(りん)は少年の処遇について方向性を出したが、彼女たちの配慮は少年の無思慮な言葉によって粉々に砕けてしまった。その言葉に激怒した彼女たちは……。

 

 

 

     ▼△▼(^o^)/GuP▼△▼

 

 

 

 

 どうしてこうなったのか。

 

 少年はピンク色のドアを開ける直前から今に至るまでの出来事を思い返し、心の中で愚痴を混ぜつつ呟いていた。

 

 僕は同級生である女の子に会うため、ピンク色のドアに「しずかちゃんの所へ」と指示しただけなのだ。いつもは「しずかちゃんの家」や「しずかちゃん」と指示していたのだが、この日は微妙に指示を変えたのだ。自動学習機能を搭載しているドアだから、この程度は大差無いと考えていたが甘かったのだろう。まあ、どら焼きが大好きな僕の同居人も、時々とんでもない間違いをする事があるから22世紀の科学技術自体が大した事が無いのだろう。それが前もって分かっていれば避けられたのに、どうしてこうなるのだろう。ド(ry)、劇場版の時のように助けに来てよ。

 

 

 

 

 愚痴を続ける少年は、彼女達が激怒して行動を起こした理由を理解していなかった。彼女たちは女風呂に堂々と侵入する常習犯に反省する事を促したかっただけなのだ。

 

 少年が素直に謝れば彼女たちは許したのであろうが、そうしなかった。少年はピンク色のドアの能力不足とそのドアの所有者に全責任があり、自分自身は被害者であると主張した。簡単に言うと「僕は悪く無い。全部、ド(ry)が悪い」と主張したのだ。

 

 それを聞いて彼女達は憤慨し少年に叱った。道具のせいではなくお前の問題だと。

 

 だが、責任を回避し続けようとする少年と話が噛み合わず、いつまでも話が進展しなかった。このままでは埒があかないと感じた二人は、当初の方針を変えて少年の親を呼び出す事にしたが、別の問題が浮上してきた。彼女たちは少年の両親の所在地を知らなかったからだ。少年の両親が家を構えている住所を知ることが出来ても地図から見つけ出すことは出来ず、住所から電話番号を調べようとしても同じ結果になった。

 

 この案が実行出来ない事態に困惑した彼女たちが次に思いついた案は、少年が現れたピンク色のドアから直接少年の実家に乗り込む事だった。だが、この案も実行出来なかった。彼女たちはピンク色のドアのドアノブを掴み、頭の中で少年の家を描きつつ少年の名前と行先を告げてドアを開いたが、見当違いの場所に辿り着いてしまった。彼女たちの頭の中で少年の家を鮮明に描く事が出来ないのでドアが誤認識をしてしまい、何度繰り返しても目的の場所へ辿り着けない。

 

 少年にドアを開けさせるのは論外だ。ドアを開けた途端に逃げてしまうのは目に見えている。

 

 では、どうするか。彼女たちは考えて一つの案を思いついた。それは少年を危機的な状況に追い込み、少年の同居人である青狸を呼び出す事だった。少年を危機的状況から救い出すことが同居人の使命の一つであるため、少年を放置することは出来ない筈である。

 

 その実例として、少年が家出と称して無人島で生活していた事が挙げられる。

 

 少年は誰にも干渉されないという生活を十年間に渡って大いに満喫していたが、就職活動を始める年齢になった事を思い出して渋々SOS発信器を押した。その時、少年の自宅で待機していた同居人は、嫌がる素振りを見せずに少年を迎えにいったのだ。彼女たちはその実例を応用しようとしていた。

 

 彼女たちはSOS発信器を携帯していない少年を拘束し続ける事で、同居人が身柄を引き取りに来ることを待つことにした。そして同居人が現れた時に彼女たちは同居人と少年へ一緒に説教するか、仕事が雑な風紀委員に引き渡して親を呼び出す事にしたのだ。

 

 そんなシナリオを思いついたしずかと鈴(りん)は、少年をある人物を彷彿させる姿にしようとしていた。その人物とは鳥居強右衛門(とりいすねえもん)という男であり、しずかが心を奪われてお気に入りにしている旗指物に描かれている人物でもある。

 

 この男は戦国時代のエポックの一つである長篠の戦いにおいて徳川軍の雑兵の一人として参戦していた。伝令としての大役を果たして長篠城に帰還する最中に武田軍に拿捕されてしまったが、武田軍攻囲隊の恫喝の物怖じせず長篠城守備隊に「味方が救援に駆けつけているから辛抱シル」との吉報を伝えたのだ。

 

 食糧庫を焼かれ士気がガタ落ちだった徳川軍はこの一言で勇気づけられて士気が高まるが、武田軍は当然ながら激怒した。その結果、彼は処刑されて長篠城の脇を流れている寒狭川の畔に磔にされたが、彼が立てた武功と生き様が旗指物として現在に至るまで伝えられている。

 

 彼女たちは、少々手荒いが少年をインパクト十分な姿にしたのはこうした理由があったからだ。

 

 だが、少年をこの姿にするまでに大小様々な問題があった。

 

 最大の問題は褌の締め方が分からない事だ。彼女たちは女子なので褌を締める習慣がない。また、少年は相撲を始めとしたスポーツ全般が苦手であり、同じように経験が殆ど無い。その経験の有無が形となって現れた。少年は彼女達に急かされ記憶の糸を辿りながら褌を締めたが、すぐに緩み始めてしまった。

 

 少年は何度か褌を締め直すために立ち止まるよう彼女たちに懇願したが、彼女たちはそれに耳を貸す事はせず、彼女たち愛用の戦車である九七式軽装甲車(略称テケ)に少年を押し込むと学園艦の艦首まで連行した。学園艦に限らず全ての船には船首もしくは艦首に旗を掲揚する旗竿がある。この旗竿に社旗もしくは国旗を掲揚するが夕暮れ時であるため旗は片づけられており、旗竿だけが潮風に晒されながら寂しく立っていた。

 

 彼女たちは周囲に誰も居ない事を良い事にして、これに少年を括り付けたのだ。

 

 胴体だけではなく両椀も拘束されて完全に身動き出来なくなった少年に対し、しずかは挑発するかのように話し始めた。

 

「さあ、さっそくお主の同居人を呼び出してみよ」

「助けてぇ、ド(ry)」

「声が小さい。お腹の筋肉を使ってもっと声を出しなさい」

「助けてぇ、ド(ry)」

「もっと!」

「お願いだから、早く助けに来てぇ、ド(ry)」

 

 声変わり前である少年の声は遮る物が無い大海原に虚しく吸い込まれ状況の変化は出来そうにもなかったが、少年には変化があった。褌がストンと落ちたのだ。

 

 少年の竿は夕暮れ時の冷たい風に晒されているにも関わらず彼女たちの怒りの炎によって十分に熱せられた視線を浴び続け、少年自身の羞恥心も加わってのでみるみるうちに膨張を始めた。

 

 相変わらず反省の色無し。親はどういう教育をしているのよ。

 

 鈴(りん)は少年に対して呆れ果てたが、しずかは別の感想を抱いた。

 

「男の身体は興味深いな。何がそのようにさせるのか知らぬが、こんなに大きくなるのだな」

 

 そう言いながら、彼女は少年の股間をしげしげと観察し始めた。

 

 少年の股間には同年代の少年と同じように、精子を生産する玉袋と、海綿体に包まれた尿管がある竿がある。普段は小さくて柔らかな竿は彼女が興味を示したとおり大きく硬くなり、水平線の彼方に向けて精子という弾丸を撃ち出すかのようにそそり立っていた。

 

 飽きもせずに少年の股間を観察し続けるしずかを制止すべく、鈴(りん)が会話に加わった。

 

「ねえ、しずか。よくそんなモノをじっくり見る事が出来るよね」

「男子の股間をじっくり見た事が無かったものでな」

「グロくて目を背けたくならないの?」

「グロい。目を背けたくなるくらいもの凄くグロい。だが、何故かじっくりと見たくなる」

「はあ?」

「鈴(りん)、よく見てみろ。これは包装ラップを外したチーズ蒲鉾のように滑らかだが細かい皺があり、口に頬張れば舌が躍る程の感動を味わえる筈だ。これこそ、『女泣かせのチ○コ』という名に相応しいチ○コだ」

「まあ、そういう表現もあるよね」

 

 呆れつつある鈴(りん)とは対照的に、しずかは話を続けた。

 

「この竿の先端から矢のように精子が放たれる。これは間違いはないな」

「まあ、精子が出て来る事は間違いないけれど、勢いよく出ないよ。むしろ、ドロッと出て来る筈だよ」

「何故、そう言えるのだ?」

「だって、皮が被っているしおしっこの出口が皮で塞がっているからだよ」

「そんなに変わるのか? それより包茎は臭いという話を聞いた事があるが」

「それはね、おち○ちんが皮に押し込められているような窮屈な状態になっているから皺が出来てしまい、その皺の部分にカスが溜まるから臭くなるらしいよ。綺麗に洗えば匂わないらしいけれど……」

「勉強になった。ありがとう、鈴(りん)」

「ど、どうも」

「では、どの程度の勢いで出るか実際にやってみよう」

「えっ? するの!?」

 

 予想していない展開に目を丸くする鈴(りん)の目の前で、しずかは少年の股間を握った。

 

「ほお、結構固くて温かい。少年よ、私が貴様のちっこい竿を握っている事が分かっているか?」

「う、うん……」

「よし、これから扱(しご)くぞ。思いっきり飛ばせ」

「うん?」

 

 そう言うとしずかは少年の竿を掴んだ手を前へ後ろへと動かし始めた。

 

「ひっ、あ、あの、それはちょっと……、ぐぐっ」

 

 今までに自慰行為をした事がなかった少年にとって、彼女が少年の竿を握り華奢な指先で竿を何度も扱(しご)く動作は、当然ながら初めての体験であった。

 

 彼女に竿を握られた瞬間、少年は『お人形さんのように綺麗だが怖いお姉さん』が醸し出す雰囲気に負けて思わず頷いてしまった。そんな彼女が始めたのは間違いなくエロく淫らな行為であった。興味を持ったり真似をしたりすると親や先生に怒られる行為であるが、目の前にいる彼女は躊躇いもなく少年の竿で手淫を実施していた。

 

 それは不思議な快感であった。トイレでおしっこをする時に感じる快感とは違う快感が少年の体内で目覚め始めた。熱を持った何かが体内に生まれ段々大きくなる感触を覚えたが、それが外界へ通じる出口となる竿に心地よい刺激を与え始めたのだ。

 

 何かよく分からないがマグマのように熱く堪えぎった物を思いっきり出したい。そんな快感であり、その快感を更に求めるかのように身体は疼き始めた。しばらくすると、彼女はその手の動きを止めた。無理な体勢で続けたので痺れてしまったのだが、一度疼き始めた少年の身体は喉の渇きを潤うために砂漠を彷徨う旅人のように、彼女の手淫による刺激を求めていた。

 

 だから、少年の理性が制止しようとしても、更なる快感を欲する言葉が漏れるのは時間の問題であった。

 

「もっと、続けて」

 

 時間に一分も経過していなかった。理性による制止に失敗した少年の既に吐息は荒くなり、体中に薄らと汗をかく程に身体が火照り、磔にされている支柱から何度も腰を浮かせては密着させ、性的快感を求め続ける獣と化した。

 

「ほお、この程度でイキそうになるのか」

「うん。凄く、気持ちいい。もっと気持ちよくなりたい」

「ならば、その望みを叶えてやろう」

 

 しずかは再び手を動かし、その動きを速めた。

 

「ああ、何か出そう」

「思いっきり出しなさい」

「ホントに出そうだよ。いいの?」

「お主の体内で溜まるが捌け口が無い精子を、ここで思いっきり出しなさい」

「もう、出そう、ホントに出そう。出る!!!」

 

 その時だった。彼女達の足元から声がしたのだ。

 

「待たせたね。迎えに来たよ、のび……」

 

 足を掛けられるような突起さえない、古城の石垣のように切り立った舷側の海側から何かが現れた。耳が無く全身が青い狸のような異様な姿だが愛らしさも感じられる無人機が、頭部に超高速で回転する翼を回しながら空中を浮遊していたのだ。

 

 この無人機は超小型の発電機と無尽蔵な収容力がある収納袋を装備しているが、何故か知能指数が低い愚かな人間のような判断をしてしまう事がある低性能のAIを搭載している。このため、世間一般では高性能とは言い難く超危険でもある無人機と評価されている。超危険と評価されている理由は、ネズミ一匹ごときで地球破壊爆弾を炸裂させようと企んだ事があるからだ。

 

 この無人機は海面を這うように進んだ後に舷側の上部に広がる甲板まで上昇し続けたのだが、到着するタイミングかルートを熟考すべきだった。とはいえ、高性能なAIが搭載されていたとしても避けられたかどうかは微妙であるが。なぜならば、この無人機が到着して少年に声を掛けた場所は偶然にも少年の股間の前であり、不運にも少年の白濁液が勢いよく発射された瞬間でもあった。当然ながら発射されたこの液は、顔の大きさに比較して不必要に大きい眼に直撃してしまった。

 

「ギャアァァァァァ!!!」

 

 人間は誰しも洗髪中にシャンプー液が眼に入れば痛みを感じる。人間の痛覚まで精巧に再現されている無人機が、温かく粘り気のある白濁液を勢いよく眼に掛けられると痛みで悲鳴を上げるのは当然である。

 

「あぁぁ、目がぁ、目がぁ、あぁあぁぁぁぁぁ!」

 

 無人機は空中で悲鳴を上げたが、無情にも悲劇は次々に襲い掛かってきた。空中で身悶えるうちにバランスを崩してしまい、超高速回転翼が外れてしまったのだ。

 

 落下した無人機は金属同士が衝突する耳障りな音をたてるとゴロゴロと転がりはじめた。そのまま転がれば舷側から海に落下してしまうが、偶然にも舷側に引っかかり海面へのダイブを避ける事が出来た。

 

 とはいえ、非常に不安定な状態であったので、鈴(りん)はすかさず言った。

 

「そこ、ネズミ……」

 

 ここで追い打ちを掛けるような発言をした鈴(りん)の弁護をさせて欲しい。学園艦は海上自衛他の艦艇色である暗灰色で塗装されており、世間一般では「ネズミ色」と呼ばれる色である。それを踏まえて彼女の発言を聞いて頂きたい。

 

 つまり、彼女は「そこ、ネズミ色の手すりに掴まって!」と言いたかったのだ。

 

 だが、悲しいことに無人機は彼女の真意を理解出来ず、言葉の中に含まれている「ネズミ」という単語だけに反応してしまったのだ。機械のくせにネズミに齧られたという奇妙な経験を持つ無人機はこの小動物に恐怖感を抱いており、近くにネズミがいると思い込んでしまったのだ。

 

「ネズミィ!? イヤダァァァァァ!!」

 

 悲鳴を上げた無人機が危機を回避するためにこの場から遠ざかろうとする行動は当然なものであった。だが、超高速回転翼を装着しないまま舷側から空中へ飛び出した無人機は、絶叫を上げながら重力に引き寄せられるように海面に向かい、そして……。

 

 彼女たちの足元の遥か下から、重量ある物体が水面に勢いよく叩きつけられる音と航行中の学園艦の艦首に衝突してひしゃげる音が相次いで聞こえた。彼女たちにとって、予期しない展開になってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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