※この作品はR-18です。

いろはアフター/夢のつづき ~ 小町ポイントアフターストーリー   作:さすらいガードマン

2 / 3
 一年以上放置してたお話……もし待っていてくださった方がいたら本当にお待たせしました。

 言い訳もろもろは後書きにて。



いろはす○○味 ②

 

 * * * * * 

 

 

 

「あ……」

 

 わたしが目を覚ますとそこは自分の部屋のベッドの中。ベッドサイドの目覚まし時計は朝の5時過ぎを示していて、カーテンの外はほんの僅かに明るくなってきている――。

 

「ただの夢……だったのかなぁ……」

 

 私はせんぱいに……その、お口でされてイッてしまい……それからキスして……。

 そこまで思い出して、私はベッドの中、毛布を巻き込むようにしてジタバタと身悶える。

 

 でも、そこからの記憶は霞がかかったように朧げで……。最後までは……出来なかった……よね?

 残念なようなホッとしたような変な気持ち。わたしが処女だから……経験が無いからその先は夢でも見れないってこと? ううん、それはおかしい。だってわたし、見た目と行動は派手でもその実キスの経験さえまだですし?

 そういう意味なら夢の中の……先輩とのキスの感触だってあんなに生々しいわけない……リアルなキスを知らないからそこまでは自信ないけど。

 

 夢の中にいる間は、たとえ現実では無いにしても、今この場にいる先輩は間違いなく本当の先輩の心を持っていると――わたしと先輩は同じ夢を見ているんだという確信めいたものを確かに感じていたんだけれど……。

 いざ目が覚めてしまえば、どんなにリアルでも夢は夢なのかな……と、その確信は揺らぎ、急速に萎んでいってしまう……。

 

 せんぱい……わたし、ただエッチな夢見ちゃっただけなんですかね……? ……せんぱい……。

 

 ……そんなはずない。あれは確かに先輩だった。 ――そう言い切れる位に昨夜の夢はやけにリアルで……それに……。

 目を閉じ、先輩がしてくれた愛撫を思い出しながらそっと自分の躰に触れていく。

 

「う……やっぱり濡れちゃってるよぉ……」

 

 そう、わたしの股間の……その、大事な処は、下着の上から指で触れると「クチュッ」と音がするぐらいたっぷりと蜜をたたえていた。

 そのまま下着の中に指先から手をくぐらせ、濡れそぼったクレヴァスにそっと手を這わせていく……。普段ならありえないくらい滑りを帯びた感触の中、勢い良く滑った中指の指先がクイッとクリトリスを擦りあげる。

 

「あッ……」

 

 電気が走ったような鋭い快感が背筋を通って脳天へと抜ける……。

 

 

 びっくりして一度手を引っ込めたわたしは……もう一度、ゆっくりと自分の躰の中心に触れていく……。

 これ……ヤバいよう。

 

「ん……はぁ……んっ…………。やっぱり、ただの夢じゃ……無……い……んぁっ……せん……ぱい……もっと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はぁ……。朝の5時から本気でひとりHしちゃいました……。何やってんだろ、わたし……。でも、夢の中の先輩を思い出しながらす(・)る(・)と、ものすごく気持ちよくって……。

 毎朝浴びてる朝のシャワーの温度をいつもより少し熱めに設定して、火照った身体を洗い流し、カラダとココロに活を入れながら少し反省。

 

 わたしだってお年頃の女の子。そういうことにだって興味津々だし、自分で自分を慰めた経験だって……それなりにはありますよ?

 妄想の中のお相手は……以前は葉山先輩とかだったときもあるけど……今は先輩が多い――てゆーか先輩ばっかりです。そう、最近のそういう夢に出てくるのはいつも先輩。

 そう言う意味では昨夜の夢だっておんなじだと言えなくもないんだけど。――でも違う。

 

 昨夜の……あまりにも自然な……先輩の、掌……指……、くちびると舌……の感触。

 

 もしほんとに……本当にわたしと先輩が同じ夢を見てたなら……。

 

 先輩も、わたしのこと、『好き(らしい)』って言ってくれて……それからキスして……それから手とお口でわたしの躰中を……。

 

「せんぱい…………」

 

 って、ダメダメ。こんな事考えてたらまた悶々と落ち着かなくなってきちゃう。……生理、近いからかな……。

 とにかくもうここまでにしとかなきゃです。――これから先輩に会うんだし。

 

 

 

 そう、わたしは今日先輩と会う。……しかもよりによって生徒会室で。

 

 実は昨日のイベントの残務処理がまだ少しだけ残ってるんですよ。で、打ち上げの時に先輩を捕まえて、お手伝いして下さいと(無理やり)お願い?したら、とっても快く?引き受けて下さったの♪

 んん? 疑問符? 何のことですかぁ。

 

 なんでも夕方奉仕部メンバーでクリスマスパーティーみたいな事をするそうで、日中ならしょうがないから手伝ってやるよって。

 

 会えるのは嬉しいですけど……、でも……気まずいよぉ~。もし先輩が夢のこと覚えてたらと思うとすっごい恥ずかしいし……。ほんと、どんな顔して会えばいいんですかね?

 

 そだ、先輩に会ったら……ずるいかもしれないですけど、ちょっとだけ探りを入れて……反応が無かったら知らんぷりしちゃおう。

 

 でも……でもでも――もし先輩が、「夢」のこと覚えててくれたら……?

 

 

 

 

 

 × × × × × × 

 

 

 12月25日。今年も残り一週間を切り、最寄り駅から総武高へと向かう俺の背をぐいぐいと押すように冷たい北風が吹きつける。追い風で歩みは軽くなるのだが、とっとと歩いてさっさと仕事しろと言われているようで鬱陶しい。

 ……ホント、働きたくないなぁ。今日のことに限らず、もう一生働きたくないまである。やはり専業主夫を目指す道こそ最強への道だな。

 それに、冷たい風とは言っても考えようによってはそれだけのことだ。今朝のニュースで、北関東には上空に寒気が入り込んで大雪になると言っていたが、見上げる千葉の空には雪どころか雨雲の影さえ無い。よし、やはり千葉は最強。

 合わせて考えれば、この千葉の地で専業主夫を目指す俺、超最強ということになる。

 

 ……だというのに、だ。未来の最強を約束されているはずの俺は、冬休みに入ってからすでに3日になるというのに、ケーキの仕込み・クリスマスイベント・残務整理と一日も休むこと無く今日もまた仕事をするために学校へ向かっているというのだから……これが理想と現実のギャップというやつかね。

 

 それに、ただ働きたくないという以外にももう一つ、今日学校に行きたくない――行きにくい理由が出来てしまった。

 そもそもなぜ俺が休日に学校に向かっているかと言えば、昨日、一色からイベントの残務処理の手伝いを頼まれ……俺は渋々ながらもオーケーしてしまったからだ。

 まあそれはいい。いや、別に働きたいって意味じゃ無いよ?

 

 ただ……昨日の夜、一色と……その……エロいことをする夢を見てしまったのだ。

 

「小町ポイントが溜まったので、くじ引きで恋人がもらえますよ」みたいなアホな夢。で、引き当てたのが一色いろは――わが総武高校のあざと可愛い会長様だったわけだ。

 その夢の中……夢に出てきてくじを仕切っていた天使のコマチエルによれば「夢と現実の間の世界」らしいが……。とにかくその世界、生徒会室で俺は何故かサンタ服を着ていた一色にいきなりキスされ……俺は一色に告白し、その流れでエロい展開に……。

 

 いや正直に言えば、一色でそういう妄想をしたことは何度もある。それどころか、知り合いの中での出演回数はナンバーワンかも知れない。

 なんというか……単純な容姿という点ではおそらく一色と互角以上であろうと思われる女子が身近に二人もいるのだが……、この一色いろはというあざとい後輩は仕草やら視線やらがいちいちエロ可愛い。自分を異性にたいして魅力的に見せる方法をよく知っているというか……。

 あともう一つ。ひどい言い草だが、一色相手にはエロいことを妄想してもあまり罪悪感がわかないのだ。どういう事かというと……まあなんだ、雪ノ下や由比ヶ浜でエロい妄想をしたことも……ある。あるのだが、いざその後で当の本人と顔を合わせると変な申し訳ないような気持ち――罪悪感を感じるんだよな~。

 

 そんなわけで、一色相手のエロ妄想など慣れっこになっているはずなのだが……。

 

 

 もちろん今回も夢の中の一色は、相変わらずあざと可愛くて、ついでにエロ可愛かった。

 

 ただ、今回はそれだけではなく異常にリアルというか……。

 高ぶることで色も赤みが増していき、肌触りもスベスベからしっとり掌に吸い付くように変化していく肌とか、その汗ばんだ肌の匂いとか……後はその、愛液? の味とか匂いとか僅かなトロみとか……とにかく今までの妄想では具体的には想像さえしていなかった生々しい実感に溢れていた。

 最も、現実では経験のない童貞野郎の俺にはそれがリアルな女体の感覚というものなのかは本当のところ分かっちゃいないのだが。

 だが、俺の指やら舌やらの刺激にいちいち可愛らしい嬌声を上げ、四肢をこらえきれないと言うようにピクンピクンともがくように揺らしている一色の反応を見ていると……なんかもう……。

 にもかかわらず、いざこれからというあたりで記憶が曖昧になり……気が付けば自宅のベッドの上で目をさましていた。

 夢と解ったからといって俺の現実でも硬くなりきった股間はどうにも収まりがつかず……結局一色をオカズに二回も抜いてしまった。

 

 と、まあそんな経緯があるのでこれから「生徒会室で一色に会わねばならない」というのが実に気まずい。

 おいおい、さっき一色相手には罪悪感を感じないとか言ってただろって? 

 あくまでそれは一色で妄想することに対しては――という意味で、オカズにした直後に平気な顔で顔を合わせられるという意味ではない。……それに上手く言えないが、今回、夢に出てきた一色は何か違(・)う(・)のだ。

 「現実の俺と現実の一色が同時に同じ夢を見ていた」という感覚がやけに現実感を持って残っていて……いざ本人を前にしたらどういう態度を取って良いのか分からん。

 一色の顔を見れば、どうしたって夢の事やついさっきおかずにしたことを思い出してしまうだろうし、ありえないとは思っていても「一色も同じ夢を見ていたんじゃないか」という願望のような妄想が捨てきれず、おかしな態度をとってしまうかもしれない。

 

 そんな事を考えている間にも風に押されて歩みは進み、俺は総武高に到着してしまった。

 

 着いてしまえば仕方ない。外で突っ立ってても寒いだけだしな――などと言い訳をしながら上履きに履き替え階段を上る。まあ素直に白状すれば、昨日夢で自覚したとおり俺は多分一色に惚れてしまっているわけで……あのあざと可愛い会長様の顔を見るのが楽しみでほいほいここまで来てしまったというのが本音なのかもしれん。

 

 まあ……なるようになるか……。俺は覚悟を決め――というか、諦めに近い気持ちで生徒会室のドアをノックする。俺の挙動不審を、一色に「キモイですよ?」とか言われるのはもはや日常だしな……。

 ん、そういえば夢の中の一色はドアの陰に隠れてやがったな。一応何か仕掛けてないか確認しながらドア開けるか……。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 生徒会室に一人。一応は作業机の上に残務処理のための書類だけは拡げたものの……心はすっかりうわの空、わたしは全く仕事が手につかずに呆けている。

 それに……実際仕事と言っても大した量では無いのだ。ちょっと手間がかかるのは学校・役所等予算を頂いた各所に対する決算報告書くらいのもので、それだってもう数字は出ているから、あとは相手先の書式に合わせて入力・プリントアウトするだけで済む。わたしが一人でやったとしても一時間……は厳しいにしても、どう多く見積もっても二時間はかからないだろう。二人ならもっとあっという間だ。

 

 せんぱい……まだかなぁ……。

 

 早く来て欲しい、早く逢いたい…………けど、顔を見るのは恥ずかしい、ちょっとだけ気まずい――どこかに逃げ出したい……ような変な気持ち……はぅ。

 

 そしてついに……待ち侘びたノックの音が、トン、トン、と遠慮がちに響く。

 

「一色居るか?」

 

 せんぱい……。ドア越しの声を聞いただけでわたしの心は嬉しさに震える。

 

「は、はーい。 ……せんぱい、開いてますからはいってきてくださーい」

 

 わたしがそう声をかけると、一呼吸置いて生徒会室の引き戸がゆっくりと開く。

 そして……先輩はチラチラと左右を見て、何かを警戒するようにゆっくりと入ってきた。

 

 ――え……、警戒? 

 昨日の夢の中、わたしが隠れて悪戯した場面が脳裏にフラッシュバックする。

 

 それって……やっぱり先輩も同じ夢、見てたんですか……?

 

 うぅ~、聞きたい。けど……聞けない……。だって変ですよね。そんなこといきなり聞くの。

 

 だからわたしは「いつもと同じわたし」を演じる。

 

「せんぱい、おーそーいーでーす~」

 

「いや、まだ約束の時間まで五分もあんだろが」

 

「だから~、たとえそうでも女の子を待たせたら、『ごめん、遅くなった。この後ケーキセット奢るから許して』とか言うべきなんですよぅ」

 

「いや奢んないし。なんで手伝いに来た俺がお前に奢んなきゃなんねーんだよ。 ……だいたい他の生徒会の連中だってまだ来てないだろが」

 

「? 今日はわたしと先輩だけですよ?」

 

「は?」

 

 ぷぷ。先輩、お口をあんぐり開けて、「理解が追いつかない」みたいな顔。

 

「……ちょっと待て一色。今日は、総(・)武(・)高(・)と(・)し(・)て(・)の(・)提出書類とかの残務がまだ残ってるから手伝って欲しい、っていう話だったよな。それでなんで他の役員が来ないんだ?」

 

「残務って言ってもぉ、わたし一人でも一、二時間位で終わる量なので、他の人達はお休みにしましたぁ。でも……わたし一人だけとかさみしーじゃないですかぁ。だったらせんぱいに来てもらおうって」

 

「いやそれ、休みにする相手を間違えてるだろ!」

 

「えぇ~、何が不満なんですかぁ? お休みの日にこんなに可愛い後輩を独り占め出来ちゃうなんて、ちょおラッキーじゃないですかぁ」

 

 わたしはわざとらしくそう言いながら立ち上がると、机の外を回り込むようにすす~っと先輩の方ににじり寄る。ゆるくグーの形に握った両手を胸の前で合わせ、腰をくねらせるようにして軽くしなをつくって上目遣いで先輩を見つめる。

 

「だからあざといんだっつ~のお前は」

 

 一瞬だけ顔を赤くした先輩は、ごまかすように頭をガシガシかくみたいにして髪をかきあげながら視線をそらし――

 

 でも、見(・)て(・)る(・)……わ(・)た(・)し(・)を(・)

 

 ドクン、という心臓の音が聞こえた気がした。 ……わたしの? それとも……。

 

 先輩は見てないフリをしながら私のことを見てる。

 

 でも、実はそれだけならそんなに珍しいことじゃ無いんですよね。先輩って、よくわたしのこと「あざとい」とか言うけど……つまりそれってわたしのこと可愛いと思ったって認めてるって事ですよね。少なくとも見た目とか仕草とかの表面的には。

 でね、せんぱい? 見てないふりしてたって駄目です。そういうの、どこを見てるかまでちゃあんと判っちゃうものなんですよ? 女の子ってそういうのすっごく敏感なんですから。

 

 先輩はいつも逸(そら)した視線の端でわたしを見てる。他の男子に見られてもキモいだけですけど、先輩なら……もっと正面から見つめてくれてもいいのに。

 ちなみに先輩がわたしのどこを見てるのかっていうと……

 どこか一箇所だけに決まってるってわけじゃないけど……一番見られてる――見てくれてるって感じるのは……脚……かなぁ。

 

 ふふふ、何を隠そう、わたしの「脚」って先輩に対しての貴重なアピールポイントだったりするんですよねー。

 

 は? 他にもアピール出来ることなんかいくらでも有るだろって?

 いや、他の男子にならそうなんですけど~。わたしってば幸いなことに顔はかなり可愛い方ですし、小柄でスタイルも良いですし、柔らかくウェーブのかかった濃い亜麻色の髪も天然ですし、ついでに声だって可愛いって言われてますし? ……ホント、こんな風に産み育ててくれた両親には感謝しなきゃですよね。 

 

 けれど、先輩の一番近くには、まともに戦ったらわたしなんかとうてい太刀打ちできないようなすっごく素敵な女の子が二人も居るんですよ。見た目のことだけ言っても――

 

 雪ノ下先輩――流れるような黒髪ストレートロング、同じ女子としてため息が出ちゃうほど整ったその凛とした美貌。その体躯はすらりとして驚くほど細く、肌も白くきめ細かい。

 一度(ひとたび)動けばその所作も実に優雅で、奉仕部で紅茶を淹れている時の姿なんかはまるで一遍の美しい絵画のワンシーンかとさえ思わせるほど。

 で、でも胸の大きさなら――ちょっとはわたしのほうが勝ってる! 

 

 結衣先輩――ピンクっぽい茶髪の可愛らしい印象の先輩。顔の造りだけなら……正直わたしとそれほどの差は無いんじゃないかなぁ。もちろんすっごく可愛いんだけど……あ、これわたしも同じくらい可愛いっていう自慢になっちゃいますかね。へへ。

 ただ、先輩が私に言うところの「あざとさ」のない天然の笑顔の破壊力は圧倒的。それに……彼女はそのボディーに最強――いえ、最恐にして最凶の兵器を隠しているんですよ! いやもちろん隠さなかったら大変なことになっちゃいますけどね。えっち的な意味で。

 その触れるもの皆押しつぶすようなやわらかくも圧倒的な威力は……F級とかG級とか……それ以上? 雪ノ下先輩にちょっとだけ勝ったというわたしのささやかな自尊心を丸ごと押し潰してしまうのでした……。

 

 とまあ、そんな中身はもちろん外見までちょお魅力的なライバル二人に対してでも、脚のラインの綺麗さ――いわゆる「脚線美」とか「美脚」って部分だけなら勝ってるんじゃないかなぁ……なんて。

 雪ノ下先輩ほど細くはない、結衣先輩ほど肉感的でもないわたしの脚。 ……けれど脚の魅力はバランスだ。太腿からすっと伸びて膝の上下で程よく締まり、ふくらはぎから足首へと滑らかに絶妙なS字カーブを描く脚のラインは……我ながら中々の物だと自画自賛。ついでにわたしのずるいところを告白しちゃえば、三人の中でわたしが一番スカート短くしてますし……これ実は奉仕部に行く時だけ腰の所で一回多く折り込んだりしてるんですよ。てへ。

 

 話がそれちゃいましたけど、ようするに先輩が私のことをチラチラ見てるっていうのはいつもの嬉し恥ずかしイベントで――でも、違うの。今日の先輩の視線はねっとりと躰に絡みつくような感じでなんだかゾクゾクする。

 まるで……そう、制服に包まれた躰を――素肌を、裸体を透かし見られているような――。

 先輩の視線を、胸に、脚に、秘所のあたりにも感じて、わたしのココロとカラダはきゅんと疼く。

 

「……せん……ぱい……?」

 

「……あ、……おう、スマン」

 

 わたしの呼びかけに、先輩は慌てたように視線をフラフラさせ……それから今度こそ完全に目をそらして横を向いてしまう。

 

「…………」

 

 先輩は一つ溜息をつくと、こちらにもう一度目を向けて何か言いたそうに口を開きかけたものの……結局何も言わずに背を向けてしまった。

 

「あー……とにかくさっさと片付けちまうか……」

 

 先輩はそう言ってわたしの机に広げっぱなしになっていた資料を手に取り、一枚一枚確認していく。その背中を見ていて……、

 

 

 

 わたしは急速に膨れ上がる想いを抑えきれなかった。

 

 わたしは縋るように彼の背中に抱きつき、その真ん中にぎゅっと頬を押し当てる。

 見た目の印象よりずっとガッシリとした広い背中……。

 

「なっ……。何やってんだよお前……」

 

 驚いてわたわたと慌てる先輩。 ……でも、すぐに振りほどこうとはし(・)な(・)い(・)。

 

「今日最初のお仕事ですよ……。わたしの充電のお手伝いです」

 

「充電って何だよ……。あと離せ」

 

「やです。わたし、今回ずっと……ずうっと頑張ってたじゃないですかぁ、だから……せんぱい成分を充電しないとわたし倒れちゃいます」

 

 うわ……何言ってるんだろわたし。もう全然気持ち隠せて無い。

 わたしは混乱した気持ちのまま、猫がマーキングするみたいに彼の背中に頭をグリグリと擦り付ける。

 

「俺成分て……そんなん充電したら身体に悪そうだからやめとけ。目が腐っても責任取れんぞ」

 

 もう……ここまでしてもまだ、せんぱいはわたしがからかってるだけだと思ってるのかな。 ……想い、届かない……のかなぁ……。

 

 でも……。

 

「だって……あんな夢見ちゃったら、ますます諦めきれなくなっちゃうじゃないですかぁ……」

 

 そう思わずぽそりと漏らした言葉に……

 

「! 夢……、夢ってもしかして一色お前……!」

 

 彼はあからさまに動揺した様子でこちらに振り返る。何かこう……「信じられない」とでもいいたげな先輩の表情。 ……やっぱりそうなんですか? あの夢、せんぱいも……。

 

「夢って……いや、女子に言わせる話じゃねーな。 ……なあ一色、」

 

「は、はい」

 

 覚悟を決めたような先輩の顔を見せられ、上ずった声が出てしまう。

 

「俺は今から馬鹿げたことを言うから……訳が分かんなかったら笑い飛ばしてくれ。だが……いや」

 

 わたしはただ先輩の顔を見上げてコクリと頷く。

 

「昨日……いや今朝か? とにかく俺の夢の中に一色が出てきてな……」

 

「はい……」

 

 やっぱりそうなんだ。 ……ただの夢じゃ……無かったんだ。

 

「それでその内容ってのが……あー……なんだ、その……」

 

 恥ずかしそうに、言いづらそうにしてる先輩の顔を見てればわかる。間違いない――わたしとせんぱいは同じ夢を見てたんだ!

 

 そう確信できた瞬間にもう身体は動いていた。わたしは真っ赤になってまっすぐこっちを向けない先輩の正面に回り込んで抱きつき、溢れる気持ちをぶつけるようにキスをする。

 

 ファーストキス……なのにわたしはそれが当たり前のように先輩と舌を触れ合わせ……、先輩の方もまるでわたしとのキスの呼吸を合わせるのが初めてではないかのように舌を絡ませて応じてくれる。

 

「んぅ……あ……はぁッ……。 せん……ぱ……い……んっ……」

 

「ん……いっ……しき……」

 

 強く抱きしめられ、ふわりと香るなんだか安心する先輩の匂い……。

 

 あぁ……せんぱいだ先輩だ……夢とおんなじ先輩だ。わたしを好きって言ってくれたせんぱいだぁ……。わたしの妄想じゃ……夢じゃなかったんだぁ……。

 

 嬉しさで感情がおかしくなり自然に涙が溢れてくる。わたしと先輩は熱に冒されたようにお互いの唇を求め合う。先輩の舌がわたしの中に入ってきて二人の舌が腔内で絡み合う。少しだけ息が苦しいけど、それさえも幸せに感じる……。

 

 

 

 

 

 どれくらいそうしていたのだろう…… 少しだけ落ち着きを取り戻したわたし達は、ゆっくりと離れる……一瞬つうっとお互いの唾液が糸を引いて切れる。あ、今先輩も見てた。なんだかちょっとだけ気恥ずかしい……。

  

「せんぱい……あ(・)れ(・)、ただの夢じゃ無かったんですね……ふふ」

 

「おう……なんか信じられん話だが……そうみたいだな……」

 

「じゃ、じゃあ……せんぱいがわたしに言ってくれたことも……」

 

 本当……なんですよね。わたしのこと、「好き(らしい)」って……。

 

「言ってくれた? って……ああ、それは……」

 

 一瞬だけ怪訝な顔をした先輩。けれどわたしの真剣な顔を見てすぐに察してくれたみたい。こほんと一つ咳払いをして、改めてわたしと向き合う。

 

「いっし……。いろは」

 

 先輩も真剣な表情。わたしの下の名前を呼ぶ彼の声が少しだけ緊張してる。

 

「はい……」

 

「その……好き、だ」

 

 工夫も飾り気もない真っ直ぐな言葉が強くわたしの胸に響く。

 

「はい……わたしも……です。わたしも、せんぱいのこと大好きです!」

 

 嬉しい……ホントに嬉しいです、せんぱい……。

 

 わたしはもう一度先輩の胸に飛び込み、彼はわたしを抱え上げるように抱きしめてくれた。先輩がバランスを崩し、後ろに二、三歩たたらを踏む。

 二人でちょっと慌てて、もう一回見つめ合えば先輩のちょっとだけバツの悪そうな顔。二人、くすりと笑いあって……それからゆっくりと唇を合わせた。

 

 

 

 あまりの幸せさに頭が蕩けそうになって呆けているわたし……。ふと気が付くと、せんぱいがまたさっきのネットリした視線でわたしを見ていることに気がついた。

 ……これってもしかして、視姦……されてる? 何とも言えない――背筋がゾクゾクするような気配。

 そう思って見れば、わたしのお腹の辺りに微かに触れている先輩のズボンの前の部分が少しだけ硬く熱をもっているようにも感じる。ふふ、先輩も男の子だし、盛り上がっちゃったんですかね。

 

「せーんぱい? なに見てるんです?」

 

 わたしは先輩のその部分に腰を押し付けるようにしてくっつき、下から先輩の顔を覗き込む。

 

「くっ、いやその、な、なんでもねえよ」

 

「えぇ~、なんでもないなんて言ってますけど~、なんか当たってマスよ?」

 

 わたしはお腹で先輩の……オチンチンの部分をグリグリ押す。 ……やっぱり、熱くって硬い……。

 

「ちょ、やめろっての。一色お前急にエロくなってねえか? ビッチなの?」

 

 先輩が逃げるように腰を引きながら悪態をつく。

 

「ぶぶー。わたし、ちゃんとせんぱいのために処女(バージン)ですよ。キスだって夢のあれがノーカンならさっきのが初めてですし。あと……ちゃんといろはって呼んでください」

 

「ちゃんとって……もしかしてこれからずっとそう呼べってことか? いやムリだろ」

 

「なんでですかー。わたし、せんぱいには「いろは」って呼んでほしーです。 ……その……今日から彼女なわけです……し」

 

 う、自分で「彼女」って言うのなんだか恥ずかしい……。

 

「いやでもな……」

 

「じゃあ……せめて二人っきりの時だけでも……」

 

「…………」

 

「ダメ……ですか?」

 

 先輩は一つ息をつくと、

 

「分かった。努力はするからゆっくりで頼む。 ……お前のこと、『いろは』って呼ぶの嫌なわけじゃねえからそんな顔するな。むしろ彼女の名前呼び捨てとかちょっと憧れるまである。 ……けど、慣れないとやっぱり変な感じでな……」

 

「ぷ。じゃあ、わたしも自分のペースでいきますね」

 

 そう言ってわたしは先輩の肩に手をかけ、彼の耳元に唇を寄せる。

 

「これからよろしくお願いします、八(・)幡(・)せ(・)ん(・)ぱ(・)い(・)」

 

 そう囁いてわたしは彼の耳たぶに触れるだけのキスをした。

 

 先輩は普段めったに見せないような柔らかい笑みを浮かべると、

 

「やっぱお前あざといっつーの」

 

 そう言って照れながらわたしの頭をぽんぽんと撫でてくれた。

 

 

 

 

 

 

 *   *   *

 

 

 

「……小さくなりませんね」

 

 わたしがズボンの上から先輩のオチンチンの部分をふにふにとさわると、弾力のある棒……みたいな感じがする。

 

「はうっ、……お前がそういう事するからなかなか縮まないんだろうが……」

 

 

 

 お互いの気持ちが通じ合ったばかりのわたしと八幡せんぱいは、応接コーナーの長ソファーに二人くっつくように並んで腰掛けて、いちゃいちゃベタベタを満喫中。主にわたしがだけど。

 

「わたしがお手伝いした方がいいんですかね?」

 

「……手伝いって?」

 

「その……エッチな……。だって男の人ってこ(・)う(・)なったらその……最後までシないと縮まないってこの前読んだ漫画に……」

 

「いやそれ嘘だから。なかなか戻らないのはほんとだけど、刺激せずに大人しくしてればそのうちちゃんと戻るから」

 

「そうなんですか? でもわたしはこんな窮屈そうなら何かしてあげたいなぁって思っちゃいます」

 

 そう言いながらまたわたしは先輩のおちんちんの部分を服の上からキュッと握る。あ、先っぽの辺りだけちょと柔らかい……。

 

「うっ……。 あのな一色……、い、いろは」

 

「はーい♪」

 

「お前……さっきから急にどうしたんだよ」

 

 先輩は居心地悪いみたいに腰をもぞっと動かしながらそうわたしに問う。

 

「何がです?」

 

「だから、なんか急にエロくなったというか……」

 

「だってー、せんぱいには夢の中でもう全部見られちゃってるじゃないですかー。あの夢がわたしの妄想だったらこんな事するのちょお恥ずかしいですけど、いまはむしろ夢でいじめられた仕返しをしたい気分……みたいな感じでーす」

 

「仕返しって……」

 

「せんぱいはわたしの全部を見たのに、わたしは結局何も……それに、あんなことやこんなことまで……」

 

「だからあれは夢で……現実(こっち)と夢が全部同じってわけじゃないだろ」

 

「えぇー、まだそんなこと言ってるんですかぁ。そんなのおんなじですよ。それにもし何か違ってたって確かめようもないですし」

 

「確かめる方法なら……無いでもない」

 

「え……ど、どうやってですか!?」

 

 確かめると言ったってもう一回夢を見直せるわけじゃないし……。

 

「それは……」

 

 先輩はわたしの顔をチラチラ見てひどく言いにくそうだ。

 

「言ってくださいよー。わたしに出来ることなら手伝いますから~」

 

「わかった……。じゃあ……い、いろは」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

「俺の前に立って、スカートまくって見せてくんない?」

 

「は!?」

 

「いやだから……

 

「っせせせんぱいっ、き、急に何ゆってんですか! マジですか馬鹿ですか変態ですか?」

 

「そうじゃなくてお前の……

 

「付き合い始めた当日にそんな高度なプレイを要求してくるなんて……」

 

「話を聞けっ……」

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

「はぁ、よーするに、わたしの太腿の、その……ギリギリのところに特徴? みたいなのが有った、と」

 

「まあ、……ピンク色の小さい……痣っつーか、肌の色が少し違ってるとこがあって……よく見るとそれがハートの形してて、こいつこんなとこまであざといんだな……と」

 

「あざと……。それさすがにわたしのせいじゃないと思うんですけど……」

 

「あと……いや何でも無い」

 

 先輩はまた何か言いかけて止めてしまう。

 

「せんぱい? もういいから言っちゃって下さい。せんぱいが変態さんなのはよく解りましたから」

 

「……なんだ、その……あそこの毛の生え方が左右対称じゃ無くて、右は……

 

「わーわーわー。やっぱ言わなくていいですっ!」

 

 くっ、このせんぱいめ、予想以上に恥ずかしいことを平気な顔で……。

 

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

「こ、これでいいですか……」

 

「おう……。俺がやらせておいてなんだが、なんかすげぇエロいな……」

 

「だから馬鹿なんですか先輩はっ、わたしがこんなに恥ずかしい思いしてるのに何他人事みたいに言ってんですかぁ」

 

 

 

 

 ソファーに座った先輩のすぐ目の前、わたしは靴を脱いで応接テーブルの上に乗り、両手でスカートの裾を掴んで大きくまくり上げている。わたしの視線からは影になってるけど……これ先輩から見たら太ももどころか下着とかおへその辺りまで丸見えですよね……。

 こんなの……恥ずかし過ぎる。 ……けど、夢の中と同じ痣が現実のわたしにも有るのかどうかはわたしも気になるから。

 それに……い、一応もしもの時のためにお気に入りの可愛いピンクの下着着けてきてますし。 ――まさかこんな形で披露することになるとは思いませんでしたケド……。

 

「せんぱい……どう、ですか……」

 

「ん……一色、もう少しだけ脚開いてくれ」

 

 ふあッ、太腿の付け根あたりに先輩の息がかかってくすぐったい。わたしは言われるまま、肩幅くらいに足を開く。スカート越しに聞こえてくる先輩の息遣いが少し荒くなった。

 

「は……あ。ヤバいなこれ……。少しだけ触るぞ……」

 

「う……はい」

 

 先輩の手が何かを探るように、左太腿の付け根、ショーツで隠されてるギリギリの所に触れてくきた。僅かにヒヤッとした感触。

 

「あ……これ……か?」

 

 見つかった……のかな? でも……。

 

「先輩、あったんですか? その……」

 

「あー、多分、な」

 

「多分って」

 

「いや、見た時は足開いてただろ。今はそうじゃないから……形が少し変わってて葉っぱみたいな形に見えるが……場所はこの辺だったし、多分これだな」

 

 むう、はっきりしないなぁ……。でもそうか……アソコ見られた時は太腿全開に拡げられちゃってたんだっけ……。思い出したら恥ずかしくなって、きゅんと躰が疼く……疼く?

 

 え? わたし……先輩にこんな変態みたいなことさせられて――見られて、感じてる……の?

 ふふ、やっぱりわたしエッチな女の子だ。もちろん先輩に対して限定だけど。どうやらわたしは好きな人相手ならエッチなことも積極的に出来るタイプらしい。

 その開き直りみたいな自覚が私の気持ちを変な方向に押す……。

 

「せんぱい……もう一つの方は、確かめなくていいんですか……?」

 

「な……それってお前……」

 

 もう一つ……それを確かめるためにはつまり……。

 

「はい……先輩の手で……脱がせてみて下さい……」

 

「!! おま、だからそういうビッチ発言が男を勘違いさせるん……

 

「ビッチじゃないですぅー! ……あと、勘違いでもなくてですね……その、先輩なら――八幡せんぱいになら……見られても良いって思っちゃったんですよう。 だって……もう散々エッチなことされちゃってるじゃないですかー」

 

「それはあくまでも夢で……」

 

「だからですよ……ちゃんと見て、確かめて下さい……。あれがただの夢じゃないってこと」

 

「……けどな、

 

「もう……、こ、ここまで言わせておいてやらないとか無しですっ。せっかく恥ずかしいの我慢して覚悟決めたんですから……。その、お願いします…………」

 

 それでようやく先輩もその気になったらしく、おっかなびっくりという感じでそろそろと両手を伸ばし……一度手を止め、わたしの目を見上げた。

 

「いく……ぞ?」

 

「は、はい……どうぞっ」

 

 先輩は自分自身に言い聞かせるように声をかけると、わたしのショーツの左右両端に指をくぐらせるように引っ掛け……その手をゆっくりと押し下げる。少しだけ腰の部分が引っかかるような感じがした後……お尻をぷるんと弾くようにして薄いピンク色の小さな布きれは太ももの真ん中辺りまで引き下げられた。

 彼がゴクリとつばを飲むかすかな音が、静まり返った生徒会室では意外なほど大きく聞こえる。

 

 先輩が身を乗り出すようにしてわたしのそ(・)こ(・)を見ている……。これ……やっぱりちょお恥ずかしい。視線を遮る守りを全て剥がされ外気に触れているその部分から、心細さみたいなものが背筋を伝って登ってきて、ドキドキがどんどん加速していく。

 

 けれど……これは決して嫌なドキドキじゃない。うん、何かを期待するような……そんなドキドキ……。

 

 

 

「同じ……だ」

 

 数秒、フリーズでもしたかのように動きを止めていた先輩がそんな言葉を漏らす。

 

「……せんぱい?」

 

「右はほんとに産毛が濃くなっただけみたいで……左の方の一箇所だけ髪と同じキラキラした茶色のトコがあって……夢そのまんま、だ」 

 

「ちょ、そんな解説要りませんてば……」

 

 

 

 でも。

 

 ――同じ。夢の中と同じ。 ――だから。

 

「せん……ぱい」

 

「いっし……き、むぐ……」

 

 わたしの顔を見上げた先輩に覆い被さるように腕を回して抱きつき、そのまま唇を合わせ、舌を絡めていく。えへへ、わたしが先輩を見下ろす形のキスってなんか新鮮。

 

 ――同じ。わたしの躰も同じ。生徒会室。先輩と二人きり。 ――だから、続きを。夢の続きを。先輩……せんぱい……。

 

 二人の視線が絡み合い、わたしの心の求めに応えてくれるかのように先輩の右手が制服の裾をくぐってブラ越しの胸に触れてくる。先輩の左手はお尻を回り込むようにして指先がわたしの秘所に触れてきて――。

 

 

 

『……○○ちゃんも部活? お互いお疲れ~』

 

『△△ちゃんもお疲れー。うちは年内は今日で終わり』

 

『羨まし~。こっちは明後日もう一日あるんだ~……』

 

 

 突然廊下から聞こえてきた声にわたしは呼吸が止まる。それは先輩も同じのようで、わたしと同じように身を固くして息をひそめる。まるで動かなければ気付かれないとでも言うかのように。

 幸い、二人の女生徒の声はこちらの様子など気にする様子もなく並んで通り去って行った。でも。

 

 ――わたしは……わたし達は何(・)を(・)し(・)よ(・)う(・)と(・)し(・)て(・)い(・)た(・)……。

 

 これは夢の続き――けれど夢の中じゃない。冬休み中とは言え、今の子達のように部活動をしている生徒や仕事のある先生方は普通にドア一枚隔てた廊下を行き来しているのだ。 さっき一応鍵は掛けたけど……冷静になって考えれば流石にこのまま流されるように続きをしてしまうのはまずいというのはわかる。

 

 でも、先輩のズボンの前……ますます大きくなっちゃって……先輩もなんだか苦しそう。

 男の人は「オチンチンが大きくなっちゃったら最後までしないと縮まない……」それは嘘だってさっき先輩言ってたけど、でも、きっとすっごく苦しいんじゃないかな……。せんぱいを我慢させちゃうの申し訳ないな……。

 

 だというのに。

 

「一色……スマン悪かった。お前のこと見てたらその、触るの我慢できなくなっちまって……ほんとスマン」

 

 先輩はいつだって自分が悪者になって謝っちゃう……。

 

「そんな……今のはわたしが……」

 

 そう、わたしが熱に浮かされたみたいに考えなしに無意識に先輩を誘ってしまったんだ。

 ……だったらわたしがセキニンってやつを取らなきゃですよね。

 

「あのっ……せんぱい。ここで最後までっていうのは止めたほうが良いかもですね……。さっきも言いましたけど、わたし、その……経験ないので、血とかいっぱい出ちゃうかもしれないですし……」

 

「いやほんとに悪かっ……

 

「せんぱいっ!」

 

「…………。」

 

 そんなふうに謝らないで。わたし、嫌がってる訳じゃない……拒否してるって誤解されたくない――だから……。

 

「明日……明日もお時間頂けませんか。……うちの親共働きなんで、お昼は私の家誰も居ないんです。 ……その、もし良かったら昼食ごちそうしますから……」

 

 想いを込めて先輩の目を見つめ、言外に食事だけのお誘いでは無いと伝える。

 

「う……なんて言えばいいんだこれ……。よ、よろしく頼む」

 

 わたしの言葉の意図をきちんと汲み取ってくれたらしい先輩は、どこか照れたようにそう言った。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

「う……はぅ……。なぁ、無理にこんなことしなくたって……」

 

「だからわたしがしてあげたいんですってば。 あ……もしかしてわたしなんかじゃ嫌でしたか……?」

 

 先輩と言葉をかわしながらもわたしは手をとめない。

 

「馬鹿そんなわけ……おうっ……」

 

 せんぱい……なんだかかわいーです♪

 

 

 

 

 わたしは今、再びソファーで先輩の隣に座り、右手で彼のオチンチンをゆっくり上下に擦り上げている。

 

 先輩は……最初は渋ったんだけど……わたしがちょっと強引にズボンのファスナーを下ろして無理やりみたいな形で彼のオチンチンを引っぱり出しちゃったの。だってこのままじゃ先輩すっごく苦しそうなんですもん。蛇の生殺しってこういうのを言うんでしょ。

 

 まあわたしも興味があったっていうのもありますけど……それだけじゃない。先輩、この後あの二人と会うんですよね……。会ってほしくない、ずっとわたしと一緒に居て欲しい。

 でもそんな酷いこと言えない。先輩がどれほどあの二人を大切に思ってるかなんて、これまで痛いほど思い知らされてきた。それに結衣先輩たちだってきっとすごく楽しみにしてるんだろうし……。

 だからせめてスッキリさせてあげてからって……。だってこんなムラムラしてる状態で結衣先輩や雪ノ下先輩に会ったら、特に結衣先輩の胸とか見たら……その、間違いとか……。

 

 先輩のこと信じてはいますけど、正直さっきあえて「彼女」宣言したのだって先輩に対して釘を差しときたいみたいな独占欲が出ちゃっただけですし。

 

 それに……きっとわたしは自分で思っている以上に結衣先輩のことも雪ノ下先輩のことも好きなのだ。だからこんな風に抜け駆けするみたいに先輩と結ばれてしまうというのは彼女たちに申し訳ない、後ろ暗いとも感じてはいる。

 

 ――でも譲れない。あの日、本物を求めるという彼の声を聞いてしまったから。短い間だけど一緒に過ごして、彼の不器用な優しさに――寂しさに触れてしまったから。

 だから、わたしは自分が卑怯な事をしていると自覚した上で……それでも先輩との既成事実を積み上げていく。

 

 

 

 

 

 でもですね、これ……ちゃんと見るのも触るのも初めてですけど……なんというか、この部分だけ違う生き物みたい。……それに不思議な感触。軟骨でできてるのかと思うぐらい硬いのに、握った感じはむにむにと弾力が有って柔らかい。表面に浮き出ている血管がなんかぷにぷにしてて、にぎにぎするとあったかくて気持ちいい。

 あ……先っぽから透明でヌルヌルしたのが出てきた。精液……じゃないですよねこれ。なんか聞いたことある。カウ……なんとか液、女の子のが感じて濡れちゃうのと同じようなものだって。

 せんぱい……気持ちよくなってくれてるってことですよね。

 そしてふわんと漂う独特の匂い。イカ臭いとか聞いたことあったけど、これは生イカというよりスルメとかに近い匂い? 決していい匂いでは無いはずなんだけど、嗅いでるとなんだか頭がくらくらしてくる。それに……うん、わたしはこの匂い嫌いじゃないかも。先輩の匂いだからかな。

 

「せんぱい、これでいいんですか……? わたしやり方とか全然わからないんで……教えてください」

 

「教えるって……」

 

「そのですね、なにをしたら先輩が気持ちよくなるか、とかそういう感じの……」

 

「それは……」

 

 ふふ、先輩ちょっと口ごもってなんだか恥ずかしそう。

 

「わたし、言われた通りにやりますからぁ」

 

「じゃあ……その濡れてるのを手で……そう、塗りつけるみたいにして……そこの段差になってるところを中心に……指で輪を…………」

 

 

「こう……ですかね……」

 

 わたしは先輩に言われるまま、さっきの透明な液を手のひらにぬるぬるに塗りつけ、指で作った輪でオチンチンを包み込むようにして全体に塗り広げると、先っぽの少し柔らかい部分と根本の硬い部分のつなぎ目辺りを中心にしゅにしゅにと音を立てて擦り上げる。

 

「う……いろ、は……それ……ヤバい……っ」

 

「!……っ」

 

 先輩の声に心臓を掴まれたみたいに……心がきゅんとざわめく。

 せんぱいが……私の名前を呼びながら、気持ちよさそうに……切なそうに悶えてる……。「いろは」って呼びながらわたしの手で感じてくれてる。

 そんな風に思うだけで、気が付けばわたしのアソコもいつの間にかしっとりと濡れてしまっている。

 

 ああ……大好きです、せんぱい……。もっと……もっと気持ちよくなってほしぃです。もっとその切ない声で「いろは」って呼んでほしぃです! どうしたら……。

 

 そうだ。先輩はわたしのクリトリスとか割れ目とかを口とか舌で……あれ、震えるぐらいちょお気持ちよかった。

 わたしもお口でしてあげたら……先輩、喜ぶかな……。

 

 わたしは先輩のものを握ったまま身体をずらし、先輩の前、彼の両足の間にひざまずくような体勢になった。

 

「いろは……?」

 

 はむっ、とオチンチンの先をお口で咥える。

 

「んあっっ……。お、おま……何を……」

 

 口の中にじゅわっとしょっぱ苦い味が広がった。でも思ってたよりずっと薄味だ。匂いはけっこう強かったからもっと味も濃いんだと思ってた。ぬるぬるが舌の上にゆっくり広がってくような変な感じ。味と匂いに刺激されたせいか口腔には唾液が出てきて、先輩のオチンチンの方からもまた液が滲んでくる。

 咥えたまま舌でオチンチンの先をペロッと舐め取ったら、またすぐ新しい液じわっと出てくる。

 

「くぅっ……」

 

 あ。ふふ、ぴくんって。 ……せんぱい、今ぴくんってなった。

 

「はぇ? いふぁかったれすかぁ」

 

 口を放さずに喋るのはささやかな仕返し。少しも痛そうには見えないし、わたしが喋ろうとする度に舌先で先っぽの柔らかい部分を舐めまわすことになるので相当気持ちよさそう……と、

 

「あ……うぅっ、いろは、ヤバい……出そう……っはぁ」

 

 切羽詰まった先輩の声。

 え……で、出る? 出るって射精するってことですよね。え、どど、どうしよう。どうしたら……。こおのまま口で? それとも口離して……でも制服とか部屋とかにかかったら……あ、ティッシュ? ティッシュは……このままじゃ届かないし……。

 

 そう、こういうことわたし達は未経験。初心者ふたりがどうしようと考えているうちに先輩が限界を迎えてしまう。

 

「あぁっ やば、イク……いろはっ」

 

 そう絞り出すような切ない声で言いながら、先輩は夢中でわたしの頭を抱えてしまった。わたしは逃げ道を塞がれ、オチンチンが口いっぱいに深く入ってくる。

 直後、それが一回り大きく膨らんだような気がして……

 

「……ううッ……」

 

 せんぱいの全身がビクンと震える。

 

「んんん~~~ッ!?」

 

 わたしの口の中で、オチンチンの先からぶしゅーっと精液が噴き出した。まるで水道の蛇口を指で抑えて水を飛ばすみたいなすごい勢い。むせ返りそうな強い臭いが鼻に抜ける……ちょ、のど苦しっ……。

 

 一瞬頭が真っ白になって視界が白く霞む…………。

 

 

 

 

 

「っ…………はぁ…………はぁ……」

 

 激しい射精が終わり、一つ大きく息をついた先輩からがっくりと力が抜けてソファーに倒れ込んだ。同時にわたしの頭を抱き抱えるようにして強張っていた腕もだらんとその横に投げ出される。

 オチンチンも……芯が抜けたように柔らかくなってツルンとわたしの口から抜け落ちる。先輩の精液とわたしの唾液が混じったものが数滴ぽたぽたと床に落ちた。

 

 せんぱい……。わたし、先輩のこと最後まで気持ちよくさせてあげられたんですよね……。今のはちょっと苦しかったですけど、わたし、幸せ――なんですけど。けどけど、 ……こ、この口の中たっぷりの精液ってどうしたら良いの?

 味はさっきのぬるぬる液を濃くして苦味を足したみたいな感じ。ただ臭いが凄くて、そのせいか涙と鼻水が滲んできた。そしてものすごくネバネバドロドロしてて口の中のいたるところに絡みつくような感触がする。先輩の精液……飲んであげたいけど……。

 

「んぐっ……」 

 

 試しにほんの少し飲み込んだだけでも軽く息が詰まって喉がイガイガする。こ、これどうやって全部飲み込めば良いの?

 

 そこで先輩がワタワタしてるわたしに気がつく。

 

「ん……どうした?」

 

「うぅ、ふぇんぱぁい……こえ、のめばへん……」

 

 わたしが半泣きで訴えると、

 

「な、馬鹿お前そんなの飲まなくていいからっ。……ほら出せ」

 

 そしてティッシュを四、五枚取って重ね、わたしの手に差し出してくれる。わたしはそのティッシュを受け取り、

 

「ん…………はあ……」

 

 とろとろっと、口に溜まっていた精液をその上に吐き出してしまった。手のひら全体がじわっと暖かくなる。わわ、思ってたよりいっぱい出てたみたい……。

 

 

 

 

 

 口の中の精液をどうにか全部吐き出し、ティッシュで口を拭って……と、色々と後始末。それから二人とも着衣を整え、ソファーに並んで腰掛けたところでようやくひと心地。

 

 

 

「ごめんなさい……せんぱい……」

 

「何がだよ」

 

「だって……前に読んだ漫画ではちっちゃくて可愛い女の子が『おいしい、おいしい』って喜んで飲んでて……。だからせんぱいも飲んであげたほうが嬉しいかなって……」

 

「……あのな一色、お前の読んだそういう漫画って、なんつーか色々偏ってないか?」

 

 まあ、友達がお兄さんの部屋から勝手に持ち出したやつだし……その子のお兄さんの趣味が特殊なのかも。……精液ちっとも美味しくなかったし。

 

「……そうかもですね。これからいろんな事ちゃんとおしえてください」

 

「いや俺も経験ないし、教えるとか無理だから」

 

 まあ……お互い初心者ですもんね。

 

「えへへ。じゃあ、二人でいろいろ試していきましょう。これから――とりあえず明日、よろしくお願いしますね、八幡せんぱい?」

 

 そう言ってわたしは先輩の肩にぴとっと躰を預ける。

 

「う、明日……か。まあ……そうだな。俺らのペースでゆっくり行くか……。よろしくな、い……いろは」

 

 えへ、先輩の口から紡がれる「いろは」の響き。何回聞いてもその度幸せな気持ちになる。

 わたしはすっと立ち上がり、

 

「はい、よろしくでで~す!」

 

 わたしはわ(・)ざ(・)と(・)先輩言うところのあざとい敬礼をぴしっと決め、小首をかしげてウインク一発! 先輩、きっとまた同じこと言うはず。

 

「だからあざといんだっつ~の」

 

 ぷ、ほら言った。けど、

 

「でもぉ、せんぱい、なんだかんだ言ってわたしのこーゆうの、実はきらいじゃないですよね?」

 

 わたしが見透かしたようにそう返すと、先輩は一瞬痛いとこ突かれたみたいな顔をして……恥ずかしそうに、なぜかちょぴり嬉しそうにぷいっと横を向いてしまった。

 

 あはは。やっぱり可愛いなぁ、わたしのせんぱいは。

 

 

 

 

 

 




いろはす八幡の味(意味深)
 
 一年も更新せずにおいて、しかも今回1万9000字も使ったのにまた最後までたどり着かないという……。ほんと申し訳ありません。

 いや、一度書いたんですよ。「前回の続きのまま夢の中でエッチまでしちゃって、次の日学校で会うとなんか恥ずかしいよね~」みたいな話を。
 ただなんだか納得いかなくて。なんというか、ちっとも八幡といろはっぽく無かったんですよね。で、そっちを諦めて新たに書き直したのがこれです。少しは八幡といろはらしくなっていたら嬉しいのですが。

 では続きはまた来年……とならないように頑張ります……。
 
 ご意見・ご感想お待ちしています。
(18禁に感想書きにくいという方はあえて「ログインせずに感想を書く」を利用したり、直接メッセ飛ばしてくれても構いません。方向性に迷うタイプの作者なのでご意見プリーズ)

P.S. 留美のお話の方――ちまちまと細切れの「物語のパーツ」みたいなのは結構書いてるんですが(字数だけなら多分3万字位)先まで見据えて構成するのに四苦八苦しているところです。
一度再開すればそこそこ進むと思います。エタるつもりは無いので、気長にお待ち下さいませ。


1月18日 誤字修正 一部表現修正

1月19日 誤字修正 報告いつもありがとうございます。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。