〜翌日…
北原茂は島崎翔太を車に乗せて杉浦家へと向かっていた。
翔太は、茂からこれまでの内容を示した書類に目を通す。
「杉浦藍さん…僕とは5才位年が離れているけど…同じ小中校だった人だね。あまり対面しないし、直接話しもした事の無い人だ…」
「そうでしたか…訪問介護では、お宅へは行きませんでしたか?」
「僕が担当した事は無かったよ、何時も他の人が担当で順番が回って来る事は無かった…」
「そうなんですか…」
「まあ…若返りたいと言うなら、ちょうど良かったよ。博士は30〜40代を対象にしてくれって言って来たから…。それにしても…」
翔太が後部座席を見る。
後部座席にはミヨと優の2人が乗っていた。
2人は楽しそうに会話をしている。
「どうして付いて来るわけ?」
「可愛い乙女達が、若返った相手の審査を行うのよ」
「それに翔太さんに、変なムシが寄り付かない様に見張らないとね」
訳の分からない事を言う年増少女達に翔太は溜め息を吐く。
「随分懐かれましたね」
茂が笑いながら言う。
「どっちか片方、連れって行って良いよ」
「いやぁ、流石にウチには家内が居るから…」
「お子様は?」
「まだ生まれたばかりです」
「そうだったの…じゃあ、今は忙しそうだね」
「ええ…」
2人が話しをしてる間に車は杉浦家に着く、全員は車から降りる。
翔太はトランクからクーラーボックスを出して肩に掲げる。
玄関のインタホンを鳴らし家へと入る。
茂と翔太と…ミヨ、優の4人が家に来たと知ると、杉浦の母も少し驚いた。
「今日は、また大勢で来ましたね」
「ちょっと、藍さんに元気になって頂く薬を持って来たのです」
「あの子を…元気に出来るの?」
「まあ…多分、可能かと思います」
「そう…?」
母親は、少し不安そうな表情をしていた。
翔太が藍の側へと行き、挨拶をする。
「どうも、こんにちは」
「こんにちは」
「話しを聞きました、もう一度人生をやり直して見たいのですよね?」
「ええ…やり直せるなら…」
「後戻りは出来なくなりますよ」
「後悔はしません…もう一度自由に体を動かせるなら…」
「分かりました、では…これを飲ん下さい」
翔太は藍に薬を飲ませる。
母親がコップに入れた水を持って来て、藍に水を飲ませてる。
次第に藍の体から白い煙が立ち昇る。
「こ…これは?」
「若返りが始まりました」
シュウーッと、藍の体が若返り、更に身体が少しずつ縮み出す。
白い煙が収まると、藍の体は若返り過ぎてしまい…
ミヨと優と同じ位の年齢までの体系に戻っていた。
「か…体が動く!」
藍は、自分の背丈が縮んだ事よりも、自分の手足が動く事に喜んでいた。
「ママ、私…また動けるよ!」
「で…でも、貴女…小さくなっちゃって…」
母親は、大人になった筈の娘が、また…子供になった事に少し悲しんだ。
「ありがとうー!」
藍は翔太に飛び付いた。
それを見ていたミヨと優が、彼女を翔太から引き離す。
「お子様は、必要以上に彼に近付かない」
それを聞いた藍は2人に向かって頰を膨らます。
「何よ、貴女達だって、子供じゃない!」
「見た目は子供だけど…中身は貴女よりも上よ」
「フン、若さなら…私の方が上だから、年増少女様」
中身が年増の少女達を傍らに、少し部屋から離れた翔太と茂は、2人で話し合う。
「何か…早くも修羅場だね」
茂が翔太に向かって言う。
「まあ、出来るだけ藍ちゃんと2人は近付け無い方が良いかも…」
「でも…学校に行くとなると…どうしても顔を合わせる事になるよ」
「そうだった…」
2人は、子供姿なった3人を見た。
「言っておくけど、可愛いさなら私が1番よ」
藍が2人に向かって言う。
「フン、私の方が1番可愛いわよ」
ミヨが負けずに言い返す。
3人は変な意地の張り続けていた。