~介護施設…
その日、早朝…福祉施設に出社した介護福祉士である北原茂は、当直の日報を読み終えて、自分の勤務表に目を通した。
まだ入社して、月日は浅いが…それなりに仕事も任されて少しずつ伸び始めていた。
訪問介護の日程を見ると、滅多に自分の所に来ない利用者の名前があった。
『倉田ミヨ…』
その名前を見ていると、自分と同じ同期の介護士が来て茂に言う。
「お…ミヨさん宅は、今日は君が行くのか」
「そう…見たいですね」
「あの人は寝たきりだから、シーツ交換や、お手入れ等は家族か看護師がいる時でないと大変だぞ」
「分かりました」
利用者の状態等をメモに書き写して、その日訪問するお宅へと出掛ける。
~午前10時頃…
シャワーを浴びに行って10分程経過していた…。翔太はミヨが少し気になっていた。
やがて、浴室のドアが開くと…
「ねえアナタ~」
ズキッと翔太は少しビックリする。
「チョット、アナタ呼ばわりするのは…ウワッ!」
浴室に向かった翔太は全裸で着替え場に立っている少女の姿に驚く。
「何、驚いているの?」
「だって、スッポンポンじゃないですか」
「今更何よ、今まで散々人のオムツ交換で、私のアソコ見てたじゃない?」
「それは今まで高齢だった時の事でしょ、今は子供の姿だし…そんな格好で出歩かれるのはチョット…」
「お堅いのね…」
少し呆れた様子でミヨは言う。
「ところで…何ですか?」
「お湯の出し方が分からなくて…」
それを聞いて納得した。今まで寝たきりだったから最近のシステムの扱いには不慣れなのだと…分かった。
「説明します。ここのレバーで温度を決めて、こっちのレバーでシャワーか蛇口から出すのを選びます。あと…こっちにあるスイッチでお湯を出す運転をON/OFFにします」
「なるほど…」
そう言ってミヨが側で頷きながら真剣に見ている姿を翔太が横目で見る。
それに気付いたミヨがわざとらしく、胸と陰部を手で隠して「エッチ」と、言う。
(今になって言うか…)
少し呆れた表情で翔太は浴室から出る。
ミヨがシャワーを浴びている頃、翔太は姉のスマホに電話を掛ける。
プルル…しばらく電話音が鳴り響いた後…姉が電話に出る。
「おう未婚で彼女歴無し=年齢のショータ何の用だ?」
毒説紛いの姉のトークに翔太は一握りの殺意を感じた。
「ゴメン、姉ちゃん、確か姉ちゃんの娘って小学校中学年だったよね?」
「そうだけど…エロ目でウチの娘に接近したら瞬殺だから覚悟しとけよ」
「悪いけど…女の子の服を少し貸してくれる?」
「どういう事だ?お前本気でアッチの世界に踏み込んでしまったのか?」
「いや…そうじゃなくて、どうしても必要なんだ」
「よく分からないな…何で必要なんだ。ハッキリ言えよ」
姉にどう説明すれば良いか迷っている最中に、後方からミヨが浴室から出て来た。
「ねえ…翔太さん着替えないけど、どうしましょう?」
その声は電話向こうの姉にハッキリと聞こえた。
「しょ…ショーター、今の声誰だー、お…女だが子供見たいだったぞー!」
間近で聞いてたら鼓膜が破けそうな程大声で姉は言う。
「ちょっと色々事情があって、急いで来てくれ、出来れば隣の倉田さんの家に」
「分かった、そっちに行ってから詳しく聞く、ただし不審な行為で子供を連れ込んだったのなら、例え弟だろうと警察に通報するからな」
「そんなのでは無いよ」
取り敢えず姉との連絡を切るとミヨを見た。
タオルを頭と体に巻き出て来る姿は、まさに少女そのものの姿だった。
「体も洗ったし綺麗になったから、あとはベッドインだけかしら?」
際どい発言に翔太は返事に戸惑う。
「そう言うのは…せめて状況が落ち着いてからにしましょうね。もう少しで姉が来ますので、ちょっと色々と話があると思います」
「どんな話?そんなに深刻な出来事あった?」
(十分過ぎる程の深刻な状況でしょ)
翔太は状況が受け入れられていないミヨが羨ましく思えた。
「と…取り敢えず、髪を乾かしましょう」
「そうね」
翔太はドライヤーでミヨの髪を乾かす。子供の滑らかな髪で艶があり、とても軟らかかった。
髪を乾かし終える頃、家の近くでキキ―ッ!と車のスリップ音が聞こえた。
やがて…ピンポンー。玄関のチャイムが鳴る。
「誰かしら?」
ミヨが玄関に向かう。
「あ、ちょっと」
呼び止めようとしたが、ミヨはそのままの格好で玄関のドアを開けた。
「はい、どなたですか?」
「うわ!誰なの、アナタ?」
「え…?前から、この家に住んでいる者よ」
状況が全く理解出来ない姉は茫然とした表情で翔太を見る。
「ちょっと翔太、これはどう言う事なの?」
「アナタは、数年前まで隣に住んでいた京子さんよね?」
「へ…?どうして私の名前を知っているの?」
姉は見知らぬ少女が自分を知っている事に驚く。
「知っているわよ、だって昔…よく家に遊びに来てたじゃない。貴女が学生時代の時は悩みの相談とかしたわよ」
「うそ…貴女、ミヨお婆ちゃん?」
まさか…自分よりも高齢だった近所のお婆さんが、自分の娘と同じ位の年齢になっているのに京子は驚いた。