~早朝・・・
プルル・・・
まだ夢の中を彷徨っていた翔太はスマホの着信音で目が覚める。
「はい・・・もしもし・・・」
「まだ寝てるのかーショータ!」
いきなり姉の大声で叩き起こされた翔太は布団から起き上がる。
「もう朝だぞー!」
そう言われて翔太が時計を見ると時刻午前6時だった。
「まだ…6時じゃないか…」
「うるさい、6時だろうと朝は朝だ。近所のコンビニLMF7で待っているから7時までには来いよ」
姉はそう言って一方的に電話を切ってしまった。
突然起こされた翔太は、布団から起き上がり部屋から出て身支度を始める。
昨夜博士に言われた通り、クーラーボックスを取りに家の裏にある倉庫へと向かう。父親が趣味で魚釣りする時に使っているクーボックスがあるのを思い出して、少し借りようと思って倉庫の中を探して見つけ出す。
軽く食事を済ませて、顔を洗って、身支度を済ませると翔太はクーラーボックスに薬を入れて家を出る。
家を出る時に時計を見ると予定時間15分前だった・・・が、姉から催促の電話を受ける。
「何やっているんだー!」
「まだ、あと15分あるだろう?」
「そうだ、急げ15分経過したら出発しちまうぞ」
むしろ・・・その方が良いかな?と・・・翔太は考えた。
姉に急かされるようにコンビニに向かった翔太は息を切らしながら姉の車の近くへと向かう。
「む・・・走って来たか、上出来だ」
「で・・・昨夜電話で言ってた方は?」
「これから高速に乗って他県まで行く。事の詳細は運転中に詳しく話す」
そう言われて、姉と翔太は車に乗る。
車に乗った2人は運転しながら話を始めた。
京子は翔太に雨宮優の現在の写真と昔陸上をしていた若い頃の写真を見せる。
「彼女は、高校時代陸上選手で、県でもトップの実力があった・・・しかし、練習のし過ぎと疲労が重なって、大会前に怪我をしてしまい、夢のインターハイを失ってしまった・・・。その後OLになり、社内でも1.2を争うキャリアウーマンとして活躍するものの、上司のセクハラや不倫、社内での無理矢理のワイセツ行為に耐える日々だった・・・。そして不況になるとリストラに遭い、結果・・・行き先も無いまま病を患ってしまって、パートで寝たきりの日々を送っている」
「年齢は50歳なんですね・・・」
「そうだ・・・まあ、本人曰く・・・生まれ変われるなら生まれ変わりたい・・・と、言っている。どうかな?」
「まあ、本人が言っているのなら、やってみようと思います。ただ・・・姉ちゃんが電話する前に、博士と話をしていたのですが・・・、ミヨが子供になったのは意外だったかもしれません」
「そうなのか?」
「薬の成分の効果や影響を受ける人によって、若干効果も変わるようで、必ずしもミヨさん見たいになるとは限らないらしいです」
「まあ・・・若返る事は、若返るのだよな・・・」
「それは確かです」
「それなら、別に良いけど・・・」
2人は高速を走らせて、雨宮優の住む場所へと向かう。
市営駐車場に車を止めて、遮断機を跨いだ先にある中古アパートへと向かう。翔太は昭和時代に建てられた古いアパートに少し驚きを感じていた。
廊下に古い洗濯機が置かれて、電車が通過する度に建物が少し屋れを感じている。
京子が玄関のチャイムを鳴らし、玄関前で何か話をしている。しばらくして・・・ドアを開けて、京子が中へ入ろうとする。その時京子は翔太を手招きした。
2人がアパートの中へと入り奥の部屋へと進むと、ケホ・・・ケホ・・・と咳き込み、寝たきりの女性の姿があった。
「こんにちは」
「あ・・・こんにちは」
優は京子が来た事に気付くと上半身を起こす。
その時、彼女の隣に見慣れない男性の姿がある事に気付く。
「そちらは?」
「ウチの弟です」
「初めまして」
翔太は優に向かって挨拶をする。
「あ・・・初めまして、どうも・・・」
「昨日、雨宮さんは人生をやり直したい・・・て言ってたでしょ?」
「まあ・・・そうだけど、何か秘訣でも見付けたの?」
「最近・・・僕はある人物から若返りの薬を頂きまして、先日・・・寝たきりの高齢者が若返りました」
翔太は昨日撮影したミヨの画像を優に見せる。
「本当にこんな風になれるの?」
「多少・・・効果は、人によって変わると思います。ただ・・・試して見るのも良いかとは思われますが・・・どうでしょうか?」
「まあ、そう言うなら試すわ」
「ただ・・・若返ったら、そこから再スタートになります。もう・・・現在の姿には戻れなくなりますが、後悔とかはないですか?」
「無いわ・・・今よりも元気な姿でいられるのなら、そっちの方を選ぶわ」
「分りました・・・」
そう言って翔太は、クーラーボックスから薬を取り出す。
京子はコンビニで買って置いた水を優に渡す。
優は薬を飲み込み、水で薬を体内に流し込んだ。
薬が優の体に入ると、次第に彼女の体から白い煙が溢れ出る。
「ね・・・ねえ、これは・・・一体?」
「効果が始まったのだよ」
2人の前で優の体は次第に細く縮み初めて行く。
「こ・・・これって・・・」
「まさか・・・!」
2人は驚いた表情で彼女を見ていた。