〜雨宮家…
雨宮優の弟…徹は、3歳年下の女性…美希と縁を結び、島崎翔太や橘博士達が住む街で、一戸建ての家を建てて生活していた。
数年前に待望の娘が産まれて、人生が華やかな時期を迎えていた。
その日もありふれた平穏な朝だった。
今年小4になる愛娘、真鈴は何時もの様に朝起きて来てと食堂へと入って来た。
朝食のトーストとベーコンエッグにポタージュを食べる。
食事中に真鈴は何気無い一言を両親に向けて言う。
「ねえ・・・なんで私には姉弟がいないの?」
他愛ない発言だが・・・美希や徹には重い一言でもあった。
「どうしてかな・・・真鈴がもう少し良い子でいたら弟が出来るかも・・・?」
「あら・・・私、良い子にしているけど」
母の言葉に真鈴は頬を膨らませる。
ミルクココア飲み終えた真鈴は、洗面台に食器を置き食堂を出て行く、出る時に真鈴は両親を見て何気ない一言を言う。
「姉弟が欲しいと言う時って・・・パパとママは何時も話を変えるのね!」
不機嫌な表情で真鈴は洗面所へと向かう。
「この話題に対しては、我が家のお姫様は毎度ご機嫌斜めになるよな・・・」
「仕方ないわよね、あの子が産まれただけでも感謝している程だから・・・」
真鈴が産まれる時は、美希は難産だった。
彼女は・・・若い時期に男達と遊び更けていた。その為・・・流産した経験があり、医師に将来は子供を作るのは難しいと言われた。
美希は徹と出会い、交際して結婚を考えた。汚れた自分を受け入れてくれる徹の心の広さに感激して、一人の女性として彼と生きる事を決めた。
美希を妻として認めた徹だったが・・・彼は自分の子が欲しく、出来ないなら別れると彼女にクギを打った。美希は覚悟を決めて出産を挑んだ。出産時期が迫ると産婦人科医院に泊まり込みになり、長い時間頑張ってようやく待望の我が子を産む事に成功した。
しかし・・・彼女に取って、真鈴を産む事が精一杯だった。
医師からは二人目は無理だろう・・・と念押しされた。
徹としては、娘一人で十分だったが・・・愛娘は幼保園に通う時期から度々両親に向かって。
「私も姉弟が欲しい・・・」と、幾度となく口にした。
学校に行く支度を済ませた真鈴は、玄関口で靴を履いて「行ってきます」と、玄関前で見送る母の顔を見ずに出掛けて行く。
(今日は相当カンシャク起こしているわね・・・)
「出掛ける声、やけに小さかったな・・・」
「しばらくは機嫌悪そうね・・・あの子」
溜息交じりに美希は言う。
徹も、出勤の支度を調えて、ふと・・・何気なくカレンダーを見た。
「そう言えば・・・しばらく姉さん所行ってないな。今度皆で見舞いに行こうか?」
「私は構わないけど・・・真鈴は、あまり姉さんの所行きたがらないのよね・・・」
「まあ・・・アパートが古いし、変な臭いもするからね」
「悪いけど・・・今回は貴方一人で行ってくれるかしら?」
「仕方ないな・・・そうするよ」
そう話をすると、徹は出勤しに出掛ける。
一人になった美希は家事を済ませ、買い物へ出掛ける準備をする。
家を出ようとした時、家の電話が鳴り出した。
午前中に固定電話が鳴るのに美希は少し驚いた。
身内や友人等はスマホでメールで情報のやり取りで済ませてしまう為、固定電話は娘が友達との連絡用に使う程度になりつつあった。固定電話に美希は受話器を取る。
「あ・・・突然の電話申し訳ありません・・・」
女性の声だった。通販の電話か、悪質な電話か・・・と美希は思った。
「雨宮徹さんのお宅ですよね?」
「はい、そうですが・・・どちら様ですか?」
「私は・・・雨宮徹の姉、雨宮優と元同期だった。上村京子と申します」
「そうでしたか・・・で、何かご用件でもありますか?」
「実は・・・お姉様の事で相談したい事がありまして、出来れば近日中にアパートへ起こし頂けますか?」
「それでしたら、主人が今度の日曜日にアパートに行きますが・・・」
「もし・・・出来たら早いうちにが望ましいですが・・・」
「何を伝えようとしているか分りませんが・・・、そもそも・・・元同期の方が何故、我が家の事に関与するのでしょうか?我が家も色々と予定がありますので、急な要望には、主人と相談した上で無いと無理です。早急ならそれなりに事前に申しあげて頂かないと困ります」
「そうですね、失礼しました。では・・・話を変えて。今夜、私が優さんを連れて貴方達の家に伺う・・・と、言う事にします・・・これでどうでしょうか?」
その言葉に美希は少し驚いた。
姉は病気で一人で出歩けない筈・・・。一緒に来るとはどう言う事なのか?
「分りました・・・主人には今日、早く変えるように伝えて起きます」
「ありがとうございます。無理な用件を申しあげてすみません」
そう言って京子は電話を切った。
突然の電話に美希は徹にメールを送った。
~オフィスビル・・・
勤務中にメールが届いた徹はメールの内容を見て驚き、トイレに行くと言って席を外して、急いで美希に電話をした。
「ね・・・姉さんが家に来るってどう言う事だよ?」
「分らないわよ。私だって驚いているのよ!」
「相手の電話の人は、元同期だって?」
「そう言ってたわ」
少し考えた徹は、姉が来ると言う事を信じて
「分った・・・今日は早めに帰宅する。詳しいことは家に帰ってから聞くよ」
美希に連絡して、徹はトイレから出て席に戻った。
~小学校・・・
小4のクラスの休憩時間中、真鈴は友達とおしゃべりしていた。
「そう言えば、今度・・・ウチのクラスに転校生来る見たいよ」
「え・・・本当?」
「あたし見たのよ、昨日学校に見慣れない女の子が応接室から出てくるのを・・・」
「どうだった?」
「すごく可愛くて綺麗だった」
「うそ・・・それ凄いね」
「ねえ、瑠菜はどう思う?」
「え、私・・・?」
瑠菜は京子の娘だった。彼女は京子から一連の話を聞かされていて、同じ学校にミヨが転校する事は事前に知らされていた。
「て・・・転校生ね、良いのじゃない?」
少し声が上ずった感じで答える。
「瑠奈ちゃん、何で・・・転校生が来ることでアナタが緊張しているの?」
「ごめん・・・」
そう言って瑠菜は周囲の人達に笑いを取らせる。