「按摩《あんま》?」
二条城の中の間。人払いをかけた部屋の中で、眼光鋭い美貌の剣士が聞き返した。
金糸のごとき髪に、真珠と見まごうようなつやの肌。一瞥しただけで、徒人《ただびと》ではないことがわかる。
それもそのはず。この美女こそ当代将軍、足利ヨシテルその人なのだ。
「はっ。このところ、上様は連日のご公務により、お疲れのご様子」
あなたの隣で頭を垂れながら、ミツヒデが蕩々と答える。
「そこで、全身の疲労を癒やすため、国一番の按摩をお連れしました」
ミツヒデが示すのは、むろん、あなただ。とはいえ、按摩の経験などあるわけもない……着物をあつらえ、目元を眼帯で隠してそれらしくして見せただけだ。
なにも盲人のフリをしなくてもいいのだが、「この方が何かと都合がいい」とミツヒデが仮装させたのだ。……ちなみに、あなたの視界はさえぎられず、眼帯越しにものを見ることができる。特別製である。
「いいえ、長く続く戦で民が疲れ切っているのです。私が休んでいる場合では……」
「それがいけないのです。御身は、すべての民の模範とならなくてはなりません」
「ですから、この身を粉にして……」
「なりません。民の模範であるからこそ、上様にはお体を大事にしていただきます」
「こうしている間にも、どこで戦が起こっているか……特に川中島……」
「犠牲の上に成り立つ泰平になんの価値がありましょう。死にものぐるいも結構ですが、使いどころがございます。疲れは判断を鈍らせ、よからぬ輩が幕府につけいる隙を与えかねません」
ぴりりと、緊張に張り詰めた空気が、人払いをかけた間に広がる。
たしかに、あなたの目にも将軍の疲労は色濃く思えた。白い顔に広がる疲れは、いつか彼女自身を破滅させてしまいそうだ。
「それで、按摩ですか」
その疲労に満ちた顔に、いくらかの諦めが浮かんだ。腹心の腹心、明智ミツヒデが言うことだ。さすがに、無視するわけにはいかないのだろう。
「その通りです。すぐれた按摩は、一晩の眠りよりもなお効果があるといいます。そこで、上様にぜひ、と」
すらすらと口上を述べるミツヒデ。よもや、その彼女が連れてきた男が、国一番どころか、按摩の技を学んですらいないとは、天下の足利将軍でも思うまい。
引き結ばれた唇がわずかに緩み、ふぅ、と息が漏れた。
「いいでしょう。ミツヒデがそこまで申すのであれば」
「はっ。施術の間、このミツヒデめが見張りに立ちます」
「頼みましたよ」
こうして、話はまとまった。
☆戦国9乙女☆
「私は武士でもあります」
奥の間。二条城に仕えるもののなかでも、ここに足を踏み入れたものがどれほどいるだろう。
その場に二人きりとなって、薄衣のみを身にまとったヨシテルは、いささかの緊張を見せていた。
「人に……体を触らせることは、滅多にないことです」
あなたは布団の上に、ミツヒデがどこかから取り寄せたという特殊な敷布を広げた。水気を通さぬ、不思議な素材でできている。
「そうは見えないかもしれませんが……っと、今のは、失言でした」
あなたが動作で示した通りに、彼女が体をそこに横たえる。鍛えられ、しなやかな体つきは布一枚ごしにもよくわかる。仰向けにさせれば、若々しくもみずみずしい腰の曲線が見えた。
思わず飛びかかりたくなりそうだが、それではミツヒデの計略が台無しだ。あなたは落ち着いて、小さな香炉に火を入れた。
「甘い……香りですね。落ち着くような気がします」
何を隠そう、これこそ豊後を経由して南蛮から持ち込まれた媚香である。体を温め、緊張をほぐすのみならず、体内の欲をうずかせる効果を持つ。ミツヒデがとあるルートから手に入れたものだ。なんでも、『用量にはご注意を。体が小さいものに強い香りをかがせたら、一晩中収まりがつかなくなったほどで御座います』との注意が添えられていたらしい。
今使っている香はいくらか弱めたものではあるが、それでも、部屋に香りが満ちるころには、ヨシテルの体はいくらか汗ばみ、あなたの逸物がその姿に反応を始めたほどである。効果は、間違いなさそうだ。
「あまり、時間がありません。そろそろ……」
剣豪将軍が、切なげに声をかけてくる。公務を心配してのことか、それとも……。
とにかく、あなたは両手を伸ばし、まずはその背中に手を這わせた。
「あ、んっ……!」
ぴくり、とヨシテルの体が震える。男の手が布越しに触れただけでも、その感触を意識せざるを得ないのだろう。
「な、なんでもありません。続けなさい」
編んだ髪を背中にかからぬよう肩の前に垂らし、顔を隠している。その姿も、あなたに見えているなどとは思ってもいないだろう。
あなたの手が背筋をなぞる。天下一ともあだ名される剣士の体とはとても思えぬほどに柔らかかった。鉄板のような筋肉に覆われているのだろうと想像していたその体は、なんと筋肉までもが柔らかい。
脂肪のもつ、柔らかな感触とはまた違う。押し込むと形を変えながらも、その奥にある弾力がはっきりとわかる。
背筋を撫でる手を上へ。肩甲骨を背中から軽くつかんで、その根元を押し込む。付け焼き刃であるが、ツボを刺激すると、痛みと入り交じる、体がほぐれる感触に、ヨシテルの体が小さく震えた。
「ん、っく……ぅ、確かに、これは……っ、キきます、ね……♪」
あなたの手がさらに滑る。肩口から首筋。繰り返し掌でこすり、血行をほぐしていく。この細い肩にどれほどの重圧がかかるのか、あなたには想像もできない……だが、そのすべてを彼女が背負う必要は内容に思えた。
「っふ、ぅ……♪」
仰向けに体を崩したヨシテルが、小さく息をつく。すっかり緊張はほぐれている。香炉が、素人の手管をごまかしてくれているようだ。
そろそろ、手を進めよう。あなたは将軍の体をまたぎ、その背中に覆い被さるような体勢をとった。さいわい、あなたに対する警戒は解け、目を閉じて受け入れている。今こそ好機である。
あなたは両手を差し伸べ、うつ伏せても脇の下からその形をうかがわせる胸へと、広げた手を添えた。
「そ、そこは……ひ、必要、なのですか?」
あくまで、体をほぐすため。あなたは頑と主張する。そして、円を描くように、二つの膨らみをもみこんでいく。
「ん、ぅ、ぁ、くう……!」
薄い肌着ごしにも、ほかの部位とは比べものにならないほどの柔らかさが伝わってくる。さすが将軍の召し物、肌触りよく、そのうえなめらかだ。敷布とヨシテルの体の間のわずかな空間を、両手がたっぷりとなでさすっていく。
「た、たしかに……そ、こは、肩や、背には負担をかけますが……ンっ!」
その動きに導かれるように、ヨシテルの体が弾む。ぴく、ぴく、と背筋を震わせるのは、その手から逃れるような動きであると同時に、うつ伏せているせいですぐに押しつけることにもなる。そうすれば、あなたの手で作った器に、まるであつらえたようにすっぽりと、たわわな膨らみが収まり、みっちりと形を変える。
柔らかさだけではない。中身の詰まった果実を抱えるような重みと、わずかな隙間でさえ弾むような弾力。
脇の下から指を通し、根元から先端へと指の間で肉感を送り出すようにつかみあげていく。
「っふ、ぅ……っく、ん、あ、ぅう……ん、っ!」
必死に、声を抑えている。だが、あまりうまくいっているとは思えない。あなたの手が布越しに乳房をつかみ、もみ上げるたび、彼女の体温が上がっていくのがわかった。
美しい髪の合間から、男をたぎらせる女の香りがただよい、あふれる汗は肌着をべっとりと張り付かせている。すっかり香の効き目が現れているようだ。
「こ、これは、本当に、按摩、なのですか……?」
荒い呼吸の合間の問いかけ。あなたの顔色をうかがうような目はうっとりと濡れ、頬は赤らんでいる。天下一の剣豪将軍のこんな顔を、かつて見た者がいるのだろうか?
あなたは答える代わりに彼女の襟に指をかけた。
「あっ……!?」
反応が遅いのは、薬効によるものか。それとも、彼女自身もうっすらとそれを望んでいたのか。あなたの手が着物をはだけ、白くなめらかな背すじをあらわにさせるまで、ヨシテルはぼう、とした視線を向けたままだった。
その目に驚きの色が宿り、裏返った声を上げ……体を起こせば、それこそ思うつぼ。あなたはすばやく手を滑らせ、肘をついた彼女の脇の下から再び乳房をつかむ。それも、今度は布越しにではない。直接だ。
「っふ、ぅ、ん、んんぅ……♡」
身を起こして叫ぼうとしたヨシテルの体から力が抜けるのがはっきりとわかった。あなたの手が触れるだけで、しっとりとした乳房からジンと体内に熱い感覚が広がっていくのだ。
「や、め、そ、それは……っ♡」
甘くうわずった声を聞きながら、あなたは大きく指を広げて二つの膨らみをつかんだ。剥き卵のような手触りの肌は汗ばんでぴったりと指に吸い付く。水を詰めたかのように、たぷ、たぷ、とおもしろくも手の中で弾む。
「こ、こんな姿を、ミツヒデに見られたら……っ……!」
そう言ってから、彼女自身も気づいたのだろう。不用意に声を上げれば、ミツヒデを呼びつけるも同然だ。ただ、この状況を用意したのは、ミツヒデその人なのだが。
声をこらえなければ。少なくとも、あなたを払いのけるまでは……そう、考えたのだろう。しかし、それはかなわない。
「ん、ぅ、く、っふ、ん、んんッ……!」
あなたの手指が乳房を捏ね、卑猥にゆがませる。両手を交互に上下させれば、たぷん、たぷん、っとその柔らかさと重みで波打ち、わしづかみにすれば指が沈む。もちろん、それを見せつけているのだ。
「や、め、こんな……っ、ぅ……!」
羞恥に涙がにじむ。だが、それがまた強烈な快感の源になることも、あなたは知っている。
幾度も根元から先端へ向けてこね上げた指が、その先端……梅のつぼみのように淡く色づいた尖りへと触れる。
「っ、ん、んんッ!」
薬と手指によって高ぶったそこは、触れる前からすでに硬く立ち上がり、刺激を求めるようにこわばっていた。
「っふ、ぅ、っ、ぅぅンっ……! ん、くぅ♡」
必死にこらえようとするものの、肘をついただけの半端な格好だ。下を向いたぶん、あなたの手にふたつの重みが押しつけられる。
指先でつぼみをこすりつけながら、全体をもみくちゃに揺さぶる。心身ともに鍛え抜かれた剣豪には、生半可なものより、強い快感で攻めるべきだ。
「っく、ぅ、ん、ん、ぁ、ぁぁっ!」
細く、高い声。世に知られる雄々しい姿とは似ても似つかぬ嬌声が、あなたの背をわななかせる。押しつぶさんとばかりに、あなたの指に力がこもった。
「ッくゥ♡」
びくん! 大きく背筋が反り返り、制御のきかない声が喉の奥から漏れる。
編んだ髪を振り乱しながら、あなたの手の中でヨシテルがもだえる。
あなたはその体を逃すまいと、両手でつかんだまま、先端をこね上げた。びく、びくっ! と、女の体が繰り返し反り上がり……
「あぁ、っく、っふ、ん、ぁ、ぅううううっ♡」
長く尾を引く声を上げて。数度、体を跳ね上げたのち、ヨシテルの体から力が抜けていく。
「っは、ぁ、く、ぅう……」
羞恥か、屈辱か、それとも未知の感覚への恐れか。敷布の上に体を崩しながら、将軍が大きく息をあえがせる。男の手による快楽を受けたのは、おそらく初めてだろう。いや、あるいは性の悦びすら、初めて味わったのかもしれない。
あなたは未だ力が入らぬ様子の女の体を抱き起こし、今度は仰向けに寝かせる。
「も、もう……」
命令することになれきっているはずの彼女が、懇願するような声で言う。だが、これで収まりがつくはずがない。
あなたは自分の帯に手をかけ、窮屈に閉じ込められたものを解放した。
「ひぁっ……?」
ぶるん、と勢いよく立ち上がるものが現れる。隆々と立ち上がるそれに、力が抜けて体を起こせないヨシテルの目が釘付けになっていた。
「そ、れは、まさか……?」
実物を目にするのは、初めてに違いない。驚愕に開かれた彼女の息がかかるほどの距離で、肉槍は跳ね上がる。
甘い香の中に、強い牡のにおいがたちのぼる。ヨシテルの喉が、こくり、と音を立てて息をのむのがわかった。
「つ、次は、それを……使う……の、ですね」
甘い息をつくヨシテルが、小さく言った。声さえ立てなければ、ここで行われることは誰にも知られはしない……だからこそ、二人だけの間で交わされる密約。
剣豪将軍が女の快楽を受け入れた瞬間だった。
あなたは用意しておいた甕《かめ》の口を開けた。傾ければ、とろりとした液体がヨシテルのたわわな乳房へと垂れ落ちる。
「ん、っ……!」
冷たい感触に声を漏らす将軍の乳房へ、両手で塗り広げる。にち、にちっ、と音を立て、ついには谷間に糸を引くほどになった。
「こ、これは……?」
とろみのあるこの液体は、ミツヒデが三河にいる薬学に詳しい大名から手に入れたものらしい。東西を駆け回る隠密の顔の広さには驚かされるばかりだ。
とにかく、粘液を塗り広げた谷間を見下ろし、これから起きることを想像して、ヨシテルの顔がいっそう赤く染まる。
「それで……私の、体をほぐす……の、ですね」
あたなは答える代わりに、横たわってもなお谷間がくっきりと残る豊かな胸の間へ、硬く膨らんだ逸物を押しつけた。
「あぁっ、アツい……っ」
肉棒の熱が伝わるだけでも、女の体が熱を増す。背筋をそらして突き出すように、深くあなたの逸物を挟み込む。
柔らかく弾む谷間に挟み込まれ、びくんっ! と、硬く逸物が震える。たまらずに、あなたは両手で乳房をつかみ、挟み込ませたまま腰を揺らし始めた。
に、ちゅ、くちゅ、じゅく、じゅぷ、じゅぷ、じゅくっ!
「ン、っくぅ、ぁ、あ、っ、ぁ、ッ……♡」
男に組み伏せられ、乳房を男根の快楽のための道具にされて、ヨシテルは熱っぽく声を上げていた。
ほんの数刻前まで、このように扱われるなど考えてもいなかっただろう。
だというのに、今は覚えたばかりの快楽に身を焦がし、あなたの行いを受け入れている。口にこそしないが、今まで誰も伝えようとしなかった悦びに、貪欲に目を輝かせていた。
「す、ごい、脈打って……っ、ますます、大きく……っ♡」
薬液によって滑りを増した谷間を犯され、出入りする肉棒を食い入るように見つめている。その目は、少女のような好奇心に満ちていた。
ちゅ、ぐ、ちゅく、ぷちゅ、ちゅっく、くちゅ、じゅぷぷっ!
「ん、ふ、ぁ、ぁ、あっ♡ わ、私も、こ、こんな、っふ、ぁ、あぅ……♡」
甘く、ヨシテルが体を震わせる。薬のせい、などとはもういえない。淫らにしつけられた乳房をおもちゃのように使われて、明らかに悦びを感じている。
腰を揺らして谷間をこするたび、立ち上がったつぼみが弾む。
あなたはいたずら心を起こして、わざと肉棒を大きく滑らせ、左右のつぼみに押し当て、こすり、粘液を塗りつけていく。
「ん、っくっ、ぅう、っは、そ、こは、ぁあっ!」
先ほど絶頂を知ったその場所への刺激は、ことさら強烈なようだ。潤んだ瞳に熱をこもらせ、たっぷりとした乳房を男根でゆがめられながら、ヨシテルがもだえる。
「あ、っく、ふ、ぅううっ、きゃ、ぅ、んんっ……!」
徐々に、声を抑えることも難しくなってきているようだ。無論、ミツヒデのおかげで人に聞かれる心配はない。あなたはその声をもっと上げさせようと、乳房をもみしだきながら、いっそう強く腰を揺すっていく。
「っふ、ぁ、ああっ! っく、ん、きゃ、ぅ♡ あ、んんっ!」
背筋をそらし、あるいは左右に揺らしながら、高く声が上がる。そのたび、肉棒と柔肉がこすれ合い、にちにちと糸を引く。
摩擦が熱を高め、さらに吸い付くように柔らかさが増していく。
「っは、ぁ、く、ぁあっ♡ ふくらんで……っ、んくぅっ♡」
快楽に身を委ねたヨシテルが、あなたをじっと見つめている。ねだるような目を見下ろしながら、あなたは絶頂へ向けて夢中で腰を振る。
ず、ちゅ、ぐちゅ、に、ちゅ、ちゅぐ、ちゅく、じゅく、じゅく、じゅくっ!
「あ、あっ、あっ、んんっ、ぁ、っふ、ぁ、ああっ……!」
機械のように、ひたすらに腰を揺する。本能のままの動きが、幾度も双球へとぶつかる。
ずっしりとした乳房は、そのたびに波打ち、弾み、それでも吸い付いて包み続ける。みっちりとあなたの肉棒を受け入れ続けていた。
「わ、私、も、体が熱くて……あ、っく、ぁ、あっ!」
同時、あなたも体の奥から熱いものを放っていた。
びゅくっ! びゅるっ! びゅううううっ! びゅるるるるっ!
「ん、っく、っふ、ぅううううっ……♡」
胸へ、顔へ、白いものを浴びせられ。ヨシテルが甘い声を上げる。
男に組み伏せられて熱いほとばしりを感じながら、密やかな行為の甘美な快感に身を震わせていた。
「こ、れが、殿方の……」
顔に張り付く白濁を、指でなぞりあげて。ぽおっと夢見るような表情。その濡れた瞳が、再びあなたの顔に向けられた。
「次は……どう、するのですか……?」
また遅くなりまして申し訳ありません。
ついに恐れ多くもヨシテル様の出番です。
ヨシテル様は攻められると弱いに違いないという確信に基づき、今までのシチュの中でも特に攻め攻めでお送りいたしました。
それから、諸々の都合によりペンネームを変更しました。