※この作品はR-18です。

クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完)   作:森島響

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第11話『モモカが来た!』

ヴィヴィアン「アンジュー! 今日もキレッキレだったにゃー」

 

 一週間の謹慎処分が明けた私は、久々のドラゴン討伐任務を終えたばかりの第一中隊メンバーと一緒にアルゼナルの廊下を歩いていた。

 

 今回も私は、相変わらずドラゴン殲滅成績はそこそこ程度で、またもやアンジュに手柄を取られてしまっていた。そのアンジュにすごさを感じて褒めているヴィヴィアン。

 

『総員に告ぐ! 侵入者あり! 確保に協力せよ』

 

エルシャ「侵入者!?」

 

 そのときだった。突然アルゼナル基地内に警報が鳴り響いた。何者かがアルゼナル内に侵入したらしい。

 言葉を発したエルシャ含め、第一中隊メンバーみんなが反応していた。もちろん私も。

 

アンジュ「マナの光!?」

 

 私はみんなと一緒にアルゼナル基地入口にやって来ていた。そこには、多くの警備兵に囲まれたメイド服を身に纏った女の子がいた。その女の子が使っていたマナの光に反応したアンジュ。

 

アンジュ「モモカ!?」

 

モモカ「アンジュ…リーゼ様!?」

 

ミナ「えっ? あの子が前にアンジュが寝言で呟いていた…」

 

 ゾーラ隊長が戦死した日、医務室のベッドの上で寝言でアンジュが呟いていたモモカという人物のことを思い出した私。そのモモカさんに反応したアンジュ。

 一方、モモカさんという人もアンジュの声に反応していた。

 

モモカ「アンジュリーゼ様ぁぁぁ!!」

 

 アンジュだと気付いたのか、すぐさま嬉しそうにアンジュに抱き着いてきたモモカさん。事情はよく知らないけど、これが感動の再会ってことなんだなと、私だけは脇で微笑ましそうに見ていた。

 

(司令室。 ノーマ管理委員会にモモカの件を報告しているエマ監察官。 脇にはジル司令もいた)

 

ジル「委員会はなんと?」

 

エマ「あの娘を国に帰せば、ドラゴンやそれと戦うノーマ…最高機密が世界にばれると」

 

ジル「せめて、一緒に居させてあげようじゃありませんか。 今だけは」

 

(モモカを自分の部屋に案内していたアンジュ。 その脇を一緒について来ていたミナ)

 

モモカ「あの…えっと…御髪(おぐし)、短くされたのですね」

 

ミナ「私も初めて見たときはビックリしたよ。 モモカさんはどうかな?」

 

モモカ「そうですね…。 良いと思います! これまでの姫様から脱皮されたような…」

 

 どうやら、故郷(ミスルギ皇国)にいた頃のアンジュはずっと長髪だったようで、ここにやって来たとき、髪が短くて誰だかすぐに判別できていないようだったモモカさん。

 

 私はモモカさんにアンジュのショートヘア―の感想を聞いてみたけど、少し間を置いて好感が持てる返事が返ってきた。ちなみに、既にモモカさんには私のことは自己紹介済みである。

 

モモカ「ここがノーマの厚生施設なのですか。 隣がミナさんのお部屋なんですね」

 

ミナ「そうだよ」

 

 アンジュの部屋に着いた私達。隣が私の部屋だと反応したモモカさんの質問にすぐさま、そうだと返事した私。私はモモカさんと一緒にアンジュの部屋の中に入った。

 

モモカ「なんですか? ここは」

 

 モモカさんがそう答えるが、ここまで何も反応していなかったアンジュ。そんな中、ドラゴン討伐任務の後だったので服を着替え始めて、アンジュが脱ぎ捨てた服をマナで畳んだモモカさん。

 

アンジュ「そうやって使うんだ。 マナ」

 

アンジュ「マナといえば、ミナ。 貴女も確か使えるのよね」

 

モモカ「え? ミナさん、そうなんですか?」

 

ミナ「え? う、うん。 一応。 私はこないだまでこの世界の住人じゃないから、どうやって使うのかは分からないけど」

 

 そうだ。アンジュに言われるまで忘れていたけど。どう使うかは分からないが、一応私もマナを使えるのだ。

 この基地に初めてやって来た日、マギーさんに診察してもらって、そう診断結果が出たのを思い出した。ただ、肝心の使い方を知らなかったので使っていなかったのだけど。

 

アンジュ「ところで…何しに来たの?」

 

モモカ「アンジュリーゼ様のお世話を…」

 

アンジュ「誰? それ。 私はノーマのアンジュ。 私には構わないで」

 

ミナ「アンジュ! 久々に故郷の友人と再会できたのに、そんな冷たい言い方は…!」

 

アンジュ「ミナ。 悪いけど、この辺りで出ていってもらえるかしら?」

 

アンジュ「いつも当たり前のように私にくっついているけど…貴女、ちょっと邪魔よ」

 

ミナ「え!? じゃ、邪魔って…分かったよ。 二人の邪魔しちゃいけないもんね」

 

モモカ「…も、申しわけありません、ミナさん。 このお詫びは後日改めて私の方から」

 

ミナ「モモカさんは悪くないよ。 じゃ、そのお詫び期待しないで楽しみに待ってるね…。じゃこれで」

 

 アンジュに部屋を出ていくように冷たい態度を取られ、私は流石に怒ってしまったが、モモカさんに後日何かお詫びするとフォローが入り、少し冷静さを取り戻して、私は大人しく部屋を出て行った。

 

アンジュ「さて。 話の途中だったわね」

 

モモカ「は、はい。 これからは、私がお世話致します」

 

アンジュ「帰る場所ないもんね。 ミスルギ皇国、もうないんでしょ?」

 

アンジュ「それと…いつから知ってたの? 私がノーマだって。 最初から、よね」

 

(いつから自分がノーマだったのか知っていたのか聞いてきたアンジュの質問に、困った表情を浮かべていたモモカ)

 

アンジュ「どうでもいっか…今となっては」

 

モモカ「私の居場所はアンジュリーゼ様の御傍だけです…」

 

(自分の居場所はアンジュの傍だけだと訴えていた中、ベッドに下着姿のまま横になるアンジュ)

 

モモカ「アンジュリーゼ様に席を譲りなさい」

 

(食堂にて。 ヒルダ、ロザリー、クリスらにアンジュに席を譲るよう文句を言っているモモカ)

 

ロザリー「調子乗ってんじゃねぇぞ」

 

モモカ「な…!? なんて無礼な!」

 

(その反応に可笑しくて笑っているヒルダら)

 

アンジュ「低俗ね、相変わらず」

 

(相変わらず捻くれた態度を取っていたヒルダ達に上から目線で毒舌を吐くアンジュ)

 

モモカ「これ以上の姫様への無礼は…! ……私が…」

 

(お腹を空かしていた影響で、急に目眩を起こして倒れてしまったモモカ)

 

(ハンバーガーが売られていた自販機で、ハンバーガーを購入。 それをアンジュと一緒に食べるモモカ)

 

アンジュ「三日も食べてないなんて…。 …これあげる」

 

(三日も何も食べていなかったモモカ。 そんなモモカのことを心配したのか、これまでドラゴン討伐任務で稼いだ金をモモカに渡すアンジュ)

 

アンジュ「これからはそれで何とかしなさい」

 

モモカ「これがお金というものなんですね…。 貨幣経済なんて不完全なシステムだと思ってましたけど…」

 

(そんな中、ドラゴン討伐で重傷を負った別動隊の患者が運ばれていく様子を目撃して、自分が食べていたハンバーガーのケチャップの赤い色を見て、血を連想して吐き気を催したモモカ)

 

モモカ「ここは…何をする所なのですか…」

 

アンジュ「狩りよ」

 

(先程の患者の様子を見て、ここが何をする所なのかアンジュに聞くモモカ。 それに対し、狩りと言ってどこかに立ち去るアンジュ)

 

モモカ「アンジュリーゼ様…。 傷ついておいでなのですね…」

 

モモカ「お救いしなくては、アンジュリーゼ様を!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

(シャワールームでシャワー浴び中のアンジュ)

 

(シャワー浴びからロッカールームに戻ってきたら、モモカがアンジュのためにクローゼットを用意していた)

 

アンジュ「元に戻しなさい、今すぐ!」

 

(そう言われ、少し残念そうな顔をするモモカ)

 

(アンジュが自室に戻ったら、今度はアンジュの部屋をインテリア一色で染めていたモモカ)

 

アンジュ「元に戻しなさい」

 

(翌日の昼、またもやアンジュのためにディナーを用意したモモカ)

 

アンジュ「いい加減にして!」

 

(モモカのこれまでの行為に腹を立て、テーブルクロスを引っ張るアンジュ)

 

モモカ「アンジュリーゼ様…」

 

アンジュ「私はアンジュリーゼじゃない! これ以上私に関わるな」

 

―――――数時間後―――――

 

(アンジュ、射撃訓練中)

 

ロザリー「えぇ!? あの侍女が殺されるって?」

 

クリス「こんなとこにやって来て、ドラゴンの秘密を知っちゃった人間を…素直に帰すわけない」

 

ヒルダ「可愛そうにねぇ。 アイツと関わった奴は皆死ぬ」

 

(モモカが管理委員会に殺されると言うことを、アンジュが聞こえる場所から喋っているヒルダ、ロザリー、クリス。 それを聞いて、若干表情が変わるアンジュ)

 

(アンジュが射撃訓練していた裏で、アンジュの部屋を掃除していたモモカ)

 

(その日の夕方。 食堂で夕飯を食べていたアンジュ。 モモカ、ついでにミナも一緒にいた)

 

ミナ「あれ? モモカさん、今日はノーマ飯食べるんだね」

 

モモカ「はい。 たぶんここでの最後の食事になると思いますので…ちゃんと頂こうと思いまして」

 

ミナ(え? 最後って…)

 

モモカ「こ…これは…美味しい…ですね」

 

 モモカさんがノーマ管理委員会の人達に殺されるということは、私の耳にも入っていた。それを気にしていた矢先、モモカさんが“最後の食事”と不吉な単語を口にしたので、私は心の中で心配してしまった。

 

アンジュ「お風呂。 ミナも一緒に入る?」

 

ミナ「え? 私もいいの? こないだ、私を邪魔者扱いしてたけど」

 

アンジュ「完全にそうだとは思ってないわ。 いつまでも気にしてるんじゃないわよ」

 

ミナ「な…!?」

 

モモカ「あ…あの…お二人とも…お背中をお流ししても…」

 

 モモカさんがここにやって来たあの日から、険悪な雰囲気になっていた私とアンジュ。また口喧嘩しそうになっていた私達を止めるように、モモカさんが背中を流そうか聞いてきた。

 

アンジュ「好きにすれば?」

 

ミナ「モモカさんがそう言うなら…お言葉に甘えちゃおうかな」

 

(アンジュとミナのその言葉を聞いた途端、嬉しそうに笑顔を見せるモモカ)

 

―――――風呂場にて―――――

 

(アンジュの背中を洗っているモモカ。 ミナは一足先に背中を洗ってもらって、湯船に浸かっていた)

 

(昔、ミスルギ皇国にてモモカが腕を怪我していたので、アンジュが包帯でモモカの腕を応急処置してくれたことを語り始めたモモカ)

 

アンジュ「…そういえば、そんなこともあったわね」

 

モモカ「決して忘れません、今の私はアンジュリーゼ様で出来てますから」

 

ミナ(モモカさん…昔からそんなにアンジュのことが好きだったんだな…)

 

(湯船に浸かりながらアンジュとモモカの昔話を聞いて、そう心の中で思っていたミナ)

 

モモカ「一生お慕いしております、アンジュリーゼ様」

 

 アンジュの背中に愛おしそうに頬を寄せながら、一生アンジュの傍にいることを告白したモモカさん。そのときだった。

 

アンジュ「出ていけ、今すぐ!」

 

ミナ「え?」

 

アンジュ「貴女にじゃない!」

 

モモカ「あの…もしかして…私に…? そうでしたら、明日には」

 

アンジュ「違う、今すぐ!! 逃げなさい、モモカ」

 

モモカ「…やっと…名前で呼んでくれました」

 

(二人がそんなやり取りをしていた裏で、こっそりと邪魔にならないように風呂場を出ていったミナ)

 

ミナ(あの二人の仲じゃ、とても私は干渉できそうにないな…)

 

モモカ「出来るだけ近くにいさせてください。 モモカ荻野目は、アンジュリーゼ様の筆頭侍女ですから」

 

(ミナが風呂場を出て行った後、アンジュにそう誓うモモカ)

 

(その後、ドラゴンが出現。 アルゼナル格納庫入口にて出撃準備していた第一中隊メンバー)

 

ロザリー「稼ぎな、あの子の墓石の分まで」

 

(そうロザリーに言われ、何か考えていたアンジュ。 ミナも離れた場所でそんなアンジュのことを見ていた)

 

ジル「アンジュ。 夜明けに輸送機が到着する」

 

ジル「元侍女の世話は終了とする。 ご苦労だった」

 

ミナ(輸送機…? …あ…)

 

(輸送機と不吉な単語を聞いて、何かを察して、悲しそうな顔を浮かべるミナ)

 

―――――数分後、夜明け―――――

 

ヴィヴィアン「今日のアンジュ、キレッキレだったにゃー」

 

サリア「とんでもない命令違反よ! 一人でドラゴンを全部狩るなんて」

 

ミナ「でも、アンジュには何か考えがあってああしたんじゃないかな」

 

サリア「何よ、ミナ? アンジュの味方するつもり!?」

 

ミナ「い、いや、決してそんなつもりはないけど」

 

 ドラゴン討伐終了後。私達より一足先に全てのドラゴンをたった一人で殲滅した行動に出たアンジュ。

 それを褒めるヴィヴィアンと対照的に、またもや命令無視したアンジュに苛立ちを募らせていたサリア。私はさりげなくアンジュのフォローをしたが、サリアに怒られてしまった。

 

モモカ「お世話になりました」

 

(ジル司令とエマ監察官に別れの挨拶をしていたモモカ。 傍には銃剣を装備したノーマ管理委員会の隊員達が待機していて、殺されるのを察して顔を背けるエマ)

 

アンジュ「待ちなさい!」

 

(ドラゴン討伐任務直後でモモカの元に駆けつけ、管理委員会に殺される前にモモカを呼び止めたアンジュ。 その言葉に振り返るモモカ)

 

アンジュ「その子、私が買います」

 

ミナ(!?)

 

エマ「はぁ? ノーマが人間を買う?」

 

ミナ「…! 私からも、お願いします!」

 

 アンジュのその発言に驚く私やエマ監察官。そこに先程のドラゴン討伐任務で稼いだ大量の札束を差し出すアンジュ。

 

 それを見た途端、私もそんなアンジュを庇うようにお願いを申し出た。これも、モモカさんを助けたいためだった。

 

ジル「…いいだろう。 移送は中止だ」

 

エマ「な…!? 司令、いいのですか?」

 

ジル「金さえ積めばなんでも手に入る。 それがここのルールですから」

 

モモカ・ミナ「「あ…ありがとうございました!」」

 

(ジルのその決断にお辞儀したミナとモモカ)

 

モモカ「アンジュリーゼ様の御傍にいていいのですね!?」

 

アンジュ「アンジュ。 私はアンジュよ」

 

モモカ「はい! アンジュリーゼ様!!!」

 

ミナ(良かったね…モモカさん。 それに比べて、私は今になっても相変わらず…)

 

??『何かお悩みのようだね』

 

ミナ『!? だ、誰!?』

 

 アンジュとモモカさんが立ち去った後、心の中でそう考えていた矢先、私の脳内に謎の声が響いてきた…。

 

To be continue…。

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