※この作品はR-18です。

クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完)   作:森島響

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第18話『竜の歌』

(アンジュがアルゼナルに戻ったあとのミスルギ皇国の皇宮)

 

シルヴィア「はぁ…はぁ…」

 

(悪夢から目覚め、ジュリオの部屋に向かっていたシルヴィア)

 

シルヴィア(あの人…もう来ませんよね…あれで良かったんですよね、お兄様)

 

(どうやら、ジュリオの命令でアンジュに酷い仕打ちをしていた模様)

 

(ジュリオの寝室にて)

 

ジュリオ「ママ…悪いノーマを退治できなかった…」

 

(シルヴィアがジュリオの寝室に着いて中を覗くと、全裸で夜の営み中だったジュリオと近衛長官のリィザがいた。そのリィザのことをママと呼んでいたジュリオ)

 

リィザ「よくやったわよ、ジュリオ」

 

(ジュリオのことを褒めながら、何かの液体をジュリオの口に流し込むリィザ。その途端、リィザの背中から翼と尻尾が生えてきたのを見てしまい、驚くシルヴィア)

 

シルヴィア「近衛長官さん…。 貴女…一体…」

 

リィザ「!? 誰だ!?」

 

(その声に気付いて、シルヴィアの方を向くリィザ。逃げようとするシルヴィアの首を長く伸びた尻尾で捕らえる)

 

シルヴィア「…助けて…アンジュリーゼお姉様…」

 

(場面変わり、アルゼナル)

 

(食堂で、すき焼き中だったサリア、エルシャ、ヴィヴィアン、ロザリーとクリス、そしてミナの6人)

 

サリア・ミナ「「あ…!」」

 

(肉を焼いて、いざ食べようとしたら他の4人に先に全部取られて、あっさり肉が無くなり同時に反応して、落ち込むサリアとミナ)

 

ミナ(…そういえば…アンジュとヒルダが収監されて、今日でもう一週間経つのか…)

 

ミナ(あれから、私とサリアの関係はアンジュ達には知られてないみたいだけど…。 あのあと、ちゃんとジル司令が根回ししてくれたんだろうな…)

 

 私は、数日前、強制的にブリーフィングルームでさせられたサリアとの誓いのキスのことを思い返しながら、そんなことを思っていた。

 

(その頃、アルゼナル反省房。まだ収監中だったアンジュとヒルダ)

 

アンジュ「今日で一週間…。 贅沢言わないから、せめて水浴びしたいわ」

 

(風呂にも入れず、髪もボサボサ状態で差し入れのパンと水を飲み食いしている)

 

(数時間後…)

 

サリア「…」

 

「わぁ~サリアお姉様だ!! お姉様に、敬礼!」

 

(サリアが墓参り用の花を拾い集めていたら、外で課外授業中だった幼年部の子供達がサリアに敬礼してきた)

 

サリア『私、絶対お姉様みたいになる!』

 

(回想で、昔の自分もジルに憧れて同じことを言っていたことを思い返していたサリア)

 

(誰かの墓の前で、一足先に墓参り中だったメイ。そこにやって来たサリアに反応する)

 

メイ「どうしたの?」

 

サリア「…幼年部の皆にお姉様って呼ばれた…。 もうそんな歳?」

 

メイ「まだ17じゃん」

 

サリア「同い年になっちゃった…アレクトラと…」

 

(回想。ジルが昔、アレクトラと呼ばれていた頃…)

 

サリア『あ…お姉様の機体…』

 

(アルゼナル内から、墜落したヴィルキスから救出されるジルことアレクトラを見ていた幼かった頃のサリアとメイ)

 

ジャスミン『アレクトラ! 何があった!?』

 

(この当時、前任の司令官だったジャスミン。今とは容姿が別人と見間違えるほど若かった)

 

アレクトラ(ジル)『…ごめんね、ジャスミン。 私じゃダメだった…。 皆死んじゃった…』

 

アレクトラ(ジル)『…私じゃ、ヴィルキスを使えなかった…』

 

(そう言いながら、ジャスミンに支えられながら後悔で涙を流すアレクトラ)

 

サリア『ダメなんかじゃない!』

 

ジャスミン『サリア…』

 

(サリアに反応するジャスミンとアレクトラ)

 

サリア『どんなドラゴンだった? 許さない、お姉様をこんな目に遭わせるなんて…。 私がお姉様の敵を討つんだから!!』

 

(涙を流しながら、そうアレクトラに誓うサリア)

 

(一旦回想終了。サリアの後ろで、そんなこともあったな、と思っていそうな顔でサリアを見つめているメイ)

 

(再び回想。アレクトラがジルに改名して新しく司令官に就任していた数年後。司令室で包帯を巻いていた重傷の状態でヴィルキスに乗せてもらえないことをジルに問い詰めていたサリア)

 

サリア『どうしてダメなの!?』

 

ジル『無駄だ、出来ない奴は出来ない』

 

サリア『私に何が足りないの!?』

 

(回想終了)

 

サリア(じゃあ…アンジュには何があるって言うの…?)

 

(アルゼナル格納庫。ヴィルキスの機体を見ながら、自分にはない物をアンジュは持っているのかと嫉妬していたサリア)

 

サリア(あの子にヴィルキスは渡さない)

 

(その頃…。アルゼナル司令室)

 

パメラ「…! シンギュラー発生! 大量のドラゴン出現!」

 

(大量のドラゴンが出現し、それをジルとエマ監察官に報告するオペレーターの一人、パメラ)

 

ジル「第一種戦闘体制。大量のドラゴンが接近中だ」

 

(食堂でプリンを食べていたヴィヴィアンを引っ張りながら、出撃準備に向かっていたエルシャ)

 

(同じくサリアも出撃準備に入っていた)

 

ジル「総力を持ってドラゴンを撃破せよ」

 

エマ「わっ!」

 

(アルゼナル全域にそう報告した後、エマにライフルを渡すパメラ)

 

(その頃、アルゼナル反省房。この騒ぎに気付いたアンジュとヒルダ)

 

アンジュ「何が起きてるの!?」

 

(場面は再び司令室に。司令室に突っ込んできたドラゴン)

 

エマ「死んじゃえ!」

 

(ドン!)

 

(エマの発砲で、あっさり息絶えるドラゴン。しかし、司令室は既に半壊状態だった)

 

(その頃。アルゼナル格納庫。それぞれ、自分達の機体に搭乗して、様子を伺っていたロザリー、エルシャ、クリス、ヴィヴィアン)

 

ヴィヴィアン「あれ…!? ドラゴン逃げてくよ!?」

 

(急に逃げていくドラゴン達を指差したヴィヴィアン)

 

アンジュ「…歌?」

 

(アンジュが歌声に反応した途端、新たにシンギュラーが発生。そこから見たこともない機体が姿を現す)

 

「何コイツ…。 どこの機体!?」

 

(大量のドラゴンを殲滅中だった別動隊の一般隊員の一人が謎の機体に反応する)

 

(そのとき、謎の機体が赤く光り出し、アルゼナルを半壊。同じく大量の一般兵士達が戦死する)

 

サリア「あ…あ…」

 

(その光景に口を震わせているサリア)

 

(その頃…)

 

モモカ「ミナさん、こっちです!」

 

ミナ「分かってる!」

 

 謎の機体が襲撃してきていた裏で、私はモモカさんと一緒にアンジュ達がいる反省房に向かっていた…。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

(アンジュとヒルダが収監されていた反省房の近くまで来ていたミナとモモカ)

 

モモカ「ミナさん、もう少しです!」

 

ミナ「分かった!」

 

(その頃、反省房)

 

(牢の鉄格子の窓から、アルゼナルの外の様子を確認しているヒルダ)

 

ヒルダ「…!? こっちにドラゴンが!」

 

アンジュ「!?」

 

(ドラゴンが勢いよく反省房に突っ込んできて、壁が大きく崩れる。その突っ込んできたドラゴンをうまく回避するアンジュとヒルダ)

 

(ドラゴンは突っ込んだ衝撃で息絶えているのを確認するアンジュとヒルダ)

 

ミナ「アンジュ、ヒルダ無事!?」

 

モモカ「アンジュリーゼ様!」

 

(その直後、反省房に辿り着き、アンジュとヒルダの無事を確認するミナとモモカ)

 

アンジュ「ミナ!? それにモモカまで」

 

ヒルダ「アンタら、二人してなんでここに」

 

ミナ「モモカさんと一緒に二人を助けに来たに決まってるでしょ!」

 

モモカ「とにかく、今はここから早く出ましょう!」

 

(モモカとミナ、二人掛かりで牢の錠を開ける)

 

モモカ「うっ!」

 

ミナ「二人とも…臭い…」

 

(一週間風呂に入れていなかったアンジュとヒルダから強烈な激臭が漂ってきて、鼻をつまむミナとモモカ)

 

アンジュ・ヒルダ「「あ…」」

 

モモカ「まずはお風呂に!」

 

アンジュ「そうね」

 

ミナ「えっ」

 

ヒルダ「今はそんな場合じゃねぇだろ!」

 

(モモカが風呂を勧めてきて、それに賛同するアンジュ。しかし、今はそれどころではないと突っ込むミナとヒルダ)

 

(場面変わり。崩壊した司令室で第一中隊に命令しているジル)

 

ジル「パラメイルは全てドラゴンの迎撃にあてろ」

 

(続けて隊長のサリアにアンジュ復帰を命令するジル)

 

ジル「サリア。 アンジュを復帰させろ。 ヴィルキスでなければあの機体は抑えられん」

 

サリア「私がヴィルキスで出る」

 

ジル「黙れ」

 

サリア「…私じゃ、ダメなの?」

 

サリア「…ずっと貴女の力になりたいと思ってた…。 アンジュなんて、ちょっと操縦が上手いだけじゃない…。 命令違反して…なのにアンジュなの!?」

 

ジル「…そうだ」

 

(自分がヴィルキスで出撃すると申し出るも、やはりジルにあっさり拒否される。自分がジルの力になりたいと思っていたのに、肝心のジルは自分よりアンジュにばかり頼っていて、悲しい表情を浮かべるサリア)

 

(その頃、アルゼナル上空。大量のドラゴンの迎撃にあたっていたヴィヴィアンのパラメイル、レイザー)

 

(ヴィヴィアン、自分の機体の上を飛んでいくアンジュのヴィルキスを確認し、嬉しそうな表情を浮かべる)

 

ジル「アンジュ、注意してあたれ」

 

ジル「…!?」

 

(ヴィルキスを確認し、乗っているのがアンジュと思い込み、指令を出すジル。そのとき、搭乗している人物がアンジュではなく、サリアだと気付く)

 

ジル「サリア!? 何してる!! 降りろ、命令違反だぞ!」

 

サリア「私が…」

 

(場面変わり。アルゼナル格納庫に遅れてやって来ていたアンジュ、ヒルダ。それと後ろでアンジュ達の激臭に耐えるため、鼻をつまんでいるミナとモモカもいた)

 

アンジュ「ヴィルキスがない!!」

 

(ヴィルキスがないことに真っ先に気付いたアンジュ)

 

メイ「アンジュ、ヒルダ! それにミナ達も!」

 

(アンジュ達に気付いて、反応したメイ)

 

ミナ「メイ、何があったの!? アンジュのヴィルキスは!?」

 

メイ「サリアが!」

 

(ミナにアンジュのヴィルキスのことを聞かれ、サリアが勝手にヴィルキスで出撃してしまったことを説明するメイ)

 

(アルゼナル上空に場面変更。ヴィヴィアン同様、ドラゴン迎撃中だったロザリーのパラメイル、グレイブ ロザリー・カスタム。それを更に上空から見物している謎の機体)

 

サリア「どうしたの!? もっと早く飛べるでしょ!?」

 

(ヴィルキスの調子が悪く、ヴィルキスにもっと早く飛べないのかと訴えるサリア)

 

サリア「アンジュの時は…もっと…」

 

(そのとき。サリアの左隣をヒルダのパラメイル、グレイブ ヒルダ・カスタムが合流。アンジュとヒルダが乗っているのを確認するサリア)

 

アンジュ「サリア、私の機体返して!!」

 

ミナ「私からもお願い! サリア、一体どうしちゃったの!?」

 

(サリアの右隣からヴィルキスレプリカに乗りながら、同じくサリアにアンジュにヴィルキスを返すようにお願いするミナ)

 

サリア「…私のヴィルキスよ! それと…ミナも邪魔をしないで! 貴女には関係ない!」

 

ミナ「…サリア…!」

 

(サリアのその一言に、ショックを受けるミナ)

 

(そんなやり取りをしていたら、謎の機体の他に、新たに2体の謎の機体が現れたのを確認するサリア)

 

サリア(アンジュなんて…ちょっと操縦が上手くて、器用なだけ…。 私は誰より頑張ってきたのよ)

 

(バコンッ!)

 

サリア「キャッ…!」

 

(心の中でそう葛藤していたら、ヒルダのパラメイルに突然蹴られ、バランスを崩すサリアの乗るヴィルキス)

 

アンジュ「ヒルダ、サリアを追って!! 飛び移る」

 

ヒルダ「ああ!?」

 

ヒルダ「…ったく、仕方ねーな」

 

(アンジュのその命令に笑顔を見せて、あっさり了承するヒルダ)

 

ミナ(…あの二人…いつの間にあんなに仲良く…)

 

(その光景を見て、心の中でそう思っていたミナ)

 

(一方、蹴られてバランスを崩しながら、海に墜落しそうになっていたヴィルキス)

 

サリア「どうして、動いてくれないの…。 アレクトラの役に立てなくなっちゃう…」

 

(言うことを聞かないヴィルキスに涙を流すサリア)

 

アンジュ「もういいわ! 向きを変えて!」

 

(ヴィルキスの真上を取り、飛び移るためにヒルダに向きを変えるよう申し出るアンジュ。ヒルダは言われた通り向きを変えて、そのままヴィルキスに飛び移ることに成功するアンジュ)

 

ミナ「やった!」

 

ミナ「…後は、アンジュに任せて、私はドラゴン殲滅に向かおう…」

 

(それを確認してガッツポーズを取るミナ。それを見届けた後、ドラゴン殲滅に移動した)

 

サリア「もう無理よ…。 落ちるしかないわ」

 

アンジュ「無理じゃないわ、この機体なら」

 

(その言葉どおり、墜落ギリギリで波しぶきを上げながら海の上でヴィルキスの態勢を整えたアンジュ)

 

アンジュ「すっきりしたわ」

 

(風呂に入れていなかったので、水しぶきを浴びて体がすっきりして満足そうなアンジュ)

 

サリア「…ひゃんっ///」

 

(急にアンジュに股間を掴まれ、顔を赤らめながら喘ぎ声を漏らすサリア)

 

アンジュ「ヒルダ! サリアをそっちに投げ捨てるから、上手く拾って!」

 

サリア「!?」

 

ヒルダ「は!?」

 

(アンジュから急にサリアを投げ捨てるとヒルダの機体に通信が入り、それに戸惑うサリアとヒルダ)

 

アンジュ「行くわよ!」

 

サリア「キャー!」

 

ヒルダ「えぇぇぇぇ!?」

 

(本当にサリアを投げ捨てたアンジュ。それに驚きながらも、なんとかサリアを回収したヒルダ。投げ捨てられた恐怖でサリアは意識を失う)

 

(それを確認したアンジュは一瞬笑みを浮かべたあと、例の謎の機体と激突した)

 

??「~~~♪♪」

 

アンジュ「…この歌は…」

 

(聞き覚えがあったのか、謎の機体の搭乗者が歌い始めた歌に反応するアンジュ)

 

アンジュ「~~~♪♪」

 

(対抗するように自身も歌い始めるアンジュ。そのとき、謎の機体とヴィルキスが同時に光り始める)

 

ジル「あれは…」

 

(司令室からその光景を見ていたジル)

 

(歌っていた中、突然謎の空間に入り込んでいた両者の機体。そのとき、謎の機体に搭乗していた人物が姿を現した)

 

??「なにゆえ偽りの民が真なる星歌を?」

 

アンジュ「貴女こそ何者? その歌は何?」

 

(謎の人物とアンジュが語り始めた瞬間、謎のイメージが二人の脳内に流れ込む)

 

??「時が満ちる…か…」

 

アンジュ「待って!」

 

??「真実はアウラとともに」

 

(謎の言葉を言い残して、襲撃してきたシンギュラーから撤退していった謎の機体)

 

アンジュ「…真実…?」

 

(その頃、司令室)

 

ジル「…なるほど…。 やはり、最後の鍵は…歌か…」

 

(またもや意味深な言葉を呟いて、煙草に火を付けるジル)

 

(一方、意識が戻っていることに気付いていて、サリアに起きるよう言うヒルダ)

 

ヒルダ「おい。 そろそろ起きろよ。 目は覚めてんだろ? サリア」

 

サリア「…ヒルダ…」

 

ヒルダ「なんだよ?」

 

サリア「…臭い…」

 

ヒルダ「あ」

 

(その頃。ドラゴン達が撤退していったのを確認して、アルゼナルに帰投していたミナ達他の第一中隊メンバー)

 

ミナ(…またあの歌が聞こえてきたけど…。 本当にあの歌は何なんだろう…?)

 

 これまでミスルギ皇国の絞首台、アルゼナルの反省房でアンジュが歌っていた歌…。それを含めた今回、あの謎の機体も同じ歌を歌っていたのをドラゴン殲滅中に聞いていた私は、いい加減あの歌が何なのか気にかかっていた…。

 

(全機部隊がアルゼナル帰投後、アルゼナル海岸前にいたジルとマギー)

 

マギー「ジル、まずいことになった…」

 

ジル「これ以上にか?」

 

マギー「ああ…」

 

マギー「…プラントがやられた」

 

ジル「!」

 

(一方。サリアの部屋に先に戻ってきていた、サリアと同室だったヴィヴィアン。ハンモックの上で余韻に浸っていた)

 

ヴィヴィアン「アンジュ…綺麗な歌だったにゃー」

 

To be continue…。

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