クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完) 作:森島響
基地の入口で巨大ロボットの整備をしていたメイさんに基地の案内をしてもらった私。大体基地の内部を把握した私は、ここの基地の軍医らしいマギーさんにジル司令官がいた司令室に再度案内してもらった。そこで私を待ち受けていたのは…。
マギー「じゃ、私はこれで。 あとは任せたよ、ジル」
ジル「ああ、案内すまなかったな。 早速だが、エマ。 例の皇女様を」
エマ「はい。 こっちよ、入りなさい」
??「…」
私の隣に名前も知らない女の子が入ってきた。歳は私と同じぐらいだと思うけど、なぜか彼女はボロボロだった。
エマ「あ。 貴女が例の子かしら? 私はこの基地の監察官、エマ・ブロンソンです。 以後よろしく」
ミナ「は、はい。 こちらこそ」
まだここにやって来て、私は言葉遣いが未だに動揺していた。それも無理はないけど。
ジル「さて。 おい、そこのだんまり決め込んでるお前。 いい加減口を開いたらどうだ」
??「わ、私はアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギで…ミスルギ皇国第一皇女…。 なのに、ここに連れて来られていきなりあんな仕置きは…」
エマ「黙りなさい! ノーマの分際で! それと、貴女はもう“アンジュ”だと何度言ったら分かるの!?」
ミナ「あ、あの…お取り込み中すみません…。 彼女、一体何をされたんでしょうか…?」
ジル「ん? ああ、すまんな。 ちょっと、別室で“身体検査”をな」
ミナ「身体検査…?」
私はその意味深な用語を聞いて、彼女…アンジュさんの目元から流れている涙を見て、一体何をされたのか大体理解できた。まさか私も…?と怖くなってきて、再び聞いてみた。
ミナ「あ、あの…その検査って…私も受けなくてはいけないんでしょうか…?」
エマ「ああ。 貴女はノーマじゃないから関係ないわ。 安心しなさい」
アンジュ「…」
エマさんの、私がここに来てから何度も聞いている“ノーマ”という存在じゃないから検査は受けなくてもいいと言った途端、アンジュさんが私の方をとてつもない形相で睨み付けてきた。怖くて、ついそっぽを向いてしまった…。
ジル「また仕置きされたいか?」
アンジュ「ひっ…」
ジル司令官のその厳しい口調を聞いた途端、思い返したようにアンジュさんは恐怖で黙り込んでしまった。とにかく、これ以上、この件で深い詮索はしない方がいいことは分かった。
ジル「取り込んでしまってすまなかったな。 さて、初めてこの部屋に来たときに言っていた例の重要なことについてだが。 君にも関係あることだ」
ミナ「は、はい」
ジル「その前に…先程から“マナ”“ノーマ”と、別世界からやって来たらしい君には何のことかよく理解できていないだろう。 なので、英才教育を受けてもらう。 そこの“元”皇女様と一緒にな」
ミナ「皇女様…?」
ジル「その件は本人の口から聞けばいいだろう。 おい、お前。 いつまでも睨み付けてないで彼女にだけは心を開いたらどうなんだ?」
アンジュ「…何で見ず知らずの人に私の素性なんか…」
ミナ「あ、無理に説明してもらわなくても大丈夫です。 いつか、時が来たら話してくれればそれで…」
先程、現時点でこれ以上彼女についての余計な詮索はしないと決めたばかりだったので、上手いことを言ってその場を退けた。
ジル「よし。 では別室で教育を受けてもらう。 エマ、二人を」
エマ「はい」
私はジル司令官とエマ監察官の案内でアンジュさんという…確か…ミスルギ皇国とかいう国の皇女様と一緒に、英才教育を受けるために別室に移動した。
数時間後…。
アンジュ「私はノーマなどでは…」
ジル「教育は終了。 アンジュと彼女を第一部隊に配属する」
ミナ「え…? 第一部隊?」
まさか、幼女達に混ざってこの世界の用語についての勉強をする羽目になるなんて…と顔を真っ赤にしていた矢先の“第一部隊に配属”という台詞を聞いて、私は身震いした。
そんな私のことなど御構い無しで、司令官と監察官は私とアンジュさんを無理矢理引き連れていった。その途中…。
??「年上の新兵さんですが、仲良くしてあげてください」
??「誰が最初に死ぬのかな?」
??「死なないように教育するのが私達の仕事でしょ?」
またもや、私やアンジュさんと歳が近い女の子たちが何人も集まっていて、ピンク色の髪の子やチュッパチャップスらしき飴を舐めている薄い赤髪の子、青髪の子達が明らかに私達のことについて語り合っているのが聞こえてきた。その中には、この基地に来て初めて出会ったあのメイさんの姿もあった。
ジル「紹介する。 この二人が新たにこの基地にやって来たアンジュとミナだ。 仲良くしてやってくれ」
私とアンジュさんをここに集まっている子達に紹介してくれた司令官。私についてのこれまでの経緯(いきさつ)を話していないけど、先程ピンク色の髪の子が持っていたあの名簿リストに詳細が載っているのだろうと思い、黙っていることにした。
??「死の第一中隊にようこそ。 私はパラメイル第一中隊隊長のゾーラだ」
ミナ「い、いえ…」
アンジュ「今、私の隣にいる彼女を除いて…これ全部、ノーマですか?」
??「物扱いか」
アンジュ「私は第一皇女! ノーマではありません」
??「でも、マナ使えないんでしょ? そっちの子は使えるらしいけど」
ミナ「ううっ…す、すみません…」
ここにいる女の子の先輩達も含め、飴を舐めている子に申し訳ない気持ちで私は謝った。
ゾーラ「司令め…とんでもないのを回してきた。 どちらも不良品じゃないか。 身の程を弁(わきま)えな」
何か、これからとてつもないことが起きるのを覚悟しながら、私は畏(かしこ)まっていた…。
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ミナ「はぁ…」
第一中隊に配属された翌日…。私は食堂にいた。朝食中だった。
まだこの軍事基地にやって来て2日しか経っておらず、今自分が置かれている立場をよく把握できていないほど混乱していた。
??「あれ~? 急に溜め息ついてどうしたの~?」
??「ヴィヴィアンちゃん、急に話しかけたら失礼よ」
ヴィヴィアン「え~? でもでもエルシャだって、この子のこと気がかりだったくせに~」
エルシャ「だって、ついこないだまで“元”男だったって聞いたから、色々気になるじゃない。 たとえば私達女の子には付いてない“アレ”のこととか」
ミナ「~~~///」
ヴィヴィアン「おお~、エルシャ大胆だなぁ。 あ、私ヴィヴィアン。 第一中隊突撃兵で、15歳だよ! で、こっちの“四次元バスト”が…」
エルシャ「第一中隊銃砲兵で18歳で、エルシャよ。 何か分からないことあったら、私達に聞いてね」
エルシャ「でも、毎回は無理だから、今ここにいないけど、ココちゃんとミランダちゃんって言う子達に聞いた方がいいかも。 他は話しかけにくそうな子が多いから、うちは」
ミナ「は、はい。 よ、よろしくお願いします」
昨日、私と例の皇女様についてどっちが先に死ぬかとか怖いことを言っていた棒付きキャンディーを舐めていた子がヴィヴィアンさん。
新人の名簿リストを持っていたピンク髪の子がエルシャさんと認識した。その時、赤髪の女の子と、その取り巻きらしき女の子達がエルシャさんに対して話しかけてきた。
??「誰が話しかけにくそうな子だって!? エルシャ」
??「私達は例の皇女様がどうも気に入らなかったから、ピリピリしていただけだよ」
??「ヒルダ、ロザリー…。 二人とも、突っかかるのは止めようよ…」
ロザリー「何だよクリス。 自分だけいい子ぶって」
クリス「そ、そんなことないけど…」
エルシャ「あら、別に“怖そうな雰囲気を醸し出している”とかなんて言ってないわよ」
ヒルダ「ああ!? 何だってぇ!?」
ゾーラ「アンタ達、その辺にしときなよ」
ヒルダ「あ…お、お姉様。 これは…」
ゾーラ「言い訳はあとで私の部屋でたっぷり聞かせてもらおうか」
ヒルダ「~~~///」
第一中隊隊長のゾーラさん。彼女に部屋に来るよう命令され、急に顔が真っ赤になったヒルダさん。お姉様とか言っていたのを聞いて、私は何をされるのかはっきりと察したが、関わらないようにした。
ゾーラ「それと、そこの新人。 お前もそいつと一緒に私の部屋に来い」
ミナ「え、えっ!? わ、私も…ですか?」
ロザリー「何だ、お前。 お姉様のお誘い断るってのか?」
クリス「大人しく言うこと聞いてた方がいいよ…」
ミナ「は…はい/// 分かりました…///」
ゾーラ「フッ。 素直で可愛いじゃないか」
まさかの私までゾーラさんにお誘いを受けてしまって、イケないことされるんだと思うと、すっかり体が火照ってしまった。それと、ヒルダさんにとてつもない重圧(プレッシャー)かけられていると感じたのはきっと気のせいだろう。
ヴィヴィアン「う~ん。 みんなお盛んだねぇ~、エルシャ」
エルシャ「そういう台詞を言うのはまだ早いわよ、ヴィヴィちゃん。 じゃ、私達は朝食食べ終わったから、また後でね」
ミナ「あ…は、はい」
エルシャさんとヴィヴィアンさん達が食堂からいなくなった後、二人の女の子達が入れ替わりにやって来た。
??「あの、貴女。 昨日、あの皇女様と一緒にいた子でしょ?」
ミナ「え? は、はい、そうですけど」
??「私達、あの人捜しているんだけど知らない? あ、私達はココとミランダ。 よろしくね」
ミナ「い、いえ。 こちらこそ」
ココ「あの皇女様、かっこいいなぁ、って思って私達色々話聞きたくて…どこにいるか知らないかな?」
ミナ「い、いえ。 昨日別れたあと、全然見かけてなくて…」
ココ「そっかぁ…まぁ急ぎの用事じゃないからいいよ」
ミランダ「あ、それと貴女、良かったら一緒に朝食どう? 貴女のことについても色々話聞きたいし」
ミナ「あ、はい。 いいですよ」
ロザリー「そういえば、サリアの奴も見かけねぇな」
クリス「更衣室じゃないの?」
―――――その頃、某所にて―――――
サリア「これ、貴女のライダースーツ」
アンジュ「NAOMI…? それと、この血は…?」
サリア「前の持ち主。 死んだわ」
アンジュ「こんな物を着るくらいなら裸でいた方がマシです!」
サリア「そ」
(お望み通り全裸で更衣室を追い出されて鍵を閉められる)
アンジュ「ちょっと…/// あ、開けてください!」
(サリア、扉を開ける)
アンジュ「ハァ、ハァ…///」
サリア「諦めて着る気になった? はい」
アンジュ「あ、あの…これはどうやって着るのでしょうか…?」
サリア「はぁ? 一人で服着たことないの?」
(アンジュ、赤面)
サリア「…まぁいいわ。 今回は私が着せてあげる」
サリア「その前に朝食食べてからね。 例のもう一人の新人君にも着せる服用意しないといけないし」
―――――アンジュとサリアが更衣室にいた頃―――――
ヒルダ「いつまで恥ずかしがってんだよ/// 覚悟決めなよ///」
ミナ「は、はい…///」
ゾーラ「来たね。 こっち来な。 可愛がってやる」
私はヒルダさんと一緒にゾーラさんの部屋で、産まれたままの姿…裸でゾーラさんが寝ているベッドの前に立っていた…。