※この作品はR-18です。

クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完)   作:森島響

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本日は、ここで更新中断します。昨日に続き、怒涛の更新ラッシュでした。区切りがいいので、ここでしおりを挟んでおきます。


第20話『武器工廠(アルゼナル)、炎上』

『ノーマ管理委員会です。 これより救助を開始します』

 

モモカ「よかった、救助が来ますよ!」

 

ミナ「…救助…本当にそうなのかな…」

 

アンジュ「え?」

 

 ドラゴン死体処理置き場前にて、通信を聞いていた私達。救助が来ると完全に信じ込んでいたモモカさんに、私は思っていた疑問を口に出し、アンジュは私の方を見た。

 

(その頃、司令室)

 

ジル「耳を貸すな、戯言だ。 対空防御態勢」

 

パメラ・ヒカル・オリビエ「「「司令…。イエス・マム!」」」

 

(司令室に戻ってきたジルに、通信は大嘘だと真実を言われ、我に返るオペレーター達)

 

ジュリオ「やれやれ…平和的に事を進めたかったというのに」

 

ジュリオ「…ノーマはこちらの救援を拒絶した。 これは全人類に対する反逆である! 攻撃開始!」

 

(海上からアルゼナルに迫っていた連合艦隊の代表船に乗っていたジュリオ。抵抗する様子を見せたアルゼナル側に対し、攻撃を要請する)

 

(連合艦隊、攻撃開始。アルゼナル全域に爆撃が降り注ぎ、アルゼナル内に避難するアンジュら)

 

タスク「あれは…!」

 

(同じく、別方向からアルゼナルの近くまで来ていたタスク。爆撃されているアルゼナルを見て衝撃を受ける)

 

タスク「クソ…遅かったか、無事でいてくれアンジュ」

 

(アルゼナル内)

 

ロザリー「攻撃してきやがった、救助なんて嘘だったんだ」

 

(通信はやはり嘘だったと確信するロザリーと、その傍にいるヒルダとクリス)

 

「怖いよー…」

 

「私達…死んじゃうの? エルシャお姉様?」

 

エルシャ「大丈夫よ…お姉さんが守ってあげるから」

 

(爆撃に怯えている幼年部の子供達を慰めているエルシャ)

 

(そのとき、ジルから通信が入る)

 

ジル「これが人間だ、奴らはノーマを助けるつもりなどない」

 

ミナ「司令…」

 

 急に司令室に響き渡ったジル司令の声に反応する私。

 

ジル「救助艦隊に投降したい者は投降してもいい。 だが、逆に反逆したい者は…共に来い」

 

ジル「これよりアルゼナルは人間の管理下を離脱、反抗作戦を開始する。 作戦名は…『リベルタス』」

 

(その通信を黙って聞き入る全員)

 

パメラ・ヒカル・オリビエ「「「共に参ります! 司令と」」」

 

(ジルに決意を告げるオペレーター達)

 

ジル「サリア、アンジュは必ず連れて来い」

 

サリア「分かってるわ」

 

(アンジュだけは自分の元に連れてくるようサリアに命令するジル。サリア、それに応答する)

 

(その頃、某所に移動していたジルとオペレーター達)

 

パメラ「司令。 ここは…? アルゼナルの地下にこんな場所が…」

 

ジル「潜水空母『アウローラ』」

 

ジル「…この日のためにアルゼナル最下層に秘匿されていたリベルタス計画対策の潜水艦だ」

 

ヒルダ「へっ…。 人間に反抗…か。面白ぇ。 人間には恨みも憎しみもある」

 

ロザリー・クリス「「ヒルダ…」」

 

ヒルダ「お前らはどうすんだ?」

 

ロザリー「それは…」

 

エルシャ「私も行くわ。 守らなきゃね、大切なもの」

 

クリス「人間に歯向かって、生きていけるわけないでしょ!?」

 

(リベルタス作戦に参加する意向を固めていたヒルダとエルシャ。一方、未だに迷っていたロザリーとクリス)

 

メイ「ヴィルキスが最優先だ!!」

 

(アルゼナル格納庫にて、各整備班メンバー達に指示を出しているメイ)

 

??「「「「「ヒルダ隊長! 出撃準備完了です」」」」」

 

ヒルダ「分かった。 えーと、お前達名前は…」

 

シャノン「シャノンです」

 

カミラ「カミラです」

 

ターニャ「ターニャ・ザビロワです」

 

ナンシー「ナンシーです」

 

イルマ「イルマ・タンクネンです」

 

(左側から。茶髪の子がシャノン、メガネをかけた金髪の子がカミラ、中央の紫髪の子がターニャ、黄緑髪の子がナンシー、明るめの茶髪の子がイルマだ)

 

ロザリー「マジで人間と戦うのか…」

 

(ロザリーがそう言った矢先、格納庫内に大量のピレスロイドが攻撃してきた)

 

ヒルダ「…! 退避!!」

 

「空一面に未確認機が!!」

 

(上空でピレスロイドに驚きながら応戦している一般兵士達が搭乗するパラメイル数機)

 

(その頃…アルゼナルの某所。大量の一般兵士達が自衛隊軍隊らに取り押さえられている)

 

「本当に殺すんですか?」

 

「ああ。 処分だ」

 

(数秒後…火炎放射器で大量に炎を噴射する軍隊)

 

「キャーーーーー!!!!!」

 

(悲鳴を上げる一般兵士達。それを聞き取るヒルダ達)

 

マギー「重傷者の搬送が最優先だ!!」

 

(医務室から大量の負傷兵達をアウローラに搬送中のマギーら。迫ってくる軍隊達を銃で狙撃して威嚇している)

 

エマ「助けて…私ノーマじゃない」

 

マギー「危ないっ!」

 

(ガウンッ!)

 

マギー「死にたいのか!?」

 

(アウローラに移動する道中で、恐怖でうずくまっていたエマを見つけたマギー。そのエマに銃が狙撃され、間一髪でエマを庇いながら交わすマギー)

 

(一方、医務室に一人取り残されていて、未だに眠りから覚めていなかったヴィヴィアン。軍隊達に捕獲され連れて行かれる)

 

(再びアルゼナル格納庫前にて)

 

クリス「もうだめだ…私達死ぬんだ」

 

ヒルダ「誰も死なないし、死なせない」

 

(諦めかけていたクリスに対し、そう告げ、ロザリーとクリスに微笑むヒルダ)

 

(その頃…アンジュをジルの元に連れていくため、銃で威嚇しながらアウローラに向かっていたサリア。その後ろにはミナが、モモカもジャスミンに抱えられて共にアンジュらの傍にいた)

 

アンジュ「大変なことになってんでしょ? 逃げる準備なんてしてる場合?」

 

サリア「…アンタとヴィルキスは無傷で脱出させる…。 それが私の、たぶん最後の使命」

 

ミナ「サリア…」

 

サリア「見損なった、ミナ? そうだったら私を軽蔑してもいいのよ」

 

ミナ「そんなことは…!」

 

 軽蔑などするつもりはないとサリアに否定しようとした私だったが、先にアンジュが口を開いた。

 

アンジュ「仲間の命も見捨てろっていうの? 無意味な使命感に、巻き込まれて死んでく方はたまったもんじゃないわ」

 

サリア「な…!」

 

サリア「…何も分かってないのね! 自分がどれほど重要で…特別な存在なのか!」

 

ミナ「ちょっと二人とも…! こんな時に言い争いは止めようよ!」

 

 私が言い争いを始めたアンジュとサリアを止めようとしたそのときだった。

 

モモカ「…では、息を止めてください! アンジュリーゼ様、ミナさん!」

 

(ジャスミンに抱えられていたモモカが口を開き、隠し持っていた塩コショウ入りの容器を取り出し、それを周囲に振りかける。鼻を抑えるサリアら。その間にうまく逃げるアンジュ、ミナ、モモカの三人)

 

モモカ「塩コショウを常備しといてよかったです」

 

ミナ「ナイスだよ、モモカさん!」

 

 私達は、サリア達から必死に逃げる中、モモカさんとそう会話を交わしていた。

 

(その頃、アルゼナル前に到着していたタスク)

 

タスク「久しぶりだね、アンジュは無事か?」

 

(アウローラにいるジルと通信を取っている)

 

(再びアンジュサイド)

 

(マナの光で、真っ暗なアルゼナルの廊下を照らしているモモカとミナ。そこには、大量の血を流した死亡者が大勢転がっていた)

 

アンジュ「うっ…」

 

ミナ「アンジュ! 大丈夫!?」

 

モモカ「ミナさん、アンジュリーゼ様をお願いします。 お水取ってきます!」

 

ミナ「お願い!」

 

 目の前の大量の死体を見て嘔吐しそうになったアンジュを支える私。モモカさんは水を取りに厨房に向かった。

 

ミナ「…? だ、誰!?」

 

 モモカさんがいなくなった後、暗がりの中から近付いてきた男の姿を確認した私は声を出した。

 

エンブリヲ「大切なものは失ってから気付く。 まったく酷いことをする…。 君のお兄さんだよ、この虐殺を命じたのは。 皇女アンジュリーゼ」

 

アンジュ「え…? お兄様が…? それと、なぜ私の名前を…?」

 

(男が告げてきた言葉に色々戸惑っているアンジュ)

 

ミナ「…」

 

アンジュ「…ミナ?」

 

 急に話しかけてきた男の声に、私は聞き覚えがあった。黙り込んでしまった私を気にかけてきたアンジュ。

 

ミナ「…その声…貴方…あの時、私の脳内に話しかけてきた…」

 

エンブリヲ「おや。 その声は…ミナか。 久しぶりだね」

 

エンブリヲ「初めまして、私の名前はエンブリヲ」

 

アンジュ・ミナ「「エンブリヲ…?」」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

(アンジュとミナがエンブリヲと対峙していた頃…。厨房で水を取っていたモモカ。特殊部隊に狙撃され、それをマナの光で防いでいる)

 

アンジュ「貴方達がやったの? お兄様の命令?」

 

(ダンッ!)

 

「ぐわっ!」

 

ミナ「アンジュ! あの男、もういないよ!」

 

 エンブリヲに向けて銃を狙撃したアンジュ。だが、すでに彼の姿はなく、代わりに近くにいた軍隊に弾が当たって死亡し、エンブリヲがいないことをアンジュに告げる私。しかし、それでも未だに狙撃を止めようとしなかった。

 

モモカ「アンジュリーゼ様…もう大丈夫です! モモカはここにいます」

 

ミナ「モモカさん!」

 

 そのとき、無事に厨房から戻ってきたモモカさんがアンジュの腰に抱きついて、アンジュにそう呼びかけた。正気を取り戻したアンジュを見て、安堵する私。

 

 数分後。特殊部隊と戦っているヒルダ達がいたアルゼナル格納庫に、特殊部隊の狙撃をモモカさんがマナの光でガードしながら、遅れて辿り着いた私達。

 

 そのまま、アンジュと私はそれぞれヴィルキスと(ヴィルキス)レプリカに搭乗した。それに合わせるかのように、ヒルダ、ロザリー、クリス達も自分達の機体に乗る準備を始めた。

 

(その頃。医務室に一人取り残されていて、未だに目覚めないヴィヴィアンを運んでいた特殊部隊。それを見つけたタスクがヴィヴィアンを助ける)

 

タスク「アンジュはどこだ?」

 

ヴィヴィアン「…ポテチ…」

 

(何も気付いておらず、寝ぼけながら、そう呟くヴィヴィアン)

 

(一方。大量のピレスロイドに囲まれていたサリアのパラメイル、アーキバス サリア・カスタム)

 

サリア「くっ…邪魔よ!」

 

(それをなんとか撃退するサリア機)

 

(ヴィルキスに乗り、こちらに向かってくるアンジュを本艦のモニターで見ているジュリオ)

 

「本艦に急接近する物体あり!!」

 

ジュリオ「アンジュリーゼ!」

 

(襲い掛かってきたピレスロイドを軽々と薙ぎ払うヴィルキス)

 

サリア「アンジュ!! 戻りなさい! 戻って使命を果たして」

 

アンジュ「…その台詞、私なんかじゃなくミナに言ってあげたら? 今はヒルダ達のところに残って、ここにはいないけど。 貴女の大事な恋人なんでしょ?」

 

サリア「!? な、何でそれを…」

 

アンジュ「私が気付いてないとでも思ったの? ミナの不自然な様子を見てれば、嫌でも分かるわよ。 どうやら、二人っきりで身体まで重ねたみたいだし」

 

サリア「…! う、うるさい! それは貴女も同じでしょ!」

 

(自分達の機体を操縦しながら、アンジュに、自分とミナが恋人関係だとバレていて、怒り狂うサリア)

 

サリア「…って、今はそんなことで喧嘩している場合じゃないのよ!」

 

サリア「…何が不満なの? 私の夢も居場所も奪ったんだから…そのくらい…」

 

アンジュ「…好きだったの、私。 ここでの暮らしが好きだった」

 

(サリアに何が不満なのか聞かれて、その途端硬い表情を崩して笑顔を見せるアンジュ)

 

アンジュ「最低最悪で、何食べてもクソ不味かったけど」

 

アンジュ「…好きだった…ここでの暮らし。 なのに…それを壊されたの、アイツに!」

 

(サリア機に捕獲されそうになり、それを振り払おうとソードでサリア機の片腕を破壊する(アンジュの)ヴィルキス)

 

(その瞬間、ヴィルキスの機体の色が赤く染まる)

 

サリア「アンジュ…勝ち逃げなんて絶対許さないんだから…」

 

(アンジュとサリアが一悶着起こして、(アンジュの)ヴィルキスがジュリオがいる本艦に向かっていた頃)

 

ヒルダ「ヒルダ隊、行くぜ! ミナも準備はいいか!?」

 

ミナ「うん! いつでも!」

 

 私は、あの後アンジュと別れ、ヒルダ達と行動を共にしていた。ロザリーとクリスも一緒にいる。いざ、出撃しようとしたそのときだった。

 

(ガウンッ!)

 

(ドガガッ!ドガッ!)

 

(クリス機に敵の機体が放った銃弾が当たり、そのままクリスにも弾が当たったのか、態勢を崩して火花を起こして吹っ飛んだクリス機)

 

ヒルダ・ミナ「「!!」」

 

ロザリー「クリス! クリス!!」

 

 クリス機が墜落していったのを確認する私達。その中で、ロザリーだけはそんなクリスに対して一番反応していた。

 

ミナ「ヒルダ、ロザリー、ごめん! 私、クリスの傍に戻る!」

 

ヒルダ「は!? 今出撃したばっかだぞ!」

 

ミナ「ロザリーも誰かついてあげていた方が少し安心するでしょ?」

 

ロザリー「…ああ…もうダメかもしれないけど…。 ミナ、アタシの代わりにアイツの傍についてやってくれ…」

 

ミナ「了解!」

 

 ヒルダには止められたが、ロザリーにクリスの傍についてあげるよう了承を貰った私は、クリス機が墜落した場所に戻った。

 

ロザリー「…クリ…ス…。 畜生…てめぇら全員…ぶっ殺す!!!」

 

(クリスが殺られたことに激昂して、憎しみをぶつけるように大量のピレスロイドを殲滅していくロザリーとヒルダ)

 

ミナ「クリス! しっかりして! クリス!!」

 

 数秒後、クリス機の傍に降り立って、クリスの容態を確認していた私。しかし、息をしていないことに気付いた私は、絶望で涙を浮かべてしまった。

 

ミナ「…どうして…。 どうしてこんなことになってしまったの…? なんでノーマだからってだけで、こんな仕打ちを受けないといけないの…?」

 

 私が悲しみの涙を流しながらそう呟いていたときだった。

 

エンブリヲ「…また君はそうして、そのクリスの傍についてあげているんだね」

 

ミナ「!」

 

ミナ「…貴方は…エンブリヲ…」

 

(近付いてきたエンブリヲに反応するミナ)

 

(その頃…)

 

(子供達の様子を確認しに幼年部にやって来ていたエルシャ)

 

エルシャ「…! みんな…!!」

 

(そこでエルシャが見たものは、すでに特殊部隊が放った火炎放射器で焼け死んだ子供達の姿だった。ショックで涙を流して崩れ落ちるエルシャ)

 

(場面変わり、再びアンジュサイド)

 

アンジュ「沈め!」

 

(ドーン!)

 

(大量の敵艦の攻撃を難なく撃退しながら、敵艦を一隻ずつ沈めていっていたアンジュ)

 

(そのまま、ジュリオがいる本艦前に辿り着き、ライフルビームを放ちコックピットを焼け落とす。ジュリオの姿が露わになる)

 

(ダーン!)

 

ジュリオ「ぎゃあああ!!!」

 

(ヴィルキスから出てきて、そのままジュリオの腹部めがけて銃を発砲したアンジュ。ジュリオ、激痛で転がり苦しむ)

 

アンジュ「今すぐ虐殺を止めさせなさい!! じゃなきゃ、次は頭ごと銃弾で貫く!!」

 

(ジュリオに拳銃を向けながらそう警告するアンジュ)

 

ジュリオ「…こちら、ジュリオ一世だ…全軍、戦闘を停止しろ…撤収!」

 

(しかし、それでも怒りは収まっていないらしく、再びヴィルキスに乗り込みジュリオごと本艦を沈めようとしていたアンジュ)

 

ジュリオ「話が違う! 待て! 早まるな!! 要求はなんでも聞く!!」

 

アンジュ「だから?」

 

アンジュ「…生きる価値のないクズめ、くたばれ!」

 

ジュリオ「ひいいいいいいっ!!!」

 

(そのときだった。ソードを振り下ろしたヴィルキスの前に謎の機体が現れた)

 

アンジュ「!?」

 

アンジュ「…貴方…さっきの…。 確か…エンブリヲ…。 それに…その機体…私のヴィルキスと同じ…ラグナメイル!?」

 

エンブリヲ「アンジュ、君の怒りは純粋で、白く、何よりも熱い」

 

(アンジュの前にエンブリヲが立ちはだかっていた数分前…)

 

ミナ「…『またクリスの傍についてあげているんだね』って…一体どういうこと…?」

 

エンブリヲ「前に会った時に言っただろう…。 君の身体の中には、この世界とは別次元の世界で死んでいったナオミという少女の魂が転生していると」

 

エンブリヲ「彼女…ナオミも、今の君みたいにそうやってクリスの傍についてあげていたんだよ」

 

ミナ「…またナオミさんの話?」

 

ミナ「…悪いけど…私は私! 決してナオミさんの生まれ変わりじゃない!」

 

エンブリヲ「確かにそうだね…。 君は君だ。 ナオミの生まれ変わりじゃない」

 

エンブリヲ「でもね…。 君が今こうしてここにいるのは、ナオミの魂が…かつてナオミ自身が取った行動を思い出して、君にそうさせるように仕向けているからだ」

 

ミナ「…違う! ここには私自身の意思で…」

 

 以前、初めて脳内で対話した時のことを思い出し、そこでも出てきたナオミさんという少女の魂が、私の身体に転生しているとエンブリヲに言われ、それを必死に否定する私。しかし、完全に否定しきれず、私は戸惑いを見せてしまっていた。

 

エンブリヲ「…まぁ、君が何と思おうと、今は最早どうでもいいことだが…。 さて…」

 

ミナ「クリスに触らないで!」

 

 エンブリヲがクリスに腕を伸ばしてきて、私が抵抗を見せたそのときだった。クリスが急に息を吹き返したのだ。

 

ミナ「クリス!?」

 

クリス「…ん…。 あれ…? 私…確か頭を撃ち抜かれて…死んだはずじゃ…」

 

クリス「…ひっ! ミナ、だ、誰!? その人!?」

 

ミナ「…あとで話すよ…」

 

ミナ「それより…よかった…本当によかった…」

 

 意識を取り戻して、傍にいた私にエンブリヲのことを聞いてきたクリス。しかし、私は生き返ったクリスに嬉し涙を浮かべて抱きついて、それどころではなかった。

 

ミナ「…何をしたのか知らないけど…クリスを助けてくれてありがとう、エンブリヲ」

 

ミナ「だけど…これ以上クリスに手を出すなら…私が貴方を許さない!」

 

エンブリヲ「おやおや…酷い言われようだ…」

 

エンブリヲ「まぁ、それでもいいさ…直に私に甘えることになるのだから…」

 

ミナ「…?」

 

(クリスがエンブリヲの手で生き返っていた頃。エルシャがいた幼年部で死んでいた子供達も、その場にいたエンブリヲの手で全員生き返り、喜んでいるエルシャ)

 

(再びアンジュサイドに戻り…)

 

エンブリヲ「…私がやろう。 君の罪は私が背負おう」

 

エンブリヲ「~~~♪♪」

 

(急に歌い始めるエンブリヲ)

 

アンジュ「…この歌…まさか『永遠語り』…!?」

 

(エンブリヲが歌い始めた歌が、自分や、例の謎の女が歌っていた『永遠語り』と気付くアンジュ)

 

(命の危険を感じたのか、ジュリオの傍を離れ、翼を生やし飛び立った全裸状態の近衛長官リィザ。そのとき、エンブリヲのラグナメイルが謎の光を放ち、ジュリオごと本艦が消滅した)

 

アンジュ「ヴィルキスと同じ武器…!?」

 

アンジュ「…なんなの…? アンタ一体何者!?」

 

タスク「アンジュ、そいつは危険だ! 離れるんだ!!」

 

アンジュ「タスク!?」

 

(自分の前に近付いてくるタスク機に気付いたアンジュ。タスクの後ろには救助されたヴィヴィアンも乗っている)

 

エンブリヲ「~~~♪♪」

 

(エンブリヲがまた歌い始めた途端、エンブリヲのラグナメイルが光り出す)

 

アンジュ「タスクぅぅぅ!! ダメーー!!」

 

(その瞬間、エンブリヲの手を逃れるように、急に消えたヴィルキスとタスク機)

 

エンブリヲ「…ほう。 つまらん筋書きだが…悪くない」

 

エンブリヲ「…ん?」

 

エンブリヲ「…気付いたら、ミナの気配も感じられないが…。 どうやら、アンジュ達と一緒に別世界に飛ばされたか…」

 

エンブリヲ「まぁいい…“種”はとっくの昔に仕込んである…それが芽生えるのも時間の問題…」

 

To be continue…。

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