クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完) 作:森島響
(龍の神殿の側にある大きな滝の上。二名のある人物が通信している)
??『…では、もう少しでこちらの世界に戻って来られるんだね?』
??『…はい…現在、アウラの民と名乗る者達と共鳴戦線を結んでいる最中です』
??『そうか…では、手筈通りに第一段階の計画実行に協力してもらうよ』
??『承知しました。 それまで、引き続きアンジュ達の動きを監視します』
エンブリヲ『ああ…。 期待しているよ…~~』
??『…はい…エンブリヲ様…』
(通信相手はエンブリヲだった。情報を漏らしていた人物の名前は、滝の音でかき消される)
(数分後、神殿の入口前)
ミナ「…ハッ!」
「…? 私、どうしてこんなところに…」
ミナ「…早くアンジュ達のところに戻らないと…」
(その数時間前…神殿の大広間にて)
大巫女「これよりエンブリヲの手から、全能の母アウラを奪還する」
リィザ「仰せのままに。アウラと地球に勝利を」
(その会話を傍で聞いていたサラ)
(…その後、色々あって、アンジュやサラと一緒にシャワーを浴びているミナ)
サラ「感服しましたわ、アンジュ」
アンジュ「貴女もやるじゃない、サラ子」
ミナ「? ねぇ…私がいなかった間に、二人ともいつの間にあだ名で呼び合う仲になってたの?」
アンジュ「え?」
アンジュ「…そりゃ、まぁ…色々あったのよ」
サラ「ええ。 色々あったのです」
ミナ「…何か私だけ仲間はずれって感じだなぁ…」
サラ「ミナさんも私のことはサラと呼んでもらって構いませんよ」
ミナ「…じゃ…サラさん」
(サラのことを略称で呼ぶミナ)
アンジュ「それより…貴女、一体どこに行っていたのよ? 朝からどこにも姿見えなくて捜したのよ?」
ミナ「え? そ、そうだったんだ…」
ミナ「…まぁ、いいじゃない、私のことは」
アンジュ「?」
アンジュ「…まぁ、それもそうね」
ミナ「…」
アンジュに不思議そうな顔をされたが、私はうまく話を誤魔化した。なぜかと言うと…。
昨夜、例の儀式終了後にアンジュ達と別れたあとから、先程までの記憶がすっぽり抜けていたからだった。まるで、何者かによって、操られていたみたいに。
サラ「ノーマ…マナが使えない…人間ならざる者…。 貴女は何も思わないのですか? アンジュ」
アンジュ「…」
サラ「知っていますよ。 貴女が元々皇女として、人々を導く立場にいたことを。 世界の歪みを正すのも、指導者の使命では?」
アンジュ「…私はもう皇女じゃない。 大体、歪んだ世界でも満足してる人間がいるんだからいいんじゃない」
アンジュ「結局世界を変えたいのは貴女達。 私には関係ないわ」
サラ「…では、これからどうするのですか? 真実を知りながら、何もしないつもりですか?」
アンジュ「…」
(そんなやり取りをして、シャワーから出た直後…)
ヴィヴィアン「…ん? なんぞ?」
(母親と一緒にいたヴィヴィアン。外から轟音が聞こえてくるのを感じ取る)
ナーガ「姫様!」
カナメ「外が!」
サラ「ナーガ、カナメ! 一体何事ですか!?」
アンジュ「…あれ? そういえば…ミナは?」
(いつの間にか再び姿を消していたミナに気付くアンジュ)
サラ「アンジュ! 今はそれより、私たちと一緒に外に来てください!」
アンジュ「…分かってるわよ!」
(外に出ると、謎の竜巻のような物が発生しているのを確認したアンジュ達)
アンジュ「あれは…」
(アウラの民の一般人達が次から次に竜巻のような物に触れ、石化していく)
サラ「…アレに巻き込まれたらいけません! 対処します!」
サラ「…焔龍號(えんりゅうごう)!」
(サラのラグナメイル、焔龍號が飛んでサラの元にやって来る)
サラ「アンジュ、例の勝負の続きはいずれ」
(焔龍號に乗り込み、アンジュにそう告げるサラ)
(そんな中、ヴィヴィアンを連れて空中を飛行しながら避難していたヴィヴィアンの母親、ラミア)
(アンジュ、ヴィルキスに乗り込む。そこにタスク機に乗るタスクがやって来る)
タスク「何してるんだ!」
アンジュ「ヴィヴィアンを助けに行くのよ」
タスク「待て、その機体はまだ修理が…」
(そのとき、ヴィヴィアン達がいる近辺で爆発が起こる。それを確認するサラ)
「た、助け…」
(竜巻もどきに巻き込まれ、新たに石化していく一般人の一人)
ラミア「ぐっ!」
ヴィヴィアン「お母さんさん!」
(爆発して崩れた壁の瓦礫の直撃に遭い、瓦礫に挟まれたラミア。それを助けようとするヴィヴィアン)
サラ「どうすれば良いのですか…」
(そのとき、大巫女様から通信が入る)
大巫女「サラ。 撤退せよ」
サラ「大巫女様!? 民を見捨てるなど私には」
(そのとき、焔龍號の傍にヴィルキスが現れる)
アンジュ「何をボケっとしてるのよ、サラ子!」
(竜巻もどきの近くまでやって来たアンジュ、サラ、タスクの三人)
タスク「…間違いない…。 エンブリヲだ! エンブリヲは時間と空間を自由に操ることが出来る」
(タスクの話を聞きながら、ヴィヴィアンとラミア親子の姿を確認したアンジュ)
アンジュ「…ヴィヴィアン!」
アンジュ「…どうするのよ、サラ子!」
サラ「どうすることも…」
アンジュ「あれがあるじゃない! アルゼナルをブッ飛ばしたアレ!」
サラ「ダメです。 都はおろか、神殿まで消滅してしまいます」
(元いた世界でサラと初めて会った時、使ってきた謎の攻撃で何とかなるかもと思いつくアンジュ。しかし、危険度が高いため、却下するサラ)
アンジュ「3割引で撃てばいいじゃない!」
サラ「そんな調節できません」
(アンジュとサラがそうやり取りしている中、ヴィヴィアンの元に駆けつけ、ヴィヴィアンと一緒にラミアを救助するため、瓦礫をどかしているタスク)
アンジュ「…そうよ、貴女が撃ったのを、私が打ち消せばいいのよ! あの時みたいに」
サラ「そんなやり方…」
アンジュ「貴女お姫様でしょ、サラ子! 危機を止めて、民を救う。それが上に立つ者の使命よ」
サラ「…」
(急に『永遠語り』を歌うアンジュとサラ)
アンジュ・サラ「「収斂時空砲(しゅうれんじくうほう)、発動!!」」
(同時に竜巻状の破壊光線を撃ち、竜巻もどきにぶつけるヴィルキスと焔龍號)
(竜巻もどき、無事に消滅)
(数時間後…)
ヴィヴィアン「…お母さん…」
(母親が助かり、泣きながら母親に抱きついているヴィヴィアン。それを温かく見守っているタスク)
サラ「貴女のおかげで民は救われました。 感謝します、アンジュ」
アンジュ「…友達を助けただけよ」
サラ「…まさかあの歌に助けられるとは…かつてエンブリヲがこの星を滅ぼした歌…」
(ヴィヴィアンとラミア母娘の姿を確認するサラ)
サラ「…教えられました。 自分の未熟さを」
サラ「…私も、改めて貴女の友達になりたい。 共に学び、共に歩く友人に」
アンジュ「サラ子…」
(その頃…)
??『…申し訳ありません。 第一段階、失敗しました』
エンブリヲ『いいや、よくやったよ。 アウラの民の大半に被害を負わせることができたのだから』
??『エンブリヲ様…お褒めいただき、ありがとうございます』
??『そういえば、そちらの状況はどうなっていますか?』
エンブリヲ『ああ…実は…』
To be continue…。