クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完) 作:森島響
ミナ「…私…アンジュ達を…裏切った…」
私は今、元の世界のミスルギ皇国の地下牢に全裸で閉じ込められていた。ショックで涙を流している最中だった。
ミナ「…裏切るつもりなんてなかった…。 なのに…どうしてこんなことに…」
ミナ「…私…これからどうすればいいの…?」
なぜ、私が一人、こんなところに閉じ込められているのかというと…。
(回想。話は一日前に遡る…)
(アウラを見つけたとリィザから報告が入り、アウラ奪還のため、サラ達、アウラの民と共に元の世界のミスルギ皇国に戻ろうとしていたアンジュ達。ヴィヴィアンも、母親と別れを告げ、アンジュ側に一緒にいた)
大巫女「ついに、反撃の時が来た。 我らアウラの子。 例え地に落ちるとも、この翼は折れず」
サラ「全軍、出撃!」
(アンジュら、それぞれの機体に乗り込み、出撃する)
ヴィヴィアン「ドラゴン達が勝ったら戦いって終わるんだっけ、そしたら暇になるね。ねー、ミナ?」
ミナ「…」
アンジュ「…? ミナ?」
ミナ「…ハッ! な、何? ごめん、ちょっとボーッとしてて聞いてなかった…」
アンジュ「ちょっと、これから元の世界に帰ろうとパラメイル操縦してるんだからボケっとしてて落ちないでよ!?」
ミナ「アハハ…だ、大丈夫だよ…」
アンジュ「…?」
ヴィヴィアン「…私はサリア達を招待するんだ、私んちに!!」
ヴィヴィアン「…タスクは?」
タスク「…俺は…海辺の町で、小さな喫茶店を開くんだ」
タスク「アンジュと二人で…喫茶アンジュ。 2階は自宅で、子供は4人」
アンジュ「ヴィヴィアン、突き落としていいわよ」
タスク「いや、穏やかな日々が来ればいい…そう思ってるだけさ」
(そんな会話をしながら、開いたシンギュラーから元の世界に戻って来たアンジュ達)
アンジュ「…戻ってきた…戻ってきたのね…」
サラ「…? 到着予定座標より北東…48000!?」
「姫様! どうなっているのですか!?」
サラ「分かりません。 確かに特異点はミスルギ上空に着くはず…」
アンジュ「それって…まさか罠!?」
(そのとき、爆撃が周囲に降り注ぐ)
サラ「!? 何事!?」
サラ「…あれは…」
アンジュ「…黒い…ヴィルキス!?」
サラ「…待ち伏せです」
ナーガ・カナメ「「姫様!」」
サラ「分かっています! 今は敵の排除が最優先です」
タスク「アンジュ!」
アンジュ「分かってる…サラ子達を助けに行くわ!」
(そのとき…)
(ガンッ!)
アンジュ「!? 何するの、ミナ!?」
ミナ「…」
(ミナのヴィルキスレプリカ、突如アンジュのヴィルキスを妨害する)
サリア「ご苦労だったわね、ミナ」
アンジュ「!? その声…サリア? 貴女、なんで…」
(黒いヴィルキスから、サリアの声が聞こえてきて、それに反応するアンジュ)
ミナ「サリア…エンブリヲ様の命令で迎えに来てくれたの?」
アンジュ・タスク・ヴィヴィアン「「「!?」」」
サリア「ええ、そうよ。 エンブリヲ様は別件で出て来られなかったから、私にエルシャ、クリス達で迎えに来たのよ」
アンジュ「…ちょっと…ミナ…今の発言…どういうこと…?」
ミナ「気付かなかったの? 私は、元々エンブリヲ様側に就いていて、エンブリヲ様に送り込まされたスパイだったの」
ミナ「アンジュ…あなた達と一緒に行動を共にして動向を監視するためにね!」
アンジュ「え…?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(ミスルギ皇国の皇宮地下牢にて、モニターでミナとアンジュが敵対している様子を監視していたエンブリヲ。傍には拷問を受けたあとのリィザが全裸で吊るされている)
リィザ(…アンジュリーゼ様…)
リィザ(…サラマンディーネ様…)
(場面再びアンジュ・サラサイド)
サリア「…その声…ヴィルキス…アンジュなの?」
アンジュ「サリア! これはどういうこと!? ミナがエンブリヲ側のスパイって…それと、その黒いヴィルキスは何!?」
サリア「これは、クレオパトラ。 エンブリヲ様が私達に与えてくれたラグナメイルよ。 エルシャのはレイジア。 クリスのはテオドーラ」
エルシャ「ミナちゃん、おかえりなさい。 よく無事に戻ってきたわね」
ミナ「エルシャ…私はアンジュ達を監視する目的で、ほとんど向こうでは傍観していただけだよ」
クリス「酷いよね。 私を置き去りにして急にいなくなったんだから」
ミナ「ごめん、クリス。 まさか、向こうの世界に一緒に飛ばされるなんて、エンブリヲ様も予想外だったみたい」
アンジュ「…ちょっと…ミナ…?」
(絶望顔のアンジュを見て、続けてサリアが口を開く)
サリア「ミナ。 アンジュにぶちまけてあげなさい。 貴女がどうしてエンブリヲ様側に就いたのかを」
ミナ「分かってるよ…サリア」
(そのとき、別の2つのラグナメイルに妨害されていたサラの焔龍號がミナ達に向けて攻撃を仕掛てくる)
ミナ「! くっ!」
(間一髪でそれを交わすミナ)
サラ「ご無事ですか、アンジュ!?」
アンジュ「サラ子!」
サラ「申しわけございません、まさかこのような事態になるとは思いもしておらず…」
アンジュ「…サラ子、撤退しなさい!」
サラ「出来ません!! エンブリヲからアウラを取り戻すまでは!!」
アンジュ「アンタ司令官でしょ!? 周りを見なさい!!」
(そのとき、タスクとヴィヴィアンが乗るタスク専用機がミナ達めがけて狙撃してくる。それをバリアを張って守るサリアらのラグナメイル)
タスク「今は引いて、戦力を立て直すんだ!! 勝つために!!」
サラ「…勝つために…」
(サラ、顔つきが変わる)
サラ「全軍、撤退する!!」
ナーガ・カナメ「「はいっ! 姫様!! 全力で援護します!!」」
ミナ「させるか!」
(撤退していくサラ達のラグナメイルを妨害しようとするミナ。それをアンジュのヴィルキスが止める)
アンジュ「目を覚ましなさい、ミナ! 貴女はエンブリヲに何かされてるだけよ!」
ミナ「…ぐ…ううっ…」
(その一言で、頭痛を起こし、頭を抱えるミナ。ミナの機体の動きが止まる)
サリア「まずいわ! エルシャ、クリス! ミナを!」
エルシャ・クリス「「分かってる!」」
(それぞれ凍結ビームを放ち、ミナの機体を拘束するサリア達)
サラ「アンジュ…どうか、ご無事で」
アンジュ「いいから、とっとと行きなさい!!」
(元来たシンギュラーゲージに戻っていったサラ達。そのとき、エンブリヲからサリア達に通信が入る)
エンブリヲ『サリア。 エルシャ。 クリス』
エンブリヲ『ミナを連れて撤退したまえ。 アンジュ達は拘束しなくてもいい』
サリア「エンブリヲ様!? しかし…」
エンブリヲ『サリア。 私の命令が聞けないのかね?』
サリア「…了解しました。 全軍、ミナを連れて撤退!」
(巨大な網を覆いかぶせて、ミナの機体を拘束したサリア達)
サリア「命拾いしたわね。 アンジュ」
アンジュ「待ちなさい! ミナ、何ボーッと捕まってるのよ!? 抗いなさいよ!」
ミナ「…ぐ…あああっ…。 う…うるさい…」
(頭を抱えながら、アンジュに何かを言いかけるミナ)
アンジュ「え?」
ミナ「…うるさい…うるさいうるさいうるさい!!!」
ミナ「私に命令してこないで!! これ以上私の新しい生活を奪わないで!!」
ミナ「アンジュなんか…大っ嫌い!!!」
アンジュ「!!!」
(ミナのその一言で、一気に絶望顔になったアンジュ)
(その後、ミナを引き連れてエンブリヲの元に撤退していったサリア達)
(回想終了。再びミスルギ皇国の皇宮地下牢に戻る)
ミナ「…あの時…私、アンジュに酷いことを言ってしまった…」
ミナ「本心で言ったわけじゃなかった…なのに…私…私…」
私が泣きながら、そう後悔していたら、エンブリヲが私の前に現れた。
ミナ「…何しに…来たの…?」
エンブリヲ「やれやれ…せっかくこっちの世界に戻ってこれたというのに、私に対する第一声がそれか…。 まぁいい。 これを着たまえ」
(全裸で牢に閉じ込められていたミナに服をプレゼントするエンブリヲ)
エンブリヲ「どうやら洗脳が不完全だったようだが…」
エンブリヲ「いずれ君もこちら側に否が応でも就くことになる。 アンジュ達の元に戻れるなどという考えは捨てることだ」
ミナ「…」
ミナ「…聞かせて」
エンブリヲ「何をだい?」
ミナ「私は…一体いつ、貴方に洗脳されていたの…?」
エンブリヲ「君の思考回路に対話を仕掛けたあの日からだ」
エンブリヲ「あの時、去り際に誰にも判別できない催眠暗示を君に掛けさせてもらったのだよ」
ミナ「…あの時から…?」
そうだ。今思い返せば、時々微妙に頭痛が起こっていたことがあった。まさか、アレがこのことを指していたなんて…。早くこのことに気付けていれば、こんなことには…。
エンブリヲ「理解したかい? もう一度言う」
エンブリヲ「アンジュ達の元に戻れるなどという考えは…」
ミナ「捨てない!」
エンブリヲ「…何?」
ミナ「捨てないって言ったの! 私は何としても、アンジュ達の元に帰る! 貴方の洗脳なんかに、二度と屈しない!」
エンブリヲ「…そうか。 威勢だけはいいようだが…そう言っていられるのも今のうちだよ」
(そう言い捨てて、ミナの元から消えるエンブリヲ)
ミナ「…アンジュ…」
(その頃…)
(アルゼナルに戻っていたアンジュ達。タスク、ヴィヴィアンと一緒に魚を焼いて食べて、焚火に当たって寛いでいる)
アンジュ「私達…帰ってきたんだ…アルゼナルに…。 でも…」
タスク「アンジュ…ミナのことはひとまず置いておこう。 今はそれより…」
アンジュ「分かってるわよ! でも…あの発言は本心じゃないと思うの! だから…」
(ミナに言われた暴言を思い返していたアンジュ。そんなミナのことはひとまず忘れるようアンジュに言うタスク。しかし、どうしてもそんなことなど出来ないと反論するアンジュ)
ヴィヴィアン「ん? あれはなんぞ?」
(ヴィヴィアンが海の方を眺めて、近付いている3つの物体を指差す。物体はアンジュ達の方にやって来る)
アンジュ「ひっ!」
(恐怖でタスクの後ろに隠れるアンジュ)
モモカ「…やっぱり…アンジュリーゼ様!!」
アンジュ「!? え…モモカ?」
モモカ「アンジュリーゼ様ァァァ!!」
(再会できた喜びでアンジュに抱きつくモモカ。同じくヒルダとロザリーもいた)
ロザリー「無事だったんだな。 イタ姫様といい、ヴィヴィアンといい」
ヒルダ「しぶとさはゴキブリ並だな」
アンジュ「貴女達こそ」
(その後、アンジュの傍にいたタスクに近付いて、タスクの股間を触るヒルダ)
タスク「うわっ/// ちょ、ちょっと…///」
ヒルダ「やっぱり、男…」
(いつの間にか、エンブリヲに洗脳されており、ミスルギ皇国に連れ去られてしまったミナ。一方、ヒルダ達と再会したアンジュ達。物語は、更に大きく動き出そうとしていた…)
To be continue…。