※この作品はR-18です。

クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完)   作:森島響

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第25話『決別の海』

(ミナが完全にエンブリヲに洗脳された頃…)

 

(潜水空母アウローラ。司令室に集まり、作戦会議中のアンジュ達)

 

ヒカル「まさか生きてたとはね…」

 

パメラ「ヴィヴィアンもアンジュも、ロストしたのかと」

 

(司令室のオペレーター席に座っていたパメラ・ヒカル・オリビエらオペレーター達。そのオペレーター席の後ろには、中央にアンジュが、その両脇にタスクとヴィヴィアン。そして、こちら側の世界で生き残っていたジル、ヒルダとロザリーとモモカ、メイとマギー、ジャスミンの姿があった)

 

マギー「平行宇宙と、もう一つの地球。 ドラゴン…いや、遺伝子改造した人間の世界か…」

 

アンジュ「…そこでなんだけど…手を組むべきじゃないかしら、ドラゴンと」

 

(タスクとヴィヴィアン以外の)全員「!?」

 

アンジュ「ドラゴンの目的は、アウラの奪還よ。 マナを得るためにノーマがドラゴンを狩る…。 こんなバカげた戦いを終わらせることが出来るわ」

 

アンジュ「サラ子達の侵攻作戦は失敗した。 お互いの目的のためにも協力するのが一番だと思うけど」

 

ジャスミン「敵の敵は味方か」

 

ロザリー「じょ…冗談だろ!? アイツらは今まで仲間を殺してきた化け物なんだぞ!?」

 

ジル「…奴らは信じるに値しない」

 

(アンジュ達の話を聞き、煙草を吸いながら、そう口を開くジル)

 

ジル「エンブリヲを抹殺し、この世界を壊す。 それ以外にノーマを解放する術(すべ)はない」

 

ジル「忘れた訳ではあるまい。 兄弟、民衆に裏切られてきた過去。 人間への怒りを」

 

ジル「差別と偏見にまみれたこの世界を壊す、それがお前の意志ではなかったのか?」

 

アンジュ「…」

 

ジル「…その顔…。 腑抜けたものだな…洗脳されたか? それとも女になったか?」

 

ジル「…ピンクの花園で乳繰り合いたいなら、全て終わらせてからにしろ!」

 

マギー「しかし、私達の戦力が心許ないのも事実だ」

 

ジャスミン「サリア達が寝返っちまったからね」

 

(ジルの発言に、そう反論するマギーとジャスミン)

 

メイ「…寝返ったといえば…まさかミナまで裏切るなんて…」

 

(回想。ミナに裏切られたときのことを思い出していたアンジュ)

 

ミナ『サリア…エンブリヲ様の命令で迎えに来てくれたの?』

 

ミナ『気付かなかったの? 私は、元々エンブリヲ様側に就いていて、エンブリヲ様に送り込まされたスパイだったの』

 

ミナ『アンジュ…あなた達と一緒に行動を共にして動向を監視するためにね!』

 

ミナ『エルシャ…私はアンジュ達を監視する目的で、ほとんど向こうでは傍観していただけだよ』

 

ミナ『ごめん、クリス。 まさか、向こうの世界に一緒に飛ばされるなんて、エンブリヲ様も予想外だったみたい』

 

ミナ『…うるさい…うるさいうるさいうるさい!!! 私に命令してこないで!! これ以上私の新しい生活を奪わないで!! アンジュなんか…大っ嫌い!!!』

 

(回想終了)

 

アンジュ「…ミナは寝返ってなどいないわ。 エンブリヲに何かされていたのよ」

 

アンジュ「そう…一時的な洗脳とか…。 現に、私が目を覚ますように呼びかけたら、頭を抱えて苦しんでいたもの」

 

ジャスミン「…ミナのことはひとまず置いておくとしてだ…。 ドラゴンとの共闘、考えてみる価値はあるんじゃないのかい?」

 

ジル「…」

 

(作戦会議終了。食堂にて)

 

ヴィヴィアン「…うま~い!」

 

(ノーマ飯を食べているヴィヴィアン)

 

ヴィヴィアン「そういえば、羽と尻尾、私なんでないの?」

 

マギー「バレるから切ったよ」

 

モモカ「それにしても…アンジュリーゼ様、よくご無事で」

 

(後ろにいたモモカの方を向くアンジュ)

 

ヒルダ「…戦場からロストして、帰ってきたら男連れ…アンタがいない間、大変だったんだからな」

 

(アンジュにそう発言しながら、顔を赤くするヒルダ)

 

ロザリー「全くだ。 アルゼナルは壊滅するわ…クリス達は敵になるわ…」

 

アンジュ「そのことだけど…どうしてサリア達がエンブリヲに…」

 

ヒルダ「こっちが聞きてえよ」

 

ロザリー「クリスに関しては…あの時、傍にミナがついていてくれていたから、ミナは何か知ってんじゃないか?」

 

アンジュ「クリスに何かあったの?」

 

ロザリー「…撃たれたんだよ。 あの時、敵兵連中に」

 

(回想。向こうの世界に飛ばされたとき、ミナのある一言を思い出していたアンジュ)

 

ミナ『私も、色々あってクリスの傍についていたんだけど、気がついたらいつの間にかここにいたの』

 

(回想終了)

 

アンジュ「…そんなことが…」

 

??「あの…第一中隊のエース、ヴィヴィアンお姉様ですよね?」

 

ヴィヴィアン「? そうだけど…君達は?」

 

メアリー「やっぱり! お会いできて光栄です! 私、メアリーと言います! こちらはマリカとノンナです」

 

(ヴィヴィアンの周囲に集まっている新米メイルライダーのメアリー、マリカ、ノンナ)

 

ロザリー「ちょ、ちょっとアンタら! 私にはそんなこと一言も…」

 

(そんなやり取りを眺めながら、ジルが司令官に就任した日のことを思い出しているタスク)

 

ジル『私は必ずやエンブリヲを倒し、ノーマを呪われた運命から解放する』

 

タスク「…」

 

エマ「…いいわよねぇ…あなた達は…」

 

アンジュ「!? か、監察官? うわっ、酒くさっ…」

 

(後ろの厨房で酒を飲んでいたエマに気付いたアンジュ。酒臭さで鼻をつまむ)

 

エマ「聞いてよ…。 殺されかけたのよ私…同じ、人間に…」

 

エマ「なのに…司令ってば、私をこの船に乗せてくれたの…。 今までノーマに酷いことしてきた私を…ふええ~ん!」

 

(そう愚痴を垂れてから泣き出したエマに同情顔をしているアンジュ)

 

エマ「あの人だけよ! この世界で信じられる人は」

 

ロザリー「…監察官の言う通り、私達に信じられるのは司令だけだからな」

 

(数時間後…)

 

(シャワールームでシャワーを浴びているアンジュとヒルダ)

 

アンジュ「…」

 

(ガッ!)

 

アンジュ「!? ちょ、ちょっと…ヒルダ!?」

 

(後ろからアンジュの肩を掴んできたヒルダ)

 

ヒルダ「全く、何の連絡もよこさないでさ」

 

アンジュ「仕方ないでしょ…って…あっ///」

 

(後ろからヒルダに腹部を触られ、喘ぎ声を漏らすアンジュ)

 

ヒルダ「…なのにアンタは男なんかと…したの!?」

 

アンジュ「してないわよ!!」

 

ヒルダ「…そっか…おかえり、アンジュ」

 

アンジュ「…ただいま」

 

(回想。自分が子供だった頃、アレクトラだった頃のジルが言っていたある発言を思い出しているタスク)

 

アレクトラ(ジル)『差別のない、笑って過ごせる世界を作ってみせる』

 

タスク「…アレクトラ…」

 

メイ「誰?」

 

メイ「…あ…」

 

タスク「この船、女の子ばかりで居場所がなくてさ…」

 

メイ「そう…」

 

(格納庫にやって来ていたタスクに気付いたメイ)

 

タスク「こんな時間まで整備?」

 

メイ「うん…。 やっと帰ってきたからね、ヴィルキス。 念には念を入れて修理しないとね」

 

メイ「…そういえば…」

 

タスク「?」

 

(整備工具を手に取り、ヴィルキスから降りるメイ)

 

メイ「アンジュが無人島に漂流していたとき、ヴィルキス直してくれたのアナタだよね」

 

タスク「…バレていたのか…」

 

メイ「やっぱり」

 

(その後…)

 

(ジルの命令で、司令室に召集されていたアンジュとタスク)

 

ジル「アンジュ…。 お前に任務を与える」

 

ジル「…ドラゴンと接触。 共同戦線の構築を要求しろ」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

アンジュ「本気…?」

 

ジル「何度も言わせるな。 ドラゴンとの共闘。 それが最も合理的だと判断した」

 

(ジルのその発言を聞いて、お互い見つめ合って笑顔になるアンジュとタスク)

 

ジル「奴らの帰投位置がここだ」

 

(目の前のテーブルに巨大な地図が表示される)

 

ジル「ミスルギ皇国、暁ノ御柱」

 

ジル「…恐らくエンブリヲもここにいる」

 

(巨大な地図が暁ノ御柱の映像に切り替わる)

 

ジル「アンジュ、ドラゴン達にはラグナメイルを誘き出させろ」

 

タスク「…これじゃドラゴンに多大な負担を強いることになるぞ」

 

ジル「陽動とはそういうものだ」

 

(ジルの『ドラゴン達にラグナメイルを誘き出させる』発言に、納得できないと反論するタスク)

 

アンジュ「サリアやミナ達はどうするの? 助けないの?」

 

ジル「持ち主を裏切るような道具はいらん」

 

アンジュ「道具…」

 

(エンブリヲ側に就いたサリアやミナ達のことを道具呼ばわりしたジルに対して、物凄い形相で睨み付けるアンジュ)

 

ジル「…何だその顔は。 ドラゴン共と交戦している間に、アンジュ、お前はエンブリヲを抹殺しろ」

 

タスク「ドラゴンは捨て駒か!?」

 

アンジュ「…こんな最低の作戦…協力できるわけないでしょう!?」

 

ジル「…そうか…。 なら…協力する気にさせてやろう」

 

(脇にあったモニターのスイッチが点き、モモカが縛られている映像が映し出される)

 

アンジュ「…! モモカ!」

 

ジル「あの侍女には悪いが…。 こうなることも予想して、縛らせてもらった」

 

アンジュ「…なんて卑劣な…」

 

ジル「救いたければ、作戦を全て受け入れ、行動しろ!」

 

アンジュ「…!!」

 

(スチャッ!)

 

アンジュ「モモカを解放しなさい!」

 

(ついに切れて、ジルに拳銃を向けるアンジュ。ジルにモモカを解放しろと命令する)

 

ジル「フッ…。 上官への犯行罪だ」

 

(パンッ!)

 

タスク「うわっ!!」

 

(ガッ!)

 

アンジュ「ぐっ!」

 

アンジュ「…が…」

 

(タスクを叩き落として、アンジュの首元を絞めるジル)

 

(ジルの両隣に座っていたジャスミン、マギー、メイ達が一斉に立ち上がり、その様子を見ている)

 

タスク「変わったな、アレクトラ…」

 

アンジュ「くたばれ!」

 

(ペッ!ピチャッ!)

 

(ジルの頬に唾を吐き捨てるアンジュ)

 

ジル「…痛い目に遭わんと分からんか!」

 

(そのとき…)

 

ジル「…うっ…」

 

アンジュ「…何? この匂い…」

 

(匂いの正体は毒ガスだった)

 

タスク「アンジュ!! これを!!」

 

(パシィ!)

 

(アンジュにガスマスクを投げるタスク。それを受け取るアンジュ)

 

ジル「…ガスか…」

 

(その頃、食堂。食事中だったヒルダ、ロザリーらも毒ガスの影響で倒れていた。しかし、ヴィヴィアンだけは平気だった)

 

ヴィヴィアン「…これは…プランB!?」

 

ヒルダ「…う…」

 

(かろうじてまだ意識があったヒルダ。ヴィヴィアンのプランBという用語に反応する)

 

(再び司令室。タスクがアンジュを担いでジルと対峙している)

 

ジル「…ヴィルキスの騎士が…リベルタスの邪魔をするのか!」

 

タスク「俺はヴィルキスの騎士じゃない! アンジュの騎士だ!」

 

(オペレーター達が完全に意識を失っているのを確認してから、操縦席に座るタスク)

 

タスク「浮上開始」

 

(その頃…アウローラ上空の海上)

 

エルシャ「…! ソナーに反応有り」

 

サリア「急行する」

 

(アンジュ達を捕らえるため、ちょうど近くまで偵察に来ていたサリア達。浮上してきたアウローラに気付く)

 

(その頃、格納庫に向かいながら、アウローラの廊下を走っていたアンジュ、タスク、ヴィヴィアン。モモカもいつの間にか救出され、一緒にいる)

 

アンジュ「海面に出たらすぐパラメイルで脱出するわ」

 

アンジュ「…!」

 

(格納庫に辿り着くが、待ち構えていたジルに気付くアンジュら)

 

ジル「…また敵前逃亡か…」

 

(膝にナイフが刺さっていて、血が流れているのを確認するアンジュ達。どうやら、ナイフで膝を刺し、激痛で毒ガスの麻痺作用から逃れた模様)

 

ジル「道具に意志などいらん!」

 

アンジュ「…だから私は貴女の道具じゃない!」

 

(膝に刺さっていたナイフを抜いて、ナイフを突きつけてアンジュと敵対するジル)

 

ジル「命令に従え、司令官は私だ」

 

アンジュ「…人間としてはクズよ!」

 

アンジュ「…サラ子は、人質なんて卑怯な真似しなかったわ!」

 

アンジュ「…勝負しましょう。 貴女が勝ったら言うことを聞いてあげる」

 

ジル「…いいだろう!」

 

(数分後…)

 

アンジュ「私がやるわ、リベルタスを」

 

(ジルとの勝負に勝ち、ヴィルキスに搭乗しているアンジュ。かなり後ろの方で血を流し、地面に倒れ込んでいるジル)

 

アンジュ「ジャスミン。 あとは基地のみんなをお願いできる?」

 

ジャスミン「…ああ。 任せときな」

 

(ジャスミンに基地に取り残されたヒルダ達のことを頼み込むアンジュ。それに笑みを浮かべ、了承するジャスミン)

 

(アンジュ、ヴィヴィアン、タスクらそれぞれアウローラを出撃。モモカもタスク機の後ろに乗っている)

 

アンジュ「タスク、撃って! ピンチにならないとヴィルキスは飛べないんだから!!」

 

タスク「え?」

 

タスク「…わ、分かった!」

 

ヴィヴィアン「…! アンジュ! 上!」

 

アンジュ「…え…?」

 

(ヴィヴィアンのその一言で、アンジュ達のことを捕らえに来たサリア達に気付くアンジュ)

 

サリア「ここにいたのね、アンジュ」

 

ミナ「…やっと…見つけた…。 アンジュリーゼ」

 

アンジュ「その声…ミナ?」

 

ミナ「今から貴女を…私の手で拘束する!」

 

アンジュ「!?」

 

To be continue…。

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