クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完) 作:森島響
(アウローラに帰還していたアンジュ達)
ロザリー「アンジュ!! どこほっつき歩いてやがったんだ!!」
ミナ「…私もいるんだけどなー…」
エマ「アンジュ…私も、リベルタスに参加します。 酒なんか飲んでる場合じゃないもの」
ヴィヴィアン「アンジュ達がいなかった間にね。 エルシャ帰って来たの。 目が覚めたって言ってた」
(ほんの一瞬だったがエンブリヲに利用され、完全に目が覚めたエマ。自分達がいなかった間にアウローラに戻ってきたエルシャのことをヴィヴィアンに聞かされ、エルシャの方を見るアンジュ達)
サラ「何も知らないのはあなた方だけですよ、アンジュ」
ミナ「サラさん。 ナーガさんとカナメさんも」
サラ「お久しぶりですね、ミナさん」
ミナ「…あの…あの時は…裏切ってしまって…本当にごめんなさい!!」
サラ「…ああ…もういいのですよ。 貴女もエンブリヲに利用されていただけなのですから」
(サラ達に、こちら側の世界に戻って来た時、一時的に洗脳されていた影響でサラ達を危機に陥らせたことを謝罪するミナ)
サラ「アンジュ…共に戦う時が来たのですね」
アンジュ「サラ子…」
アンジュ「…私はあの変態男に世間を好き勝手にされたくないだけよ」
ミナ「変態男って…。 まぁ、間違ってはないけど…」
リィザ「…アンジュリーゼ…様」
アンジュ「リィザ…」
(サラ達の後ろにいたリィザ。再会できて嬉しそうな顔をしている)
(皆と再会した後、ジルがいる部屋にいたアンジュ、ミナ、ヒルダ)
ジル「…久しぶりだな。暫く見ない間にイメチェンでもしたか?」
(髪が伸びていたアンジュを見て、イメチェンでもしたのかと聞いてくるジル)
アンジュ「色々あったのよ」
アンジュ「…それより…」
ジル「何だ?」
アンジュ「…エンブリヲの殺し方、教えて」
アンジュ「言ったわよね、ヴィルキスじゃなければ、エンブリヲは殺せないって」
ジル「…不確定世界のどこかに奴の本体がある」
ミナ「不確定世界? それって、ナオミさんが言ってた…」
アンジュ「ナオミ? どういうこと、ミナ?」
ミナ「あ…まだ話してなかったよね。 アンジュ達に、何で私の洗脳が急に解けたのかっていうこと…」
私は、エンブリヲの強力な洗脳を解いてもらったナオミさんから聞いた、ナオミさん自身が別の世界で体験したという全ての出来事をアンジュ達に話した。
アンジュ…サリア…ヒルダ…ロザリー…クリス…エルシャ…ヴィヴィアン…。何度もループして、アンジュと共にエンブリヲを倒し、全てのルートを攻略していたということ。
最後にループした世界では、エンブリヲに就く側を選択して、その結果…次元融合が成立してしまい、この世界とは全く関係のないパラレルワールドが出来上がってしまったことなどを…。
アンジュ「…ナオミ…って確か、更衣室のロッカーに血まみれで入っていたあのライダースーツの持ち主…よね。 戦死したとは聞いていたけど…」
ジル「…何にせよ、奴…エンブリヲは何度殺しても生き返る」
ジル「だが、そのナオミというメイルライダーも言っていたように、その不確定世界のどこかに奴の本体があるんだ。 それを見つければ全て解決する」
アンジュ「アンタはどうするの?」
ジル「…司令官はヒルダに譲った」
アンジュ「…それで本当にいいの?」
ジル「…何?」
アンジュ「私を逃がしてくれたのはサリアよ。 貴女を忘れるため、エンブリヲに入れ込んじゃって」
ジル「…」
アンジュ「責任ないとは言わせないわよ。 アレクトラ・マリア・フォン・レーヴェンヘルツ」
ミナ「…アンジュ…」
(ジルの部屋を出た帰り道の廊下にて…)
ヒルダ「…やっぱ違うんだな」
ヒルダ「生まれながらのリーダーってのは…司令官、アンタがやりなよ」
ミナ「…? ヒルダ?」
アンジュ「…言いたいことがあるなら、言いなさい?」
(ヒルダの両頬に手をかけるアンジュ。ヒルダ、頬を染める)
ヒルダ「…アンジュ…貴女は私の王子様なんだ」
ヒルダ「…でもアンタには男もいて…」
(そう言いながら、突然涙を流すヒルダ)
ヒルダ「あれ…? 何泣いてんだろ、私…変だよな? 世界が終わろうって時に…」
ミナ「…ってアンジュ!?」
(ミナの制止を遮って、ミナの目の前でヒルダと口付けを交わすアンジュ)
ヒルダ「…んっ…///」
アンジュ「…ん…」
ヒルダ「…ぷはっ///」
アンジュ「…変って誰が言ったの? そういう世界をぶっ壊すんでしょ?」
アンジュ「新しい世界には貴女もいてくれないと困るわ」
ヒルダ「…アンジュ…」
(その頃…)
(ミスルギ皇国の大広間の書庫にいたエンブリヲ。ミスルギ皇国の外では大混乱が発生している)
エンブリヲ「サリア。 そこにいるね?」
サリア「はい」
エンブリヲ「命令する。 時空融合が完成するまで、アウラを守ってくれ」
サリア「…はい!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(サラ達が出撃していた頃の、もう一つの地球。雲行きが怪しくなり、ドラゴン達が騒がしくしている)
大巫女「…始まったのですね。 時空融合が」
大巫女「…サラ…」
(その頃…)
アンジュ「…迫害されてきた私達が、世界を守るために一緒に戦うなんて痛快じゃない?」
アンジュ「…戦いましょう、生きるために」
(アウローラの格納庫。出撃準備に入っていたアンジュ達)
ミナ「…なんか、それ皮肉に聞こえるよアンジュ」
アンジュ「…確かにそうね。 そういえば、貴女はノーマじゃなかったわよね。 ミナって、時々そうやって遠回しに毒吐くから怖いわ」
ミナ「最高の褒め言葉だよ」
アンジュ「褒めてないんだけど…」
アンジュ「…作戦名、ラストリベルタス。 殺して、勝って、生きるわよ」
ミナ「…うん」
アンジュ「…そういえば、貴女、その機体は…? 何か、見覚えがある機体だけど…」
ミナ「ああ…。 ヴィルキスだよ。 ナオミさんが別れ際に、こっちの世界のアウローラの格納庫の片隅に転送しておくって言ってたから…」
アンジュ「…ってことは、ナオミが生きていた世界では、私の機体のほかにもう一体ヴィルキスがあったってことかしら?」
ミナ「そうかもしれない。 何度も同じ世界をループした、と言っていたし…」
アンジュとそんなやり取りしながら、心の中で私は勝手にこう解釈した。アンジュにしか扱えないこの特別な機体をナオミさんが私にプレゼントしてくれたのは、恐らくそれほどエンブリヲが強大な敵ということなんだろう、と。
ナオミさんの本心は成仏してしまった今となっては、もう知りようがないのもあり、そう思うことにして私は覚悟を決めた。
ジャスミン「私の奢りだ!! 全弾発射!」
(アウローラ司令室。オペレーター達に指示をする新艦長に就任したジャスミン。オペレーター席には、エンブリヲの所から戻って来たエルシャの姿が)
(後ろには同じくエンブリヲの所から戻って来たリィザの姿があった。ジャスミンの操縦で、海上に浮上し、そのまま上空に飛び立つアウローラ)
(それをミスルギ皇国の監視モニターで観賞していたエンブリヲ、サリアとクリス)
エンブリヲ「強行突破か…乱暴なことだ」
(場面はアウローラ格納庫に戻り…)
アンジュ「パラメイル隊、出撃」
(アンジュのその一声で、一斉に出撃し、敵陣を一掃していくパラメイル全機。アンジュのヴィルキスのみ、赤色に変色している)
エンブリヲ「…アンジュ…!?」
サリア「エンブリヲ様…?」
クリス「エンブリヲ君…?」
エンブリヲ「…いや…なんでもない。 私達も出るとしよう」
(アンジュのヴィルキスを見て、気難しそうな表情を浮かべたエンブリヲ。心配そうに見つめてきたサリアとクリスになんでもないと告げ、二人に共に出撃すると告げる)
オリビエ「…艦長! 敵影!」
ジャスミン「…エンブリヲ…」
(アウローラ司令室のモニターにエンブリヲのラグナメイル、ヒステリカが出撃してきた姿が確認され、気を引き締めるジャスミン)
エンブリヲ「沈みたまえ、旧き世界と共に」
エンブリヲ「~~~♪♪」
(『永遠語り』を歌い始め、収斂時空砲を放ってきたエンブリヲのラグナメイル)
(バチィッ!)
(しかし、アンジュのヴィルキスもそれに応戦するかのように、『永遠語り』を歌わずに時空砲を発射。ヒステリカの時空砲をガードする)
ジャスミン「アンジュ…!!」
エルシャ「N式冷線破壊砲、撃ちます」
(エルシャのその一言で、暁ノ御柱に“N式冷線破壊砲”が撃ち込まれ、見事直撃)
「うわあああああ!!」
(ドオオオオン!!)
(ミスルギ皇国の一般国民達が逃げる中、砲撃の直撃で倒れた暁ノ御柱。大きな隠し穴が顔を覗かせる)
アンジュ「全機、我に続け!!」
ナーガ・カナメ「「姫様はアウラを!」」
サラ「ええ!」
(ナーガとカナメの援護が入り、アンジュと一緒にアウラ奪還に向かうサラ)
(そんな中…)
(アンジュ達主力部隊と離れ、ミスルギ皇国住宅街を飛んでいたヒルダとロザリーのパラメイル)
ロザリー「…ヒルダ!」
ヒルダ「ああ…行きな、ロザリー!」
ロザリー「クリス! テメーだけは私が!!」
(バチィッ!)
クリス「待ってたよ…裏切り者が」
(目の前を飛んできたクリスのテオドーラを確認し、ヒルダの一声でテオドーラに攻撃を仕掛けるロザリーのパラメイル。しかし、バリアであっさり防がれる)
(ヒルダ達がクリスと戦っていた同時刻)
サリア「待ってたわよ、アンジュ」
ミナ「…残念だけど…アンジュは皇宮に向かったよ」
サリア「!? その声…ミナ!? その機体…確かにアンジュのヴィルキスのはず…なんで貴女がそれを!?」
ミナ「…それは…貴女が目を覚ましたら全て話してあげる…」
ミナ「悪いけど…アンジュの元には…行かせない!!」
アンジュと同じ色のヴィルキスに搭乗していた私に驚くサリア。私は、エンブリヲの洗脳から完全に目を覚ましたら、全て事情を教えると約束し、サリアのクレオパトラに攻撃を仕掛けていった。
(その頃、アウローラ格納庫では…)
(ドーン!)
ジル「危ない!!」
メイ「キャッ!!」
(敵艦の攻撃が直撃しそうになったメイを間一髪で助けるジル。いつもの司令官の服装ではなく、過去に身に着けていたライダースーツを着用している)
メイ「…ジル…その姿は…!」
ジル「ああ…。 すまなかったな。 腑抜けた姿を見せてしまって」
ジル「…行ってくる、私達のリベルタスを終わらせに」
(エルシャが搭乗していたラグナメイル、レイジアに代わりに搭乗しているジル。通信でジャスミンにそう告げ、一層操縦ハンドルを回すジャスミン)
マギー「…ジル…私はアンタを許しちゃいない! だから、帰ってきたらちゃんと愚痴に付き合いな」
ジル「…ああ…約束する」
「…出撃!!」
ヴィヴィアン「…この声…司令!!」
(新たにアウローラ格納庫から出撃してきたラグナメイルの姿を確認し、ジルだと認識したヴィヴィアン)
(ジルが出遅れて最終決戦に出撃してきた頃…)
「シルヴィア様!! 俺達を助けてください」
シルヴィア「…あ…ああ…」
(車椅子から倒れたまま、皇宮の廊下に座り込んでいたシルヴィア。そこにやって来た一般国民達が持っていた武器を見て、怯え始める)
「怖がってないで、なんとかしてくださいよ」
(ドーン!!)
「!?」
シルヴィア「お…お姉様!!!」
アンジュ「…シルヴィア!?」
(皇宮の分厚い壁をぶち破って侵入してきたアンジュのヴィルキス。シルヴィア、即アンジュの姿を確認する。同じくシルヴィアの姿を確認したアンジュ)
アンジュ「…!」
「あ…アンジュリーゼだ!!」
「私達を助けてくれ」
「民を救うのが皇室の使命でしょ」
「俺達が死んでもいいって言うのか」
(武器を持った一般人達の姿を確認し、ゴミを見るような目付きで睨み付けるアンジュ)
(ガウンッ!)
(ブシャッ!ドサッ…ドササッ…)
アンジュ「構わないわ、全然」
(容赦なく、一般人達を射殺したアンジュ。全員、血を大量に噴射して死亡して倒れていく)
シルヴィア「あ…あああ…」
(ジワ~…)
(容赦なく一般人達を射殺したアンジュを見て、あまりの恐怖でお漏らししてしまったシルヴィア)
アンジュ「貴女もとっとと逃げるのね」
シルヴィア「…私に馴れ馴れしく命令しないで!!」
アンジュ「そうね。 私はノーマ。 あなた達人間の敵」
アンジュ「…でもね…」
シルヴィア「…?」
アンジュ「宮廷医師が言ってたわ。 貴女の怪我、完全に治ってるって。 立とうとしないから立てないだけ」
シルヴィア「え…? そ…そんな冗談…誰が…」
(スチャッ!)
(ガウンッ!)
(チュン!)
シルヴィア「キャアアア!!!」
シルヴィア「…あ…」
(一向に立って逃げようとしないため、銃を狙撃してきたアンジュから逃げるシルヴィア。そのとき、アンジュの言葉通り、しっかり立てていることを確認する)
アンジュ「戦いなさい、一人で生きていくために」
シルヴィア「…」
アンジュ「…もう会うことはないわ。 さようなら、たった一人の…私の妹」
(シルヴィアにそう別れの言葉を言い残し、再びヴィルキスに乗り込み、皇宮を後にするアンジュ)
(その頃…)
サリア「いい加減そこをどきなさい、ミナ!」
ミナ「…言ったよね? アンジュの元には行かせない…って!」
(ガキィン!)
(サリアのラグナメイルと剣を交えるミナのヴィルキス)
ミナ「…思えば…エンブリヲに洗脳されたのは…貴女を見捨ててアンジュ達と向こう側の世界に行っちゃった、貴女の恋人でもある私の責任でもあるの」
ミナ「だから…私がアンジュの代わりに…貴女の目を覚まさせてあげる!」
サリア「…そう…じゃ…これで心置きなく死ねるわね!!」
(ガキィン!)
サリア「!?」
ミナ「!?」
(見覚えのあるラグナメイルがサリアのラグナメイルに攻撃を仕掛けてきた。驚きの表情を浮かべるサリアとミナ)
ジル「…エンブリヲの騎士と言うから、どれほど強くなったと思ったが…」
ミナ「…その声…まさか…」
ジル「…期待外れだな、サリア」
サリア「…ジル…!!」
To be continued…。