クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完) 作:森島響
ミスルギ皇国にてアウラを奪還し、アウローラに帰還していた私達。ヒルダ達やサラさん達、サリアやクリスも戻って来てこちら側に一緒にいた。
しかし…ジル司令が死んでしまった。エンブリヲが操るヒステリカのビーム攻撃に急所を貫かれたのが原因だった。
アンジュはエンブリヲに連れ攫われ、どこかに姿を消してしまった上に、ジル司令まで失って、私はこれからどうすればよいのか、頭が混乱していた。そのときだった。
??『時間と空間の狭間、虚数の海、エンブリヲはそこにいます』
ヒルダ「!? 誰だ!?」
ミナ「…この声…前に私が洗脳されていた時にも聞いたことが…」
サラ「…アウラ!?」
ミナ「アウラ…? この声が?」
(ミナ達がアウラと対話していた頃…)
アンジュ「ここは…」
エンブリヲ「アルゼナルだよ。 オリジナルのね」
(急に姿を消したアンジュは、エンブリヲと共にオリジナルのアルゼナルがある世界にいた)
エンブリヲ「おいでアンジュ。 新世界の誕生を鑑賞しよう」
アンジュ「…!」
(手を差し伸べてきたエンブリヲから離れるアンジュ)
エンブリヲ「…少し昔話をしようか」
エンブリヲ「私はここで多くの物を発見し、生み出した」
エンブリヲ「別世界への進出は、新たな大航海時代の幕開けとなる」
エンブリヲ「だが、システムが暴走。 この島は時空の狭間に閉じ込められた。 ここは、時が止まった世界」
エンブリヲ「新たな地球を用意し、人間を作り直したんだ」
エンブリヲ「残念ながらマナによる高度情報化社会は失敗したが、君だけは違った」
エンブリヲ「私に相応しく強く賢い女。 イレギュラーから生まれた天使」
(…パーン!)
アンジュ「あっ!!」
(突然近付いて来てエンブリヲに頬を引っ叩かれ、後ろに倒れるアンジュ)
エンブリヲ「これからは二人っきりなんだよ、永遠にここで」
(再びアウローラサイドに場面は戻り…)
ヒルダ「時空の狭間? んなとこどうやって行けばいいんだよ」
アウラ『ヴィルキス…ああ!! 時間がありません、早く!!』
ミナ「ヴィルキス!? それなら私が今乗ってるパラメイルもヴィルキスだけど…」
アウラ『…ミナさん、と言いましたね』
アウラ『…残念ですが、貴女のヴィルキスではあの指輪がないと本来の性能を発揮できません』
ミナ「…そんな…」
タスク「他にヴィルキスを使えるのはアンジュだけだ…」
アウラ『いいえ、強き意志、人の想いに応えてくれるはずです』
ミナ「…それってつまり…強き意志を持っていればアンジュのヴィルキスは、誰でも乗れるってこと…?」
アウラ『…そうなります』
ヒルダ「…タスク、アンタがやりな。 アンジュとはアンタが一番強く繋がってるんだ」
(ヒルダのその発言に頷くタスク)
ミナ「タスク、私も一緒に乗せていって!」
タスク「…ミナ…」
ミナ「一緒にアンジュの傍にいながら、またアンジュを助けられなかった…。 だから、私にも十分責任があるの! お願い!」
タスク「…分かった」
(数時間後)
(アンジュのヴィルキスに乗っていたタスクとミナ)
リィザ「時空融合…来ます!」
(モニターで時空融合の波形をキャッチしていたリィザ)
(その瞬間、タスクが持っていたアンジュの指輪が光り出した)
ミナ「! タスク!」
タスク「ああ! 聞こえた! アンジュの声が!」
ヒルダ「…じゃ、ちょっくら行ってくる」
ロザリー・クリス「「…ヒルダ…」」
ヒルダ「そんな顔すんなって。 ちゃんと無事にアンジュ連れ戻して戻って来るからさ」
エルシャ「サリアちゃん、必ず帰ってきて」
サリア「…分かってるわよ」
(タスクやミナの他に、サリアとヒルダも同行する模様。指揮するのはもちろんサラだった)
タスク「準備はできてる。 サラマンディーネさん!」
サラ「出撃!!」
(サラのその一言で、指輪の力で別次元に飛ばされたタスク、ミナ、サリア、ヒルダ達)
(数時間後)
(アンジュがいる別世界の位置を特定し、別世界に突入したサラ達)
タスク「アンジュー!」
ミナ「アンジュ!!」
エンブリヲ「!? 何!?」
アンジュ「タスク!? それにミナまで!?」
(救助にやって来たタスクとミナに気付いたアンジュ)
アンジュ「…ありがとう、来てくれて」
タスク「…返すって約束したしね」
ミナ「!? そ、それ…パ、パンツじゃ…」
(タスクがポケットから出したパンツに頬を染めるミナ。どうやらアンジュがタスクに渡していた物らしい)
(ヴィルキスに搭乗したアンジュ。衣裳もヴィルキスの力で別の物にチェンジする)
アンジュ「皆、時空を操っているのはあのラグナメイルよ。 私、ジルが撃たれた時の光景をよく見ていたの」
(ジルがエンブリヲのヒステリカが放ったビーム攻撃にやられた時のことを思い返していたアンジュ)
タスク「両方倒さない限り」
サラ「世界を守れないということですね」
エンブリヲ「許さんぞ、貴様だけは!」
タスク「それは、コッチの台詞だ!!」
(再びエンブリヲと剣技を交えているタスク)
サラ「恥ずかしい男ですね、調律者」
アンジュ「私は、誰の思い通りにもならない」
サリア「私だって…。 もう誰の支配も受けない」
ヒルダ・サリア「「食らええええ!!!」」
(二人がかりでWツインテールアタックをエンブリヲのラグナメイルに放つサリア機とヒルダ機)
エンブリヲ「…私に支配されることの何が不満というのだ」
アンジュ「人間だからよ!!」
アンジュ「…今なら分かるわ。 なぜノーマが生まれたのか…。 人間は、貴方なんかに操作されないという遺伝子の意志」
ミナ「…アンジュ。 その先は私が話すよ」
ミナ「…なぜノーマが女だけだったのか。愛する人と子を成し、貴方の世界を否定するため」
エンブリヲ「千年の中から選んでやったのに!!」
アンジュ「…キモい髪型でニヤニヤしてて」
ミナ「服のセンスも無くて、いつも斜めに構えてる恥知らずのナルシスト!!」
アンジュ「千年引きこもりの変態オヤジの遺伝子なんて…」
アンジュ・ミナ「「生理的にムリ!!!」」
タスク「父と母と、仲間の無念!!」
(ズバッ!!)
エンブリヲ「ぐあああああ!!!」
(タスクに剣で一刀両断されたエンブリヲ)
アンジュ「私を抱こうなんて、100万年早いわ!!」
(ドオオオン!!)
(アンジュのヴィルキスが振り下ろしたソードで一刀両断されたエンブリヲのヒステリカ。一刀両断された衝撃で爆発する)
(それから…)
ミナ「…」
(バサッ…)
(ナオミに頼まれたライダースーツを処分するため、海に放り投げたミナ)
ミナ《エンブリヲを倒し、アンジュ達と共に無事に元の偽りの地球に戻って来ていた私。 全ての戦いが終わって数年の月日が流れていた》
ミナ《あの後、アンジュ達は、サラさん達と一緒にもう一つの地球に移住して行った。 でも、私だけは一人こちら側の世界に残った》
ミナ《…なぜって? 実は、元いた世界に帰れる手がかりを探すために世界を旅して回りたかったからだ》
ミナ《忘れてる人もいるかもしれないけど、私はそもそも、こちらの世界の住人じゃないよそ者の人間で、女に転生した元“男”。 これ以上、私自身の問題にまでアンジュ達を巻き込むわけにはいかない》
ミナ《…それと、サリアとの恋愛関係についてだけど…。 いつの間にか関係は自然消滅してしまっていた。 でも、それでよかったのかもしれない。 そもそも、女同士で結ばれるなど本来イケないことなのだから…》
ミナ《…ちなみに今は、ローゼンブルム王国という国にいるんだけど…。 一向に手がかりが見つかる気配は感じられていない》
ミナ《…まあ、できれば、このまま何も手がかりが見つからずに、こっちの世界に一生残ってもいいかな…なんて甘い考えも出てきていた。 私は、エンブリヲとの戦いから戻って来た時に、アンジュが言っていた発言を思い出していた》
(元の世界に戻って来た時に、アンジュが言っていた発言を思い出していたミナ)
アンジュ「自分達の力で生きていかなければ、のたれ死ぬだけよ」
ミナ《…そういえば、アンジュ達は、向こう側の世界でうまくやってるのかな…》
私は、“青年から少女に転生した者”。これは、私が体験した物語。私は、今日も一人、元の世界に戻る手がかりを探しながらこの世界を回る旅を続けている。
-----完-----
ついに完結です。最後まで、ご愛読ありがとうございました。
できたら、この先、新たにオリジナル展開で続きも書こうと思っていますが、いつになるかは分かりません。
とりあえず、もう一度。最後まで、ご愛読、本当にありがとうございました。