※この作品はR-18です。

クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完)   作:森島響

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第6話『ヴィルキス覚醒』

アンジュ「これは?」

 

ジル「ヴィルキス。 これがお前の機体だ。 いつ落ちるか分からないポンコツだ。 死にたい奴にはうってつけだろ」

 

アンジュ「これに乗って…死ねるのですね」

 

 ゾーラさん達を殺したあのドラゴンが再び現れたと聞いて、再度出撃しようとしていた私達が連れて来られた先にあった物は、ヴィルキスという、何だか訳ありで特別らしいパラメイルが置かれた場所だった。

 

ミナ「あの…隣にももう一体同じ色の機体があるのは、もしかして…」

 

ジル「もちろんお前専用だ。 最もそっちのヴィルキスは性能が同じなだけのレプリカだがな」

 

ミナ「でも…あんなことがあったばかりなのに…私達は…また…」

 

 私は、ゾーラさん達を目の前で殺してしまったことがトラウマになっていて、足の震えが再び起こってしまった。

 

ジル「前にも言ったが、ゾーラ達を殺したのはお前のせいじゃない。 だから躊躇う必要などない」

 

サリア「あの…ジル」

 

ジル「何だ、サリア?」

 

サリア「この機体には、本当だったら私が乗る予定だったのよ! なのに、何でこの二人に…」

 

ジル「その方がこいつの…ヴィルキスのためだと判断したからだ」

 

サリア「な…!?」

 

ジル「言いたいことは分かるが、頼むから我慢してくれ」

 

サリア「……」

 

 私達と一緒にいたサリアさんが、本来だったら彼女が乗る予定だったらしいこの機体を私達みたいな新人に乗せることが不満だったようで、ジル司令に抗議したがあっさり論破され黙り込んでしまった。

 

ジル「…で、結局お前は乗りたくないのか? そっちの皇女は死にたくて乗る気満々のようだが、嫌なら無理に乗らなくてもいいんだぞ」

 

ミナ「…いいえ、乗ります…乗らせてください…。 私みたいな臆病者でも、何かやれることがあるのなら…」

 

ジル「そうか。 なら早く準備をしろ。 ドラゴンが迫っている」

 

 アンジュさんと私は、それぞれ二体のヴィルキスに搭乗した。しかし、やはり乗るのが怖い。

 いくらゾーラさん達を見殺しにしたのが私の責任じゃないと言っても…あのとき、見ていることしかできなかった私にとって、このような特別な機体に乗っていいものなのか、未だに躊躇いを感じていた。

 

サリア「出撃!」

 

 第一中隊メンバー全員が揃い、一斉に出撃した。言い忘れていたが、前回のドラゴン退治でゾーラさんが戦死して隊長位が空白になっていたので、サリアさんが新隊長に任命されたのだ。

 

ロザリー「姉さんを殺した奴…殺す」

 

ヒルダ「見せてもらおうじゃないか。 イタ姫様の死にっぷりをさ」

 

 ヒルダさんだけじゃなく、ロザリーさんとクリスさんもゾーラさんを慕っていたらしい。だから、アンジュさんの方を睨みながら殺意を剥き出しにしていた。

 

ヴィヴィアン「なんじゃあの機体」

 

サリア「よそ見しない! 駆逐形態!」

 

 アンジュさんと私が乗っていたヴィルキスを珍しそうに眺めていたヴィヴィアンさん。それを注意され、駆逐形態と命令する新隊長のサリアさん。

 

(ドラゴン、見たことがない謎の攻撃を仕掛けてくる)

 

サリア「こんな攻撃…過去のデータにない…」

 

 全く見たことがない謎の攻撃をしてきたドラゴンに混乱していたサリアさん。その傍でエルシャさんがサリアさんに向かって何か訴えていたが、私はよく聞き取れなかった。

 

サリア「どうすれば…」

 

 そのときだった。一体のドラゴンがサリアさんの機体目がけて飛んできたのだ。流石にヤバいと感じて、サリアさんが機体から顔を出し、ライフルをドラゴンに向けようとしていたがとても間に合いそうになかった。

 

アンジュ「もうすぐ…もうすぐさよならできる」

 

 私の傍を飛んでいたアンジュさんがそう呟いた矢先、サリアさんを狙っていたドラゴンがアンジュさんの方に向かって飛んできた。

 

 私はそんなアンジュさんを守ろうと攻撃しようとしたが、怖くて攻撃を躊躇ってしまった。それに、失敗したら今度は私が狙われるのは確実だったから…。

 

 しかし、その心配は不要だった。なぜなら、アンジュさんの機体は死ぬのを恐れたのかドラゴンの攻撃を上手く交わしたからだ。

 

アンジュ「…ちゃんと…死ななくちゃ…」

 

 その直後、要望通りドラゴンに機体ごと鷲掴みにされたアンジュさん。しかし、それでもやはり私は恐怖のあまり、ついには失禁してしまった。

 

(同じく、アンジュもミナ同様、失禁していた)

 

 そのときだった。アンジュさんが叫びだした途端、アンジュさんが身に付けていた指輪が急に光りだしたのだ。

 

 それと同時に、アンジュさんのヴィルキスと、私のレプリカも一緒に変形して一体のロボットに化けたのだ。

 

ミナ「アンジュさん…! こ、これは…?私達、一体…?」

 

アンジュ「死にたくない…死にたくない…」

 

 そんな私の疑問などアンジュさんは聞こえていないのか、あれほど死にたがっていたのに結局死ぬのを躊躇っていた。

 

アンジュ「お前が…死ねぇぇ!!」

 

(アンジュのヴィルキス、複数のドラゴンを一斉に撃破。 同時にミナのレプリカの方もその動きに合わせるようにドラゴンを撃破)

 

 アンジュさんと私の二体のヴィルキスが次々とドラゴンを殲滅していく様子を驚いた表情で眺めていたサリアさん達。

 それより、また私は何も行動する気など怖くて起きなかったのに、勝手にアンジュさんの動きに合わせていて、結局これは本当に何なんだと更に謎を深まらせてしまっていた。

 

アンジュ「こんなの…私じゃない…殺しても生きたいなんて…」

 

(ドラゴン退治完了。 その様子を司令室で微笑ましそうに眺めていたジル)

 

(ドラゴン退治終了後、ゾーラ達の墓の前にいたアンジュ)

 

アンジュ「さようならお父様、シルヴィア。 私には何もない。 もう何もいらない。 名前も、過去も」

 

(アンジュ、髪を短く断髪)

 

アンジュ「貴女達のように簡単に死なない」

 

アンジュ「私は生きる。 殺して、生きる」

 

(断髪して、新たに決意を固めたアンジュ)

 

―――――その日の夜―――――

 

(アンジュ、寝室にてゴミ箱に捨てていたココから貰ったプリンを手にとって食べる)

 

アンジュ「まずい…」

 

To be continue…。

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