クロスアンジュ-青年から少女に転生した者-(完) 作:森島響
ジル「三度の出撃でこの撃墜数。誰もまともに動かせなかった機体をこうも簡単に…」
(司令室で、アンジュとミナがあっさりヴィルキスを乗りこなしていたデータを見ていたジル司令官。 それをサリア、マギー、メイ、ジャスミンとそのペットのバルカンが眺めている)
ジル「始めるとしよう、リベルタスを」
サリア「ミナはまだ大丈夫だと思うけど…すぐ死ぬわ、あの子達」
(あくまでまだ新人扱いのアンジュとミナが、下手したら死ぬことを心配するサリア。 また、三度目の出撃時、アンジュがヒルダ、ロザリー、クリスの機体にドラゴン狩りを妨害されていたことを思い出すサリア)
サリア「私ならもっとうまくヴィルキスを使いこなす!」
ジル「適材適所ってやつだ」
サリア「どうして…」
ジル「お前はお前の使命を果たすんだ」
(ジルに自分ならもっとヴィルキスを使いこなすと自信満々に主張するも、あっさり却下されて悔しそうな表情を浮かべるサリア)
―――――数時間後、四度目の任務終了後―――――
(第一中隊メンバー達、その日の報酬を受け取り中)
ロザリー「っち、これっぽっちか」
(あまりにも少ない額の報酬に残念がっているヒルダ、ロザリーとクリス。 一方アンジュの報酬は大金だった)
ヴィヴィアン「アンジュやるぅぅ」
(その大金を見て関心するヴィヴィアンと嬉しそうに微笑むエルシャ)
ミナ「アンジュは今日もすごいなぁ…それに比べて私は…」
(アンジュとは対照的に、ヒルダ達と同じ額しかない報酬に落ち込むミナ)
―――――更衣室―――――
(アンジュの服がビリビリに破かれていて、驚くアンジュ)
ミナ「うわぁ…一体誰が…」
わざとらしく、すっとぼけた発言してみた。なぜかというと、犯人は誰なのか分かっていたから。
(少し離れた場所でニヤついていたヒルダ、ロザリー、クリス。 この嫌がらせに対して注意するサリア)
ミナ「!?アンジュ!」
そのときだった。アンジュが片手に刃物を持ちながら、ロザリーの胸元を切り付けたのだ。私は呼び止めたが、当然聞こえているはずもなかった。
ロザリー「きゃあああ!こ、この野郎…///」
(パックリ割れたライダースーツの胸元からチラリと胸が丸見えになり、悲鳴を上げるロザリー)
(何事もなかったようにビリビリの服を身に付けながら、更衣室から出て行くアンジュ)
(自分の父親と電話している監察官のエマ。 その前を破廉恥な恰好で通り過ぎていくアンジュを見て、飲んでいたコーヒーを吹き出す)
エマ「貴女、その恰好は何? 秩序を乱す服装は慎みなさい」
エマ「まったく…そんな破廉恥な恰好して恥ずかしいと思わないの」
アンジュ「監察官殿は、虫に裸を見られて恥ずかしいと思いますか?」
(あっさり論破されて、気難しそうな表情をするエマ。 そのエマに敬礼するアンジュ)
クリス「ロザリー、大丈夫?」
ロザリー「ああ…。あのアマ…もっと徹底的にやんねえと」
(ライダースーツから通常の服に着替え直したロザリー。 その隣で何か考え事をしているヒルダ)
ミナ「ねぇ…止めようよイジメなんて。 ろくな事になりゃしないんだから」
ロザリー「はぁ? お前、あいつの味方してんのかよ?」
クリス「それより…アンタ、いつの間にか私達に溜め口で話してるよね。 一体どんな心境の変化があったのよ?」
ミナ「え? サリアが『これからは私達のことは呼び捨てで気軽に話しても大丈夫』って言っていたから…」
私は昨日、洗濯場でサリアに言われたことをロザリー達に説明した。
ロザリー「ふ~ん…そういうことなら別にいいけどさ。 何か、妙にオドオドしていた口調がイマイチ慣れなかったし、そっちの方が親しみやすくていいや」
クリス「でも、急にそうやって外見変えてこられると、かえって何か裏があるんじゃないかと疑いたくなるよね…まさかアンタ、あのイタ姫様とグル!?」
ミナ「ち、違うよ。 もしそうだったら、さっきアンジュがロザリーに切りかかったとき、驚いて呼び止めていなかったよ」
ロザリー「…ま、それもそうか。疑って悪かったな」
どうやら疑いが晴れたようで私は少し安心した。完全に安心したとは言い切れないけど。
―――――数時間後―――――
(アンジュがシミュレーター訓練中、近くに置いてあったペットボトルの水の中に下剤を仕込むロザリーとクリス)
(訓練を終え、その水を口に含んだアンジュ。しかし、すぐに水の味が違うことに気付き、目の前で別の水入りのペットボトルを振りかざすロザリー達を見て、ロザリーに口移しで飲もうとしていた下剤入りの水を飲ませるアンジュ)
クリス「ろ、ロザリー…?」
(クリスの心配をよそに、数秒後、下剤の影響で腹痛を起こし、大急ぎでトイレに走るロザリー)
―――――数分後―――――
ロザリー「えらい目にあった…」
(出すものを出して、トイレの個室から出てきたロザリー)
―――――また数時間後、シャワールームにて―――――
(アンジュ、シャワールームにてシャワー浴び中。 その外のロッカールームでアンジュが穿いているらしき大胆な下着のパンツを見つけるロザリーとクリス)
ロザリー「こんなの穿いてるの!? あの女」
クリス「晒し者にしてやろう」
(二人がそんなことを呟きながら笑っている後ろで、アンジュと同じくシャワーを浴びていたエルシャがシャワールームから出てくる)
クリス「ブス雌豚の色ボケパンツ」
エルシャ「どうもー。 ブス雌豚の色ボケビッチで~す」
ロザリー・クリス「「!?」」
(そのパンツはどうやらエルシャの物だったらしく、自分の悪口に腹を立てたようでロザリーとクリスに制裁を与えるエルシャ)
(その数秒後、それを察してシャワールームから出てきて、例のビリビリに破けた服を身にまとうアンジュ)
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(ヴィヴィアンと一緒にジャスミンモールに来ていたミナ)
ヴィヴィアン「これいくら?」
ジャスミン「1800万キャッシュだね」
ミナ「せ、1800万!? 私、未だにそんなにお金稼いでないよ…」
ヴィヴィアン「大丈夫だよ~、良かったら少しお金貸してあげるけど」
ミナ「いや~…やっぱりいいや…何か後が怖いし」
ぼったくりな市場とは聞いていたけど、まさかこれ程までとは…と私は驚いていた。ちなみにヴィヴィアンは自分の機体の武器を購入した。
そこに例のビリビリに破けた服を着たアンジュがやって来た。
アンジュ「制服ありますか?」
ミナ「す、すごい破廉恥な恰好…///」
ジャスミン「どうすりゃこんな風になるのかねぇ」
私は胸元がほとんど丸見えのアンジュの服装に赤面した。そんな私やヴィヴィアン、ジャスミンのことなど眼中にないのか、すぐ試着室に入っていった。
(試着室で新品の制服に着替え直すアンジュ)
ヴィヴィアン「アンジュも武器とか買ったらー?」
アンジュ「武器?」
ジャスミン「何か新しい武器も取り入れていかないと、この先下手したらアンタ本当に死ぬよ」
ミナ「そうだよアンジュ。 ジャスミンの言う通り、何か買っていったら?」
しかし、そんな私達の助言に聞く耳を持たず、アンジュは立ち去ってしまった。傍ではジャスミンとヴィヴィアンが呆れ返っていた。
(某所でサリアにアンジュに対する嫌がらせを咎められているロザリーとクリス。 それを傍で見届けているヒルダ)
サリア「ちょっと目に余るわね。 あの子が気に入らないのは分かるけど」
ロザリー「大切な仲間を殺したあの女が生きてるってことが…」
(隣でそう発言したロザリーを見ているクリス)
ヒルダ「ポンコツ機を与えた以外お咎め無しとはね」
ヒルダ「司令も気に入っちゃったんだ、あの女が。 あの司令をたらしこむなんて」
サリア「これ以上アンジュを見下すことは許さない」
ヒルダ「面白ぇ。 アンタとは一度やってみたかったんだ」
(アンジュを侮辱するヒルダに腹を立てて、ナイフを取り出すサリア。 それに応戦しようと銃を構えるヒルダ)
クリス「二人とも止めなよ。 こんなことしても、何にも得しないんだし」
ロザリー「そうだな。 ところで、侮辱されているイタ姫様じゃない方の新人とは、いつの間にか仲良くなったみたいだけど。 一体何があったんだよ? サリア」
サリア「…///い、今のこのタイミングでミナは関係ないでしょ///」
ヒルダ「おいおい、何顔を真っ赤にしてんだぁ? まさか、あの新人に惚れたのか?」
サリア「ち、違うわよ/// とにかくアンジュの件は、これでお終い!」
―――――数分後―――――
(戦死したゾーラの部屋にいたヒルダ達3人組)
クリス「隊長…ごめんなさい…仇討ちも満足に出来なくて」
(死んでいったゾーラに謝罪するクリス。 そんな中、ベッドに腰かけ近くにいたロザリーにキスをするヒルダ)
ヒルダ「この部屋もアンタ達もこれからは私のものだ」
ロザリー・クリス「「ヒルダ…///」」
(そんなヒルダに頬を染めるロザリーとクリス)
(一方、サリアの部屋。 ハンモックの上で寛ぐヴィヴィアン。 眼鏡を掛けながら、机で何かを黙々と読書中のサリア)
ヴィヴィアン「飯ターイム。 サリアも行こうよ」
サリア「私はもうちょっと」
ヴィヴィアン「了解」
(そんなやり取りをしたあと、部屋を出て行くヴィヴィアン)
(食堂で、一人で食事を済まそうとしていたアンジュ。 そこにヴィヴィアンがやって来る)
ヴィヴィアン「アンジュ! 一緒に食べようよ」
アンジュ「…どうぞ」
(あっさり了承するアンジュ。 向かい側の椅子に腰かけるヴィヴィアン)
ヴィヴィアン「はい、これあげるー!」
(不気味な熊のマスコットをアンジュに見せるヴィヴィアン。 それを受け取るアンジュ)
ヴィヴィアン「おそろーい! 私とヒルダとアンジュ、それに…あの子…ミナ! 4人一緒ならもっとすごい連携出来ると思うんだよね」
ヴィヴィアン「そういえば、ミナはどこ行ったの?」
アンジュ「知らないわ。 自分の部屋で寝てるんじゃないの?」
ヴィヴィアン「ふーん。 まぁいいけど」
(そのやり取りの直後、貰ったマスコットを食事のカレーの上に振り落とすアンジュ。 それを悲しそうな顔で見つめるヴィヴィアン)
アンジュ「言ったでしょ? 一人で大丈夫」
(食堂から立ち去るアンジュを悲しそうな顔で見つめるヴィヴィアン)
(夜。ゾーラの部屋のベッドで、ヒルダと裸で性行為を済ませた後らしく、寝ているロザリーとクリス。 対照的にまだ起きていて、ベッドから出て窓の外めがけて、持っていたゾーラの義眼を投げ捨てる)
ヒルダ「さようならお姉様。 頑張るからね…お姉様の分も」
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(アンジュの乗っているヴィルキスの前にいたヒルダ。 何かを企んでいる顔をしている)
―――――翌朝―――――
(寝室で寝ていたアンジュ。 突然の警報。 下着姿状態で飛び起きるアンジュ)
ミナ「な、何!?」(ガバッ!)
流石に、隣の部屋で寝ていた私もアンジュ同様飛び起きた。ちなみに何の警報かというと、シンギュラーゲージから大量のドラゴンが襲撃してきたというものだった。
―――――格納庫入口―――――
(主要オペレーターの一人、パメラとパラメイル整備班のメイの指示でそれぞれのパラメイルに搭乗するミナら第一中隊メンバー)
アンジュ「つっ!」
ミナ「!? アンジュ、どうしたの…って、それ!」
ヴィルキスレプリカに搭乗した私の隣で、ヴィルキスに搭乗したアンジュが突然痛そうな声を上げたので確認したら画鋲が見えた。どうやら、ヴィルキスの操縦席に誰かが悪戯で仕掛けたものらしい。
ミナ「アンジュ、大丈夫!? サリアに報告しようか?」
アンジュ「このくらい平気よ。 それより、目の前の状況に集中しなさい」
ミナ「…分かった」
小声でアンジュに、サリアにこのことを報告しようかと確認した私。しかし、あっさり却下されて、何と言えばいいのか分からない気持ちになったが、私はアンジュの言葉通りに目の前のことに集中した。
メイ「アンジュ、出撃前の最終確認を」
アンジュ「問題ありません」
(ヴィルキスのモニターチェックを確認し、問題がないことをメイに報告するアンジュ)
その直後だった。サリアが出撃の指示を出す直前、アンジュが勝手に出撃してしまったのだ。私も、それに釣られて後を追うように出撃した。
ミナ「ちょっと待ってよアンジュ!」
サリア「アンジュ、ミナ、勝手に突っ込むな!」
どうやら他の第一中隊メンバー達も出撃したらしい。サリアに独断専行を注意されながらアンジュと私はドラゴン討伐するために駆逐形態に入ろうとした。
しかし、アンジュのヴィルキスのエンジン音から異常な音がした。何かが挟まっていたのだ。それは…何とパンツだった。
ミナ「ぱ、パンツ!?///」
ヒルダ「助けてやろうか?」
私が赤面しながら誰かの物か分からなかったパンツに驚いていた矢先だった。そこに、図ったようなタイミングでヒルダのアーキバスが現れ、そこで私は確信した。
アンジュの機体にパンツを挟んだり、先程の画鋲を仕掛けた犯人がヒルダだということに。
アンジュ「失せろゴキブリ!」
もちろんアンジュはヒルダの悪意ある親切心など受け取るはずもなく、あっさり却下した。私も、同じことされていたら同じ行動を取っていただろう。
ミナ「…アンジュ! 前!」
そのときだった。アンジュのヴィルキスが駆逐形態に変形できた直後、ドラゴンがヴィルキスに噛み付く攻撃をしてきたのだった。
私が注意を促したときには既に噛み付かれた後だった。
サリア「アンジュ!」
(アンジュがやられて心配するサリア)
ミナ「サリア! アンジュがやられたわ! 私はアンジュを追う!」
サリア「えっ!? ま、待ちなさいミナ! 戻りなさい!」
そんなサリアの命令など聞くわけもなく、私はドラゴンと共に海に墜落していったアンジュのヴィルキスを追跡するために、独断で戦線から離脱した。
ミナ「アンジュ…無事でいて…」
―――――数時間後、とある島―――――
(目が覚めたアンジュ。 だが、なぜか両腕を縛られており、しかも全裸状態でベッドで寝かされていた。 その隣には、見たことがない男の姿があった)
(謎の男、アンジュが起きたことに気付いて目を覚ます)
アンジュ「え…? ええええええええ!?」
(アンジュが某所で目を覚ました頃)
ミナ「…本当にこんな島にアンジュが…?」
私は、砂浜にアンジュのヴィルキスが乗り捨ててあったのを確認し、島に降り立っていた…。
To be continue…。