---ティオネ---
「って感じだけど、どうかな?」
突然の来訪。フィン、ベート、アイズ、リヴェリアを連れてファルコンが、ロキ・ファミリアの仮ホームに来た。そして、ロキ・ファミリアと遠征をしたいと申し出てきた。
彼らのファミリアに足りない者…ポーターである。それ故、安全地帯の18階から離れすぎたフロアには行けないようだった。
「戦力的には魅力ではある。だけど、メリットが少ないわ」
「う~、戦力くらいしかメリットが無いからな。わかった。また、別の機会に頼む」
彼らは帰っていった。
「どうして、断ったんですか?」
レフィーヤが不思議そうな顔をしている。
「彼らと一緒だと、このファミリアの団員の経験値が伸びないからだ。たぶん、出て来たモンスターは彼らが瞬殺するだろう」
潜るのは、ドロップ品を得ること以外に、経験値を溜めてレベル、ランクを上げる目的がある。いくら金を稼いでも、後者は金では買えないものだから。
「でも、アイズさん達と過ごせるんですよ。改心させるチャンスだと思います」
レフィーヤが必死で訴えてきた。しかし、改心するとは思えない。彼らの意志で改宗したのだから。更に言うと、ルール上1年は改宗できない。
「レフィーヤ、問題を起こすなよ」
一応、釘は刺しておく。前回の反省がまるでない彼女。むしろ被害者であると、ギルドに訴えて門前払いされているし。
「問題?意地悪するヤツラは罰せられないのに、なんで私が罰を与えられるんですか?納得できません」
問題を問題と思わないのが問題である。訪問を断られたからって、門を魔法で破壊して、侵入って…問題だろう…はぁ…
---ティオナ---
『豊饒の女主人』で宴会をしている。驚くことに、ファルコンとミアさんが同じパーティーで潜ったことがあるそうであった。
「こいつは失礼なヤツだよ。夜這いをすると予告していたのに、朝帰りしたんだからな!」
ミアさんがファルコンをツンツンしながら、カミングアウト…
「だって、夜這いを予告されたら、逃げるでしょ?襲われるって、分かっていて逃げないのは危険だって」
ファルコンは困った顔をしている。
「リューは抱いて貰えたのか?」
いきなりミアさんから名指しされたリューは、真っ赤になっていた。
「何を言っているんですか?そんな…まだ…です」
アイズが纏わり付いているファルコンを見て
「剣姫っていう子供がいるんじゃ、抱いて貰えないか。ははは」
ミアさんが豪快に笑い、リューは真っ赤になって俯いている。
「ミアさん、その辺にしてあげて。リューだって、ハンターなんだから」
って、団長のアリーゼさんが言う。
「アリーゼ、ハンターって、狙ってないもん…」
「ほら、口調が変になっているし」
普段、冷静なリューが…いいように玩具にされていた。
「まぁ、みんなでファルコンを護ってやってくれ♪」
って、ミアさんが言い放った。
---ファルコン---
楽しい宴の時間が終わり、主催者のヘルメスと共に、街を一望できる場所に来ていた。
「君には2択をさせてあげる。呪いを解いて魂を自由にするか、このまま仲間と共に時間を過ごし、その後で僕の仲間になるかだ」
僕よりも幼い少年姿の彼がそう言った。ヘルメスが呪いを解く方法を見つけて、フレイヤと共に、解呪できる者を呼び出してくれたのだ。
「前者だと、仲間ともう過ごせないんですか?」
「呪いを解いた瞬間、君の生の時間は終わる。そうだろ?君は既に寿命を全うしているんだから」
それはそうなんだけど…でも…
「仲間と過ごした後に呪いを解きたいのかな?それだと、仲間ができる度に、呪いを解く機会が先延ばしになるだけだ。僕も忙しい身なんで、こんなに平和なオラリオの世界には何度も来られないと思う」
後ろ髪を惹かれる思いだ。
「呪いを解かない場合は、どうなるんですか?」
不老不死の呪い…いずれ、フレイヤ、ヘルメスとも別れる事になる。神である彼らとて、寿命はあるのだから。
「僕はいつまでも君と共にいる。僕の仲間はほとんど寿命という概念がない。永遠とも言える無限な時間を、仲間達と様々な世界を冒険している」
僕はヘルメス達を見つめた。どうしたら良いんだ…僕の視線に気づいたヘルメスが口を開いた。
「ファルコン、君の望むことをしてくれてかまわない。後者を選ぶのであれば、俺達も一緒に行く。既に別世界の俺達は仲間になっているそうだし。同化吸収という現象で記憶は持ち込めるそうだから…まぁ、多少性格は変わるそうだけど」
ヘルメスは僕の心配、不安を一蹴するように、笑顔で答えてくれた。
「アイズ達はどうなるんですか?」
「能力の高い者がベースになり、同一な存在を同化吸収するんだ。すでにアイズ達は仲間にいる。だから、問題はないよ。ここの世界みたいに、君にべったりって感じにはならないけどね」
「僕の相棒達は?」
「君と共に居られるようにする。君の魂に寄り添うようにしよう」
目の前の少年が、剣を掲げて、祈りを唱え、僕の周囲に印を刻み、最後に僕の目の前に魔法陣を発現させて、発動させた。術が発動すると共に、僕の中に懐かしオーラが広がっていった。彼らと共に過ごした記憶が脳裏に浮かんでは消えていく。
「君の魂に彼らを寄り添わした。君が生きている限り、彼らと共にいる」
「アイズ達と相談する時間をください。希望しない者を連れていく訳にいきませんから」
僕の心は決まった。
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ベッドに横たわる彼女。僕は彼女の手を優しく握り締めている。彼女の顔には僕には無い、人生という年輪が刻まれている。
「お兄ちゃん…ありがとう…私のワガママを聞いてくれて…」
彼女の笑みは昔と変わらない無邪気なものだった。
「言っただろ?アイズが朽ち果てるまで一緒にいるってさぁ」
僕は彼女の耳元で囁くように言った。僕の言葉に、首を少し縦に振る彼女。そして、大きく息を吸い込み、静かに瞼を閉じた…
彼女の身体から淡い光の玉が浮かび上がった。玉は僕の周囲を飛び廻る。そして、僕の隣にいた少年が、その玉を優しく抱きしめ、何かの器に収めた。
「これが最後の1つだ。さぁ、行こうか、ファルコン♪」
そして、僕は永遠という名の旅に、僕の仲間の魂達と旅立った。