※この作品はR-18です。

ラスボスになりたい~   作:もっち~!

3 / 69
再び街へ

---ベート---

 

翌日、兄貴と俺、アイズの三人で街へと戻って来た。

 

「兄貴、今日の予定は?」

 

「う~んと、リューに会うのと、換金と、ギルドで登録と、薬と食材の買い込みかな」

 

兄貴はメモを見ながら、俺達に伝えた。

 

「ねぇ、お兄ちゃん♪私、食べたい物が有るんだけど…」

 

甘えるというより、子供っぽい言い方でアイズが、兄貴にお強請り。少し困ったような表情の兄貴。アイズという娘にタジタジのオヤジという構図に見える。さしずめ、俺はアイズの兄って構図かな?

 

「何かな?」

 

「ジャガ丸くん♪」

 

「わかった。じゃあ、まず換金だな。お金が無いと何も出来無いからな」

 

「兄貴、ギルドが先じゃないのか?」

 

メモを見ながら、行き先を訂正する俺。

 

「あぁ…そうだ、ギルドで換金が出来たよな。よし、ギルドにゴーだ」

 

ギルドに行き、受付でファミリアの申請をした。

 

「え?剣姫さんとベートさん…改宗ですか?」

 

頷く俺と笑顔のアイズ。こうして、ファミリアの再認定、改宗手続きをつつがなく終了。

 

「で、これを換金したいんだけど」

 

兄貴は、懐から袋を取りだし、中身を見せた。

 

「これって…ちょっと、お待ちください」

 

中身を受取り、奥へと走り去る受付の人。しばらくして、戻って来たが、

 

「申し訳ありません。これはギルドでは換金できません。ヘファイストス・ファミリアで換金してください」

 

と、中身が兄貴に返された。

 

「そうなのか…ベート、ヘファイストスと面識は?」

 

「無いです」

 

「私も無いです」

 

役立てなかったアイズは、寂しそうだ。コイツ、こんなに表情が豊かだったっけ?今まで猫を被っていたのかな?強くなる為に、自分を殺して…俺もそうだった時期が有るし…

 

「う~ん、昔のツテを頼るか。紹介状を書いてもらおうっと♪」

 

「兄貴、換金の時に、一々紹介状は要らないぞ」

 

俺の言葉に笑顔を返す兄貴。

 

「ベート、初めての取引きだ。アストレア様の顔に泥を塗らないように、礼儀を大切にしないといけない。ロキ・ファミリアでは、どうだったか知らないけど、うちは初めは肝心だと思っている。いいな、二人共。イヤならロキの処へ帰れよ」

 

昔と変わらない兄貴。引き締める時は引き締めて、それ以外はのらりくらりだ。俺とアイズは頷いた。追い出されるのはイヤだから。二度と兄貴と離れ離れになるのはゴメンだ。

 

「昔のツテ…どこにするかな…あっ、久しぶりに顔を見に行くかな」

 

兄貴の後を、俺とアイズが付いて行く。で、着いた先はバベルだった。

 

「ここに誰がいるんですか?」

 

俺の問いをスルーして、奥に進み、エレベーターで上階を目指す。降りたのは最上階だった。バベルの最上階って…イヤな汗が滲んで来る。ここって、あの恐い女神のプライベートルームだったはず。ドアをノックして中に入る兄貴。

 

「お~い!フレイヤ~いるかぁ?」

 

予想的中…それも名前呼びだし…大丈夫か、兄貴は…

 

「貴様、誰だ?」

 

フレイヤ・ファミリアの団長、オッタルが現れた。この街最強の猛者だ。俺とアイズ二人でも勝てるかどうかのレベルの相手では有る。

 

「おや…ハナタレか?立派になったなぁ♪」

 

おい、オッタルをハナタレって…それはダメだよ、兄貴…

 

「誰がハナタレだ~!貴様は何者だ?」

 

怒り心頭で、尚かつ警戒しているオッタル。

 

「アストレア・ファミリアのファルコンが来たと、フレイヤに伝えてくれ、ハナタレ坊や♪」

 

驚いた表情のオッタル。あれ?まさか、お前もなのか…

 

「え…エフの兄貴…生きていたんですか?」

 

オッタルの顔から血の気が引いていく。そして、後ずさりして…

 

「あぁ…どうにかな。立派になったな、本当に。良かったな、こんなに立派な顔付きになって、オッタル♪」

 

オッタルの頭を優しく撫で始めた兄貴。兄貴って、どんな人脈で、どこにパイプが有るのやら…

 

「オッタル、何を騒いでいるの?」

 

部屋の奥から、この部屋の主の声がした。オッタルの主神、フレイヤ様が俺達の前に現れた。兄貴の顔を見ると、毅然とした表情が崩れ、まるで少女のような穏やかな顔になっていく。

 

「生きていたの?ファルコン…」

 

「あ…ただいま、フレイヤ。心配を掛けたかな?」

 

兄貴に抱きつくフレイヤ様。閉じた目の目尻から涙が…

 

「心配したわ。パス・パレードを喰らって、生還しなかったって聞いたし」

 

兄貴とこの女神はどういう関係だ?アイズも、この展開を予想してなかったのか、ぽっか~んっとした表情で、成り行きを見守っていた。

 

「アリーゼがボロボロだったから…修復に時間が掛かっちゃってなぁ。魔力の上限を上げておかなかった僕のせいだよ」

 

兄貴がフレイヤ様の額に額を当てている。フレイヤ様は、そんな兄貴の口を奪う。激しい口づけ、これがディープキスって言うヤツか?兄貴がフレイヤ様の両肩を優しく押し、距離を取ると、兄貴の口からフレイヤ様の舌が出て来た。

 

「ディープキス…」

 

囁くような小さな声で、真っ赤な顔になったアイズが呟いた。コイツ、こんな表情も出来たのか?なんか、兄貴と一緒にいるようになって、アイズのイメージが壊れていくぞ。

 

「フレイヤに頼みがある。ヘファイストスに換金を頼みたいが、会ったことないので、紹介状を書いてくれないかな?」

 

「いいわよ。ちょっと待ってね」

 

フレイヤ様が、すぐに紹介状を書いてくれたようだ。

 

「ねぇ、また来てくれる?」

 

フレイヤ様が、指で兄貴の胸元をこねている。こんな仕草をするんだ…怖いイメージの女神様だったけど。

 

「街に住んでいないから、毎日は無理だよ」

 

「えっ…住んでいないの?」

 

「アストレア様は追放の身だ。追放処分が解除されないと、僕だけここに住む訳にはいかないよ。わかるだろ、フレイヤ」

 

兄貴はフレイヤ様の頬に、自分の頬を合わせた。まるでフレイヤ様を魅了しているような感じだ。

 

「うん♪わかったわ。アストレアの身分を、回復できるようにフォローするわよ」

 

「ありがとう、フレイヤ♪街に住めるようになったら、2日に1度くらい来ようかな」

 

「いや…そのね…4日くらいに1度がいいなぁ。ファルコンは激しいから…」

 

顔を紅潮させて俯いたフレイヤ様。兄貴…魅了の女神様に何していたんだよ~

 

「わかった。フレイヤの都合になるべく合わせるよ」

 

兄貴はフレイヤ様の額に口づけをして、紹介状を手にして部屋を出ようとした。

 

「待ってくれ。エフの兄貴、俺と手合わせをしてくれ」

 

オッタルが兄貴に申し出た。

 

「うん?僕なんかでいいのか?引退した戦士の僕より、アイズとかベートの方が良いんじゃないの?」

 

「えっ…なんで、お前らがいるんだ?」

 

オッタルは兄貴の発言で、俺達の存在に気が付いたみたいだ。兄貴が居ると、俺達はモブ扱いか…ははは

 

「う~、いや、兄貴とやりたい。兄貴に勝てれば、俺はこの街一の猛者って名乗れる気がする。で、万が一負けたら、兄貴の元で鍛錬をさせてください」

 

そういや、兄貴の戦っているところって見た事がないなぁ。俺達を助けてくれた時は、俺達は意識が無かったしな…興味はある。

 

「わかった。ハンデは無しで良いのか?」

 

「もちろん、使える力は全て使ってください」

 

「フレイヤ、屋上を借りるぞ」

 

屋上?ここって、そういうのがあるのか?兄貴は、勝手知ったる他人の家って感じで、屋上へと階段を昇っていった。

 

--------

 

屋上、バベルの最上部故、街が一望できる。

 

「ここでよくヤッたよな、フレイヤ♪」

 

兄貴の発言に頬を赤らめるフレイヤ様。あん?ヤッた?何を…まさか…おぃおぃ…

 

「そうね。満天の星空の下でのプレイ。最高だったわ。懐かしいな…ここではファルコンとしかプレイしない事にしているの。想い出が汚れるのが嫌だからね」

 

って、紅潮させた顔を俯かせた女神様。

 

「あぁ、フレイヤ。殺さない程度で良いのか?それとも…」

 

「殺さないで、私の処の団長なのよ、彼は今…この償いは私がしますから。だから、お願い、ファルコン…」

 

「わかった。フレイヤ、コイントスを頼む」

 

兄貴とオッタルが向かい合い、フレイヤ様がコインを上にはじき、コインが地面に落ちて、手合わせが開始された。開始早々、兄貴が呪文を唱えた。

 

『ファイヤーミスト(火の粉の霧)』

 

オッタルは霧に飲み込まれ、霧の中では時々赤い点が見える。次第にオッタルのうめき声がしだし、地面に崩れる音がした。兄貴が手を払うと霧が無くなり、全身火傷を負ったオッタルが、痙攣して倒れていた。

 

「微細な火の粉が飛び交う霧だ。地味な攻撃魔法だけど、タイマン勝負だと威力は絶大だよ」

 

あの赤い点って火の粉なのか…

 

兄貴が左手をオッタルに翳すと、薄緑色の光にオッタルが飲み込まれて、光が霧散すると火傷がほとんど治っていた。

 

「フレイヤ、すまない。今の僕には、ここまでしか治せない」

 

「いいわよ。コイツが身の程知らずな事をしたんだから。手間を取らせて、ごめんなさい」

 

フレイヤ様が兄貴に頭を下げた…女神って謝ることをするのか…

 

「じゃ、またな。フレイヤ♪」

 

フレイヤ様の頭を元の位置に戻し、唇を重ねた兄貴。女神様の細い腕が、兄貴の首を抱き締めた。その腕を優しき振りほどき、手を上げてその場を後にした。

 

--------

 

そして、兄貴と俺達はヘファイストス様のホームへと向かうことにした。

 

「ねぇ、お兄ちゃん♪あの屋台だよ。ジャガ丸くん♪」

 

兄貴の腕に縋りついて歩いていたアイズが、屋台を指差した。

 

「換金前だから、あまり持っていないけど…これで足りるかな?」

 

ポケットから小銭を出して、アイズに見せる兄貴。

 

「大丈夫♪足りるよ~」

 

で、兄貴が屋台で一人分のジャガ丸くんを買い、アイズに渡した。

 

「ありがとう、お兄ちゃん♪」

 

おいしそうに食べるアイズ。幼さ全開の無邪気なアイズを見ていると、恋愛対象って言うより、妹みたいな存在になり始めている。それも悪くないかなって、思える自分に驚くけどな。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。