※この作品はR-18です。

ラスボスになりたい~   作:もっち~!

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3章 最低最悪の魔王
冥府


---フレイ---

 

「もうお兄ちゃん、妹と交わりすぎだよ~」

 

僕の下にいる妹のアイリスが笑顔で、僕の耳に囁いた。妹とは自然にこんな関係になっていた。実の妹とこんな関係は、モラル的にどうって問題はあるが、毎晩どちらともなく寄り添い、交わっている。

 

僕はフレイ。彼女無し歴は年齢と同じだ。

 

「お兄ちゃんの彼女に会いたいなぁ…」

 

「いないのに?」

 

「うん♪私はお兄ちゃんの彼女にはなれない。妹枠だもん♪」

 

僕の背中に腕を回し、僕を抱きしめる妹。妹アイリスは、優秀な回復要員である。で、明日から1年間、勇者のパーティーに参加して、遠征にでかけるのであった。

 

「1年後には、彼女を作っておいてね♪」

 

無理なお願いだ。僕の通う学校は男子校だし…異性に出逢う機会は、微塵の欠片も無い。

 

「うっ…いい…お兄ちゃん、サイコー♪」

 

妹の声は、心地良い。よし、今夜は朝まで生で交わろうっと♪

 

 

--------

 

 

1週間後、変わり果てた妹が戻ってきた。妹はもう僕とは交われない、いや僕とはもう会話出来ない、いいや、誰とも会話が出来ない姿で戻って来た。粗末な木の箱に押し込められた妹の身体は全裸で、舌はちぎられ、顔は歪んでいて、身体のそこら中に切り傷があり、何よりもあの大事な部分は裂けていた。

 

「なんで…」

 

僕は箱に縋り付き、泣いた。箱の蓋部分には

 

『不良品につき返品』

 

と書かれていた。なんだよ?不良品って…妹は物じゃない…

 

妹をスカウトした元賢者のアズに掴みかかる。

 

「なんで?なんで、妹は…」

 

「事故だった…すまない…」

 

アズは詳細を語らず、謝るだけである。何があったんだ?勇者のパーティーに参加出来て、喜んでいたんだぞ!

 

「あの書き込みは何だ?」

 

「すまない…勇者以外の戦士は消耗品扱いなんだ…」

 

「妹は物じゃねぇ~!」

 

「あぁ、物じゃないよ、屑だ!」

 

礼拝堂の入り口から声がした。妹を屑だと?

 

「ふざけるなよ~!」

 

僕はソイツに殴りかかりに行くが、『ヘルズフレイム(地獄の業火)』という呪文が聞こえ、僕の身体が燃えていく…そして…

 

 

 

---アズ---

 

私のスカウトした賢者候補の僧侶のアイリスの死体と共に、彼女の兄の待つ礼拝堂に来た。彼女の兄から恨み節を聞かされ、詳細を聞かれたが、何も答えてあげられなかった。

 

弔問客達が、遠巻きに私と彼女の兄フレイとのヤリトリを見ている。そんな時、入り口から

 

「あぁ、物じゃないよ、屑だ!」

 

と、勇者の声が聞こえた。フレイが勇者に詰め寄っていく途中、信じられない呪文を聞いた。『ヘルズフレイム(地獄の業火)』という闇属性の呪文だ。これは魂を冥府へと送り、転生すら出来ないようにする、呪い系の呪文であった。

 

「おい、それは…」

 

唱えた者の姿を見て、固まる私。唱えたのは勇者だった。

 

「アズ、勇者を襲おうとした輩だ。こういう凶悪なヤツは冥府送りで良いんだ」

 

「襲おうとした訳でないだろ?アイリスの事を屑って言う、お前が…」

 

グサッ!

 

「おい、勇者をお前呼ばわりは罪だぞ、アズ」

 

アイツの剣が私の利き手側の肩を貫いた。

 

「これくらいで済ませてやる。温情だぞ、アズ」

 

アイツは礼拝堂から出て行った。

 

「アズ様…どういうことですか?」

 

弔問客達が、私を取り囲むように近寄って来た。

 

「フレイはどうしたんですか?」

 

「すまない。勇者保護法により、何を言えない」

 

勇者の名誉を守るために、そういう法律がある。

 

「あの方が勇者ですか…フレイを返してください、アイリスを返してください」

 

二人の母親から詰め寄られた。でも、元賢者の私には、出来る事が少ない。

 

「すまない」

 

余計なことを告げられない私。

 

------

 

この世界において、王族、貴族以外の者に対して、勇者は好き勝手をやって良い。それだけの働きをしたことへの報償のような特権である。

 

そして、勇者保護法という法律により、仮に勇者が不名誉な行いをしても、記録には残さずに、名誉のあることだけを後世へ記録を残すことになっていた。なので、フレイ、アイリスにしたような理不尽なことは、記録に残らず、無かったことになるのだ。

 

この勇者は、ラスボスを倒したという記録は無い。ただ、勇者の証の装備を纏っていることだけが、勇者としての認定理由であった。それが、本来の勇者から奪った物だとしても、王の前に最初に現れた者が勇者に認定されるのだった。

 

その疑念は王ですら持っていた。この勇者の立ち振る舞いは、尋常では無かったから。アイリスの場合、優秀な僧侶であり、回復スキルも王ですら認める程であり、賢者へ転職する前の報償として、勇者のパーティーに組み込まれたのだ。だが、勇者は、アイリスに肉体関係を迫り、それを拒否するや、拷問にかけて瀕死の重傷を負わせてから、強引に交わり、彼女は無念の内に命が果てたのだった。

 

「あの程度で死ぬ?有り得ない。屑は屑ってことだ」

 

と、王の前でのたまった勇者。

 

 

 

王の前で、礼拝堂で起きたことを報告した。勇者の名前を出さずに。

 

「何?アイリスの兄が闇属性の呪いを?アイツか?」

 

頷く私。

 

「酷い過ぎる…彼は何も悪く無い…なのに…」

 

拳を力一杯握り絞める。それくらいしか、出来ない不甲斐ない私。

 

「そうか…仲の良い兄妹だったのに、あの世で、あの二人は出逢えないのか…かわいそうに…アイリスがよく笑顔で兄の話をしていたよな」

 

アイリスを娘のようにかわいがっていた王は、昔を懐かしむような目付きで、窓から天を見ていた。

 

 

 

---フレイ----

 

意識が戻ると、身体の感覚は無かった。闇のような場所にいるようだ。音は聞こえず、何も見えず、ここがどこかを判断する材料は無かった。身体の感覚が無いので、脱出もできそうにない。どうするか…

 

声を出して叫ぼうと思うが、声も出ない。僕の身体に何が起こったのか?

 

『お兄ちゃん…助けて…』

 

脳裏に妹の声が聞こえた。どこにいるんだ?ここから出なきゃ。

 

『あぁ~おにいちゃ…』

 

妹の声が遠くに去って行くようだ。こんな場所に居座って居られない。どうにかしないと。どうにか…しかし、僕は落ちこぼれのへなちょこ戦士だ。スキルも能力も魔法も持っていない平民並の戦士だった。でも、気持ちだけは負けない。もう死んでも良いって思うくらいに、前方に集中した。

 

パリ~ン!

 

何かが割れる音がした気がした。前方からは冷たい風が吹き込んできた。風の吹き込む方向へ向かおうと思うが、進めない。なんでだ?脚はあるのか?脚に神経を集中するが、感覚がまるで無い。

 

戦士学校で習ったことを思い返す。こういう場合は…麻痺かロストだ。麻痺なら時間が経てば、感覚が戻るけど、ロストだと手の打ちようがない。たぶん、ロストなんだろうな、これって…僕は魂状態の可能性がある。音が聞こえたのは空気振動を魂が感じたからで、風を感じたのも、空気の変化を魂が感じたからだと思う。

 

結論はここから出られないだ。凹む僕。あぁ、どうしよう、アイリスを助けに行きたい。気持ちばかりが空回りする。身体が欲しい…身体が…妹と抱き合いたい。だから、身体が欲しい…妹と寝たい。だから、身体が欲しい…

 

『おい、身体の欲しい理由がエロ方向に行くのは、どういうことだ?』

 

脳裏に誰かの声が聞こえた。

 

「妹と交わることは、僕の生きがいだ!何が悪い!」

 

正直な気持ちを伝える僕。

 

『面白い。そこまで自分に正直なヤツは珍しい。力を貸してあげる。僕の身体をプレゼントするよ。その代わり、悪いことを一杯してね♪』

 

手に感覚が戻っていく。脚に感覚が戻っていく。心臓の鼓動は感じられない。あれ?

 

『あぁ、僕には心臓が無いから…気にしないで。僕は君といつまでもいる。僕の名前はフレイ。君の名前は?』

 

「僕もフレイだよ…同じ名前なんだね」

 

『そうか…だから、引き合えたのかもしれない。僕の装備も与える。両腕にガントレット、ガントレットにはナイフが1本ずつ入っている。ナイフのスキルは身体が覚えている。君は、屠りたい相手を念じれば、身体が反応してくれる。記憶を統合するよ。そうだ、妹さん絡み以外は、僕が主導権を取ろうかな。いいかな?』

 

「うん。僕は、勇者を倒して、妹と交わりたいだけだから♪」

 

『ははは、本当に正直だな。わかった。相棒、勇者を倒そう。僕も勇者は嫌いなんだ♪』

 

-----

 

僕は、ようやく魂を手に入れた。身体という器だけしかなく、動けなかった僕。でも、魂だけの者と手を組み、器に魂を収めることができた。これで、甦られる。魔王としての僕は、勇者を倒すことを目標としようかな。

 

闇から出ると、氷と雪の世界だった。カプセル状の物がたくさん凍り付いていた。あの仲に魂だけが幽閉されているのか。出口を探すついでに、カプセルを見て回る。うん?名前がついている。何を幽閉したか、わかるようにかな?その中の1つの名前に心辺りがあった僕は立ち止まった。

 

『ウロボロス』

 

僕の知っているヤツかな?中のオーラを探ってみる。

 

『フレイかい?ねぇ、助けて~』

 

あ、知り合いだ。カプセルから出して上げると、深い蒼い色のドラゴン姿になった。

 

「ムゲン、なんで、こんな場所に?」

 

ウロボロスドラゴンのムゲンに声を掛けた。

 

「ジャマだったんだろうね。フレイ、君のようにね」

 

ムゲンは、ダークブルーの髪の女性の姿になった。ドラゴン姿では表面積が多いので、寒いようだった。

 

「この姿でフレイに付いていくよ。ヒューマンタイプの女性好きだよね?」

 

あぁ、寒さからでは無く、僕の好みか。そうだね。そうだったかもしれない。長いこと魂がなかったので、記憶が少し曖昧であるけど。

 

「戦闘になったら、蒼い龍の鎧にでもなろうか?」

 

そうだね。以前もそうしてくれた気がするし。しばしカプセル沿いの道を歩いていくと、四つ角に出て、出会い頭に横から来た者と衝突した。僕は何とも無いけど、ぶつかった者は飛ばされて、倒れていた。うん?黒髪ロングの少女のようだ。

 

「大丈夫か?」

 

声を掛けるも返事は無い。身体を触ると、冷たい。死にかかっているのか?どこか、暖が取れる場所を探す僕達。しかし、見付からない。そこで、雪を固めて、カマクラを作って凌ぐことにした。

 

カマクラの中で、僕達と少女は全裸になり、抱き合う。体温で温め合う戦略だ。ムゲンは彼女の背中側から抱きつき、僕は胸側から抱きつく。意外に胸の感触が気持ちが良い、少女。見た目は幼いが、股間の成熟具合からして、適齢期のようだ。僕は、彼女の体内に入り、内部からも温める事にした。

 

腰を動かして、摩擦熱を彼女に与えていく。

 

「あぁ…いい…もっと…あぅ…」

 

パンパンとリズミカルに肉をたたき合う音が、カマクラの中に響いた。

 

「ここは…」

 

意識を取り戻してきた彼女。

 

「君の名前は?」

 

「ハーです」

 

「ハーちゃんか。僕はフレイで、彼女はムゲンだ。よろしくね」

 

 

 

---ハーデス---

 

出会い頭に何かにぶつかり飛ばされた私。気が付くと、知らない男性と交わっていた。身体の内部が暖かい。こんな経験は初めてだった。ここ冥府は死神の集う国。その死神達の頂点にいる冥府の女王である私が、暖かさを感じるなんて…何かの寵愛を受けたのだろうか?

 

私と交わっている彼は、私をハーという名前だと勘違いしている。「ハーデス」と名乗ったのだが、「ハーです」と受け取ったようだ。なんか微笑ましい。そんなことを思っていたら、頬が緩んだ。

 

「ハーちゃんって、笑顔もかわいいんだね」

 

そんなこと言われたことがない。胸がキュンとしてきた。死神の女王がこれでいいのかな?などと考えているのだけど、身体は素直に反応して、口からは喘ぎ声が漏れていく。

 

近くに手下達の気配を感じたので、

 

『しばらく、この者達といるわ。仕事をよろしくね』

 

と、念話を送った。なんか、彼と一緒にいたい気持ちが一杯であった。

 

「身体は温まってきたかな?」

 

彼が俯いていた私の顔を覗き込んできた。そして、口を重ねてきた。えっ?

 

「あっ、ごめん。ハーちゃんの唇、乾いていたから、湿り気をって。驚かしてごめんね」

 

って。いや。心が持って行かれた気分。こんな風に、私を気遣って接してくれた者は、今までいなかった。だから新鮮であり、死神故の冷たい心が、何故か暖かくなっていく。とても不思議な感覚であり、不思議な気分である。

 

『ボス。ソイツ、魔王フレイでは?一緒にいるのはムゲンのようです』

 

部下から念話が送られて来た。魔王?こんなに暖かいのに?有り得ない。ムゲン?最厄のドラゴン?背中にいるので姿は確認できないけど、邪悪なオーラは感じられない。

 

『まぁ、魔王なら好都合でしょ?魂を一杯生産出来そうだし』

 

と、死神の業務が頭に浮かんで、念話で返信していた私。

 

「ねぇ、ハーちゃんって、死神?僕達と一緒に旅をして大丈夫?」

 

私の正体に気づいた彼。でも、遠ざけるのではなく、私の立場を心配してくれた。こんな経験も初めてだ。死神だと後ろ指を差されてきた私には、彼は斬新で興味があり、一緒にいたい存在になりつつあった。

 

「大丈夫。私、フレイを護るから♪」

 

魔王と死神のタッグなら無敵に近いだろうな。ふふふ。

 

 

---フレイ---

 

こうして、冒険の幕が開かれようとしていた。

 

 

 

 

 




主な登場人物

フレイ
 産まれながらの魔王。魔王としての素質、資質はまるで無し。得物はガントレットに収納してある2本のナイフ。得意な術は回復系。

フレイ(バカ兄)
 妹を愛することは誰にも負けない、シスコンな男。

ダークフレイ
 フレイの魔王として素質、資質を受け持つ別人格。誰よりも、フレイを大事に思っている。

ハーデス
 冥府を司る死神。フレイに触れ、一緒に冒険することを決めた。

アイリス
 バカ兄の妹。元聖戦士な回復師。バカ兄大好きなブラコン。

リリアン
 グリーンなロングヘアなハイエルフ。回復もこなせる魔法使い。

リヴェ
 リリアンの祖母。昔、フレイのパーティーにいたらしい。

ティーズ
 金髪ロングヘアな風の妖精。

ティヌ
 風の谷の妖精の始祖。昔、フレイのパーティーにいたらしい。

ティオ
 アマゾネスの戦士。昔、フレイのパーティーにいたらしい。

オナ 黒髪で胸が小さめなアマゾネス。ティオの子孫。

オネ オナの姉。



英雄(勇者) 実は、神の魂を取り込んだ魔王。






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