---フレイ(バカ兄)---
3日くらいの遠征から帰ってきた妹アイリス。
「お兄ちゃん、ただいま~♪もう、疲れたよ~。お兄ちゃんの香り…あぁ、安らぐなぁ♪」
って、帰って来てすぐ、僕を見るなり押し倒し、僕の股間に顔を埋めて、寝入った妹。僕は彼女をベッドへ抱き抱えて運び、ベッドの上に寝かす。そして、僕も妹の香りを嗅ぐ。うん?汗臭いなぁ…遠征中は風呂に入っていなかったのかな?
妹が身に纏っている物を総て脱がして、妹をお風呂場へと運んだ。静かな寝息を立てて寝ている妹。マットの上に寝かせて、泡立てた石けんをスポンジに載せ、全裸となった僕が、彼女の身体を優しく洗いあげていく。
前も後ろも洗い上げ、お湯で泡を流していく。そして、湯を張った湯船に妹と共に浸かった。僕に身を預ける妹。彼女の口に僕の口を合わせて、僕の舌で彼女の口内の洗浄をする。歯の裏も表も、歯茎の裏も表も、そして舌も…まぁ、よくあることなので、手慣れたものだ。
オーラルケアの間、僕の手は、彼女の身体をマッサージしていく。マッサージをしながら、身体に異変は無いかを調べることも忘れない。
下腹部をマッサージすると、
「あっ…あぁ~…誰?」
艶めかしい声を発した妹。意識が朦朧としているようで、僕だとわからないようだ。
「僕だよ、アイリス…」
彼女の耳元で囁く僕。
「あぁ…お兄ちゃん…洗ってくれたんだね。いつも、ありがとう…寝ている妹の身体ってどう?」
「気持ち良いよ。3日もいないんだもの。禁断症状かな、もう凄く恋しい」
「私も…ねぇ、来て…」
湯船の中で交わる僕達。妹の肉体の中が、僕の居場所だと実感できた。
ばこっ!
---ハーデス---
妄想中のバカ兄を殴り起こす。
「痛っ…今いいところだったのに…」
頭をさするバカ兄。
「だから言ってあるでしょ?会議中、相談中、調べ物中に妄想するなって!」
ここは天界の魂の原簿の保管所である。フレイと私で原簿を調べていたのだが、このバカ兄が妄想タイムに突入して…
「妄想じゃない。何度も言っているでしょ?これは想い出に浸っているだけだって」
あぁ、コイツ…学習能力が無いのか?
「ハーちゃん、もう少し優しく起こしてよ。痛いよ~」
フレイが戻って来た。そうだった。身体はフレイの物だものな。
「で、彼の妹なんだけど、前世では半神とある」
フレイが見つけたページを、私も一緒に見る。半神とは、両親のどちらかが、神もしくは女神ってことだ。
「今世では人間…死後は…記載が無いなぁ」
記載が無い?保管所の職員に聞くと、
「記載が無いのは、まだ死んでいないってことだよ」
って…うん?死んでいない?
「そうか…死んだ直後に魂を封印されたんだ。だから、魂は裁きの門に辿りついていないから、死んだ事にはなっていないんだよ、ハーちゃん」
そうか…封印された魂を冥府に隠して、頃合いを見て手に入れたのか。
「魂の状態で弄ばれているんだろうな…可哀想に…」
陵辱地獄にいるのか…あの英雄によって。
「そう言えば、何となくだけど、僕の姉も半神だった気がする」
と、フレイ。うん?フレイって魔王だよね?なんで、姉は半神なんだ?フレイの両親って何者だ?フレイは、次にバカ兄の記録を探している。
「あれ?なんで無いんだ?」
バカ兄の妹の記録から遡って調べる私。でも、彼の記録は無かった。いや、あるにはあったのだが、今世は人間、前世は不明とある。
保管所の職員に尋ねてみた。
「不明って何?」
「未登録だけど、存在している者だよ。主に、天上界絡みだな」
天上界とは、ここ天界よりも上にある世界であり、天界の神より天上界の神の方が、神格順位は高かった。
「天上界って、どうやって行くの?」
フレイにきかれた。
「私達では行けない場所なの。だから、わからないの。ごめんなさい」
考え込むフレイ。次にフレイの原簿を探し始めた。
「無いなぁ…ねぇ、冥府送りのリストは有る?」
言われた物をフレイに手渡した。
「う~ん…ムゲンも僕も載っていない。彼も彼の妹もだ…」
載っていないと思う。冥府を司る神である私ですら、知らないのだから。
「なぁ、ハーデス。ここで暴れれば、天上界のバカ野郎達は出てくるのか?」
フレイの雰囲気と口調が変わった。ダー君の登場か?彼は両手にナイフを一本ずつ手にし、構えた。
「安心しろ。お前は傷つけない。フレイの護りたい者は、俺も護りたいからな」
ダー君の醸し出すオーラを察知して、逃げ惑う神々達。
「お~い!出て来ないと、ここで惨劇の続きをしても良いんだが。どうするんだ?維持神よ!」
ダー君は、天上界の神の名を呼んだ。
『ダークフレイよ。話し合う余地は有るのか?』
天上界より声が届いた。え?呼べば、応えてくれるのか?
『フレイは特別だ。冥府の神ハーデスよ』
そういうことかぁ…って…フレイは特別?どういうことだ?
『前任者達と一部の神々により、創造された魔王だからだ』
創造された魔王…
『フレイよ。お前は神と女神が地上で授かった神だ。しかし、前任者達は、地上の神であるお前の魂に、魔王の魂を合成した。その魔王の魂がダークフレイと呼ばれる存在だよ』
「なんで、僕の記憶は無いの?なんで、分割されていたの?で、彼は何者なの?」
フレイの人格にスイッチして、天上界の神に質問を浴びせていくフレイ。
『記憶か?前世で英雄に殺されたお前は、前任者達に転生、再復活されないように、魂、身体、人格、記憶の4つに分離されたのだ。そのうち、魂だけは、お前の姉と再会したいという強い想いを受け、冥府への転送から逃れたのだよ。ハーデスが知らないのは、天上界のシステムを使ったから。お前達下々の神の知るところでは無いってことだ』
上位の神は横柄だ。なんか、悔しい。そうなると、バカ兄はフレイの魂で、バカ兄の妹は、フレイの姉の転生なのかな?
『記憶は、冥府では無い場所に封印されている。今世の英雄が持っていると言えば良いかな?今世の英雄は、お前を殺した英雄の子孫になる。初代は心優しい英雄だったのだが、今世の英雄はクズだよ。英雄の子孫って理由だけで英雄になった者なのだ。お前の姉だった者、今世では転生した魂の妹は、今世の英雄の元にいる。お前に対する人質であり、嗜好を満たす為の玩具であるから』
ひどい…そんなマネしていて、なにが英雄なんだ?
『英雄とは名誉職だ。いれば安心。その程度の存在なのだよ、ハーデス。実際、フレイは英雄に殺された時、殺されるように振る舞ったから、彼はフレイを殺せたのだ』
それって、自殺?
『に、近いな。英雄が魔王を殺したと言う事実だけが、重要な事なのだ。フレイは英雄に殺される為だけに生きていたのだから』
殺される為だけ…そんなことの為に生きていたの?
「英雄を殺してもいいよね?姉ちゃんを慰め者にするヤツは、許せない!」
『うっ…天上界に乗り込まないければ、したいようにして良い』
へ?それって、天上界で何かしたことがあるのか?いや、なんで行けるのよ?
『天上界に乗り込み、前任者達を皆殺しにしたんだ。そこにいる「神殺し」「血塗れ」「魔王」フレイはな…』
その二つ名はそこからか…天上界で皆殺し?ダー君の言っていた惨劇か?
「わかった。惨劇の続きは地上で行う。英雄に対してね」
そういうと、フレイの姿が一瞬、ぶれて見えた。
「取り返してきたよ。僕の記憶と姉ちゃんの魂♪」
フレイが何かの呪文を唱えると、銀髪の女性が現れた。彼の持ち帰った魂は、その女性に吸い込まれていく。
「う~ん…ここは?助かったのかな?」
「姉ちゃん、久しぶり♪」
フレイは銀髪の女性に抱きついた。
「姉ちゃん?あれ?お兄ちゃんだよね?私だよ。アイリスだよ」
え?バカ兄の妹なのか?物凄くかわいいんですけど…出る処は出て、引っ込む処は引っ込み、鍛え上げられた肉体に、女性らしさを纏った身体つきだし。
「あれ?姉ちゃんじゃ無い…なんでだ?」
「お兄ちゃん、どうしたの?何、混乱しているの?私達に姉なんかいなかったわよ」
たぶん、バカ兄の妹アイリスの前世は、フレイの姉だったのだろう。でも、その魂はアイリスの物だから、身体も人格も記憶もアイリスなんだろう。
「姉ちゃんの欠片も無い…」
「お姉さんって?」
「もっと小ぶりな胸だったんだよ…巨乳の姉ちゃんは姉ちゃんじゃ無い」
凹むフレイ。
「だから、私は妹だよ。お兄ちゃん。大丈夫?」
兄を気遣う妹。その兄は、妹を姉として見ている。このままでは埒が明かないので、アイリスに状況を説明した。
「私の前世は、お兄ちゃんの姉だったのか…で、お兄ちゃんは前世では私の弟だったのか…なんか複雑だけど、お兄ちゃんに逢えて、生きて再会できて、とっても嬉しいよ~♪」
アイリスはフレイに抱きついた。フレイもアイリスを抱きしめた。
「これからどうするんだ?」
フレイに確認をした。
「英雄をぶっ殺す。姉ちゃんに…いや、妹に酷い事をした報いを受けさせる。記憶も戻ったので、忘れていた能力も使えるし♪」
「能力って、何を持っていたの?」
「転移術と創造能力、あと治癒、再生、回復能力だよ」
え?え~っと…魔王としての能力は無いのか?破壊能力とか、大量殺人能力とか。
「魔王としての能力?魔王がどういう者か知らないから、分からないよ。そもそも悪事って、どういうことかも分からない、最低最悪の魔王だから」
それは魔王失格だよ。英雄に殺される為だけの魔王…でも、最低最悪であっても、存在することが大事なのか。
「仲間を集めないと。英雄もパーティー組んでいるだろうし」
「お兄ちゃん…そんなに一杯能力があったんだ…」
兄が能力持ちだったことにショックを受けるアイリス。きっと、兄を護れる存在になろうとしていたのかも知れない。今では、その逆の立場になったと思うのだろう。
「アイリス…僕が護る。ハーちゃんも僕が護る。だから、僕を助けてね♪魔王として、最低最悪だから…ははは」
それは魔王の教育係をしろということか?フレイ…
---フレイ---
アイリスは僕の妹ということに、落ち着いた。アイリスの兄は、僕の本来の魂へと変貌した。彼の記憶は僕に受け継いでいるけど…僕よりも変態プレイヤーがいたことに驚いたり。
アイリスは寝る前に兄と毎晩…僕は一人だけでは…
地上に降りて、仲間捜しの旅を、僕、アイリス、ハーちゃんの三名ですることになった。ムゲンは地獄から離れることが出来なくなっていた。地縛したってことでは無く、仕事をムゲン以外にこなせる者がいなかったのだ。天界から閻魔の後任が来るまでの、中継ぎをすることになった。
「必要な時はいつでも呼んで♪僕はフレイの鎧に成りに行くからね」
と、僕達を送り出してくれた。
そして、地上…魔王が復活したとかで、殺伐とした空気が漂っていた。
「フレイ以外に魔王っているのかな?」
って、ハーちゃん。
「いるんじゃない?僕は恐怖を振りまくことも出来ずに殺された、最低な魔王だし♪」
「お兄ちゃんって、良い魔王なの?」
良い魔王?
「ねぇ、ハーちゃん、良い魔王って有り?」
「無いわよ~。まったく、フレイは魔王失格よね」
って…悪事をしないとダメだな。
「ねぇ、ハーちゃん。悪事って何をすれば良いの?」
頭を抱えるハーちゃん。アイリスは、唖然としている。何か痛い事でも言ったかな?
「ねぇ…フレイ…前世で何も悪事をしていないの?なのに、英雄に殺されたの?」
悪事?あっ!
「お風呂場が欲しくて湯船を盗んだり、水道設備が欲しくて蛇口を盗んだり、人恋しくて友達を攫ったり…後は…」
「ははは♪お兄ちゃん、それって悪事ってほどの悪事じゃないよ。ハーデスさん、それってこそ泥レベルだよね?最後の人さらいも友達じゃ、罪を問わないと思うし」
「フレイ…アイリスの言う通りよ。それって魔王の悪事レベルじゃないわ」
ハーちゃんがあきれている。
「じゃ、何をすれば良いの?」
「お兄ちゃん、今世の英雄みたいなことだよ、きっとね」
あぁ、なるほど…それは一理あるかもしれない。
「で、どこに向かっているの?」
「ハイエルフの里…ハイエルフ達を強引に…それって悪事だよね?」
「お兄ちゃん!ハイエルフとしないで、私を食してよ~」
え?
「それって、悪事になるのかな?」
「うん♪私の中ではそういう風に思うからさぁ~♪」
ハーちゃんが頭を抱えている。
「確かに、血の繋がった兄妹の情事は罪だけど…神の血が入った者の場合は、日常茶飯事よ」
がーーーん!
ダメなのか…僕には神の血が流れている。お姉ちゃんもそうだった。でもアイリスは人間だし…悪事にはならないのか…
「罪にはならないけど、私もいっぱい愛してね♪」
って、ハーちゃん。二人相手かぁ…久しぶりなので、不安がいっぱいだけど。
ハイエルフの里に近い場所にある村に入った。宿屋があったので、二部屋を押さえた。アイリスとハーちゃんの部屋だ。僕は、どこでも寝られるし。
「ねぇ、お兄ちゃん、寝るまで一緒にいて♪」
アイリスが僕の腕を掴んだ。
「その後、私の部屋に来てね。今後の予定をベッドの上で、朝まで相談しますよ♪」
って、ハーちゃん。えっ?夜は魔王のゴールデンタイムだったはずだが…夜間の外出許可は二人から下りなかった。