---アイリス---
今夜のお兄ちゃんは少し違っていた。私の全身を念入りに味わっている。指先、穴の内部にいたるまで…
指を一本一本舐めて、谷間に顔を埋めて、谷底を念入りに舐めたり、穴という穴には指を入れ、お兄ちゃん自身を入れ、鼻で臭いを感じ、舌で味を確かめ…いつもと違うプレイスタイルに戸惑う私。
明け方近く…お兄ちゃんは私を立たせて、私と向き合う。
「アイリス…お別れだ…」
お兄ちゃんは目に涙をいっぱい溜め込んでいた。
「どうして?」
「このままでは、アイツをぶっ殺せない。だから…」
何かに気づいたお兄ちゃんは、何らかの結論に達したようだった。
「ねぇ、何に気づいたの?」
「僕は…封印を解く鍵その物だってことにだ」
私の目から視線を逸らす事無く、そう伝えてきた。
「どういうこと?フレイさんから分割された一部じゃないの?」
「違う…アイツとは別物だよ。寧ろ、アイツを苦しめている元凶の1つだ」
今まで知っていた情報とは違う。どういうこと?
「僕がアイリスと愛し合うことは、英雄という名の魔王の計略の一部だ。フレイは、そんな僕達を別れさすことはしないから」
「えっ…そんな…」
お兄ちゃんの目からは、溜め込められなくなった涙が、零れ落ちていく。
「もっと、アイリスの傍にいたい。もっと、アイリスと愛し合いたい…でもな、それだと、フレイは完全体に成れない。フレイの本来の能力、蘇生、回復、修復などが使えないんだよ」
お兄ちゃん…
「だから、僕は鍵に戻り、フレイの封印を解く。アイリス、君に逢えて良かった。君と愛し合えて良かった。なぁ、最後に交わりたい」
お兄ちゃんと抱き合い、そのままベッドに押し倒されて、最期の交わりを交わす。
「フレイ、お前にアイリスを託す。アイリスを僕に代わり、愛してやってくれ。頼む…」
お兄ちゃんは私の上で、寝息を立てて眠った。顔付きがフレイさんに戻っていくと共に、私の身体の中に暖かさをかんじ始めた。私の中の何かが変わっていく。聖戦士の頃の身体付きになっていく。筋繊維が太く頑強でしなやかな感じになる。胸が少し小さくなり引き締まっていく。腹筋にうっすらと割れ目が…
---ハーデス---
一夜にして、アイリスの風貌が変わってしまった。街ですれ違ったくらいでは、分からない程に。フレイもだ。より聖属性が強く成っている。回復系の能力が戻ったのか?
「私が回復師になったのは、私の意志でなかった。お兄ちゃんと産まれた時から、一緒で無かった…」
アイリスが耳を疑うようなことを口にした。
「アイツの差し金…フレイさんから回復能力を奪い、私に封印した。その時の封印の鍵でお兄ちゃんを作り出した。愛し合わせることにより、封印の鍵を使えなくする為に」
あの英雄は、とんでも無いマネをしたな。愛すらも罠に変えるとは。
「だから、アイリスの兄さんの魂は、原簿が無かったんだよ。転生では無く、作られた魔物だったから」
悔しそうな顔のフレイ。遺体無き、バカ兄の葬儀を執り行った。司祭にはフレイがなり、バカ兄の魂…実際は魂すらない呪いの固まりだったらしいけど、それを弔う。
「僕から能力を奪ったのは、彼の正体に気づかせない為だったのかも」
フレイの能力は回復、分析系らしく、魂から情報を読むこともできたらしい。
「あの英雄は何をしているんだ。愛情すら踏みにじるのか…」
アズが呟いた。
「ハーちゃん、アイツを絶対にぶっ殺すよ。転生できないようにしてやる」
フレイが珍しく激高している。それだけ、悔しかったのだろう。
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次の目的地は、アマゾネスの村だ。アマゾネスという種族は、女性しかいない。それは出産の際、彼女達は女の子しか産めない。男のアマゾネスは存在しないのだ。
そこに目を付けた英雄は、アマゾネスを牧場で飼育し始めた。アマゾネスの村をまるまる牧場にしたのだ。そこで、彼女達は死なないように保護され、飼育sれている。出産のできるアマゾネス達は、英雄配下の勇者達と交わり子供を作り、もし英雄好みの娘が出来ると、母親は英雄の元に送り届けられ、彼の子供作り専用にされるという。
非人道的な行いである。
「ティオは元気かな?」
昔の仲間を懐かしむフレイ。
「いや、もう子孫の代だと思うよ。アマゾネスは長寿系じゃないから」
と、リリアン。
「そうか…」
残念がるフレイ。
「とにかく、アマゾネスを解放しよう」
私の言葉に頷くフレイ。
「だが、英雄配下の勇者が集結しておる。どうするんだ?」
アズが訊いてきた。確かにこのメンツではキツいかな。不完全な魔王のフレイ、聖戦士のアイリス、ハイエルフのリリアン、風の精霊のティヌ、そして、死神の私。あぁ、あと、元賢者のアズがいるか…それにしても剣士が足り無い。どうするかな。
「ハーちゃんは、浄化されるとマズイから、参戦しないでね。ハーちゃんが浄化されると困るから」
あぁ、そうだな。勇者だと浄化はお手の物かもな。
---オナ---
今日も朝からアイツらの慰み者だ。一度に4名の勇者に玩具にされている。口に頬張り、胸で揉み、二つの穴に突っ込まれている。姉のオネはかわいい女の子を産んだ為に、英雄の元へと送られてしまった。元気だろうか?
首に装置を取り付けられて、喘ぎ声すら上げられないようにされている。要は勇者達の玩具である。女を知らない勇者なんかは、粘着質で身体の隅々を堪能し、無茶や無理な行為を平気でしてくる。
「おい、ケツの穴が裂けているぞ。お前は初めてか?こいつ、当分使えないな。おい、治療棟へ入れて置け」
治療…要するに自然治癒だ。毎日、損傷箇所のチェックをされ、治りが悪い奴には媚薬を投薬されて、死ぬ前玩具にされる。治りが良ければ、玩具棟でそれなりの待遇で玩具にされるのだ。
平和な時間は妊娠しないと訪れない。しかし、産んだ子が、英雄の気に入らない場合は、親子とも玩具棟へ戻される。子供は妊娠可能な歳になるまで、男を喜ばすテクニックを調教される運命だ。
どっちに転んでも、アマゾネスに産まれたら地獄なのである。治療棟にぶち込まれた私。身体が動かない。過労なんだろう。裂けた箇所に薬が投入される。これが物凄く痛い。しかし、声を出す事が出来無い上、身体も動かないんだから、最悪だ。
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夜更け…何かが斬り裂かれる音がした。そして、何かが落ち、何かが倒れる音。それが数回した。何者かが、私の傍に来た。
「大丈夫か?酷いなぁ…アイリス、運び出して」
誰かに抱えられて、どこかに連れて行かれる。抵抗する気も無いが、どこへ連れ出されるかの興味は有る。コイツらは勇者では無いみたいだし。
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朝、視界に飛び込んで来たのは、どこかの部屋の天井だった。ベッドに寝ている私。ここはどこだ?
「助かったよ。ありがとう、みんな」
誰かの声が聞こえる。
「いつでも声を掛けて下さいね。魔王フレイ様」
魔王フレイ?勇者達の敵か?
「恩を返し切れていないんです。どんどん、要望を言ってください」
魔王が返し切れない恩を与えたのか?魔王だろうに?
「いや、今回はここまででいいよ。戦闘は君達には無理だから」
「装備品はでき次第、運びます。しばらくお待ちください」
何をする気だ?勇者軍団に何かをするのか?
「どうですか?調子は?」
聞き耳を立てていて、傍に立っている女性に気づかなかった。誰だ、コイツは?
「うん?あぁ、私の正体かな?私は聖戦士のアイリスです。昨晩、治療棟と呼ばれている監獄から、あなた方を救出しました。残念なのは、手遅れな方が多かったことかな」
救出?魔王軍なのにか?有り得ない。
「あぁ、声が出ないんでしたね。今、ソレの解除方法を研究中です。暫くお待ちください」
何者なんだ?この勢力は…
毎晩、睡眠薬を盛られているようだったが、効き目が浅い日があり、夜間何が行われるンかをチェックすることにした。寝息が方々からし始める頃、男性が一人入って来て、私達と交わり始めた。結局、魔王の玩具用途なのか…くそっ!
いよいよ、私の番。私の中に入ってくる男の身体の一部。だけど…想像とは違っていた。彼の身体の一部から、暖かく気持ちの良いオーラが浸み出しているようだ。全身から黒いモヤが湧き出ている。傷口が治っていく感じもする。
ふと、昔、母親から聞かされた変わった英雄の話を思い出した。その英雄の体液は強力な治療薬であり、交わることでしか回復できない。交わりたい訳でも無くても、目の前の怪我人を治療する為だけに交わっていたそうだ。まさか、コイツ…
私の口に口を重ねてきた。乾ききって、ヒビ割れている私の唇を、舌で優しく舐めている。舐められた箇所のヒビ割れは、治っていく感じがした。唇にしなやかさが戻っていくようだ。私の口の中も舐めている。折れた歯が再生していく気がする。千切れかかった舌が治っていくようだ。痛さが消えていく。なんて不思議な事なんだ。
「ティオって知っているかい?」
男は耳元で囁くように訊いてきた。頷く私。私の先祖である。
「そうか…もう、いないんだな」
男の声はどこか寂しそうだ。
それから数日後、首から装置が外された。その日を境に、リハビリ生活が始まった。まずは日常生活、そして戦闘訓練。私達アマゾネスの戦力を期待しているようだった。玩具用途でなくて、戦力としてみてくれていた。これには、私達は喜んだ。アマゾネスは戦闘狂が多い種族であるから。
日常生活が一人で出来る様になると、部屋が与えられた。窓から外の景色が見える。アマゾネスの村では無いようだ。風車らしき物が多数見えるから。ここって、風の谷かな?
「フレイ様、戦力はいかがですか?」
窓から外の声が聞こえた。
「う~ん、きついな。無理はしない方向だよ。相手は勇者軍団だし。戦える種族も限られるしな」
「他の拠点を先に解放しますか?」
「どっちにしても、彼女達の治療が終わらないと、ここを出られないよ」
彼女達の治療って、私達かな?窓から、会話している者の姿は見えなかった。誰と誰が話していたのかな?
月日は流れ、私は装備を纏い、外で戦闘訓練が出来る様になった。木刀で手合わせをしていく。身体の傷は癒えて、以前のように動けると思う。
「オナ、ちょっと…」
教官のアイリスさんに呼ばれた。彼女は聖戦士だそうだ。ビルドアップした身体ではあるが、女性本来のしなやかさもある、素晴らしい身体だ。
アイリスさんに付いて行くと、教会に連れて行かれた。そこには棺が有り…イヤな予感が脳裏を走り抜けていく。涙がこみ上げてきた。
「残念だけど…あなたのお姉さん…ごめんなさい。救えなかった」
棺に駆け寄り、中を見る。そこには…姉の惨たらしい姿があった。顔はかろうじて判別できる程度残っているが、身体の方々が千切れて欠損していた。
「魂が天界に戻って来ないの…魂が無いと、蘇生が出来無いから…」
魂が無い?何で?どうして?アイリスさんに、縋り付く。
「アイツだよ、きっと…魂の苦しむ様を鑑賞しているんだ。あの英雄がっ!」
アイリスさんの目にも涙が溢れていた。彼女の大切な人も同じ目に遭っているのかもしれない。
「救えないんですか?」
絞り出すように声を出す私。
「ごめんなさい。今は無理…戦力が足り無いの。今、攻めると無駄死になるよ」
「アイリス…解放できたよ…」
教会の入り口から男性の声がした。アイリスさんが駆け寄って、彼に抱きついた。
「フレイ…大丈夫?」
「わからない…目の前にいる敵はすべて屠るだけだ」
眼光の鋭い男。そんな彼を優しい眼差しで見ているアイリスさん。彼女の恋人かな?
「うん?また、あのクソ英雄か?くそっ!」
姉の棺を見て怒りを露わにする男性。
「魂はロスト…蘇生は無理です」
「そうか…」
肩を落として男性は教会から去って行った。
---フレイ----
解放した拠点から怪我人をつれ戻った。治療を施していく。女性は交われば良いが、男性はそうもいかない。自分の身体を傷つけて、僕の血液を傷口に付けていく。僕の体液は全て強力な治療薬だから。しかし、血液の治療は僕への負担は大きい。数名を治療した処でダウンした。
「フレイさん、大丈夫ですか?」
リリアンの声が遠くでする。意識は闇に飲まれて行った。