朝目覚めると、柔らかい物が身体のあっちこっちに触れていた。なんだっけ?何かを忘れている。首を傾けて、隣を見ると金髪の少女が、静かな寝息を立てて寝ている。この人って…剣姫さんだよな…夢でも見ているのだろうか。もう一度寝ようとすると、
「おはよう…ジム…くぅ…すぅ…すぅ…」
僕に声を掛けて、また寝入り、寝息が聞こえてきた。あれ?これって現実かな?身体を調べる。僕の上に剣姫さんが載っている。僕も彼女も全裸のようだ。で…
えぇぇぇぇ~!
僕のアレは、剣姫さんの身体に吸い込まれていた。これって…徐々に思い出される昨晩の夢のような出来事の数々。夢では無いようだ。現実なんだ。彼女の身体の柔らかさと共に、彼女の身体の重さも実感しているし、彼女の体内の温度も分かる。暖かい…癒やされていく…
あぁ、彼女を送り出さないと…幹部会が有るようなことを、言っていたような気がする。彼女と一体化したまま、二人でお風呂場に向かい、シャワーを浴びた。
「あ…ジム…おはよう…」
シャワーを浴びたことで目覚めたアイズ。
「おはよう♪」
僕は、目覚めの口づけをした。彼女の口は、僕にされたいようにされていたが、彼女のしなやかな腕が僕の背中を這う。
「朝飯はどうする?」
「うん?ホームで食べるよ~♪あっ、行かないと…遅刻しちゃう♪」
僕から名残惜しそうに離れ、タオルで濡れた身体の水分を拭っていく。そして、服を着て、装備を付けて、
「今夜も…続きをしようね♪」
って、僕の方に笑顔を向けてきた。心が蕩けていく…
「うん♪いってらっしゃい」
彼女と玄関まで行き、彼女を見送った。
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僕も仕事をしなきゃ。ゴブニュ様とヘファイストス様のファミリアで頂いた、メンテナンス及び調整の仕事をこなしていく。基本、僕は朝を食べない。でも一緒に暮らすなら、朝飯を食べる生活にしないとダメかな?
「よぉ♪昨晩はどうだった?」
大家さんで有るヘルメスが、サンドウィッチを差し入れに来てくれた。遅い朝食をたまに、差し入れてくれる。ホームでのあまり物と言うので、いつも有り難くいただいている。
「昨晩?あぁ…婚約初夜?」
「そうそう♪で、どうだった?」
「今まで生きてきた中で、一番気持ちが良かったです」
「そうか。良かったな、ジム♪」
自分のことのように喜んでいるヘルメス。
「あ、そうだそうだ。メンテナンス終わっているんだ。持って帰る?」
奥から、ヘルメス・ファミリアからのメンテナンス分を、持ってきた。
「あぁ、悪いな。先にやってもらって。うん?これは?こんなの頼んだっけ?」
昨日、僕の作品のファンって、ヘファイストス様から聞いたので、日頃の感謝を込めて、僕のコレクションからのプレゼントだ。
「いつも、お世話になっているから…プレゼントだよ、ヘルメス♪」
片刃のナイフ。鞘から取り出して、ヘルメスが色々な角度から、眺めている。
「これって…触れた物を斬り裂くナイフだよな?いいのか?ヘファイストスが狙っていたような」
「うん♪いつも良くしてくれるし。あぁ、ヘルメスの銘を刻んで有るから、ヘファイストス様は奪わないよ」
「そうか、悪いな。でもな…ジムは弟みたいな者だから…良くするというか、家族だからな。困ったら頼っていいんだぞ」
少し照れているようなヘルメス。
「ありがとう、ヘルメス♪」
---フィン---
僕らのファミリアでは、食事は全員揃ってから始まる。用事で参加出来無い場合は、幹部に前もって連絡しないと、主神のロキが五月蠅い。眷属は自分の物として、完全管理したがっているのだ。
アイズから連絡は無かった。朝食の時間が迫っている。まだ来ない…いない事を知っている僕とリヴェリアとティオナが玄関で、アイズを待っている。
すると、いつもと変わらない表情のアイズが帰ってきた。
「遅くなりました。今日から、通いますので、よろしくお願いします」
と、感情が読めない表情で、僕達に外泊宣言をした。そして、食事…
食後、僕とリヴェリアとアイズ、ティオナだけがロキの部屋に呼ばれた。昨晩から僕の親指の震えは止まっていない。何が起きるんだ?
「アイズたん、そしてティオナ。話は聞いたで~。認めん!」
と、ロキ。誰から聞いたんだ?
「じゃ、退団します」
アイズは即答だ。
「私も♪」
ティオナもアイズに続く。
「あかん!認めへん。退団も恋愛も禁止やでぇ~!」
え?恋愛も禁止なのか?聞いていないぞ。僕だって、結婚を諦めた訳ではない。理想の女性が現れれば…
「では、ギルドに提訴します」
アイズがこれにも即反応していた。
「はぁ?何をゆうてる?ギルドに提訴やて?認めへんと言うたら認めん」
「入団後、1年経てば、改宗の権利が眷属に生じます」
「ここじゃ、そんなアホなルール認めへん。勝手にギルドが決めたことや」
うん?ここまでリヴェリアは、黙りだった。コイツ…ちくったな…
「ロキ、彼を引き抜き抜こう。彼の魔法に興味が有るんだ」
っと、ここでリヴェリアが口を挟んだ。
「あぁ、それもええなぁ。一般人やったら、改宗手続きもいらへんし。これから行って、眷属にしたるか」
ロキが外出の準備をし始めた。親指の疼きと共に震えが激しくなる。何が起きるんだ?えっ…目の前にいたロキの身体から布きれが数枚落ちて来た。
「ジムを虐めるなよ♪」
ハンマーソードを手にしている満面の笑みのティオナ。ロキの身体を傷つけずに、衣服だけを切り裂いたようだ。全裸となったロキは固まっている。
「後、恋愛を認めないだと?ティオネの気持ちを知っていて、言うのか?」
ティオナの姉のティオネは、僕に片思いをしている。ティオナはあの得物を手にして、確実に腕を上げている。今の攻撃時には、気配すら読めなかった。
「ねぇ、ロキ♪ジムの作品の威力を、身体に刻んであげる♪」
ハンマー部を前面にした。あれって、雷撃だよな…おい、まさか…ティオナが軽く振ると、ロキから甘い声が聞こえる。
「あっはぁ~ん…ダメや…あぁぁぁぁ~あかんって…あぅぅぅぅ~」
雷撃を飛ばせるのか…それもピンポイントで撃ち込んでいる。微弱な刺激なんだろうけど。ロキは身体を捩る。そして胸を護る為に、後ろを振り向いた瞬間、ティオナから雷撃が3発撃ち込まれた。ロキの穴2つとポッチ1つに向けて…その場に失神するロキ…
「なんだよ~もっと遊ぼうよ、ロキ♪」
ロキを引き摺り起こし、ロキの乳首をハンマーのミートポイントに押し当てる。ロキの身体が痙攣し始めた。
「やめて…やぁ~頼むさかい…」
ティオナに許しを請うロキ。僕とリヴェリアは助けに行きたいのだが、アイズが僕達の前に立ち塞がっている。ティオナの上達ぶりから判断して、アイズも更に上達しているはずだ。
「恋愛禁止令を解除して♪私達だけで無くて、ティオネまで縛るなよ♪」
ロキの身体から体液が漏れ始めた。危険だ…
「わかった…認める…助け…」
願いが通り、ロキの傍を離れるティオナ。泡を吹いて、意識を飛ばしているようなロキが、床に倒れ込む。
「どうする?フィン、リヴェリア…」
アイズはダンジョン内で戦闘時に見せる表情になっている。
「おい!4人で何を楽しげに話しているんだ?」
ドアが乱暴に開けられて、ベートが入って来た。
「おい、アイズ、ティオナ、何をしているんだ?」
ベートが状況を読んだようだ。
「ロキから恋愛禁止令を解除してもらった」
アイズが、端的な回答をした。
「うん?アイズ、お前、誰と恋愛しているんだ?俺様か?」
ベートの表情もダンジョン内での戦闘時の顔付きになっていた。ここで一戦交えるのか?
「ベートじゃない。私、昨日、婚約したんだ」
「はぁ?誰と…だぁ?」
アイズのドロップアウト発言に、表情が一変して、泣きそうな表情のベート。アイズの爆弾発言を聞くと、僕の親指の疼きも震えも漸く止まった。この発言を予想していたのか、僕の親指は…
「で、昨晩。婚約初夜を迎えたんだ」
「婚約初夜って何だ?」
目が点になったベートが、疑問を口にした。この街には、そんな風習は無いと思う。
「彼女がいない歴イコール年齢の者にはわからないかな?」
何かを経験をして、余裕を持った表情で言い放つアイズ。えっ!僕も含まれる…いやいや、ここで動揺は見せられない。僕は沈着冷静な団長なんだから。でも、アイズからの衝撃発言により、ベートは固まっている。今の言葉は、彼にとってクリティカルヒットに近いと思う。
「まさか…早まったマネをした訳ではあるまいな?」
リヴェリアが冷静な態度で、確認をした。
「早まったマネって?」
見慣れた表情に戻ったアイズが訊いた。その途端、耳を真っ赤にしたリヴェリア。その手の話題は、エルフ系は抵抗力が無いかと思うのだが。天然系のアイズには、具体的に答えないとダメージが大きくなると思う。
「あぁ、性交だよ♪」
って、ティオナが変わりに答えを言った。アマゾネス故エルフ系とは逆に、こういう話に抵抗は少ないようだ。
「性交って?」
「えっ…えぇ…っと…ジムと…交わったかな?」
ティオナは顔を紅潮させた。アマゾネスでも抵抗ある話なのか…
「交わるって?」
アイズは天然ぶりを…いや、このファミリアでは、恋愛経験者は少ないから…そういう体験者も少ないし…性教育なんかしないから、アイズには無い知識かもしれない。
「あのな…あぁ、ティオネ、いいところに来た。アイズに性交について、教えてあげてくれないかな♪」
ドアが開きっ放しな為、ティオネが入って来た。それを目にしたティオナが、速効で姉に質問をしたのだ。
「えっ…何をいきなり…あっ!団長の前で…そんな事を言えないよ~!」
泣きながら、部屋を飛び出していったティオネ。これはマズイ状況だろう。しかたなさそうに、ティオナがアイズの耳元でゴニョゴニョ伝えている。
「うん♪したよ♪すっごく気持ち良かった。今朝もしたし、今夜も約束してきたよ♪」
満面の笑みのアイズ。その笑みは、恋人いない歴イコール年齢の者に対して、クリティカルな精神ダメージを与えるには充分な行為だった…
「いいな♪私も今夜は混ぜてよ~♪」
ティオナとアイズが、楽しそうに話しながら、部屋を出て行く。
---ジム---
「えっ?退団届けをギルドに出したの?」
ティオナとアイズが、ロキ・ファミリアから退団したという。入団から1年経てば、退団も改宗も、眷属に認められる権利ではある。大抵の場合、揉めるけど。主神が眷属を手放さないのだ。
昨日、僕の経験談を調整中に話した。僕の場合、揉めることは一度も無かったけど、正式な退団をしていた。なので、ギルドでの退団届けの出し方、書類の書き方など、詳しいと言えば、詳しいのだ。
「で、どうするの?」
「ジムの眷属になる♪」
「僕は神で無いから、眷属に出来無いよ」
メンテの仕事をしながら、彼女達と話している。彼女達は、僕の仕事を物珍しそうに見ている。
「どこかに入らないと、ロキが五月蠅いかな?」
ティオナが心配を口にした。まぁ、五月蠅いだろうな。恋愛も禁止って、眷属を縛りすぎる主神だな。
「あぁ、そうだ。裏ルールがあって、退団したファミリアには1年間改宗出来無いんだよ」
「なんで?」
「退団を認めない主神が、ギルドルールを無視して、再眷属化することを防ぐ為のギルドの決めたルールなんだけど、一度も適用されたことが無いから、裏ルールなんだって」
以前、ギルドで聞いた話を二人にした。
「なんで適用されたこと無いんだ?」
ティオナに訊かれた。
「退団届けって制度を知っている者が少ないから、主神がダメと言うと、諦める人が多いそうだよ。たぶん、アイズとティオナはレアケースになる」
「ふ~ん」
「ロキが裏ルールを、知っているとは思えないから、ギルドでアイズ達を再登録出来ず、ギルドで揉めるだろうな。心配だったら、ヘルメスの処に名義貸しするといいよ」
「名義貸しって?」
「実際は眷属では無いけど、書類上は眷属になるんだよ。ウィントゥウィンでさぁ、冒険者からすると再登録封じになる。で、ファミリア的には、眷属数が増加して、規模の算定と税金対策になる。ほら、税金って儲けたお金を眷属数で割るでしょ?実際より多ければ、ファミリアにかかる税金は安くなるんだよ。僕もヘルメスに名義を貸しているし。恩恵を受けずにね」
「それ、いいな。お願い、私達も…」
アイズに頼まれたので、早速三人で隣に行き、団長のアスフィに名義貸しを依頼した。契約は問題なく終り、工房に戻る。
「ねぇ、ジムは誰の恩恵を受けているの?ヘファイストス様って言っていたけど、本当なの?」
アイズが訊いてきた。何かに気づいたかな?まぁ、彼女達には本当の事を言おう。婚約者だし♪
「実際は…ウラノスだよ」
目が点になる二人。まぁ、あまり知られていないファミリアだし。系統的には隠密系になるのかな?この街の極秘事項を抱えたファミリアではある。まぁ、一般の者には関係は無いし。
「フレイヤの眷属になって、問題が起きてね。で、ウラノスの眷属になって、問題を回避したんだよ。で、ウラノスって有名な神で無いから、ヘファイストス様にしてあるんだ♪」
ファミリア放浪人って言われてもしょうがない僕。フレイヤの恩恵を受けてから、レベルが上がった事で発現したアビリティに問題があり、ウラノスの力で、封印してもらったのだ。
「問題って…」
心配そうな顔で僕を見る、アイズとティオナ。
「ちょっとね…今は封印してあるから大丈夫だよ、アイズ、ティオナ♪」