「ジム…ねぇ…ジム…起きて…」
遠くから呼ばれている。ここはどこだろうか?無限の孤独地獄にいるのでは無いのか?
揺り動かされる感覚がある。これでは孤独地獄にならないだろ?ここはどこだ?また、違う世界へ飛ばされたのか?
「ジム…」
唇に柔らかい物が触れている。何かが口の中に入ってきて、乾ききった僕の体内に、潤いを与えてくれた。
ふっ…ふぅ~
「そう、ゆっくりでいいわ。息をして、ジム…」
どこかで聞いたことのある声…どこでだっけかな?誰だっけかな?
僕のアレがムクムクと大きくなっていく。柔らかな舌が裏筋を舐め上げてくれている。誰だろうか?こんな、ダメな者に奉仕するなんて…
僕のアレは暖かい室に入れられて、暖かさを得る。
「ジム…起きて…ねぇ…ジム」
ペロッ…耳を舐められて、背筋に何かが這う感覚。ここはどこ?目をゆっくりと開けていく。
目の前には青空が広がっている。アオカンか?野外で…って、誰と?相手の顔に視点が徐々に定まっていく。
えっ?…なんで?僕が殺した者だ。僕を殺しに来たのかな?いや、僕は死んだはずだ?はて?混乱する僕の頭脳。
「ジム、ここは天界よ。ねぇ、私のことを忘れたの?」
忘れる訳無い。リューとアリーゼが愛した主神だもの。
「アストレア…どうして?」
「うんっとねぇ~、端的に言うと、天界で一番エライ神の天界長がねぇ、カルマが多すぎるから、地上で苦労をもっとして来なさいって♪」
え?悪行が多いんだから、地獄でいいじゃないか。
「地獄?ダメなの。だって、ジムはこの世界の者では無いから、魂の原簿が無いのよ。だから、天界止まりなんだけど、カルマ成分が濃いから、天界に置いておけないんだって♪」
はぁ?冥府は?コキュートスに永久封印で良いじゃないか。
「それも、魂の原簿が無いからダメなんだって。ねぇ、私と地上に再降臨しない?」
うん?アストレアと?出来るの?
「ジムの保護観察官として、同行が許されたの。ジムを良く知る神は、天界では私しかいないから」
あぁ、そうだよね。まだ、みんな地上にいるもんな…
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そして、僕とアストレアは地上に再降臨した。行く宛ての無い僕達は、ヘルメスの元を訪れた。
「え…ジム…アストレア…え?どういうこと?」
事情通のヘルメスですら、事情がよくわからないみたいだ。
「端的に言えば、私とジムのカルマが多すぎるから、地上で昇華しなさいって♪」
「いや、地上にいたら、カルマは増えるぞ。天界長は何を考えているんだ?」
え?増えるの?
「まぁ、直訳すると、まだまだすべき事が有るってことみたい♪」
すべき事…ダメダメなガーディアンの僕に、出来ることなんか、残っているのか?
「でねぇ、アストレア・ファミリアを再登録したいの。ホーム物件無いかな?」
アストレアはヘルメスに甘える。嬉しそうというより、狼狽えているヘルメス。上下関係が見えるようだ。
「わかった。探す。取り敢えず、隣のジムの家に住んでいてくれ。で、ファミリアの再登録はナイト権限で出来るはずだ、ジム」
あぁ、そういうことか。ギルドと言うには、ウラノス・ファミリアのホームで有り、ギルド員は全員、ウラノス・ファミリアのメンバー、ウラノスの眷属であるのだ。但し、冒険者では無いので、神の恩恵は与えられていない。って事で、ギルドで団長ナイトは権限をそれなりに持っている。表立ってでは無いけど。
アスフィに頼んで、凄腕ギルド員であるエイナを呼び出してもらった。死んだことになっているそうなので、僕は表を堂々とまだ歩けない。
「ナイト様…生きていらしたんですか?」
「う~ん、取り敢えず、ジムでいいよ、エイナ。裏稼業の時の名前だから」
「はい。わかりました。で、ジム、生き返ったんですか?」
「う~ん…天界で、地上で身を清めて来いって…落とされた」
「はぁ…流石にカルマ王ですよね。って、身を清めることって出来るんですか?」
「ヘルメスが言うには無理だって…」
「ですよね~♪」
エイナは僕の凹む顔が好きらしい。まるで、シルみたいだ…
「で、私はどうすれば良いですか?」
「取り敢えず、連絡要員になってくれるかな?あと、優先課題は、アストレア・ファミリアの再結成。団長はジムで登録して欲しい」
「一人で団長を2つこなすんですか…カルマが増えそうですよね~」
「だね…」
更に凹む僕。それを楽しそうに見ているエイナ。そう言えば、コイツもエルフだったな。僕にはエルフ運が無いのかもしれない…
「わかりました。一日一回、午後に御用聞きに参ります♪あと、要り用な物ありますか?」
「物資はヘルメスに分けて貰う。あぁ、アイズ達の様子を知りたいかな。もう、忘れられているよね?」
「どうかな?死んだと思っていないような…」
「なんで?」
「本人に聞いて下さいね、団長♪」
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夜、誰かが家に入ってきた。咄嗟にアストレアをガードするように構える。
「あっ…ジム♪お帰りなさ~い♪」
笑顔のアイズが抱きついて来た。
「ジム…会いたかったよ~」
泣きながらティオナが抱きつく。えっ?どんな状況?
「毎日、ここに寝泊まりしている。ジムがいつ帰ってきても良いように」
僕のいない間、この家を護っていてくれたアイズとティオナ。
「で、この女性は?」
刺すような視線がアイズから飛んでくる。そうだ、説明しないと、アストレアが危険だ。
「僕の新しい主神のアストレア様だよ。今、新しいホームになる物件を、ヘルメスに探してもらっているんだよ」
「ジム…この女神様に助けてもらったの?」
刺すような視線は消えて、通常の視線になったアイズ。
「あなたがアイズさんで、そちらがティオナさんね。助けてもらったのは私の方よ。今は恩返し中なの」
アストレアは、彼女の為に犯した僕の罪の話をした。
「そのおかげで、私は心穏やかな女神に戻れたの。だから、彼がカルマを昇華するのを暖かい目で見守るのが、今の私の役目。で、あなた達は改宗してくれる?」
「はい(うん)♪」
相談即決な二人。まぁ、書類上はヘルメスの処だから、問題無いかな。
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翌日、ヘルメスが見つけてくれた物件へ、4人で向かった。地図によると…嫌な予感がするのだが。
「ジム!待っていたぞ」
笑顔のミアが…クロエ、ルノア、アーニャ、シルが、僕達が来るのを待っていた。
「お前が以前、隕石でボコボコにした別館の予定地に、建てた物件を無償で貸す」
連れて行かれた建物は、僕達が入居することを知っていたかの如く、僕の理想の間取りであった。1階部分には鍛冶仕事をするエリアがあった。炉も備え付けられている。僕の愛用の道具類が、道具棚に既に収まっていた。
「どうして…何で?」
戸惑う僕。
「言っただろ?お前は私の息子のようなものだ。いつか帰ってくると信じていた。だから、先行投資で、建設しておいた」
ミアが笑顔で、真っ直ぐに僕を見据えてくれていた。
「で、2階なんだが、ここをアストレア様の部屋にしてください。同居人がいますけどね」
アストレアの部屋のドアを開けると、リューがアストレアに駆け寄り抱きついた。
「アストレア様…」
「リュー…そうか同居人はリューか。よろしくね、リュー♪」
アストレアとリューを置き去り、次の部屋を案内するミア。2階で一番広そうな部屋のドアを開けた。
「ここがジムの部屋だ。お前、彼女が多いから、一番広い部屋にしたよ」
えっ?既にシルの部屋の家財が運び込まれている。はぁ?
「ねぇ、シルって、彼氏がいたよな?」
「うん?いないよ。ジムしか考えていないもん♪」
「だって、僕には、既にアイズとティオナとリヴェリアがいるんだけど…」
「問題無い♪だって、ジムは私の王子様だから♪」
はぁ?王子様?
「有り得ない。僕は王子様では無い。シルとリューとシャクティを、護り切れなかったんだし…」
「でも、命を使って、助けてくれた。聞いたよ。ジムのおかげで、今こうして生きていられるって…だから、傍にいたい。アイズさん達に愛情は注いでいいから、私はジムの傍にいたいんだよ~♪」
右手を握り締め、拳に息をはぁ~はぁ~している。おい…返答次第で殴るのか?
「わかった。痛いから拳固は止めて…」
「そう…星が見たくなったら、いつでも言ってね」
こいつ、虐めキャラが欲しいだけで無いのか?表では猫被りだし。
「シル、ジムをあまり脅すなよ。家出されても困るからな」
ミア…シルの性格を読んでいる。
「で、クロエとルノアとリューもアストレア様に改宗してもらう。あぁ、リューは既にアストレア様の眷属だったな。あと、中庭は練習場にして良いからな。そうそう、家事系ファミリアとして登録しておいてくれ。今まで通り、うちで働いてもらうから。いいな、ジム」
主たる目的は家事で、内職で鍛冶って感じかな?
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地上でのロスト時間は3ヶ月くらいだったらしい。僕的には1日みたいな感覚であったけど。その為に時差ボケが…昼間でも眠気が襲ってくるので、鍛冶のお仕事は当分出来無い。集中力が保たないのだ。
「ジム…店で寝るのは、ダメだ!」
ミアのお店で昼飯を食べていて、寝てしまった。スープに顔を埋めて寝ていた。
「ジム、大丈夫か?」
リューが駆け寄って来た。手にしたタオルで、顔を拭ってくれた。
「眠い…眠すぎる…」
「しょうが無いな~。シル、上がっていいぞ!その手間のかかるヤツを連れて行ってくれ」
「はい、ミア母さん♪」
ミアが僕に退場宣言をした。まだ半分も食べていないのに…シルに肩を支えられて、ホームに戻る。
「大丈夫?」
「うん…眠いだけ…」
「食事をちゃんとしないとダメだよ」
「シルのって母乳は?」
バキッ!
「出ません!」
後頭部を殴られた。痛みが、僕に生きているという実感を、与えてくれる。
「それは、残念だ…」
「ねぇ、出ないけど…咥える?」
「止めておく。咥えすぎると、乳首がデカくなるらしいよ」
バキッ!
「誰情報?」
「ヘルメス…」
「あいつかぁ~!」
ヘルメスの知識は、時に女性陣を、エキサイトさせる場合が多い。まぁ、スキンシップが多くなるから、僕的には問題は無いけど。