※この作品はR-18です。

ラスボスになりたい~   作:もっち~!

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誤解からの戦争遊戯

 

 

ミアのお店がお休みなので、シルとおでかけ。リューはアストレアに付きっきりである。話したかったことが山ほど有るようだった。

 

「で、どこに行くの?」

 

「デメテル・ファミリア」

 

「アイズさんの材料の仕入れ?」

 

「そんな感じ…アレがあると機嫌のコントロールがしやすいんだよ」

 

「ねぇ、私の機嫌のコントロールは?」

 

シルが僕の顔を覗き込む。

 

「難しいよね」

 

「何で?」

 

お店でのスマイルを繰り出してきた。う~ん…確かに可愛いのだが…罠の気がする。僕に営業スマイルを向ける時は、罠の時が多いし。基本、僕には素で接しているシル。

 

「ねぇ?可愛くない?」

 

「う~ん…」

 

罠かどうかを考え込んでいた僕の唇を、なんの前触れ無く奪うシル。

 

「うっ…うぅ~ん…どうかな?上手くなったかな?てへ♪」

 

シルとのスキンシップをしていると、知らない冒険者に声を掛けられた。

 

「シルさん、その方はどなたですか?」

 

小柄で赤目白髪のウサギのような少年が、僕のことを良い視線で見つめている。

 

「あっ、ベル君。彼は…」

 

言葉に詰まるシル。うん?ベル?確か…シルの彼氏だっけ?

 

「なんだ、シル。彼氏と待ち合わせか。とんだ、道化だわ。じゃあな!」

 

僕はシルを残して、その場を去った。で、一人でデメテルでの用事を済ませて、帰路に着くと、会いたくないヤツに出会った。向こうも僕とは会いたくなかったようで、視線を逸らせて、すれ違っていく。

 

「待って!僕と戦ってください!」

 

振り返ると、先程のウサギ君と驚いた顔のアイツがいた。

 

「何で戦わないと行けないの?理由も無く戦えない」

 

「シルさんが泣いていました。遊びでシルさんの心を惑わせないでください」

 

惑わしているのはシルの方なんだけど…まぁ、アイツの表の顔を尊重しないとな。

 

「わかった。じゃあな!」

 

「言葉だけで無く、行動で示してください。僕と戦って、僕が勝ったら、シルさんに近づかないでください!」

 

正義感をビシバシと感じる。でもなぁ、同居しているんだけど…別居してくれるかな?それはそれで、平和になるかな。

 

「いや、戦わないでもいい。シルに首輪を付けて、お前の手元に置いておけ」

 

「シルさんをペットみたいに扱うなんて、許せない」

 

ガントレットから、ナイフを2振り取り出した彼。僕と戦闘スタイルが被るんですが…

 

「悪いけど、僕は冒険者じゃない。だから、対人戦はしない。うん?ヘスティアナイフ?おい、ヴェルフ!お前の知り合いか?」

 

「ベル…止めろ!相手が悪い…」

 

ヴェルフの顔色が悪くなっていく。

 

「なぁ、ヴェルフ。他のファミリアの団長に、往来で戦いを挑むって、それがどういう意味かわかっているか?」

 

「おい、ガキの言う戯言だ。流してくれ」

 

「じゃ、お前が躾してくれ。お前の顔は見たく無い!」

 

ヴェルフが動くよりも先に、ウサギ君が動いた。早いなぁ。ウサギだからか?兎人って種族いたかな?そんなことを考えていたら、

 

痛っ!マジで斬りつけてきやがった…でも、対人戦は禁じられている。団長として、ルール厳守だ。傷は浅い。回復術でどうにかなるレベルだし。

 

「これで気が済んだかな、兎君。じゃあなぁ」

 

「じゃぁな?じゃないでしょ?大丈夫?ねぇジム」

 

斬りつけられた現場を、知り合いが見ていて、声を掛けてきた。事態がデカくなりそうだな。

 

「大丈夫だよ、シャクティ。これくらいは問題無い」

 

「問題無いって流血しているわよ…往来で、団長を斬りつけるって…ねぇ、君達は、ヘスティア・ファミリアのベルさんとヴェルフさんですよね?どういう事です?何が原因なの?私は、ガネーシャ・ファミリアの団長シャクティです」

 

シャクティの正体を聞き、青ざめる二人。

 

「シャクティ、もういい。頼むから、事を大きくしないでくれ」

 

こいつがしゃしゃり出ると、事がデカくなりすぎる。

 

「でも…ジム…」

 

僕は回復術で傷口を治した。

 

「ホラ、なんとも無い」

 

が、久しぶりの魔法の行使で、ふらつく。シャクティの肩を掴んで、立っていられるレベルだ。

 

「何ともなく無いじゃない。大丈夫?ねぇ、ジム…おい!そこの二人!主神に謝罪をするように言いなさい。いいですね!」

 

シャクティが僕を優しく抱き締める。

 

「シャクティさん、彼はシルさんを泣かせた。ペットの様に扱い、遊びで付き合っていたみたいです」

 

兎君が間違ったことを言っている。シルの事をシャクティに言うのは、得策では無いんだけどな。

 

「はぁ?ジムがシルと遊びで付き合っていた?どこから、そんなデマを聞いたの?」

 

シャクティが呆れたように言い返した。

 

「もう、いいよ。シャクティ。彼の誤解なんだから」

 

「良くない…私の大切なジムの悪いデマを流されるのは、心外だもの。ベルさん、シルはジムの家に押し掛けて、同居しているのよ。遊びだったら、彼はそんなことを許可しない。ペットの様に扱うようなマネは…う~ん…たまにされているかな…」

 

何か、誤解に油を注いでいないか?まぁ、いいか。確かに、僕がペットのような扱いを受けているのは間違い無い。

 

「すまないけど、シャクティ。家まで送って…」

 

「うん♪」

 

なんか必要以上にスキンシップをしながら、抱きついているシャクティ。それだと、運び難いだろうに…

 

----------

 

夜、ホームでまったりしていると、エイナが駆け込んできた。

 

「団長、戦争遊戯の申し立てが来ましたけど、何かやらかしましたか?」

 

うん?いや、対人戦はしていないし。恨まれることはしていないし…身に覚えが無い。戦争遊戯というのは、ファミリア同士の果たし合いみたいな物だ。恨みをかっていないのに、果たし合いって、どういうことだ?

 

「無いよ。闇ファミリアか?」

 

「いえ、表のファミリアです。最近勢いづいているヘスティア・ファミリアです」

 

「覚えが無いなぁ。間違いで無いのか?」

 

申し立て書に目を通す。う~ん団長ナイト・クロウになっているし…ウラノス・ファミリアを戦争遊戯に引き摺り出すって、どんなファミリアなんだ?ギルドにケンカを売るような物だと思うが…

 

「まぁ、売られたケンカは買うけど…殺さないで倒すのは難しい…どうしようかな?」

 

「でも、アストレア・ファミリアで受けた方が戦闘力高いでしょ?」

 

まぁ、あちらは実質全員LV6以上だしなぁ。

 

「わかった。受ける。ウラノス・ファミリア団長ナイト・クロウとして、受け付ける。相手にそう伝えてくれ」

 

--------

 

翌日、特ダネとして、オラリオの街を駆け抜けた、戦争遊戯の話。どこのリークだよ。

 

ギルド内で調印式。ウラノスは動けないので、僕だけが参加した。相手側はじゃが丸君の屋台の人と兎君が来た。

 

「条件は負けた方が土下座をする、これでいいわね!」

 

じゃが丸君の屋台の人が言う。まさか、この人が主神?兎君は、相変わらず良い目をしている。

 

「いいよ。で、殺しても文句無しって、付け加えてくれる?僕、手加減が出来無いから」

 

「いいわよ。私の眷属を舐めないで欲しいわね」

 

あぁ、やっぱり、この人が主神なんだ。この女神、頭は大丈夫か?胸がやたらに大きいのは、頭に栄養が行っていないのかな?

 

「じゃ、エイナ。コイントスしてくれ。コインが地面に付いたら、戦闘開始だ♪」

 

「はい、団長♪」

 

エイナがコイントスをした。

 

「え?今から?」

 

慌てる主神。

 

「神様は僕は護る」

 

開始の合図を待たずに、兎君が飛び出してくる。僕に近づき『ファイアボルト』と唱えた。魔法が使えるのか。しかし、彼の放った魔法はカウンターされ、彼に向かっていく。

 

「何で?」

 

自分の放った魔法を必死で避ける兎君。

 

「エイナ、アイツ、反則負けだろ?」

 

「そうですね。フライングしました。では、ヘスティア・ファミリアはウラノス・ファミリアに土下座をしてください」

 

エイナの裁定にあっけに取られたような兎君。

 

「えっ?負け?認めないわ。再戦を要求します。全員参加で勝負をしなさい!」

 

デカ胸女神が、再戦を要求してきた。これ以上は、死者が出る気がするんですけど…

 

「じゃ、1時間後に、コロシアムで♪僕は先に行くよ」

 

-------

 

1時間後、コロシアムで待っている。が、相手は来ない。

 

「エイナ、不戦勝でいいかな?僕、疲れて来たんだけど…」

 

「ですね。30分待って来なければ、不戦勝で良いかと思います」

 

 

 

そして、不戦勝が確定。不毛な戦いだ。眠い…家に帰って寝る。しかし、直ぐに起こされた。また、エイナがやって来た。

 

「今度は何?」

 

「えぇっと…ヘスティア・ファミリアが、今度はアストレア・ファミリアに戦争遊戯だそうです。相手を間違えたそうです」

 

書類に目を通すと、団長ジムに対してになっている。う~ん…

 

「同じ…いや、更に悪い選択をしていないか、あの女神は…」

 

「ですよね~」

 

エイナが困った顔をしている。いや、僕も困った。既に2勝しているのだが、相手が負けを認めない。う~ん…どうすれば…

 

「ジム、どうしたの?」

 

アストレアがやって来た。事情を彼女に話す。

 

「それはヘスティアのわがままでしょ?エイナさん、どうにかならない?ジムはもう無理よ」

 

「一応、今日の結果は公示します。負け逃げした事実も含めて。それとは別に、どうします?」

 

「だって、家事系のファミリアだよ。普通に考えて、冒険系のファミリアに勝てる訳無いだろ?あっ、それが狙いか?不戦勝狙い…う~ん、それはそれで悔しいなぁ。で、いつやるの?」

 

「3日の猶予をくれるそうです」

 

「わかった。受ける。全員招集だな。家事系ファミリアだと舐めたことを後悔させる。徹底的に潰すよ」

 

 

 

---フィン---

 

ベルがジムに戦争遊戯をふっかけたそうだ。家事系ファミリアってことで、舐めているようだし。僕達のホームに呼び出し、回避を促している。ジムは対人戦禁止だしなぁ。

 

「どうしてですか?だって、アイツは酷いヤツですよ。シルさんに対して無理やり、同居するなんて…」

 

怒りに震えているベル。アイズ達は、招集がかかり、ジムの元に向かっている。書類上の眷属だけども、ジムの為に働きたいようだった。

 

「それでですね。アイズさん達を助っ人でお借りできませんか?」

 

って、無理なことを。現実を知らせた方が良いかな?相手を知らなすぎるもんな。

 

「ベル、いいか?アイズとティオナは、ジムのファミリアに改宗している。レフィーヤとリヴェリア、ベートはジムの助っ人で参加するそうだ。後、シャクティ、アスフィ、オッタル辺りも援軍として参加するらしい」

 

僕の言葉に驚いているベル。

 

「なんで…あんな酷いヤツに…アイズさん達は騙されているんですよ!」

 

「騙されているのは、君の方だと思うけど。いいか、アストレア・ファミリアを家事系だと思って、舐めるな。あそこは眷属は全員、実質LV6以上で構成されている。はっきり言って、ヘスティア・ファミリアでは無理だ。いや、ロキ・ファミリアでも無理なんだ。それくらいの戦力を誇っている」

 

更に驚いた表情のベル。

 

「れっ、レベル6…以上…だって、ギルドでの資料では…」

 

「あぁ、Lv4とLv2だろ?事情があって、正確なデータでは無いんだ。出来れば、今日中に土下座して来い。既に、ナイトに2連敗して、負け逃げしたそうじゃないか」

 

「負けていません!」

 

「フライング負けと不戦敗だっけ?立派な負けだよ。殺されるから、あそこは止めておけ。実戦になれば、手加減なんかしれくれないぞ」

 

「なぜ、フィンさんまで、アイツの肩を持つのですか?」

 

「じゃ、自分の目で見てこい。アイツの部屋に連れて行ってやる」

 

誰に洗脳されたんだ?ベルって、こんな無謀なヤツで無かったはずなのに…

 

 

 

---ジム---

 

中庭で軽く手合わせ。ベートとルノア、リヴェリアとクロエ、アイズとリュー、ティオナと僕、レフィーヤと僕で、寸止めルールで組手。

 

「なぁ、魔法で寸止めって、どうなんだ?」

 

リヴェに訊かれた。

 

「最後の1ワードだけ言わなきゃ、発動しないでしょ?」

 

「なぁ、乳首責めって、どうして?」

 

リヴェが訊いてきた。

 

「ティオナもレフィーヤも悦ぶし♪」

 

アイズとリュー、ベートとルノアだけは、真剣に取り組んでいる。そこに、

 

「ジム、いいかな?」

 

珍客付きのフィンが訪れた。珍客は、戦う相手の兎君だった。

 

「ジャマしなきゃいいよ。おい、レフィーヤ、歌を止めるな!」

 

「はい、師匠」

 

「だから、指で乳首を弾くなよ、ジム」

 

「嫌なら、避けろよ、ティオナ!」

 

兎君が動いた。僕に真っ直ぐ向かってきた。その動きにリュー、アイズ、ベート、ルノアが反応して、兎君の手からナイフを奪い取り、制圧した。

 

「ベル、ジムを襲うな!」

 

アイズがキレている。みんなも殺気立っているな。

 

「練習終わろう。これ以上やると、死者が出そうだ」

 

練習を切り上げて、シャワーやお風呂に向かう一同。僕はフィンと兎君を連れて、僕の部屋に向かった。ドアを開けると、

 

「お帰り、ジム♪」

 

満面の笑顔のシルが抱きついて来た。でも、肩越しに兎君の姿が見えたのか、筋肉が一瞬にして強張っていく。

 

「シルさん…どういうことですか?」

 

「え…えぇっとねぇ、ベル君…」

 

「シルさんにとって、彼は何者なんですか?」

 

言葉に詰まるシル。うん?この行動が原因で無いのか?勘違いされるとしたら、この行動だろうな。質問を変えてみるか。

 

「シル、僕はシルに取って何者だ?」

 

僕が訊いた。

 

「えっ?王子様…命を救ってくれた勇者様…」

 

僕の問い掛けには即答するシル。そして、僕の頬に自分の頬を擦り合わせる。そんなシルの姿を目の当たりにして、兎君は、

 

「おい、シルさんにかけた魅了を解け!」

 

魅了?そんな物は持っていないはず。もし、持っていれば、兎君を魅了して一件落着になると思う。何か、勘違いされているんですけど…シルのせいか?

 

「兎君、シルが欲しければ、僕を殺せ!」

 

「ベル!ジムを殺したら、私は貴方を絶対に許さない」

 

シルは即断して兎君に言い放った。

 

「なんで?シルさん…どうして?アイズさんも…どうしてなんだ?」

 

あぁ、そういえば、あの場にヴェルフがいたな。あいつか?禄でも無い事を吹き込んだのか。

 

「シル、兎君を納得させておけ。フィンも頼む。僕は戦争遊戯を回避してみるから」

 

 

 

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