---ジム---
いつもの様に、豊饒の女主人でのランチを終えたロキ・ファミリアの友人達が、僕達のホームでまったりと食休みをしている。
「で、明日から潜ることになったんだ。帰りは2週間後を予定している」
と、フィン。
「依頼?」
「いや、中堅冒険者達を鍛える為だよ。18階をベースにして、徐々に経験を積んで貰おうかと思うんだ」
ファミリアの底上げは大事だよね。そうなると…
「じゃ、装備品を置いて行って。明日の朝までにメンテしておくから」
と、ロキ・ファミリアの面々に伝えた。
「いいのか?余計な仕事を増やすぞ」
と、リヴェリア。でもね、
「みんなには、無事に帰ってきて欲しいから、協力出来る事は積極的にする」
と、伝えた。そうだ、渡していない者がいたな。僕は工房の倉庫に行き、2品ほど持って来た。
「ベート兄ちゃんには、これをプレゼント♪」
「え?俺に?」
驚きながらも照れているベート。
「脛部分に、調整済みの魔石を5個ずつ配置してある。朝練で気の流れを学んでいるでしょ?気のコントロールで発動できるようにしてある。それぞれの魔石には、火、水、風、闇、光の5つの属性をセットしてある。まぁ、それを使いこなせるように、練習してきて」
「あっ、ありがとう…すまないな。魔力の無い俺の為に」
「いいって。その代わり、レフィーヤを頼むね。まだ並行詠唱が未熟だからさ」
「まかせろ♪」
次に、リヴェリアにペンダントを渡した。
「うん?これは?」
「リヴェには、余分な装備はジャマだから、それにしたよ。それは、心を穏やかにするアイテム。胸元にペンダントヘッドが来る様にして置くと、ストレスが溜まり始めると同時に昇華してくれる」
「そっか…ありがとう、ジム♪」
「レフィーヤ、指輪を置いていって。魔石を交換しておくから。あっ、そうだ。もう一品あるんだ」
奥の倉庫にもう一度行き、1つの装備を持って来た。
「これは、ティオナにだ。ナックルガード♪4つの魔石を埋め込んでいて、ベート兄ちゃんのと仕組みは同じ。で、51階の芋虫対策済みだから」
「うん?溶けないのか、これって?」
受け取りながら、質問をして来たティオナ。
「接地面は魔石部分だけ。だから撃ち抜くんでなくて、インパクトしたら腕を引いてね。魔石だけなら溶けないから」
早速拳に装着するティオナ。
「ねぇ、私には?」
ティオナと同じ攻撃形態の、双子の姉のティオネが訊いてきたけど、
「ティオネは心を通わせたことが無いから、調整が出来無いんだ。だから無いんだよ」
苦笑いする僕。凹むティオネ。
「私だけ無いの…」
う~ん…汎用タイプなら有るけど…売り物だし…
「フィン一筋だから、僕の心が入る隙間が無いんだよ」
と、伝えた。心が通じ合わないと、調整は出来無いし。ティオネは僕の心が入りきるのを拒否しているようで、彼女の気の流れが読めていないのだった。でも、哀しそうなティオネ…戦闘とは関係ないけど…1つの創作物を手にした。
「フィンのアレを模した水筒。これで我慢してくれるかな?」
「ちょっと待て!ジムぅぅぅ!」
フィンからストップが掛かった。だよね…ははは。しかし、ティオネは僕からソレをひったくり、大事そうに抱えていた。
「団長の…はぁはぁ…へぇ~、こうなっているのね」
頬に擦り合わせている。フィンはその姿に引いている。
「ジム…なんて物を…」
「いや、彼女だけ無いのは気がひけて…ははは」
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翌日の朝食後に、メンテアップした装備品をフィン達に返却した。
「あと、アイズには、これ♪」
手渡した箱の中身の香りを嗅ぐアイズ。
「ありがとう…じゃが丸君だぁ~♪」
「一気に喰うなよ」
「うん、大事に食べる」
って、1つ手にして早速食べ始めた。一気に喰いそうな気配だ…
「美味しい。ジム味だね♪」
いや、単なるごま塩風味なんだけど。
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午後、珍しい客がやって来た。お店に「クローズ」の看板を出し、僕の部屋に通した。
「で、用件は何かな?」
客に用件を訊いてみた。
「怪物祭の乱入モンスター達の証拠をな、調査したいんや。ガードとして、付いて来てくれないか?」
「お代はロキの身体?」
僕の言葉で青ざめるロキ。
「何でや?アイズたん達で満足せぇ!」
ロキの身体に抱きつき、腰のラインを手の平でなぞる。
「やめぇ~、悪趣味やで…」
彼女の言葉をスルーして、無言で全裸にしてあげた。
「何の冗談や?」
僕も全裸になり、ロキを押し倒し、身体を堪能する。
「酒臭いのが難点だけど…女神として身体は上物なんでしょ?」
耳元で囁くように伝えた。
「何かの間違いや。誰に聞いたんや?」
「都市伝説…そうこうしている間に、準備出来ているのは、どうしてかな?」
真っ赤な顔になるロキ。唇を重ね、耳タブをなぞり、乳房の感触を手の平で感じる。
「ダメやって…男に興味あらへん…」
僕のアレは、吸い込まれるようにして、ロキの中に閉じ込められていく。
「あっ…ダメや…って…なぁ…いいっ…」
ロキの頬に自分の頬を載せて、腰をゆっくりと動かしていく。
「アイズにセクハラやめてくれるかな?もちろん、レフィーヤもだよ」
以前から抗議はしていたのだが、止めてくれないようなので、今日は僕の部屋に来た事だし、身体に訴えかけてみた。
「もう…せぇへん…だから、堪忍して…ダメだって…クセになるから…あぁっ…」
達したようだ。今日はこれで終わりにしてあげようっと。
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水路にロキと僕とで調査に入った。ヴィヴィアンが氷らせた水が溶け始めていた。
「ロキ、約束守ってね。破ったら、ロキの部屋でやるからね♪」
「わかった。なぁ、ジムで逝ったことは内緒やでぇ~」
アイズ達に知られると、ひややかな眼差しで見られることを懸念している、女神ロキ。
「あぁ、内緒だ。って、根っこの痕跡が無いなぁ」
水路の天井部分に植物系モンスターのいた形跡が、まるで無かった。
「おかしいな、あってもよさそうなん」
うん?誰かが倒れている。ロキと二人で警戒しながら近づいて行く。逃げ遅れた犯人かな?
「ディオニュソスと団長のフィルヴィスや」
ロキの知り合いのようだ。
「犯人かな?氷り付いているし…」
「どうやろうか?取り敢えず、連れ出して、尋問やな」
転移魔法陣を発現させて、ギルド内にある牢へと転移させた。僕もロキも体力が無いので、連れ出す自信が無かったから。
更に奥も調べるが、手がかりはない。ロキとギルドに向かった。
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「僕達は犯人ではない」
ディオニュソスは、犯行を否定している。
「じゃ、何であそこで氷っていたのかな?」
「調査していたんだ。そうしたらいきなり氷って…」
「やけに早い調査やないか。お前らが、仕掛けたんや無いのか?」
ロキが畳みかける。
「違う…信じてくれ。地上で倒されたモンスターの魔石が、先日僕の子供達が殺された現場にあった魔石と同じ物だったんだ」
彼は2つの魔石を出してきた。
「ギルドが回収するより前に、拾ったのか?」
「あぁ、そうだ。植物系だったから、犯人は地下にいると思い、彼女と急いで地下水路に向かったんだ」
氷らせたのは、けっこう時間が経ってからだった気もする。う~ん…
次にフィルヴィスを尋問する。少し荒っぽくいくかな?彼女の手足を拘束して、身体で訊くシチュエーションを作り上げた。
「なぁ、事実を言ってくれないか?」
「拘束を外しなさい」
僕を睨んでいるフィルヴィス。エルフかぁ…耳は危険だよな。触れないように注意をする。
「身体に訊けば良いのかな?」
耳元で囁く。
「ケダモノめ!」
まぁ、そうだから、スルーかな。
「あそこで何をしていたんだ?」
「貴様は何者だ!」
あ…名乗っていなかったな。
「ウラノス・ファミリア団長ナイトだ。今回の件の調査を依頼されている」
「ウラノス・ファミリア?聞いたことが無い。うちと同じ弱小なんだろうな。で、手柄を立てて取り入ろうって作戦か?」
何の話をしているんだ?後ろに回って、胸の感触を確かめる。う~ん、大きすぎず、いいなぁ…アイズ達は元気かな。今朝見送ったばかりだけど…
「おい、触るな!ケダモノめ!」
下腹部に顔を近づけて、香りを嗅ぐ。う~ん…あまりしないなぁ。
「だから、嗅がないでよ~、ケダモノ!解放しなさい!」
総合的に判断してやっていないな。闇落ちの形跡は無いようだし。エルフは清廉種族で有るので、何か後ろめたい事をしていれば、乳腺が張ったり、体液に何かしらの臭いが現れるのだが、彼女にはそれが無かった。
「どうだ、ジム?」
ヘルメスが入って来た。
「彼女は無実だな。そうなると、主神も無実になる」
彼女の拘束を解いていく。
「そっか…で、裁定はどうする?」
「どうするって?」
「ウラノスの代理なんだから、ジムが裁定出せよ」
って、ヘルメス。
「え?僕が?」
「そうだよ。ギルドの最高責任者だろ?ここはギルドの牢だぞ」
あぁ…そういうことか…
「ヘルメス様、彼はそんなに偉いんですか?」
フィルヴィスがヘルメスに、僕の事を訊いている。
「う~ん…権限は有る。ジム本人は偉いと思っていないけどな」
「なんで?こんなケダモノみたいな男が?」
「ケダモノ?ジムがかい?何を言っているのかな?ジムが君なんかに興味を抱く訳無いだろ?彼女も愛人も恋人もいるんだから」
ヘルメス…その言い方はケダモノに聞こえると思う…三つ股だろ、それって?
「はぁ?こんなケダモノに恋人?物好きがいるんですね!」
「そういう風に本人達の前で、言ってみな。タダで済まないと思うよ」
「ヘルメス、煽るなよ。彼女達に迷惑は掛けられない。で、裁定は、しばらく監視対象でいいんじゃないかな?彼女の主神の言い分の正当性は、ヘルメスの方で調査を頼む」
「わかった。悪いな、忙しいのに手を貸してもらって。ジムしか記憶を読み取れる能力者がいないから。すまん」
「いいって。ロキに報酬はもらったから♪」
---フィルヴィス・シャリア---
私だけギルドの牢から解放された。主神のディオニュソス様は、まだ現場検証などが有り、拘束されているようだった。ギルドを出ると、あのケダモノが歩いていた。後を付けてみる。記憶を読み取る能力って言うのは、眉唾物だ。コイツが怪しいと思うので、化けの皮を剥いでやろうと思う。ヘルメス様もロキ様も、騙されているんだと思うし。
「ジム、どうしたの?こんな時間に?」
ガネーシャ・ファミリアの団長のシャクティが、ケダモノに話し掛けた。
「うん?ギルドのお仕事…」
「あぁ、大変だよね。二つのファミリアの団長ともなると」
え?2つのファミリアの団長?あのケダモノが?
「いや、そうでも無いよ。また、焼きもろこし食べたいなぁ」
「うん♪わかった。今度作って持っていくね」
「頼んでいいのかな?」
「勿論よ、喜んでお持ちします」
ケダモノと口づけを交わして、去って行くシャクティ。どんな関係なんだ?考えても始まらないので、尾行を続けた。すると豊饒の女主人に入っていった。店の中まで付いていくか悩んでいると、
「フィルヴィスさん、入ってくださいね」
って、看板娘のシルさんに背中を押されて、店内に誘導された。店内には人が疎らであった。
「腹減っているんだろ?おごってやるから喰って行けよ」
あのケダモノに声を掛けられた。身体が強張る。狩るような視線が、四方から感じ、殺される恐怖が湧き上がってきた。
「さぁ、座って下さい」
シルさんが、私をケダモノの前に座らせた。
狩る様な視線は、ケダモノからでは無い。狩人が私を狙っているのか?口封じの為に?
「何の口封じだ?」
ケダモノが声を掛けてきた。えっ?心に思っただけなのに…読心術か?
「まぁ、当分、ここで暮らしてもらう。ここなら安全だからな」
安全?
「リュー!」
彼は緑髪のエルフを呼んだ。
「彼女のガードを頼む」
「わかりました」
私のガード?
「同性のエルフなら安全安心だろ?リューは、印を刻んで有る。だから、陵辱に耐えられる」
印を刻んで有る?相手がいるってこと…まさか…目の前のケダモノを暖かい目付きで見ている彼女。
「あと、シル。アストレアに言って、彼女の部屋を用意してもらってくれるか?」
「わかりました♪」
シルさんが奥へ消えた。
「ミア、彼女に飯を頼む。氷り付けで飯を食っていないから。空腹は回復魔法じゃ治らないし」
「わかった」
ケダモノは奥へと消えてた。しばらくすると、美味しそうな料理が、私の目の前に並んだ。
「さぁ、喰いな。代金はアイツから貰うから、心配するな」
店主のミアさんに言われた。
「あのケダモノは何者?」
「なんで、ケダモノだと思うんだ?」
逆に質問をされた。私は私の受けた仕打ちを話した。
「あぁ、それは、お前さんの記憶を読んでいたんだ。闇墜ちしたエルフは、普通のエルフとは違うからな。それをアイツは見極めていたんだと思う。アイツは耳に触れなかっただろ?」
あっ…触れていない。寧ろ避けていた。触らないように、気遣っていた気がする。
「アイツ、エルフでエライ目に遭っているから、エルフの扱いは慎重になるのさ」
ミアさんが笑うように言う。
「彼の恋人って誰ですか?」
「なんでですか?知ってどうするのですか?」
いつの間にか戻って来たシルさんに訊かれた。
「あのケダモノを好む物好きが、いることが信じられないから」
「恋人は私ですけど…」
耳を疑った。シルさんがとんでも無いことを言ったから。
「婚約者はアイズさん、愛人はティオナさん、リヴェリアさんですよ♪」
更に、信じられない事実を告げられた。え?剣姫アイズさん?ロキ・ファミリアの副団長のリヴェリアさん?
「私は下僕です。彼に印を刻まれていますから♪」
更に、嬉しそうにリューさんが言ってきた。えっ?どういうこと?
「お前さんは、ジムを誤解しているようだな。アイツは悪い奴では無い」
誤解?ミアさんは私にそう告げた。
「本当に拷問するなら、エルフである以上、耳をまず攻略するだろ?それをしないって、そういうことだと思わないか?」
拷問はフェイク…何の為に?
「エルフが懐かないようにしたんじゃないか?アイツはエルフの女性からの受難が多いから、はははは」
豪快に笑い飛ばしたミアさん。なんだ?その理由は…