決着
---フレイ---
「何?アイリスが…」
部下からの報告に狼狽えるアイシル。
「どうやって…この私の能力を上回るヤツが、存在するはずが無いのに!」
「それは誤算だったなぁ♪」
団長が、アイシルに声を掛けた。
「貴様ら…何?何で…ファルコン、ジム、フレイ…有り得ない!お前らは、死んだはずだろに…」
「あれあれ?ファルコンも、ジムも、フレイも不死属性だぞ。死ぬ訳無いだろ?英雄アイシルと維持神を兼務して、頭が腐ったのか?なぁ、ロキ♪」
「お前…『神殺し』…死んだはずだろ…」
「うん?おいおい、魂の無い僕が死ぬ訳無いだろ?何を言っているんだ、このクソ神族は♪」
ついに決戦の場に辿り着けた僕達。この世界の過去に行き、シル姉ちゃんとアイズ姉ちゃんを回収したことにより、この時点の二人は消滅したのだった。シュウさんに言わせると、過去に行って、殺すのはダメだけど、本人の同意の上の同化吸収は問題無いらしい。そのことは神族であるアイシルは知らないそうだ。
「お前…おい!アイツらを殺せ!」
アイシル配下の英雄、勇者が僕達に迫ってきた。しかし、
『ダイヤモンドダスト』
シュウさんの魔法で一瞬にミンチ状態と成り消え去った。
「お前…」
アイシルの身体が変化していく。光に包まれて、アイツから、神々しいオーラが放たれて来た。
「うわぁぁぁぁ~」
アズが燃えていく。魔王であるアズにとって神々しいオーラは劇薬だった。
「何?何で、お前らは燃えないのだ?!」
「ラスボスだからじゃないの?ラスボスはそんなに簡単に死なないよ♪」
『わが剣よ!ここへ!』
ジムさんが詠唱をすると、アイシルから何かが抜け出して、ジムさんの手に握られた。
「返して貰うぞ♪英雄の証である、聖剣エクスカリバーを」
あれが、英雄の証なんだ…
「フレイ、剣を手にしろ!」
シュウさんから指示が飛んできた。
『わが剣よ!ここへ!』
僕が詠唱をすると、またもアイシルから何かが抜け出して、僕の手に握られた。僕が僕で有る証、レーヴァティンだ。
「おい、アイシルよ。英雄の証と魔王の証を抜かれた気分はどうだ♪」
「貴様ら…許さぬ!」
アイシルは、姿をまた変えた。今度は、炎を纏った巨人になった。
「あれがアイツの本来だ。フレイ、ジム、アイツを屠れ!」
僕とジムさんは頷くことをせず、直ぐに飛び出した。レーヴァティンで斬りつけると、炎を纏っているはずなのに、燃えていくアイシル。
「ファルコン、アイリスを助けてこい」
「ありがとうございます」
ファルコンさんは、部屋の隅で倒れているアイリスの元に向かった。
「おい!俺を殺せば地上の者達も死ぬぞ!」
「だから、何だ?この世界のアカシックレコードは、お前の魂をロストさせた後にリセットする」
「貴様にそんな権限は無いだろうが!この兵器風情が!」
「あれから、僕は進化しているんだ。大いなる意志から魂を貰い…愛しき者達の想いを受け止めてな」
『わが愛しき者達よ 我に力を 与え給え!』
シュウさんの周囲に龍と鬼が現れ、シュウさんと同化していく。
『鬼龍同化!』
シュウさんの姿も変化していく。鬼の身体にドラゴンの翼を展開している。
『2柱1対!』
更に黄金色の3つの輪っかを頭に浮かべ、ドラゴンの翼の後ろに黄金色の翼を展開した。
「おい…やめろ!そんなことしたら、お前もどうにかなるぞ!」
アイシルが動揺している。
「僕なんか、どうなってもいい。僕の意志はファルコン達が継いでくれるからな!」
『神鳥化!』
シュウさんは…黄金色の鳥になった。そして、
「フレイ、ジム!アイツの魂を2つの剣で斬り裂け!」
そう言い残し、アイシルにツッコミ、アイシルの身体を引き裂いた。その瞬間。黄金色だった体表が紫煙になっていく。
アイシルのきり裂かれた割れ目から、光輝く玉が現れた。僕とジムさんは、その玉を同時に十字に切り込みを入れた。
紫煙は人型になり、手には初代ハーデスが宿る村正を手にしていた。紫人は、村正で、4分割されたアイシルの魂を、刃先に触れさせていく。アイシルの魂は紫煙になり、霧散していった。
次の瞬間、僕、ジムさん、ファルコンさん、アイリスは別の場所に転移していた。
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棺にはシュウさんが横たわっていた。
「総ての能力を使い切った馬鹿な弟の成れの果てよ」
棺に抱きついて居る女性がそう言った。
「綾香様…」
ファルコンさんが、その女性、綾香様に声を掛けた。
「大丈夫…しばらく永眠していれば、起きるわよ。エネルギーキレだし…たぶん、あの世界のアカシックレコードが再起動すれば、目覚めるわよ」
僕達は、シュウさんが目覚めるまで、ここにいないとダメらしい。シュウさんがいないと、僕達はいないことになるそうだ。
「綾香様…我々をシュウ様の親衛隊に任命してください」
ファルコンさんが、綾香様に提案をした。
「彼がいたから我々がいるんです。あの時の護る心が我々を生み出したのかもしれません」
あの時…シュウさんがシュウさんで無かった時…あの時、僕は…あぁ、思い出した…そうだ、死の間際に『神殺し』の放った一粒の希望…それが僕だった。『人札』、『鍵』などの能力を受け継いだんだ。僕は彼で有り、彼は彼だった。
「思い出したようね…フレイ…」
綾香様に声を掛けられた。
「彼から始まり、あなたで終わったのよ…悪神達の作り上げた悪夢は…これからは、あなた達のやり残したことをしなさい。彼が目覚めたらね…」
僕達は棺の中で、永眠している人物に視線を移した。
(完)