---ファルコン---
クソガキのベートが弟子入りしたいと、アストレア・ファミリアに来た。ヘルメスに僕の居場所を聞いたようだ。
「なぁ、兄貴…俺を…弟子にしてくれ…」
熱く、纏わり付くベート。
「なぁ、ファルコン、弟子にしてやれよ」
って、団長のアリーゼ。
「弟子なんか持った事無いし…教えた経験もないし…いや、剣は教えたことはあったかな?」
森でアイズという少女に手ほどきをしたことがあったっけ。
「う~、わかった。ここじゃ、みんなの迷惑になるから、場所を変えようか」
ベートを伴って、ヘルメスの処に行く。
「ヘルメス、空いている場所を借りるぞ」
っと、ヘルメスに一声かけた。
「あぁ。空き地は活用してくれ」
って、承諾をしてくれた。
「ここで毎日、鍛錬しろ。休んだら、そこでお終いにする。あと、カツアゲ、ケンカも禁止な。護りたいヤツを護る為の戦いをしろ。潜るときは、パーティメンバーを護る為に戦うんだぞ」
と、ベートに言い聞かせた。
「わかった。で、どうすれば良い?」
ベートを見て考える。どうするかな?
「剣とかは使えるか?」
「いや、手足が先に出る」
「そうか…じゃ、蹴りを極めろ。手より脚の方が遠くの敵を叩けるからな。道具を買いに行こうか」
ベートと古道具屋を巡り、お目当ての物を手に入れた。
「これ、サンドバッグっていうんだ。この袋に砂を入れて、パンパンにして、丈夫な枝に吊す。それで準備OKだよ」
ヘルメス・ファミリアの空き地にサンドバッグを設置して、手本を見せる。
「脚だけでなく、腰の回転も使う」
僕の教えを真摯に受け止めて、鍛錬に励むベート。
「いつか、ベートが強くなったら、深層に行こうぜ」
「あぁ、お願いする。兄貴、約束だぞ」
「楽しみ待っているよ」
潜ったり、ミアのポーターをしない日の昼間は、ベートと過ごした。潜って、稼ぎが出来ると、ベートに小遣いを渡した。鍛錬では、稼げないからね。
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ある晩、街のパトロールと称して、飲み歩いていると、
「ファルコンやないかぁ~久しぶりやな」
って、遠い昔に聞いたことがある口調で、呼び止められた僕。声の主を見ると、赤ら顔した糸目な女性…コイツは…ロキだっけなかあ?
「ロキやでぇ~お前の女のロキや~♪」
とっても気分良く酔っている。近づかなくても酒臭い…ロキは、僕の腕を取り、どこかに連れて行く。
「今日はなぁ。うちのファミリアに初の入団があったんや。なぁ、祝いしてなぁ~」
ロキもファミリアを持ったのか、などと考えていたら、どこかの部屋に連れ込まれた。
「ここは連れ込み宿や。うちのホームは子供がおるから、今夜はここで…なぁ♪」
主神が言う場合の子供というのは、オラリオ言葉で『眷属』の事を言うらしい。ロキは全裸になり、僕にのし掛かってきた。そして…
1ラウンドをすると、ロキは満足そうな顔で果てていた。僕は、ロキの酒臭さにやられて、気持ちが悪い。胃がムカムカする…で、リバース…
服を着て、外に出て夜風に当たる。まだ、頭がクラクラする。どんだけ安酒を大量に飲んだんだ、あの女神は。また、リバースしそう…凹む、僕。
そんな僕の背中を優しくさすってくれる女性が現れた。
「ファルコン、大丈夫?ロキが連れ込んだ男を、興味本位で見に来たら…あいつ、また無理矢理やったの?」
誰だっけかな?前にあった気もするけど…遠い昔だよな…
「うん?あっ、私随分と変わったから、わからないかな?イシュタルよ。天界で…うふっ♪」
月明かりではあったが、顔が赤らんでいる女性。あぁ、イシュタルかぁ。
「女神と交わって初めてリバースしたよ。とってもショックだ…」
イシュタルは僕の肩を抱き、どこかに連れて行く。
「私の部屋、ここで休んでいってね♪」
イシュタルが、なぜか口移しで胃薬を飲ませてくれ、そのまま3ラウンド…朝を迎えた。
「イシュタル、おはよう…」
男の生理現象、朝の起立…そのまま2ラウンド…
「ファルコン…また、来てね…毎日は無理かもしれない…」
起き上がって僕を見送りたそうなイシュタルだったが、腰が抜けたようで立ち上がれない。
「あぁ、寝ていて良いから。ごめんね、介抱してもらったのに、ヘロヘロにしてしまって」
「うんうん、良いの。私が望んだことだから、また、来てね」
「はい♪」
僕は朝帰りをした。
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「朝帰りとは、良い度胸だな」
ホームに着くと、ミアが怒っている。なんでだ?
「なんでお前は、私が夜這いをかける日に限っていないんだ?」
えっ?そんなことをしていたのか?おい…
「いや、パトロールだけど…」
「そうか、体力有り余っているんだな。今夜は楽しませてもらうぞ♪」
ミアに襲われるのはなぁ…今夜もパトロールしようかな…
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ベートの鍛錬を見に行きがてら、ヘルメスと雑談。
「あん?泥酔したロキと寝てリバース?なんだ、それは?」
「ダメだって、酒臭い息を僕の肺に吹き込むんだぞ。飲まなくても、二日酔いよ。まだ、気持ち悪いよ~」
「初眷属が出来て嬉しかったんだろう。まぁ、お前はケーキ代わりかもな」
「あぁ、蝋燭プレイされなくて良かった。火傷したかもな」
「ロキはどっちかというとエムだよ。そういうプレイは思いつかないと思う。安心しろよ」
ヘルメスは、ミアハという神のホームにつれて行ってくれた。
「ミアハは、調剤系のファミリアなんだよ。ミアハ、二日酔い解消の薬をくれ」
ヘルメスが、僕の為に薬を注文してくれた。
「彼がヘルメスのお気に入りの子供かい?」
薬を持って来てくれたミアハが、ヘルメスに尋ねた。
「いや、マブダチだよ。ファルコンは神々に縛られる事が嫌いだから」
僕を見る目が暖かいヘルメス。
「そうか、ぼくはミアハだ。よろしくな」
こうしてミアハという友達も得た僕。
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夜、ミアの襲撃が怖くてホームに帰れない。どうするか。野宿かな?あっ、挨拶していない知り合いがまだいたことを思い出した。ヘルメスに彼女の居場所を聞いて、訪ねてみることにした。
彼女は、バベルという街の中心にそびえ立っている塔の最上階に住んでいるそうだ。僕はドアをノックして入室した。
「おい、お前は何者だ?」
彼女の眷属らしい者に呼び止められた。
「彼女の古い知り合いだ。街に来たので、挨拶に来た」
「怪しいヤツは、部屋に入れることはできない」
僕に襲い掛かってきたガキ。ベートにしたように手首を捻り、腹這いに倒して、肩を極めた。
「お前みたいなハナタレなガキに負ける訳にいかない」
「どうしたの、オッタル。何を騒いでい…」
奥から出て来た彼女は、僕の姿を見て固まった。僕の知っている彼女よりも、威厳がある顔付きで、目付きは冷たい。
「すまない。人違いだったようだ。僕の知っている人物ではな…」
僕に抱きついて来た彼女。
「ヘルメスの知らせを聞いてから、来てくれることを待っていたんだよ。なんで、直ぐに来てくれなかったの?」
先程見たクールビューティー系は高飛車そうな女性ではなく、昔見た彼女の面影の残る表情になった女性。
「フレイヤ?」
「そうよ!」
彼女は口で僕の口を塞ぐ。額と額を合わせ、彼女の体温の温もり、彼女の香りを味わい、昔を思い出す。
「逢いたかった…バカ神達が、あなたを天界から追い出す為に、ひどい事を…ごめんなさい。防げなくて…」
僕は彼女の頬に自分の頬を合わせて、彼女の皮膚の感触に浸る。
「フレイヤ様、こいつは何者ですか?」
僕と彼女の時間に割り込んできた、ハナタレなガキ。空気を読めよ。
「お前には雰囲気を大事にするという気持ちは無いの?」
僕に向けた表情とは違い、最初に見た高飛車な表情に戻る彼女。眷属に対しては、あぁなんだな。
「いや、しかし。フレイヤ様に近づく者は、許せません」
「彼はいいのよ!ファルコンは、私の彼氏…になって欲しい方なのよ。それを、良い雰囲気なのにぶち壊すって!」
彼女の肩に手を載せて、彼女の左耳を舐める。身体が一瞬びくっとする彼女。
「フレイヤ、ハナタレなガキにそんな事を言ってもダメだ。怒りを纏うな。僕の知っているフレイヤは優しい女神だからな」
彼女の耳元で囁く。
「ごめんなさい…イメージをこわしちゃったかな?あなたの前では昔通りでいたい。ねぇ、屋上で二人で星空をみない?」
僕は彼女にエスコートされ、屋上に行き、満天に散らばる星々を見上げた。
「きれいだな…」
「横になって」
僕は言われるまま横になると、目の前には星々が…僕の上には全裸のフレイヤがのし掛かってきた。でも僕の視界のジャマにならないように、僕を愉しんでくれている。僕も昔を懐かしむ様に、彼女の身体を味わう。柔らかくも有り、しなやかな身体…甘い香りのする彼女のフェロモン。
「食事、ちゃんと食べている?」
「どうしたの?」
「谷間の味が…以前と違う…」
僕の指摘で、困った顔になるフレイヤ。図星か?
「努力します…だから、もっと舐めてください…」
股間を僕の口にあてがう彼女。そして、僕のモノを口に頬張った。
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フレイヤとの夢の時間を終えて、朝帰り…ホームの玄関には得物を手にしたミアがいた。ははは…どうしよう。
「やぁ、ミア。おはよう…朝早くから潜るのかい?」
「はぁ?私言ったよな?昨晩、行くと…なんで、朝帰りなんだ?」
ミアの言葉には怒りが纏っている。危険を察知する僕。マズい…
「古い友人と会っていて…」
「どこで逢っていたんだ?」
「バベルの屋上で満天に散らばる星々を見ていたんだよ」
と、正直に告白をした。
「バベルの屋上?おい、おまえ…相手って…」
ミアの顔から血の気が失せていく。
「どうしたんだ、ミア?何か、僕失言したかな?」
「そうだった…忘れていたよ…主神から聞かされていたんだ。まったく、お前って男は、過去の偉業を感じさせないクソ戦士だな」
何かをあきらめたようなミア。
「あぁ、クソ戦士だよ。護るべき者を護れなかったんだから」
「クソ戦士に仕事だ。明日、潜る。朝帰りは禁止だぞ」
「わかった」
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ミア達のファミリアは解散するとのことで、ミア達とは最後の冒険になるようだ。ミア達のファミリアは、あの食事事情が良く無かった女神が主神のファミリアの2軍に当たるらしい。ミアの落胆は、僕が彼女の主神と関係を持っていた事実を知ったことからだった。
「なんていうか、メンバーの高齢化が原因だ。若いはファルコンだけだしな」
フレイヤはピークを過ぎた眷属を見捨てずに2軍として、有事の際の友軍として用意していたようだ。まぁ、ミアさんも戦士としてのピークは過ぎているものな。全盛期のミアさんは凄かったらしい。でも、たぶん、実年齢は僕の方が上だと思うけど。呪いのせいで、いつまでも20歳って…みんなと一緒に引退できないのはつらいな。僕は一生、いや永遠に現役なんだろうから。
最後の最後でパントリーを見つけた。パントリーとはモンスター達の食料となる液体を生み出す水晶の樹木がある場所。水晶の固まりを得られる反面、エサを求め、モンスター達が集まり、モンスターハウス状態になっている。一攫千金か死か逃亡かを選択しなければいけない場所である。
「どうする?」
ミアがみんなに問うが、僕は一人で特攻した。今の自分に出来る剣技、魔法を繰り出し、モンスター達を駆逐していく。
「僕がアイツらをひきつける。ミア達は水晶の固まりを持っていけ!」
あまりのモンスターの数に固まるミア達に指示を出した。僕は戦う。この位の数なら、あの時より、生温いし…
「ファルコン、戻って来い…なぁ、私達のファルコンにさぁ!」
ミアの泣き叫ぶ声で、我に返った僕。あぁ、返り血でドロドロかぁ。
「ミア、回収はしたのか?」
「あぁ…ファルコン、私達の家に帰ろう。一緒に…なぁ…」
僕の腕に縋り付くミア。僕は、剣を鞘に収めた。
「わかった。帰ろう…ミア…」
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帰ってから換金をすると、大金を山分けできた。最後に、みんなの役に立てたのかな?
「ファルコン…いいかぁ」
ミアが僕の部屋に入って来た。
「お前は何者なんだ?あの戦いぶり、まともではなかったぞ」
あぁ、確実に相手を仕留めていかないと、いけない戦場ばかりだったから、酷い殺し方が多いかもな。
「僕は元龍騎士だ」
「龍騎士って…はるか昔の伝説の騎士じゃないか」
「僕は呪いで不老不死な身体になった。見た目も身体も20歳のままだ。死なないだけで、怪我もするし、病気にもなる。不老不死不便って呪いかもな」
「神の前で自決した…あの騎士なのかい?」
「あぁ、そうだよ。僕の本来の人生は、あそこで終わりだ」
「そうだったか…ファルコン、引退して、一緒に店でもしないか?」
「それはダメだ。僕はクソ戦士であり続けたい。愛することと護ることしかできないクソ戦士だ。愛されることは苦手だ。だから、一緒にいられない。ごめん…」
「ほんとにクソ戦士だな、お前は…」
ミアは泣いているようだ。僕はつらくてミアを見られない。彼女の心を、満たしてあげられない不甲斐ない僕。
「いつか…お前の心を満たしてくれる者が、現れるといいな、クソ戦士よ」
そうだね。僕が振り返ると、ミアがいた。僕は彼女に唇を奪われ、彼女のしたいようにさせた。
僕と全裸で抱き合うミア。う~ん、着やせするタイプだったのか…ただでさえ、ボリューム感が凄いのに、脱いだらボリューム感は威圧感になっている。彼女の肉に埋まる僕。そんな感じだ。柔らかい肉の奥には鎧のような筋肉が隠れていた。表面の柔らかな肉は、それを隠す為の物なのか?
鉄壁の肉体であるミアであったが、アソコの防御力は10代前半並であった。簡単に意識を飛ばしているミア。まさか、初めてだったとは…いいのか?初めての相手が僕で…って、もう手遅れだけどね。
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翌朝、メンバーそれぞれが第2の人生に踏み出して行った。僕はヘルメスの処に行き、今回の報酬を預けた。
「預ける。管理してくれ」
「わかった。でも、こんなにどうしたんだ?」
「運良く見つけたパントリーを襲撃した。持てるだけの水晶樹を持ち帰ったんだよ」
「ファルコンにしか出来無いな」
「紅白龍の案件より生温い敵だよ。アレに比べれば、楽な任務だ」
「そっか…」
二人で、ベートの鍛錬をみつめていた。いつかベートが一人前になったら、ヘルメスの処で潜るのも良いかなって思いながら。
そして、今回の報酬で、ベートに装備を買い与えた。
「兄貴、いいのか?高かっただろ?」
「なに、お前の鍛錬への褒美だ。当面それくらいの装備があれば、18階くらいまでは対応できると思う。それよりも下に行く場合は、自分で稼ぎ買え。いいなぁ」
僕からのプレゼントに喜ぶベート。そんなベートに技を伝授した。蹴り込んだ蹴り脚を軸にして、軸足で相手の首を折る技だ。
「これは練習しないとなぁ。兄貴、ありがとうな♪」
「これも不良を更生させるプログラムの一端だ」
「はぁ?兄貴、俺しか弟子にしていないだろう?」
照れ隠しをするために、ベートに躾をする僕。そんな僕とベートを見て、笑うヘルメス。
そう、この時まで幸せな時間を過ごせていたって、後になって思うことになるのを、僕はこの時、知らなかった。