第2話
どうぞ
「どうだ?黒ウサギ」
ギュ、ギュと黒ウサギの肩から背中にかけて指圧をするレティシア。
「はへ~。気持ち良いです~、レティシア様」
ウサ耳をヘニャリとさせ、さっきまで力が入りまくっていた黒ウサギの身体は見事にリラックス状態になっていた。
「ふふ、……それにしても、少々凝りすぎじゃないのか?女性の身体とは思えないくらいガチガチだぞ?胸はあんなに柔らかかったのに」
「む、胸の感想はいりません!ですが、お恥ずかしい。最近は書類仕事も多かったりしましたので……」
「駄目だぞ。年頃の娘なんだから。就寝前にはちゃんとストレッチをしないとな」
「はい~。これからはちゃんとします~」
レティシアは黒ウサギのお尻の上に座り直し、黒ウサギの腰を入念にマッサージしていく。
「あぁぁぁぁ~~。レティシア様ぁ、そこ、そこ気持ち良いです~」
「ふふっ、そうか」
婆くさい黒ウサギについ笑みがこぼれてしまうレティシア。
「いつでも、言ってくれればしてやるぞ。私はメイドだからな」
「そんな、レティシア様にそんなこと頼めませんよ~。あぁ~でも、このマッサージは忘れがたい」
「遠慮する必要はないさ」
「それなら対価として、黒ウサギもレティシア様にマッサージをします」
「ふふっ、そうだな。楽しみにしておくよ」
「はいなのです~」
「……よしっ、次は足だな」
レティシアはそう言うと、黒ウサギの上から降りると、黒ウサギの足の横に座り、ふくらはぎを揉み始める。
「き も ち い い で す ~」
レティシアの指はふくらはぎ、太ももと段々と上へ向かっていく。
次第に太ももの付け根辺りに辿り着く。
「……ん、ふっ、……」
「どうだ黒ウサギ、気持ち良いか?」
「……は、はい」
黒ウサギは気付いているだろうか?レティシアの指が上へ上がっていくにつれて、黒ウサギの髪が徐々にピンク色になってきていることに。
「………んっ」
「……」
「ふっ、……うっ…」
「……よしっ」
「……へ?」
「終了だ」
「え?あ、はい」
いまだ呆然としている黒ウサギ。
「ふふっ、名残惜しいか?」
「い、いえいえ!ありがとうございました!」
「ずいぶんと気持ち良さそうだったな。髪、変わってるぞ」
「へ?あ、いや、これは!」
黒ウサギは慌てて起き上がり女の子座りになると、ピンク色になった髪を隠そうと頭を抱える。
レティシアはそんな黒ウサギに四つん這いになりながら近づいていく。
「その髪、この辺りを揉んでいたときに、変わり始めたぞ」
そっと、黒ウサギの内腿に手を置き、ゆっくりと擦るレティシア。
「レ、レティシア、様?」
「……」
レティシアは無言で黒ウサギの内腿を擦っている。
「んっ、や、レティシア、様」
「……黒ウサギ」
「っ!!」
レティシアの手が僅かに震えていることに気づいた黒ウサギ。
「レティシア、様?」
「黒、ウサギ」
レティシアの頬に一筋の涙が流れる。
「黒ウサギ……っ」
黒ウサギがレティシアを抱き締める。
「……大丈夫ですよ」
「もう……戻ってこられないと思っていた。他人の所有物になったとき、ここに戻ることを諦めた」
「はい」
「でも、再び会えた。こうしてまた触れることができた。……嬉しい。心から」
「はい」
黒ウサギはレティシアを抱き締めながら、綺麗な金色の髪をゆっくり、ゆっくりと撫でる。
「……ここは、居心地がいいからな。私は大好きなんだ」
「はい。黒ウサギもです」
「……帰って、こられた」
「おかえりなさいませ、レティシア様」
「……ただ、いまっ」
レティシアは腰に手を回し、黒ウサギの肩に額を置くと、静かに泣き始めた。
「落ち着かれましたか?」
「う、うむ」
数分後、泣き止んだレティシアは少し冷静さを取り戻したのか、顔をほんのりと赤らめ、そっぽを向いていた。
「す、すまんな。柄にもなく、情けない姿を見せてしまった」
「いえ、レティシア様の意外な一面が見れたのでラッキーでした」
「うぅ~」
レティシアは先程までの自分の姿を思い出し、真っ赤になる。
「あぁ~、黒ウサギの肩ですすり泣くレティシア様も、それを思い出し真っ赤になるレティシア様もとても可愛いのです!」
「うう、うるさい!忘れろ!忘れろ!忘れろー!」
「フフ、大丈夫なのですよ。誰にも言いませんので」
「くっ、黒ウサギのくせに、言うようになったな。覚えておけよ」
「えぇ!?ちょっ、ちょいとお待ちを!黒ウサギは別に生意気言ったわけでは」
「ふふっ、冗談だよ」
「そ、そうですか」
レティシアは唐突にほっと安心した黒ウサギの頬に触れる。
「レティシア様?」
「明日から、明日からはしっかりと働く。明日からは頼れるレティシア=ドラクレアに戻る。だから、今日だけは、お前に甘えてもいいだろうか?」
「……YES!存分に甘えてください、レティシア様!」
「ありがとう、黒ウサギ」
レティシアは黒ウサギに抱きつき、豊満な胸へ顔を埋める。
「フフっ、甘えん坊さんなレティシア様も素敵なのです」
黒ウサギは呑気にそんなことを言う。
この時の黒ウサギは数分後、今度は自分が鳴く番だとは少しも思っていなかった。
次回は少しエロになると思います。
感想よろしくお願いします。