どうぞ
バァン!!と勢いよく扉が開かれる。
今回はしっかりと扉に鍵がかかっていた気もしたが、そんなものはお構いなしに、耀とペストがドアを蹴り破った。
「わわわわわ、よ、耀さん!? それにペスト!?」
今日も机には分厚い本が開いて置いてあり、その机に向かって座り、一見勉強をしているように見えなくもないジン=ラッセル。
しかし、耀とペストは机の上など一目も見ることなく、ある1点のみを凝視する。
何かの間違いだったらジンに申し訳ないし、ていうか、何かの間違いであってほしいしと思いながらその部分をしっかりと確認する耀とペスト。
その確認が終わると、ペストの肩が微かに震え出す。
「……あんたねぇ、盛りすぎなのよ! このエロザル!」
「エロザル!?」
「……うーん、まぁジンも思春期なわけだし、するなとは言わないし、言えないけど、もう少し声は抑えた方がいいかな? 廊下まで聞こえてたし、その、……自分がオカズにされてると思うと、流石に恥ずかしいし……」
「」
耀が徐々に小さくなっていく声で言いたいことを伝えると、ジンが放心状態になってしまう。
「まだ聞いたのが私たちだったからよかったものの、これがリリとか子供たちだったらどうするのよ。しかも、黒ウサギに赤い人に耀までいっぺんにお、オカズにするとか……」
「ペスト、自分が抜けてる」
「ぐ、た、たまたま忘れただけよ」
「」
ジンは未だ放心状態である。
「……………ていうか、は、早くしまいなさいよ! それ!」
ペストが顔を真っ赤にしながら叫ぶ。ずっとそっぽを向きながら話していたが、やはり気になるのか、喋っている最中もどうしてもチラチラと視線がそこへ向かってしまっていた。
「……はっ、わわわわ!!」
今の今まで自分のを握ったままだったジンはペストの声に慌ててソレをしまい、ズボンのチャックを上げる。
「「……っ///」」
だが当然、さっきまで自慰行為をしており、中途半端なところで止められたそれは不完全燃焼状態であり、簡単に言えば、テントが張ってある状態である。
「……っ!!」
2人の目線に気付いたジンも慌てて身体の向きを変えて、2人からは見えないようにする。
「……」
「……」
「……」
そして、最高に気不味い雰囲気が漂う。
その空気に耐えきれなかったのは、ジンだった。
「………なんで、なんでですか!? そりゃあ声が大きくて廊下まで聞こえてしまったのは謝りますよ! でも聞こえなかったフリをしてくれればよかったじゃないですか!?」
まさかの逆ギレである。
しかし、ジンには考えがあった。ここは敢えて逆ギレすることで相手に盗み聞きをしてしまったという罪悪感を芽生えさせ、あまり自分に強く言えなくさせる作戦である。
「僕だってもう11歳ですよ! 男ですよ! そういうことだってするでしょ!? しょうがないじゃないですか!」
見事な開き直り。
「ていうか、何で2人は僕の部屋の前にいたんですか!? 何か用があったんですか? それとも盗み聞きですか!?」
ぐっと痛いところを突かれる2人。
その様子を見逃さなかったジンは一気に畳み掛ける。
「だいたい! 2人だって自慰ぐらいしてるんでしょう!?」
一瞬にして、部屋の温度が3℃ほど下がった気がした。
最後の一言は余計だった。その前で止めておけばよかった。ジン=ラッセルがそのことに気付いたのは最後の一言を言ってしまった後だった。
女性に向かってお前らもオナニーしてんだろ?なんて言っていいわけなかった。
調子に乗った。八つ裂きにされるかも。今の発言は完全にセクハラである。
ノーネームを代表する問題児4人のうちの2人を辱しめた罰はいったいどのくらいなのだろう。
死を覚悟していたジンだったが、体感温度が下がったあとは何も起こらない。
怖くて、強く瞑っていた目を恐る恐る開いてみると、そこには、顔を真っ赤にしてプルプル震えている2人の姿があった。
2人の反応についポカンとしてしまうジン。
そんなジンの視線にいち早く気付いたペストが慌てて口を開く。
「は、はぁ? 私はあんたみたいに盛ってないのよ! じ、自慰とか、し、しししてるわけ、ななないじゃない……」
ペストの言葉に耀が慌てて続く。
「わ、私もお、オナ、自慰なんて、したこと、ないし」
2人とも明らかに嘘だ。
「お2人とも、嘘下手ですね」
ジンのその言葉にさらに顔を赤く染めていく2人。
ここでジンは思った。今の2人ならこのまま押し返せるかもしれないと。いつもさんざん振り回されているのだ。多少辱しめるくらい、許されるはずだと。
「ペスト……、意外とムッツリなんだね」
「んなっ!!!」
耳まで赤くなるペスト。
「耀さんは、なんだかんだで毎日してそうですよね」
「毎日なんてしてないし!!」
「……やっぱり、してるんじゃないですか」
「っっ!!!??」
墓穴を掘り、首まで赤くする耀。
「2人とも、僕のこと言えないくらいHじゃないですか」
「「」」
ジンのその一言に2人は完全に固まってしまった。
(勝った)
ジンは確信した。
そして、それが甘い考えだと、すぐに気づかされる。
ジンは忘れていたのだ。方や、やられたら何百倍にしてやり返すがモットーの問題児。
方や、超負けず嫌いの問題児メイド。
そんな2人を「お前らもエロいな」と言って辱しめたのだ。そんなことしたら当然……
「…………耀。このガキ、殺していいわよね?」
「…………うん。[[箱庭法第六条、女性を身体的又は精神的に辱しめた者は死刑と処す]]に則って、私も協力する」
「そんな法律ありませんよ!?」
こうなるよね。
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