ダラダラしているが、時にやる気になる悪魔 作:現代のイッセー
白音かわいいよ白音。
そして、これはPT事件から約三ヶ月後と捉えてください。
では、スタート!
美由希side
「はっ、はっ、はっ」
いま私は山道を走っている。いつもの日課だ。いつも街中を走っているわけだけど、たまには違うところでも走ろうと思って選択したのが山道だ。山は熊とか出るかもだけど、そこは遭遇しないように気をつけるしかない。
結構な時間を走っているせいで息も乱れ、汗がどんどん出てくる。疲れてる体をまだいけると言い聞かせながらどんどん奥に走って行くと、森から抜けてしまった。
「はぁ、はぁ、あれ?はぁ、ふぅ、森抜けちゃった?」
さっきまで木々に囲まれていたがいつの間にか草原が広がっているところに出てしまった。そんな奥まで来ちゃってたのかな?と思って少し休憩してから家に帰ろうと思い、切り株に座って首に巻いていたタオルで汗を拭く。
今日も星がキレイだな、と雲はあるけどキラキラ輝く空を見て思う。休憩のこの時間が美由希の数少ない癒される時間のひとつでもあるのだ。
そんな癒される時間を過ごしていた美由希は数分後、そろそろ行くかと立ち上がったら「ドガンっ!」というなにかの爆発音?が聞こえた。
なんだろう、と思いその音のほうに足を向けたらその近くに暗いけど人影が見えた。
「・・・・・て・・・ださい!」
なんて言ったのか遠くてわからなかったけど声からして男だ。でも、どこかで聞いたことあるような声がした。なにしてるのかな。気になったのでもうちょっと近づいてみると人影が2つあった。
一人は服装が黒くて誰かわからなかったけど、もう一人は右腕から湯気のような蒸気を出して立っていた。
二人してなにしてるんだろう。もしかしてそういう関係なのかな!?だとしたら邪魔しちゃダメだよね。邪魔しないように気付かれないように帰ろう。
抜き足差し足忍び足、と静かにその場を退散しようと来た道を戻ろうとすると一人の男が大声で叫んだ。叫んだせいではなくその内容のせいで私は立ち止まってしまった。
「俺のほうが美由希にふさわしいんですよ!美由希は俺に任せてあなたはさっさと死んでください!」
いつも付きまとってきて今日も放課後にしゃべることは残念なですます口調で、キザったらしい男の声が私の耳に入ってきた。内容も今日、いつも通りにとある男とやり取りしていた内容だ。声色としては放課後の時より全然ふざけた感じはない。むしろ殺気が籠っていた。
「いつも言ってんだろ。美由希は俺の彼女だ。お前だろうがなんだろうが誰にも渡さねーってよ」
この声も聞き覚えがある。休日以外ほぼ毎日顔を合わせて店の手伝いやご飯を一緒鬼食べ、一緒に下校し、私のわがままのせいでめんどくさそうにしながらも家まで送ってくれる人の声だ。
声が似ているだけで違う人だろう、そんな風に思いたいけど本能が言っている。あの二人の声で間違いない、と。
本当に二人なのか確かめたくて私は後ろを振り返った。雲に隠れていた月が顔を出した。月の光が二人を照らし、顔も見えるようになった。
できればあの二人じゃなかったらよかったけど、予感は当たるようでやっぱり私が予想したあの二人だった。
「もういいです。できたら話し合いで落ち着きたかったですがあなたを殺して美由希を私のものとするとしましょう」
「そうかい。俺はこの後用があるんだわ。さっさと終わらせてもらうぞ」
「ゴムゴムの・・・JETピストル!!」
突然聖さんの右腕がブレる。気づけばトレインは吹き飛ばされていた。聖さん今何したの?全然見えなかったんだけど・・・。お父さんと戦ったらどっち強いかな?なんて変なことを考えながらトレインは大丈夫なのだろうかと彼の方を見ると普通に立ち上がった。どうやらそこまでダメージはないようでホッとした。
トレインは立ち上がってすぐに走りだした。走りだしたのかはわからない。だって私が見えたのはスタンディングスタートまでだから。え?とトレインの速さに目が点になって聖さんの方に目を向けるとトレインは首を掴み上げていた。掴んでいる手に赤色の炎を纏って。
「あ”あぁぁあぁぁぁっ!あづいあづいあづい!!」
「言っとくけど手加減なんてしねーぞ。喧嘩売ったのはてめーだ。死んでも恨むなよ?」
普段のトレインの声からは考えられないほど冷酷で残酷で、そんな声を出す彼が怖くて私は震え上がった。
助けを求める聖さんの声をまるで聞こえないと言うように無視して掴んでいない手に青色の炎を宿し頭を掴もうとし、震えて金縛りにでもあったかのように動かない体を無理やり動かし私は駆け出した。
「あ”ああぁぁぁあああぁっ!だ、だず、げ・・・」
「トレインダメ、もう止めて!」
「・・・あー、やっぱ止めに入るのか」
私が首を掴んでいたトレインの腕を握って離すように頼んだ。するとさっきまで怖い雰囲気を出していた彼は私が知っている彼に戻っていた。彼は掴んでいた手を離すと聖さんは地面にドサッと力なく横たわった。生きているかどうか確認するため胸に耳を当てると心臓は動いてる。どうやら気絶したらしい。ギリギリ間に合ったようだ。
いつも嫌い嫌いと言っていたやつを心配とは自分は偽善者だなぁと心のなかで苦笑い。
トレインも同じようなことを思ったのか苦笑いしていた。
「つか、お前なんでこんなとこにいんの?」
「それはこっちのセリフ。トレインこそどうしてこんな時間にこんなとこにいるの?」
「こいつに呼び出されたんだよ。話したいことがあるって言ってな。ついていったら決闘まがいのことさせられて今にいたるわけだ。つか美由希に見せられないとこ見られちまったなぁ」
あはは、と頭を掻きながら笑った。そういえば手に宿していた炎はいつの間にかなくなっていた。あの炎は一体なんだったんだろうか?どうやってあの炎を出したんだろう?いつ習得したの?私にもできる?トレインには聞きたいことが山ほどあるけど一番聞きたいことがある。
「もう夜遅いしそろそろ帰るか。こいつは、俺が背負ってくしかねーな。・・・俺の顔になにかついてるか?」
「え!?いや別に!ただボーっとしちゃって、さ」
「ふーん。そうか」
そう言って彼は気絶した聖さんを背負って歩き出した。私もピク○ンみたいに彼を先頭にして歩き出した。
トレインの背中を見て思う。あなたは・・・あなたたちは何者なの?少なくともトレインは恭ちゃん以上に強いと思う。お父さんとは試合して勝ったり負けたりしてるけど本気出したらどっち勝つかな、と思って実際にお父さんに聞いてみたけど、
「現役時代のときでもトレインと戦ってもおそらく勝てないだろうね」
なんて言ってた。それは謙遜なのではないか、とそのときは思ったけどそれは謙遜なんかではなく本当だったんだ。
トレインはどんな特訓してあの技を身につけたんだろ。そういえば、何年か前に翠屋に来ていつの間にか仲良くなって、一緒に笑ってられているけど、ここに来る前はなにしてたんだろ。
聖さんを背負う彼を見て私は全然彼のことを知らないんだと気づいた。
最初は少し変わった雰囲気を纏った人だな、って思った。私はそこまでじゃなかったけど、お父さんと恭ちゃんはなんか警戒してたように思う。おそらく裏の世界特有の匂いがしたんだろう。だけど、彼と接していくと最初の警戒はなくなっていき気づけば一緒に御飯まで食べるような仲になった。
そのころはトレインの事はお母さんにイジメられる面白いお兄さんだった。今もそうだけどね。
でもいつからだろう。トレインのことが異性として見るようになったのは。最初から見てたと思うけど多分相談したときが決定的だったのかな。
それから一緒に下校していくうちに、二人でいるときが楽しく感じた。たまに男子と帰ってた時もあるけど、トレインほど楽しく感じたことはなかった。
これが恋・・・なのかな?まったく恋愛には興味なかったつもりなのに。これはトレインに責任をとってもらわないといけない。でも、聖さんの首を掴んでいるときは怖かったな。いつものトレインじゃなくてなんていうか誰かが乗り移ったような、そんな感じ。語彙力がないから例えがあれだけど、それほど怖かった。
できたらもうあんなふうになってほしくない。怖いしなによりトレインがどこかに行ってしまう気がするから。
「おい。いつまでぼーっとしてんだ。高町家についてるんだけど」
「え、あ、ほ、ほんとだ。いつの間に・・・」
気づけば森を抜けていて私の家についていた。トレインの背中にはすでに聖さんの姿がなかった。あの人どこに行ったんだろう?
トレインは私に心配そうな目で見ていた。
「終始ぼーっとしてたぞ。お前ほんとに大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫!聖さんはどうしたの?」
「はぁ?途中であいつが気がついて自分の足で帰ってっただろうが。お前無意識に別れの挨拶してたのかよ・・・」
トレインは心配そうな顔から呆れ顔に変身。どうやら私は別れ際挨拶されたので無意識のうちに挨拶を返したようだ。そのときの記憶が全然ないんだけど。私、聖さんになんて返したんだろう?というより病院に行かなくて大丈夫なのかな。
「じゃあ、俺ヤることあるからそろそろ帰るわ」
「あ、うん。じゃあね。おやすみなさい」
私は家に入ってトレインはどこかに行ってしまった。トレインのことは明日にでも聞いてみるとしよう。確か明日なのはがトレインの家に行くって行ってたからそれについていこう。なのはに聞いてみると別に来てもいいらしいので私も明日のために準備しなきゃ。
ほんとはA’s編に入ろうと思ったんです。だけど入ったら美由希が眷属に入る機会がねぇじゃん!と思って急遽この話を書き上げました。
無理矢理感は否めないですが、流してくれるとありがたいです。
感想、誤字脱字ありましたらよろしくお願いします。