※この作品はR-18です。

金瞳の二丁拳銃 アイナ   作:我楽娯兵

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ようやく……ようやく。私の元に花嫁が来た。
UR確定20連ガチャ交換チケットで【二丁拳銃の花嫁】アイナが来たぞーーー!!
ちなみにアニバーサリーでは引いていないキャラが多くいるのにマーシエ・カーワンがダブり切れてます。


道すじ

 廃車寸前のセダンに乗った私たち四人は、ミズーリからカンザス近くまで来ていた。

 ニコラスが実戦と銘打った報復活動は日も跨がないうちに始まっていた。

 セダンの中で装備を確認する私たち四人は防弾コートを渡され着込んでいた。

 このコートは米連の特戦軍に採用を検討されている体電流磁リキットアーマーで、私たちの体表面の電流を読み取り装甲車並みの高度を瞬時に発揮できる最新式の防弾アーマー。

 そして銃に装填された弾は非殺傷弾頭(ゴム)ではなく、徹甲弾(アーマーピアシング)。ケブラーベストを貫く為のものではない、本当の意味の装甲(アーマー)を撃ち抜く為の対サ(・)イ(・)ボ(・)ー(・)グ(・)用弾頭。

 完璧に抹殺(イレイサー)する為にニコラスは動いていた。

 

「ヒー、フー、ヒー」

 

 グレイグは興奮から瞳孔が大きく開き、その双眸は猛獣のそれに似ていた。

 アナベルは薬は打っていないが、その代わりと言える大量のカフェイン剤を服用しいた。

 私も心臓がバクバクと音を鳴らしその興奮と言えるのか、高揚感のようなものが全身を支配し動物が威嚇するとき毛を逆立てるように鳥肌が止まらなかった。

 ――人を殺す。

 体を駆け巡り暴れ狂う何かを御そうとグレイグ、アナベル、私は必死だった。

 早く開放されたいという気持ちが、いつしか引き金を引きあいつらを殺せば開放されると考えていた。

 ただニコラスとフランシスだけは違っていた。二人とも同じなのだ。

 フランシスは開け放った窓から手を出しタバコを吸っていた、ニコラスも嫌煙家の筈だが同じように吸っている。まるで同じ人間が二人いるように一つ(ユニゾン)になっていた。

 ニコラスの携帯(モブ)が鳴り取り僅かに話しきる。

 

「奴の居場所と名前がわかった」

 

「どこだ?」

 

 私は訊いた。

 

「カンザスに行く気だ。あそこは生命向上主義(ライフレーズム)の州だ。逃げられたら殺せねえ、ミズーリにいる間に殺さねえとなあ……」

 

 生命向上主義(ライフレーズム)とは今米連がトレンドとしている意識だ。

 かつて米連がアメリカ合衆国だった頃に掲げていた人種無差別向上社会(アメリカン・ドリーム)のように、米連となった現在掲げるモノ。

 生命向上と言う通り、機械化技術が進歩し「物理的」に進化が可能となった現在で魔族の対等と言うものがあり、それを恐れた人々が、人を進化させようと言う考えだ。

 もともと倫理と言うものに煩かったアメリカ合衆国だが、魔族という生(・)物(・)的(・)に強者である存在に危機感を覚えたのだろう、宗教も「魔」というものには敏感で撃滅すべしと言い放つ始末。

 無理もないが、生命向上主義(ライフレーズム)はそれだけでは止まらず、生命倫理の番人を気取り死刑制度撤廃運動に力を注ぎ始め、現在米連で157州ある中でその過半数が生命向上主義(ライフレーズム)になびき死刑を撤廃した。現在死刑を行える州は25箇所。

 アメリカ合衆国と呼ばれていた土地ではこのミズーリ州だけが死刑を行っている。

 必要とされている場所が一つとなれば、すぐさまパンクする。そのために現在の死刑執行人はかなりアクティブで死刑と判断された時点で即時殺す事ができる。投降が認められた時は確保され薬物による安楽死だが、激しい抵抗の場合射殺も行える。

 そういった死刑執行人などは“狩人(ハンター)”と呼ばれることがしばしばある。

 そして私は、ニコラスがその“狩人(ハンター)”としての権利を有し、私たちもその“狩人(ハンター)”としての権利を仮発行されてる。

 

「奴の名前はバリー・スタントン。経歴は不明箇所多し、スラム出身だな」

 

「バリーねぇ」

 

 フランシスが名前を反復する。

 引きつって笑うその笑顔が最高に狂った表情で、バリー・スタントンとしっかりとその名前を頭に叩き込んでいた。

 

「バリー、バリー(ひどい)ぶっ殺しかたをしてやる」

 

 私はそういうとニコラスは鼻笑い、頭をくちゃくしゃに撫でてきた。

 

「お前もわかってきたじゃねえか。バリー(いじめっ子)をあの世に送ってやろうよ」

 

 穀倉地帯を抜けて寂れた廃墟都市へと到着する。

 ニコラスの話曰く、ブルーラビットというマフィアの首領が取り仕切る領域でそれとなく面識があるそうだ。政府関係の職を生業にしている者からしたらマフィアとの関係はご法度だが、殺しとなれば別だ。死刑判決の受けたものが闇に逃げれば雲隠れ、ともいかず、向こうでは賞金首になる。

 そういったわけで向こうでさんざん吊るし上げられ身柄を賞金と交換(トレード)するわけである。

 そしてブルーラビットの垂れ込みではこの廃墟都市に潜伏しているそうで、私たちの狩りにこの街の人間すべてが手出ししないそうだ。本当に不幸な事だバリーの逃げ込んだ場所は詰んでいたのだ。

 

「いくぞ」

 

 ニコラスは車を停車さた。

 私とグレイグとアナベルは防弾用のヘルメットを被る。ただニコラスとフランシスだけは被らなかった。フランシスの頑なな意思からそうなっている――自分で蒔いた種は自分でケジメをつけたいのだという。

 止める気は無かった。それは当然の事であり、必然なのだ。

 バリー・スタントンと因縁があるのはフランシスだけの筈だ、なのにタラーが巻き込まれ死んでしまった。

 許せないのだ。弱者から狙う根性が、フランシスは絶対に。

 そして絶対的な自信から、奴を根本から否定したいのだ。

 すべてをあらゆる物事を、バリーを形作るすべてを否定してタラーを殺したことを後悔させたる為だ。被弾する事もないだろう、今いる四人の子供の中で最も強い者だから。

 狙いは一人、そしてこの街を構成する人々は群集と化した「死刑囚」。多少の流れ弾が通行人に当たったって米連政府は咎めないし、街の住人も承知済み。

 二丁の銃を握り絞めたフランシスとニコラスはナイトクラブの扉を開く。

 客は異様に少なく、すぐにバリーの姿が見て取れた。

 両脇に体格のいい男に挟まれ酒を乾かしていた。

 私とアナベル、グレイグは入り口に陣取り、フランシスは奴の前に向かっていく。

 ニコラスはフランシスの影に入るように後ろをついていく。

 

「ヘイ、ガキ大将(バリー)。まだ髪立て義腕(アンダーレイ・スパーク)を着けているのか?」

 

「その名前で呼んでんじゃねえよ……クソガキ……っ!!」

 

 振り返ったバリーの目は真っ赤に腫れあがり、顔も赤く染まっている。

 酒で酔わされている。完全に出来上がっていた。

 

「ダチを殺したか?」

 

「ダチぃ? あー、ああ。あれかピーピー泣いて煩かったガキか」

 

 声のトーンがおかしかったが、その証言だけで充分だった。

 フランシスが瞬きの間でオートマグをホルスターから抜き放ち、バリーの額に銃を突きつける。

 それに反応したのはバリー――ではなく両脇の男たちと背後の客たち。

 馬鹿笑いをあげ得意げに話し出す。

 

「この店は貸しきりなんだ。ヒック、ガキにはねえ人脈だろ。おりゃぁストリート時代からずっっっとこうした連中と絡んでいたからなぁ。今じゃあノマドの戦闘員にまで召抱えられたダチだぁ」

 

 ほんの一瞬だけフランシスがニコラスに眼をやった。

 小さなうなずきを返し、私たち眼差しが送られた。

 深く息を吐いた瞬間、膝を崩した二人。

 私たち三人は壁を蹴り上げ、天上に向かい飛び上がり、脇に吊るした銃を抜き店中の客たちに狙いを定めた。急に動き出した私たちに相手の脳が一瞬のラグを発生させた。

 その間に引き金が引かれる。

 

 ――雷鳴。

 

 マズルフラッシュの稲光が店を包み、銃撃戦が開始された。

 膝を崩したフランシスとニコラスは背中合わせに独楽のように回り、周囲の敵を薙ぎ倒した。

 飛び上がった私たちはフランシスたちが狙えない位置にいる敵を撃ち抜く。

 この段階でほぼほぼ私たちの銃火に斃れている。

 

「逃げんなオラァッ!」

 

 怒号を発したフランシスがカウンター裏に向かい銃を連射する。

 裏に隠れたバリー。一瞬だけ腕が覗き、輝く。

 奇妙な起動音とともにバリーがカウッターから飛び出す。

 ニコラスもフランシスも好機と見て銃口を向けるが、何かに気づいたニコラスだけが金属製のテーブルをひっくり返し隠れる。

 バリーを蜂の巣にする為に撃ったフランシスだが、弾丸がバリーの手前で跳ね返った。

 撃ち放ったはずの弾丸が真っ直ぐ己の元に戻ってきた。

 跳弾とも違う弾道にフランシスは目を回していた。紙一重で避けるが、左耳朶を自らの弾丸で持っていかれていた。

 

「これじゃあ髪立て義腕(アンダーレイ・スパーク)なんていえねえなっ!!」

 

 店を出ようと走るバリーを制止しようと私とアナベルが前を塞ぎ四丁の銃で撃つが、やはり弾丸が戻ってくる。その事を知っていたために回避ができた。

 獣が取り付き店中を駆け回っていたグレイグが背後から飛び掛る。喉笛に向かって牙を剥くがバリーの正拳突き――それに合わさるように感電する音が鳴りグレイグの体が弾き返される。

 駆け寄るアナベルが、グレイグを診る。

 

「心臓が動いてないっ!」

 

「AEDで蘇生させろ。アイナ、フランシス付いて来い。悪ガキをいい加減ほったらかしてたら気分が悪い」

 

 ニコラスは私とフランシスを呼び寄せる。

 店を出て行ったバリーはかなりの距離を走りっていた。

 フランシスは鼻を鳴らし、何かを嗅ぎ取る。

 

「おっさん。北だ」

 

「おっさんて......わかるのか? 奴の場所が」

 

「あいつ身なりは汚ねえ割りにジョーマローンロンドンの香水てる。こんなくせぇ場所であんだけの匂い漂わせてたらわかる」

 

 フランシスの言っている意味がこの時はよくわからなかった。

 今ならわかる。フランシスは香水を的確に嗅ぎ取っていた。

 あの廃墟都市はゴミの掃き溜めだった為に異臭が凄まじく鼻が曲がりそうだったのに。バリーが匂わす香水を嗅ぎ取り位置まで言い当てるまでに鋭い嗅覚を持っていたのだ。

 ニコラスはフランシスの言う北に向かい走る。

 正気を疑ったがフランシスの嗅覚は確かだった。

 尻を向け必死で逃げるバリーの姿があった。私たちを見てM500を抜き迎え撃ってくる。

 M500の常軌を逸した銃声と弾丸が私たちに飛びつくが、眼で捉え避けることは容易だった。

 ニコラスが銃を一丁ホルスターに戻し、私たちを見比べる。

 

「お前たちを連れてきたのは、見込みがあるからだ」

 

 私は訊く。

 

「見込み?」

 

「ああ、二挺拳銃戦闘術(トゥーハンド・コンバット)の第二段階だ」

 

 ニコラスは右手に銃を持ち替え、腰の後ろに銃を隠しバリーを睨みつけた。

 

「二挺拳銃戦闘術(これ)は俺の不出来な師匠から脱却した技だ」

 

 腰溜めに構え睨みつけたバリーに銃口を向ける。

 ただの射方は独特で、下から掬い上げるように腕を振り手首にスナップを効かせ撃った。

 弾道は真っ直ぐ上に向かい飛ぶ。全くの的外れの弾丸だった。

 私とフランシスは下手くそどころではない射撃にニコラスを見ようとしたが。

 

「弾丸を見とけ」

 

 とニコラスがいう。

 何も真上に飛んでいる。どうしようもない弾丸だったが。

 奇跡が起こる。

 敵の頭上を通り過ぎた弾丸が――軌道を変え始めたのだ。

 弾丸がUターンをきめて私たちの動向を見ながら走っていたバリーの脇腹をぶち抜いた。

 絶叫をあげて転げまわる、バリーを尻目にニコラスは話す。

 

「お前たちに教えた二挺拳銃戦闘術(トゥーハンド・コンバット)は俺が習った最終段階だ。どれだけ効率的に安全地帯を見つけ、それを確保できるか。これが本来の二挺拳銃戦闘術(トゥーハンド・コンバット)だった」

 

 ニコラスは再度、体を捻り腕をしならせながら発砲する。

 

「でもそれじゃあ生き残れない。対魔忍、魔族、機械化した連中にも、脆弱すぎた。だから俺なりに進化させた」

 

 発砲した弾丸が外装を修理中のビルから落下防止シートの繋ぎ目を撃ち抜き、バリーに覆い被せた。続けざまに進化させた射ち方で強力な接着剤の缶を落しバリーの頭から被せる。

 

「いいか、肌て覚えろ。感覚を研ぎ澄ませ。風を読み隙間に通せ。そうしたら出来る――変則弾道(トリック・トラジェクトリ)が」

 

 ジタバタともがき落下防止シートを剥ぎ取ろうとしているバリーだが、髪にも肌にも接着剤で張り付いていた。次第にシートから煙が上がりだす。

 拳銃を向けたニコラスが見えたのか、手をかざす。

 二発連発し、肩をぶち抜く。あの弾丸が跳ね返ってくる芸当が出来ぬようだ。

 

「反射電磁フィールドは張れねえよなあ、その義腕の欠点で電磁回路がちょっとの熱でお釈迦になりやすい。お前なりに改造してわかりにくくしているようだが意味が無かったな」

 

「どうなってやがるゥッ!! ふざけんあああ!!」

 

 叫びを上げるバリーを見下すニコラス。

 

「簡単な化学実験だ。軍手や何かに瞬間接着剤なんかを垂らすと化学反応で猛烈に熱くなる。熱湯程度だがな、その義腕を壊すだけの熱は出せる事は知ってる」

 

「聞いたことねえぞ、そんな欠点!!」

 

「そりゃそうだ。言ったら売れねえからな。設計当時からずっと黙ってた」

 

「ああぁ?」

 

 泣きそうな声でバリーはニコラスを見上げた。

 

「そいつを設計したのは俺だ」

 

 踵を返したニコラスがフランシスの肩に手を置いた。

 フランシスもわかっていた。

 暴れ、もがくバリーを真っ直ぐ捉え、偏見も、差別もなく。銃口を向けて撃った。

 それは苦しみを与えるように、心臓や肺、脳を避けるように撃っていた。

 撃っている最中のフランシスは笑うことも泣くこともなく、ただ無表情に。

 一カートリッジを撃ち切り、装填しまた。

 もう死んでいるのに何度も何度も何度も、繰り返し。

 

「フランシス、フランシス。やめろ、もう死んでる!!」

 

「オレがはじめた。オレが終わらせる。こいつにオレを憎ませる、逃げねえ」

 

 フランシスは撃ち続けた、弾が無くなるまで。

 虚しく響く銃声は廃墟の街に木霊した、それが泣き声のようにも聞えた。

 

 

 

 

 

「……ッ!?」

 

 いつのまにかソファーで眠っていた。

 飛び起きたアイナは真っ暗な家の中で、過去の夢を思い返した。

 フランシスが冒した初めての誤り。あの時、フランシスではなくニコラスが撃っていれば。

 汗ばんだ手で頭を押さえる。

 ニコラス・ヒューズ。

 アイナとフランシスの師匠で米連軍の戦術に革命を起こした功労者。

 そして――米連きっての組織犯罪の首謀者。

 

「……っ」

 

 彼からは多くのものを得た。そして多くの罪を残して行った。

 大陸防衛警備機構、“神災狼部隊(フェンリル)”を率いた大統領暗殺未遂事件。

 理由ももうわからない。

 米連に弓引く行為に、意味は無かった筈なのに。

 

 ――過去に固執しないのはいいが、愚者となるな――

 

 ニコラスが言った言葉が頭の中で反復する。

 

「くっそっ……」

 

 私は過去に固執しているのではない、囚われている。

 ジャンキースターを咥え、ベランダに出る。火をつける。

 静かな住宅地だ。南部にある筈だが、娼婦たちの喧騒は遠くにある。

 ふと首を回した先にガレージに出る道があり、反発性磁気機が反射電磁フィールドを発生させていた。

 

「あ――あっ!」

 

 閃きが降りる。

 そうだ、そうだった。反発性磁気機はニコラスが開発した防御装置。そしてそれは。

 

「熱に弱い」

 

 キッチンに駆け込むがIHで火が出ない。

 物置に走り、あらゆる物をひっくり返す。台も、工具箱も。

 ドラム型のバーベキューグリルをひっくり返したときトーチバーナーが転げ出てきた。

 掴み取り走った。

 紫色のボディコンにでかい胸を押し込み、ジャケットを羽織り、ホルスターに銃を修める。

 バーナーに火をつけ、反発性磁気機の全体を熱する。

 見る見るうちに金属部分が赤みを佩びる。次の瞬間、ショートし磁気機が発生させていた反射電磁フィールドが搔き消え、外への道が開かれた。

 

「ようやくだ……」

 

 アイナに外への道が開かれた。




次回はHシーンを書きます。

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