※この作品はR-18です。

『えっち』から始まる恋があってもいいじゃない?   作:カゲロー

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休日出勤を無事乗り越え、完成しました大ボリューム(短歌風)。
分割も考えましたけど、きりが良いところがなかったのでこのままいきます。
本作で初めて葵嬢以外の女の子とのえっちとあって気合が入りまくった結果ですかね。
それから今回、本人達が無意識に話題を避けていた答えを自覚します。


第11話 向き合うココロ

「アハハハハ! もう、海斗くんってばイケないヒトなんだから♪ ――ホント、しょうがないなぁ~……――プチっと潰して欲しいですってコトかな? かな!? かなぁ!?」

 

身の毛もよだつ憤怒のオーラを振り撒きながら、一歩、また一歩と大地を踏みしめる様に歩を進める葵。

完全に瞳孔が開ききっており、張り付けたような薄い笑みと相まって筆舌しがたい雰囲気(オーラ)を振り撒きながら。

浮気者(かいと)の後ろ姿はすでに見えなくなっているが、彼らが向かった方向はなんとなくわかる。

とりあえずとっ捕まえて洗いざらい吐かせよう。

具体的には浮気相手の女のこととか、わざわざ家族からの電話だと思わせる工作までしてナニやっていたのかとか。

ズンズンと道路を踏みしめながら歩を進める。

電線に止まっていた小鳥達が葵の殺気を感じて、全力で逃げ出していく。

小動物に怯えられたというのは何気に心が痛いものの、それすらも海斗のせいにしてしまうのは、葵も相当理性がトんでいるせいか。

 

――失礼なコ達だね。私が怒ってるのは全部海斗くんが悪いんだからっ!

 

憎々しげに海斗達が消えて行った壁の方を睨みつけ、ふと、どうしてこんなに怒っているのだろう? と疑問が浮かんできた。

葵と海斗は別に恋人とかそういうものではなく、どちらかと言えば権力に屈する形で始めたお仕事のようなもの――と、誰かに言われた気がする。

確かに、真っ当な恋人関係になっているとは言いきれず、それを考慮すれば別に海斗が誰とナニをしようと関係ない……ハズ、なのだが。

 

――もうもうもうもうもうっ! わかんないよそんなの! 自分でも何がしたいのかわかんないんだもん! けど、とりあえず悪いのは海斗くんなんだから、オシオキしなくちゃいけないの! 話はそれからっ!

 

葵の胸中で渦巻いているのはどこからどう見ても彼氏に浮気された女の嫉妬であったが、本人は全く気付けていない。

そもそも、海斗以前にこれほど親密な関係になった異性など存在しなかったのだから当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。

始めての激情に振り回される少女がひとり、道のど真ん中で頭を抱えてブツブツ呟くのは見ていて非常に痛々しい。

幸いと言うか、辺りに人影は無く、醜態を人目に晒す事だけは阻止出来たと言う訳だ。

――だったのだが、

 

「あの~、こんな所で何やっているの? 妖しい宗教の祈りとか?」

 

葵の肩にほっそりとした指先が添えられた。

びくっ! と身体を強張らせながら振り返ってみると、

 

「うーん、この辺じゃあ見かけない娘ね。ひょっとして迷子になっちゃったのかしら?」

 

いつの間にか、金髪のブロンドを靡かせた美女が葵の背後に立っていた。

太陽の光を反射して黄金のように輝く金髪と宝石のような碧眼の持ち主。

すらっとした細身でありながら胸が大きく、ヒップも美しい曲線を描いている。まるでグラビアアイドルのように顔立ちも整っており、丸みを帯びた瞳からは温和そうな雰囲気を感じとれる。

ノースリーブのシャツにホットパンツと言う大胆な服を見事に着こなしている姿は、『煌びやか』という言葉と実にマッチしている。

 

――うわー、こんなに綺麗なヒト、ホントにいるんだ。

 

初対面の美人さんに声をかけられて頭が冷えたのか、葵は振り返った体勢で固まってしまった。

 

「どうしたの?」

「へぅあ!? にゃ、にゃんでもありましぇん!?」

 

噛んでしまった。耳たぶまで真っ赤になっていくのがわかる。

 

「あはは、落ちついて。はい、深呼吸、深呼吸」

 

言われるままに深呼吸を数度繰り返せば、ようやく平常心が戻ってきた。

葵がありがとうございますと頭を下げれば、女性はいいのよ気にしないで~と手を振る。

ラフな格好から見てわかる通り、存外フランクな性格をしていらっしゃるようだ。

葵が落ち着くのを見計らって女性から事情を質問されたので、人を探していると素直に答える。

どうやら地元の人らしいので、もしかしたら何か手がかりが得られるかもと淡い希望を抱いていた葵だったが、

 

「え、黒縁眼鏡の男の子って……もしかして海斗クンのことだったりするのカナ?」

「知ってるんですか!?」

「知ってるも何も、私、彼のご両親が経営してる映画会社のスタッフだもん」

 

予想に反してこれ以上ないほどの手がかりと巡り合えた葵は、女性……磯沢(いそざわ) 理恵(りえ)に先導されて目的地へと向かっうこととなった。

 

「へぇ~、海斗クンと同じ学校の生徒さんで、修学旅行でも一緒の班になった“お友達”なんだ。――で・も、年頃の女の子が同年代の異性の家にカチコミをかけるのはどうかと思うけど?」

「か、かち……? あの、そんな物騒なお話じゃなくてですね? ただ、ちょっと……その……普通に遊びに来たっていうか」

あの(・・)海斗クンが家の住所を誰かに教えるなんて、多分初めてのことよ? それだけで、普通とは言えないと思うんだけどなぁ」

「あうあうあう~」

 

隣町の大学に通う学生だと自己紹介した理恵の顔は、おもちゃを見つけたチェシャ猫のよう。

年上の同性からからかわれる経験がほとんどない葵になすすべは無く、弄り回されていた。

 

「ねぇ、葵ちゃん。ホントのトコはどうなの? ひょっとして海斗クンと男女の関係になっちゃってたりするのカナ?」

「ちっ、違いますって!? もう、やめてくださいよぉ~」

「ええ~、いいじゃな~い。女同士、遠慮する事なんて無いと思うんだけど――っと、残念時間切れだね」

 

葵を弄って楽しんでいた理恵が歩を止めたので、少しだけつんのめりながら立ち止まる。

彼女が指差す先へ視線を動かすと、予想より大きな建物があった。

店舗も兼ねているらしく、入り口の横には『センソニィプランツ=マカ』という会社名が刻まれた看板が立てかけられている。

 

「せんそ……? あの、この名前ってどういう意味なんですか?」

「あー、聞かない方がいいと思うわ。何となくカタカナにしたくて名づけたって社長言ってたし」

 

曖昧にされたことが少しだけ気にはなったが、手を取って中に入っていく理恵に急かされるまま結局聞けないままに。

 

「わとと……。ここが海斗くんの家なんですか?」

 

入り口辺りは普通の映像機器販売店の様になっていて、最新鋭の機種こそ扱っていないようだがクラシックタイプの一眼レフやビデオデッキなどレトロな印象を感じさせる。

葵はこういう古めかしい物を見るのは初めてだったらしく、ビデオデッキとTVが一体化したテレビデオを物珍しそうに覗き込む。

 

「正確には店の奥から繋がった母屋の方がね。仕事関係のもの全部こっちの店側に置いてあるらしくて、逆に母屋の方には最低限の物しか置いてないようだけど」

 

質問に答えながらカウンター奥にある扉を開き、更に奥の方へと進んでいく。

乱雑に積み重ねられたビデオテープやDVDの山で埋め尽くされたせいで足の踏み場所が無い廊下を通り抜けると、撮影所らしき部屋へたどり着いた。

10人以上の人が入ることが出来そうな広さがある撮影所を、半開きになっていたドアの隙間から覗く。

 

「かい、と――……」

 

声に悲しみが滲む。

目尻が熱を帯び、まるで長距離マラソンを終えた直後のように喉がカラカラに乾く。

少女の視界に飛び込んできたのは、部屋の中央に鎮座する巨大な円形型ベッドの上、先ほど見かけた件の少女に覆いかぶさる海斗の姿だった。

 

「おやまあ、お楽しみの真っ最中だったかしら♪」

 

身を乗り出して喜々とした表情を浮かべた理恵の声が、嫌に遠く感じた。

 

 

――◇◆◇――

 

 

ギシギシとスプリング音が背中から聞こえてくることに、天凰寺(てんおうじ) 沙良紗(さらさ)は形のよい眉を顰ませる。

彼女が横たわっているベッドのシーツカバーには香水か何かが吹き付けられているらしく、よく分からない華の香りが漂い、鼻孔をくすぐってくるが、それで心が落ち着くかと言われればNOと言わざるをえない。

慣れ親しんだ愛用の高級ベッドとは比較することすらおこがましい安物臭漂う丸型ベッド。

情欲に塗れた男と女がいかがわしい行為を繰り広げるために考案されたと聞いているソレに、まさか自分が横たわる日がこようとは。

周知と屈辱に唇を噛み、情けなさと恥ずかしさで死にたくなってくる。

目尻には涙が溢れ、陶磁器のようになめらかな頬が朱色に染まる。

もしこの場に第三者が居合わせたとすれば、現在の彼女の姿を見て誘拐されてきた悲劇のヒロインという単語を思い浮かべる事だろう。

しかし、それも仕方のない事だ。

何故なら彼女は紛れも無く高貴な血筋をその身に宿す、真正のお嬢様……聖マリアジェンヌ学園に籍を置く、資産家令嬢であったのだから。

沙良紗は日本人離れした美貌と未成熟と成熟の境界線上に立つ、曖昧で、それ故にすばらしい魅力を秘めた女の子だ。

彼女の容姿を一言で言い表すとするのならば、使い古された言い回しだが『西洋人形のようだ』と称するが一番相応しいだろう。

英国貴族の血統である祖母の血を色濃く受け継いだ沙良紗の髪は、光を浴びて桜色に輝いて見える。

宝石のような碧色の眼や小柄な体躯の可愛らしさと相まって、学園では“可憐なお人形さん(キティ・ビスクドール)”などと呼ばれているほど。

学園の教師や先輩はもちろん、同年代の友人達ですら、彼女の事を見た目通りの幼い少女として可愛がり、また、彼女自身も敬愛する祖母譲りの日本人離れした容姿のことを誇りに思っていた。

けれど、まさか――、

 

「こんなことになるなんて……っ!」

「……どうした? やはり覚悟が決まらないのか?」

「うるさいっ! やるならさっさとやりなさいよ、この変態男っ!」

 

端正に整った唇から撃ち放たれたのは、予想以上に痛烈な怒声だった。

声の節々から、異性を、というよりも男という存在を嫌悪しているような印象を感じさせる。

 

(男嫌い……いや、どちらかと言うと男性恐怖症の方か?)

 

恐れ、恐怖と言った負の感情を異性に対して抱いてしまい、元来の気の強さと相まって辛辣な言葉使いとなってしまったのだろうと無言で分析するのは彼女の上にいる男性だ。

反射的に怒鳴り返してしまい、沙良紗は慌てて口元を抑える。

集団が作る輪の中心にいることも少なくなかった彼女は、自分を押し倒すように覆い被さっている男性が彼女を純粋に心配しての言葉だったのだと察知したからだ。

突然罵倒を浴びせられた男性……海斗は、不快感を顕わにすることもせず、むしろ少しだけ安堵しているようなそぶりを見せた。

ぽかん、と不思議そうに己を見上げてくる少女の耳上で束ねられた髪に指を絡みつかせ、口元に引き寄せる。

 

「自暴自棄になってるワケじゃなさそうだ。なら、心配も無いか」

 

少女にも聴こえないほどの小声で呟くと、ほぅっ……、と熱を纏わせた吐息を優しく吹きかけた。

 

「はうっ!? な、なにをして……ひゃうんっ!?」

 

無骨な男性の指とは思えない、繊細でやさしいソフトタッチ。

まるで枝毛1本1本を撫で上げるかのような刺激は、男子禁制の乙女の園で生活してきた少女には、まさしく未知の衝撃であった。

 

(なん、で……!? 不潔な男の指なのにっ!?)

 

ツインテールがふるふると揺れる。嫌悪感よりも先に衝撃と困惑の波が彼女の胸中で渦巻いているのだろう。

可愛らしい悲鳴を上げてしまったことが恥ずかしかったこともあって、両手で顔を覆い、いやいやと頭を振り続けている。

女子高という環境下では、同性の間で少々過激なボディランゲージが行われることが多々ある。

沙良紗も多分に漏れず、マスコットのように愛でられ、抱き締められたりしたことも少なくない。

髪にこだわりを持つ年頃の少女なのだから、自慢の髪に触れられることも何回かはあった。

だが、これは何だ?

友人達のそれとは比べようも無い男の指に触れられた。それだけで、今までに感じたことも無い衝撃が襲いかかってきた。

まるで身体中の神経が電気ショックを受けたかのようだ。

 

「そんなに俺が、いや……男が怖いか?」

 

確信を突いた海斗の指摘に、かっとなった沙良紗が大声で怒鳴り返す。

 

「そんなこと、あるワケ無いでしょっ! ふざけないで! 大体さっきからの髪を撫でたり、嗅いだりしてばっかり……どうせやるんだったら、早くやればいいじゃない!」

 

――そんな涙目で怒鳴られてもなあ。

 

表情を強張らせながらそんな事を言う沙良紗の姿に、海斗は苦笑を浮かべずにはいられなかった。

彼女の事情は理解している。何故、良家のご令嬢である沙良紗が、海斗の実家(このようなところ)で己に組み伏せられているのか、その辺りの理由も。

同情はする。何しろ、このような望まぬ形で“純潔”を奪われてしまうのだ。

本来なら彼女の相手となっていたのは、婚約関係にある身分の高い資産家の子息、あるいは、どこぞの演劇から抜け出してきた白馬の王子様――身分の差などの(しがらみ)をものともしない、魅力あふれた好青年――であったことだろう(後者が出現する可能性は極めて低いが)。

だが、現実は無情だ。沙良紗自身も、それを理解している、いや――させられている。

 

『天凰寺 沙良紗は、今日、ここで、高宮 海斗に純潔を散らされる』

 

これはもはや揺るぎ様の無い事実であり、逃げ出すことが出来ない堅牢なる牢獄……所謂、運命というやつだ。

納得はしていないのだろう。あまりにも恐ろしく、叶う事なら今すぐ逃げだしたいのだろう。

だが、出来ない。

もし彼女が逃げだしてしまえば、それはそのまま彼女の大切な人々への凶刃となって襲いかかるのだから。

故に、逃げない。

屈伏なんてしてやらない、天凰寺 沙良紗(ワタシ)は絶対に男なんかに屈伏しない!

それが、天凰寺 沙良紗の『覚悟』なのだから。

 

「――わかった」

 

覚悟の色を碧眼から見て取った海斗もまた、心を決める。

彼女のようなケースは今までにもあった。

海斗への畏怖を覚えながらも、恐怖という感情を呑み込んで、自分を護ろうとしている気丈な女性達。

彼女らもまた、沙良紗と同じ顔をして、行為直前に至るまで海斗を睨み返していた。

ならば、下手な同情は彼女の覚悟を穢す行為に他ならない。

ふうっ……、と深く息を吐いて、覚悟を決める。

脳裏に一人の少女の姿が過ぎったような気がしたが、『仕事モード』へ切り替えた海斗には関係が無いことだ。

上半身を起こして膝立ちの体勢になると、いきなり沙良紗の身体へと腕を伸ばした。

 

「えっ――……」

 

急激な雰囲気の変化を感じとって反応が遅れたらしく、沙良紗は胸元のリボンタイが外されていく様を眺めていることしか出来なかった。

現在の沙良紗の服装は、彼女が通う聖マリアジェンヌ学園の制服。

チェック柄のスカートと白いブラウス、黒色のニットベストは清楚なお嬢様の教育を理念とする学園の方針で、派手さが無いおとなしめの色合いで統一されている。

海斗が外した真紅のリボンタイがアクセントとなって、清らかな乙女を演出している……らしい。

『らしい』というのは、彼女の制服がその手の筋で高い人気を得ているからだ。

両親の仕事関係でそういった情報にも詳しくなってしまった海斗は、少しだけ嫌そうな顔を見せながら、手に持ったリボンタイを注視する。

指先から感じる肌触りはなめらかで、布自体が光沢を放っているかのように美しい。

制服のデザインそのものは取り立てて目立つものは無いものの、それ故にこだわりを見せた原材料のみを使い、生み出された。

何かの雑誌にそんな事が書かれていたなと、取りとめのない事を頭の片隅で考えつつ、未だに固まったままの沙良紗へ再び手を伸ばす。

と、そこでようやく再起動を果たした沙良紗が、自分の身体を抱き締める様に腕を回し、シーツを蹴る様な勢いでベッドの淵へと逃げ出そうとした。

 

「なっ……、何をするのよ!?」

「なにって……制服を脱がそうとしているだけだが?」

 

なにを当たり前のことをと言いたげな海斗に、沙良紗は声にならない叫びを上げる。

海斗は、口をパクパクさせ、罵声か非難かの言葉を叫ぼうとしている沙良紗と距離を詰めながら、幼子をあやす様な静かな声で囁く。

 

「此処まで来て何を言っている? これから俺達が何をするのかは、お前自身よく分かっているだろうに。じゃないと、制服が台無しになってしまうぞ」

「だっ、だからって、いきなり女の子の服を脱がそうとしていい訳ないでしょう!?」

「ま、その言い分にも一理ある……が、時と状況が悪かったんだよ。覚悟を決めたんだろう? だったらウジウジしてないで、俺に任せておけ。――できるだけ恥ずかしくならないように優しくするから」

「そ、そんなこと言ったって……きゃあっ!?」

 

敵を威嚇するネコのような反応から一転、怯えた小動物のような反応を見せる沙良紗の肩を押してベッドに横たわせると、黒いニットベストを上から引き抜く様に脱がせた。

たったそれだけで、沙良紗の新たな魅力が海斗の目に晒されることとなった。

思わず、ごくり、と喉を鳴らしてしまう。何故なら、海斗の視線の先でブラウスを押し上げる様に盛り上がった2つの膨らみが激しく自己主張を行っていたからだ。

どうやら沙良紗は予想以上に着やせする性質だったようだ。

身長は中学生でも通ってしまうくらい小柄なくせに、母性の象徴である双丘はたわわに実り、ブラウスのボタンを弾き飛ばしてしまうそうなほど盛り上がっている。

呼吸のたびに上下に震え、ボタンとボタンの隙間から覗く大人びたランジェリーの色彩が、ちらりちらりと目に留まる。

胸元へ注がれる視線を感じ、沙良紗は身体を返し、うつ伏せになって視線から逃げた。

じろりと海斗を睨み上げ、今にも逃げ出してしまいそうになる身体を叱咤しながら、やはりこの男も同じかと内心で吐き捨てる。

祖母から譲り受けた日本人離れした容姿以外に、沙良紗にはもうひとつ人目を引いてしまう箇所があった。

それが、現在進行形で成長を続けている豊満な乳房だ。

全体の身体つきは未成熟な少女のソレであるにも拘らず、胸だけは成人女性のそれに匹敵、あるいは凌駕する程の成長力を見せている。

小柄な体躯とはあまりにもアンバランスな巨乳。

人目を引く容姿と相まって、彼女が休日に街中へと出向こうものなら異性からの好奇と情欲にまみれた下種な視線が胸に注がれるのは自明の理であった。

中には、明らかに下心を抱いていると言わんばかりの集団にナンパ紛いに絡まれ、身の危険を感じたこともあったほどだ。

 

(どうしてこんなに育っちゃったのよ……。こんなものさえなかったら、いやらしい視線に曝されることも無かった筈なのに!)

 

だから、沙良紗は自分の胸が嫌いだった。

学園にいる数少ない男性――教師や礼拝堂に常在している神父など――からですら、時折、背筋が凍りつくほどの粘ついた視線を感じることがあるのだから。

沙良紗の胸の成長が顕著に表れるようになったのは、まだ彼女が性知識を知らない頃だったことも、男嫌いに拍車をかけるきっかけとなっている。

自分の理解を超えた、悍ましく、暗い、情欲まみれの視線。

幼い少女にとって、それは恐怖以外の何物でもなかった。

遠縁にあたる男の親族達の中にさえ、そういった感情を彼女に抱いた者がいたこともあり、そう時間をかけずに、男という存在そのものを恐れ、嫌悪するようになっていったのだ。

せめて、肌を重ねる相手くらいは、まともであってほしかった。

やはりこの男も他の男と同じかと心のどこかで失望を抱きかけた沙良紗の耳に、ぶつぶつとなにかを呟いている海斗の声が届いた。

 

「――……シャークプリン……だと!? くっ、まさかこのようなアイディアが仕事中に浮かぶなんて! くそっ、ここが(ウチ)だったら、今すぐ頭の中に浮かび上がったイメージを実現するべく、全力を費やすと言うのに!」

「……はい?」

「まさか巨乳を見てこんな神レシピを連想できるとは思いもしなかった……いや、まてよ? だったら、なんで葵の胸を見たときに思い浮かばなかったんだ? サイズ的にはアイツの方が上の筈……う~む」

 

なにやら非常に失礼な理論が展開なされているようだ。

というか、失礼にも程があるのではなかろうか?

美少女である沙良紗を押し倒しておきながらサメ肉のレパートリーを構築するとか、一体どういう精神構造をしているのだろう。

そう考えると、無性にむかむかしてきた。何気に、『葵』という人と比べられていたようだし、ここは怒っても構わない場面のはず。

 

「……やっぱ、女としての色気の差かな? 見た目小娘だしな」

「――がぶっ!」

「うあだ!?」

 

即断実行、刑罰執行。

乙女心を激しく傷つける結論に至ってしまった愚か者へ、怒りの『かみくだく』が炸裂する。

 

「にゃに、ひふれーなほといってんの!」

 

なに失礼な事を言ってんの! と言いたいらしい。

腕に噛みついたまま、ふしゃーっと唸る姿は、気まぐれな子猫が飢えた雌ライオンへと豹変したかのようだ。

 

「あだ、あだだっ! わ、悪かった! 謝る、謝るから離してくれ!」

「うぅ~っ!」

「くっ、こうなったら……そおぃ!」

「ふにゃあん!? なっ、何をして……ふあぅ!?」

「胸揉んでる」

「そっ、そういう事を聞いてるんじゃな――っ、あ、ああ! そ、ソコは、だめぇ……♪」

 

怒れる女獅子の気を逸らすべく、無事な方の指先を少女が持つにはあまりにも魅力的すぎる乳房へと伸ばす。

ブラウスの上からでも圧倒的なボリューム感を与えてくる乳房は、想像より柔らかく、指先に力を込めればスポンジのように指先を吸いこんでいく。

けれど、軽く力を緩めてみれば、ほど良い心地良さで押し返してくる弾力も併せ持っていた。

感度も良好なようで、掌を押し付ける様に揉みしだく毎に、牙を立てていた瑞々しい唇から甘い吐息が零れ出す。

手のひらに収まり切らぬそれを、荒々しい指使いで弄ぶ。

どの程度の力加減で痛みを感じるのか、どのポイントが性感のツボなのか、沙良紗の表情に浮かぶ変化を見つめながら把握していく。

 

――ほどよく緊張も解れたようだな。

 

気が強そうな見た目通り、いっぺん爆発させてやれば素の沙良紗(コイツ)を曝け出してくれた。

緊張と恐怖で頑なに閉ざされていた彼女の心の隙間をこじ開けるためにわざとふざけたリアクションをとってみたのは正解だったようだ。

胸にコンプレックスを持っていると言うことは、逆を言うと周りの人よりも突出した才能(ぶぶん)がある事と同義。

沙良紗の場合は、異性の目を惹きつけてやまない巨乳こそ、本人でも気づかない、自慢できる才能(ぶぶん)だと心のどこかで思っていても不思議ではない。

だからこそ、あえて才能(ぶぶん)の乳房に興味がない素振りを見せつつ、身近に彼女よりも優れた人物がいるのだということを匂わせた。

無意識下でプライドを持っていた長所を比較され、思わず感情を露わにしてしまった。

ありのままの彼女を面に引っ張り出すことこそが海斗の狙いだったことに気づいていない沙良紗は、愛撫される胸を中心に全身へ広がっていく官能の波を堪えることに精一杯なようだ。

先ほどまで噛みつき、今では縋りつく様に片腕へと抱き着いている沙良紗の耳たぶに吐息を吹きかけながら指の力を微妙に変えていく海斗の口元に浮かぶのは、意地の悪い笑み――葵が言うところの《いぢめっこスマイル》――だ。

振り払おうにも、耳元で囁く様に吐息を吹きかけられ、産毛をくすぐられるかのような刺激は初体験だったらしく、もはや沙良紗は海斗の腕にしがみつく程度の力しか入らなくなっていた。

痛みを感じない絶妙の愛撫を繰り出す海斗の指先のもたらす刺激は、言葉に言い表す事も出来ない衝撃を彼女へ与えていた。

乳房全体を揉み上げるような大胆な動き。ブラウスとブラジャー越しでもはっきりと分かるほど硬さを増した乳首を指先でつまみ、指の腹で転がす様に刺激を送り込む。

思わず口を突いて出てしまいそうになった悦声を、とっさに口元を抑えることでどうにか堪える。だが、腕を動かしたせいで体勢が崩れ、海斗の手が伸ばされていないほうの乳肉が彼の腕に押し付けられる形になってしまう。ふにゅう、と音が聞こえてきそうなくらい押し潰された乳肉が左右に押しやられ、海斗の腕を包み込む様に変形した。

つまりそれはもっとも敏感な乳首を自ら押し当てているのと同じ意味を持つ。

海斗は、ちょうど乳首が押し当てられている肘の部分を曲げ、軽く振るわせて振動を送り込んでやった。

電動マッサージほどでなく、されど敏感さを増していく少女にとっては堪えようのない官能が胸の先端に発生した。

 

「ひっ、あ、ああぁっ!」

 

頬を真っ赤に染め上げ、歯を食いしばって愛撫に耐える沙良紗。

しかし、徐々にしがみつく腕の力が弱まっていく事を悟った海斗は拘束が緩んだ一瞬の隙をついて腕を引き抜き、素早く沙良紗の腰へと腕を伸ばす。

 

「よ……っと!」

「ひゃうっ!?」

 

小柄な体躯とはいえ年の近い少女である沙良紗の身体が軽々と宙に浮かぶ。

ふわりと浮かんだ沙良紗の体勢を器用に整えると、胡坐をかいた膝の上へと乗せた。

ちょうど、海斗の腕の中にすっぽり収まった形になった。突然の事態に目を丸くする沙良紗の脇の下を通り、乳房の下側、いわゆる下乳部分をすくい上げる様に海斗の腕が伸ばされる。

先程までとは違って、今度は両の乳房への愛撫を開始する。

手のひらと指をくまなく動かし、荒々しく揉みほぐすように美巨乳を堪能していく。

 

「あふっ、あ、や、やめ……っ、はひぃん♪」

「ふうん……? お前さん、実はこういう経験があったりするんじゃないか?」

 

後ろから抱きしめられる体勢になったせいで、先ほどよりも密着度を増している。

目の前にあるなめらかな首筋に唇を這わせ、小鳥がついばむ様なやさしいキスを落とし込んでやる。

幼さが残る身体をぴくぴくと痙攣させ、ミルクのように甘い乙女の香りを振り撒いてくる沙良紗に理性がトンでしまいそうになるのを堪えつつ、彼女の反応からその理由を推測する。沙良紗は処女だ。それは間違いない。

だが、彼女が在籍するのはうら若き乙女の楽園。異性の視線はごくわずかで、同性同士故に親愛の表現が少々過激になってしまう。

もし男が同じことをやろうものなら一瞬でブタ箱送りにされてしまうほどの過激な行為であろうとも、女同士なのだからと“なあなあ”で済ませられるのだ。

なにせ、年頃の女の子と言う生き物は、ボディ・ランゲージを好む傾向がある。

スカートをめくって下着のデザインを比較し合ったり、熱いからと胸元のボタンを外し、ブラジャーが見えてしまう事もお構いなしに手で仰ぐなどといった行為がごくごく普通にの範疇に収まってしまうのだ。

沙良紗もまた、少々過激な学友の親愛表現によって、発育の良い胸を揉まれたり――半数以上の女の子は、豊かな成長を続けている彼女にあやかりたいという密かな願掛けも含まれていたが――、頭を撫でられたりしてきた。

男に比べて女の子の手つきは繊細だ。

ガツガツとした情欲に駆られたものではない、あくまでもじゃれ合いの範疇に留まるそれによって、沙良紗の身体は偶然的に開発を進められていた

処女にありがちな性行為に対して敏感すぎる触感、乳肉や乳首などに触れられると快感よりも先に痛みを感じるという反応を彼女に見られないのはこう言った事情があったのだ。

そう、繊細な少女達によって齎された愛情表現と言う名の接触を経たことによって、未成熟の果実特有の鋭敏すぎる敏感肌が改善されていたと言って過言ではない。

それでも、初めて男の愛撫を受ける沙良紗に襲いかかる衝撃は相当な物なのだろう。苦痛とも快感ともつかない熱い痺れに、沙良紗が恐怖を感じているのがわかる。

乳肉への愛撫を続ける海斗の腕に爪を突き立てているのは、精一杯の強がりをみせようとしているからか。

 

「ふ、ふん。胸にばっかり夢中になっちゃって何よ。や、やっぱり男なんて最低な生き物ねっ」

「否定はしないさ。だって、それだけ魅力的すぎるからな、君のおっぱい(・・・・)は」

 

振り返った沙良紗の頬にキスをして胸への愛撫を続けながら、海斗がわざとらしい大きな声を出す。

突然卑猥な単語を口にしたことで驚いたらしい沙良紗を余所に、愛撫を一時中断させた海斗の指がブラウスのボタンへと伸びる。

本人がはっ、となった時にはもう遅い。手慣れた手つきで胸元のボタンだけを外し、そのまま左右に開く。

胸元だけはだけたブラウスの中から、まるで解放されたことを歓喜するかのように、可愛らしいブラジャーに包まれた乳房が勢いよく飛び出した。

レースがあしらわれた淡いレモン色のブラジャーを装着しているのは、背伸びしたい乙女心によるものか。

 

「や、やあっ! みっ、見ないでよぉっ!」

「なるほど、ちょっぴり背伸びした下着を見られるのは恥ずかしい、と。わかった、じゃあさっさと取っちまうか」

 

沙良紗の懇願を都合よく解釈した海斗の手がピンクに色づいた胸肌が作り上げる谷間へと滑り込む。

巨乳の女性が愛用するブラジャーは、フロントホックタイプのものが多い。彼女のそれも例に漏れなかったようで、双乳の間に金属光を放つホックが確認できる。

それを手慣れた手つきで器用に外すと、乳肉がもつ弾力に押しやられるようにブラジャーがベッドの上に落ちて行った。

 

「やっぱり思った通りだな。すごく……綺麗だ。うん、本当に」

 

正直な感想を述べながらも海斗の手は解放された乳房へ触れていた。

そこから感じる気持ち良さは、やはり服の上から触った感触とは一線を越えたものだった。

手のひら全体を沈み込ませる柔らかさと、内側からの押し返そうとする弾力を宿した乳房はしっとりと潤いを帯びている。

小柄な身体に似合わない大きさを誇る胸は、外の世界へと露にされたことでさらに大きさを増しているかのように感じる。

内側からはちきれそうなほどパンパンに張っている乳肉は、快感を齎す指の動きで淫らに形を変える。

にもかかわらず、指に込める力を緩めれば、すぐに押し返して元の形へと戻る。

押した分だけどこまでも吸いこんでいくかのような柔らかさと瑞々しい弾力を秘めた――まさしく、極上の乳房だ。

そのくせ、乳肌はうっすらとピンク色に上気して、キラキラと光沢を放っているかのような錯覚を覚えてしまう。

美巨乳という海斗の表現は、実に的を射ていると言えよう。

 

「んっ、ふ……ふあぅ、あ、あぁ――……っ」

 

すくい上げる様に乳肉を持ち上げ、絶妙の力加減で快感を送り込んでいく。

目の前にある沙良紗の首筋に官能の汗が溢れ出し、吐息が熱を帯びていくのを感じながら、海斗の指の動きは加速の一途をたどる。

根元を縊り上げて前へ絞り上げると、先端の乳首が押しやられるかのように硬さと大きさを増していく。

腕を大胆に動かして揉みしだくと、乳房が水風船のように飛び跳ね、振り回される。

胸をおもちゃのように弄ばれていることに、沙良紗は反論する余力が無い。

男の腕の中で、自分の乳房を好き放題に弄られているというのに、だ。

 

「んぁっ、か、かひゅっ……はヒ、ぃ――!?」

 

突き立てていた筈の指は、いつしか力を失って垂れ下がっている。

海斗の胸に背中を預けるようにもたれかかっているのは、身体を支える余力も残されていないということだ。

海斗の指から齎される熟練の域に達しつつある愛撫は、自慰行為の経験が多少ある程度の処女にとって、劇薬以外の何物でもなかった。

なにせ、自分を慰める時は一番敏感な乳首や陰茎を弄る程度しか行わなかったからだ。

一部の発育が良いとは言え、全体的に見れば未成熟の領域にある沙良紗は、ごくごく狭い範囲への刺激だけで十分な快感を得られていたからだ。

 

――逆を言えば、更なる官能を感じることを恐れ、尻込みしてきたとも言える。

 

だが、愛撫によって官能を生み出す事が出来るのならば好都合とばかりに容赦しない海斗が、強制的により強い快感を味あわせてしまった。

鮮烈すぎる快楽の波がとどまることなく押し寄せ、胸を中心に身体中へと浸透していく。

駆け抜ける衝撃に振り回されることしかできない今の沙良紗は、完全に愛撫を受け入れるだけの借りてきた猫状態。

飼い主(かいと)に牙を突き立てる事も出来ず、されるがままに翻弄することしか出来ないでいた。

精々が、股間のあたりで湿り気をましていく下着の様子に気づかれないよう、ガクガクと震える太ももを閉じることくらいか。

最も、指の動きに反応して太ももが擦り合わされていることに、海斗は気付いていたが。

 

「気持ちいいのか? こんな風におっぱいを弄ばれて、感じているのかな?」

 

瞼を閉じ、ぴくぴくと痙攣を繰り返す沙良紗の耳元に口を寄せ、囁くように問いかける。

 

「そんな、こと……あるワケ無いでしょ!?」

「そかそか、気持ち良くないか。――じゃあ、もっと頑張らないといけないな」

「え、あ、ま、まさか、まだ……」

「ん。まだまだ、本気を出していないぞ。こんな風に……な!」

 

気丈にも予想通りの(・・・・・)反論を返してくれた沙良紗へ、意地の悪い微笑と共に本気の愛撫を開始する。

今まで手を出していなかった先端の乳首をつまみ、親指と薬指で擦り上げる。

同時に、ひとさし指の爪先を先端へ突き刺し、乳腺へ直接刺激を送り込む。

さらに、押し潰されて指の間から溢れてきた乳首肉の端を中指の腹でひっかいてやる。

もちろん。手のひらで乳肉を揉みしだくことも忘れない。

心地良さ、痛み、くすぐったさといった異なる刺激を同時に送り込まれ、沙良紗の口から声なき悲鳴が跳び出す。

背中が反りかえり、開かれた口端からは泡まじりの唾液が零れ落ちる。

瞳は焦点を失い、吐き出される声はもはや言葉という形をなさない。

ブラジャーと同じデザインの下着の向こうで膣肉がわななき、やけどしそうな程に熱い蜜液がとめどなく溢れ出してくる。

閉じられていた太ももは小刻みな痙攣を起こしながらゆっくりと開かれ、下着では吸い込みきれなくなった蜜液が滴り落ち、海斗のズボンを濡らしていく。

 

「きゅふっ! ふひゃ、あぅ、あ、あぁ……!」

 

耳たぶを甘噛みすると、雷に打たれたかのように肩を跳ね上げた。その反応に気を良くした海斗は、沙良紗の耳にわざと息を吹きかけながら、舌先で耳皮をなぞっるように舐め上げていく。

蛇のように舌をちろちろとせわしなく動かされるのが恥ずかしかったのか、頭を振って逃れようとする。

しかし、耳たぶに意識を取られてしまった沙良紗の気が逸れた刹那、力無く左右へ開かれていた太ももの隙間へと指先を滑り込ませ、しっとりと潤いに満ちている少女の一番大切な場所に手を伸ばす。

ぐっしょりと濡れた下着の上から指の腹で撫でる様に刺激を送り込んでやると、たちまち沙良紗の唇から甘ったるい嬌声が零れ出た。

 

「ふあっ!? あ、ぅ、ふわぁああん!?」

 

滴り落ちる蜜液を潤滑油にした大胆な指捌きで秘肉を解し、弄っていく。くちゅくちゅくちゅ……っ、と淫靡な音を立てながら絶え間なく刺激を送り込んでいく。

沙良紗は震える太ももを必死に動かして膝を閉じようとするが、海斗の指が動く度に未だかつて経験したことが無い甘い官能が下腹部で爆発し、意識が吹き飛ばされそうになってしまう。もはや下着の機能を果たしていないパンティーの生地と感度を増していく蜜肉のヒダが擦れあい、ピリピリとした甘い痺れが背筋に駆け巡っていく。

 

「あ、ひっ、いぃい……! かふぁ、あ、ああ~~っ!」

 

怒濤の勢いで押し寄せてくる快感に翻弄され、沙良紗の身体から力が抜けていく。体重全てを海斗に委ねるようにもたれかかり、ずり落ちた両手にはシーツを握り締める余力すら残っていない。口はだらしなく開かれたまま天井を仰ぎ、艶ややかな悦声が際限なく吐き出されていく。

 

「お前の『おまんこ』、すごくグショグショだな。ヒダもこんなにヒクついて……そんなに気持ち良かったのかな?」

「はぅん……、っあ、うぅあ……」

「答える気力も無い、か。ほら、もうちょっと頑張れ。この程度で値を上げるようじゃあ、この先が辛いぞ?」

「え……っ!?」

 

――ウソ、でしょ……まだ、先があるっていうの!?

 

「やっ、やめて……お願い、お願いです! もう許してぇ……こっ、これ以上されたら私っ……こ、壊れちゃうよぉ」

「だが断る」

 

今でさえ理性を引き留めているのが精一杯だと言うのに、この人はさらに先が――もっとすごい快感を味あわせてやるのだと言う。

そんなことをされてしまったら、もう2度と元には戻れなくなってしまう。今までの価値感が一変してしまうような……恐ろしくもゾクゾクする予感が湧き上がってくる。

必死に哀願を繰り返す沙良紗に言葉に、海斗は微塵も容赦してあげない。

真っ赤に充血して膨れ上がった秘唇にへばり付いたパンティーを掴み、横へ引っ張る。

ぐちょぐちょに濡れそぼった下着は本来の役目である大切な場所を護るために元の形へ戻ろうとするが、一回り大きくなった外陰唇に引っかけられてしまえばどうしようもなくなった。

 

「はっ、あ……ひぅううっ!?」

 

顕わにされた秘唇に海斗の指先が埋まった瞬間、沙良紗の背中が反りかえり、全身を激しく痙攣させた。

ひとさし指と中指でワレメを開き、ヌラヌラと光沢を放つ膣内へ中指が沈み込んでいく。

 

「かっ、ひ、ぃ……っあ! 痛あっ!」

 

第二関節あたりまで食い込んだところで沙良紗が激しい痛みを訴えた。指先に感じるコリコリとした弾力から、これが彼女の処女膜だと察する。

身体が小柄な分、幾分浅い場所にあったらしい。慎重に指を引いて解れかけている入り口の膣肉への愛撫に移行する。

小刻みに振動させ、初めて異物を受け入れたのだろう、幾ばくかの硬さが残る膣肉をマッサージするように快感を送り込んでいく。

 

「はっ、くぅっ……あ、あっ……ひゃぁあああ~~……」

 

沙良紗の腰がゆっくりと動く。無意識なのだろう、海斗の指の動きに合わせる様に腰をくねらせ、締め付けの強い膣壁がキュウキュウと戦慄く。

今はまだ小さな動きだが、際限なく溢れ出してくる蜜液の量に比例するかのように、どんどん大胆に、かつ淫らな動きへと変わっていく。

悲鳴まじりの吐息は完全に情欲に染まりきり、乳房を前へ突きだす様に上体を反らす。

愛撫し続けていた海斗の手に、自ら乳房を押し付けるような形になっている。さらに、全身をくねらせることで敏感な乳首は完全に押し潰されてしまい、それが更に甘い官能を生み出す。

 

「あっ、は、あ、あぁあうっ……! んふぁっ……ふあうっ!」

 

快楽と言う熱に侵されきった沙良紗は上気した頬を海斗へ摺り寄せ、頬を擦り合わせる様にすり寄ってきた。

まるで子猫が飼い主に甘えるような仕草。少し前までは、溢れんばかりの男への敵意と気丈さを纏っていた少女の変貌に、海斗の中にある征服欲が激しく反応する。

敵う事ならば、欲望の赴くままに穢れ無い秘唇を蹂躙し、征服してやりたいと思う。

だが、沙良紗は男を知らない純粋な乙女。只でさえ、内心不安を抱いている状況にあるというのに、己まで我を失っては元も子もない。

トびそうになった理性を叱咤し、出来るだけ痛みを感じなくなるよう、いっそう強い快感を送り込んでいくことに集中する。

陰毛の中から鎌首を持ち上げかけた肉芽をつまみ、太ももを濡らす愛液をすくい上げて擦り込んでやる。

 

「ひぃあっ! あ、っうぅうん! きっ、きゅふっ、あ……あうぅっ!」

 

自分で弄る時とは比べ物にならない痛烈な刺激が、言葉に出来ない衝撃を生み出していく。

もはや悲鳴を上げているのか、ヨガり喜んでいるのかわからない。

ただ言えるとすれば、沙良紗の頭の中から“理性”という言葉がきれいに抜け落ちてしまったことか。

全身がガクガクと震え、力の入らなかった両腕が海斗の首へ縋りつく様に回される。

バンザイするような不安定な体勢で愛撫に翻弄されることしか出来ない沙良紗は、自分がどれほど浅ましく、淫らな恰好をしているのか気づいていない。

恐怖と嫌悪を感じさせるきつめの美貌は淫蕩に蕩けきり、もはや快楽を求めるだけの“女”へと変貌を遂げてしまった。

美しいものを自分の色に染め上げるかのよう。海斗は、そんなぞくぞくとした感触を味わいつつ、ズボンの下でガチガチに強度を増した肉棒を取り出し、沙良紗の秘唇へ押し付けた。

脈動する肉棒の先端からは、少女から漂う甘い香りに反応したのか、先走りが滲んでいた。

反りかえった分身をぷっくりと膨らんだ秘肉に擦り付けると、テラテラと淫靡な輝きを放つ蜜液でコーティングされていく。

カリ部分を擦り付けるたびに甘い刺激が身体を駆け抜け、自然と息が荒くなってしまう。

 

「ぁ――」

 

膣の入り口に押し付けられたソレに気づいたのだろう、沙良紗の潤んだ瞳が肩越しに見つめてくる。

流れ落ちた涙の痕にキスを落とすと、左右に開かれた太ももを抱え上げて、秘唇に先端を押し当てる。

 

「よし――挿入(いれ)るぞ」

 

言いながら、男を知らない膣肉をこじ開ける様に、ゆっくりと押し開いていく。

 

「ひ……っ、あ、ひぐぅうううぅぅっ!?」

 

蜜液で蕩けきっているとはいえ、指とは比べ物にならない質量と太さを誇る肉棒で突き刺されたショックは凄まじいものがあった。

見た目通りに狭く、キツキツな膣肉をこじ開ける様に、ゆっくりと奥へ奥へと沈み込ませていく。

 

「くうっ、お……すごく、熱いな。火傷しちまいそうだ」

「ひぎぁ……うぁああ……んんんっ! い、いた、あ……ぃ」

 

限界まで膨張した肉棒全体に強烈な締め付けが襲いかかる。

膣肉がわななき、異物を追い出そうとしているかのように、侵入を拒んでいる。

海斗は沙良紗を支える手を太ももから腰に持ち替え、亀頭に感じる処女膜を破らんと、腕と腰に力を込める。

瞬間、プツッ……、という小さな音と共に、

 

「はっ、ぎ、ぃ……あ、っあああああああっ!!」

 

沙良紗から部屋中に木霊する程の悲鳴が上がった。

処女膜が一気に突破され、激しい抵抗を繰り広げていた膣肉の圧力が嘘のように消失する。

破瓜の出血と蜜液で滑りを得た肉棒が一気に最奥まで埋没していった。

 

「あぐっ、ひっ、いぃぃ……!」

 

鉄の芯を打ち込まれたかのような衝撃に、沙良紗の意識がはじけ飛びそうになる。

だが、下腹部に走る破瓜の痛みと子宮口を押し上げてくる男の分身が齎す異物感が、意識を繋ぎ止める。

 

「痛い……、痛いっ! も……っ、やめ、てぇよぉ――……」

 

かつてない激痛に苛まれ、ここから逃げ出そうと暴れる沙良紗だったが、本人の反応とは裏腹に彼女の膣肉海斗の分身を歓迎するかのようにわななき、最奥の更に先へ呑み込まんとする。

 

「無理っ、無理よぉ……! もう、限界なんだからぁ……っ、そんな奥にいっ……挿れないでえっ!」

 

腰抑え込んでいた手を乳房へ動かし、わし掴みにする。処女消失のショックで力が入らない沙良紗は、たったそれだけで抵抗を抑え込まれてしまう。

逃げる事も叶わないが沙良紗が必死の形相で懇願する姿に痛ましい感情を抱きつつも、海斗が彼女を解放するそぶりは見受けられない。

 

「ちょっとだけ我慢してくれ……」

 

痛みを和らげるために快感を送り込む。海斗は、そう決断した。

わし掴みにした乳房に沈めていた指先の動きを再開し、痛みを感じなくなるように愛撫を再開する。

涙を流す沙良紗の首筋にキスマークを落とし込み、鮮血に染まった腰を極力動かさないように努めながら、感度の良い乳房を強弱つけて揉みしだいていく。

亀頭は子宮口を押し開く様に密着し、硬さの残る膣肉は未成熟な身体には不釣り合いな強度を誇る異物をしごき続けている。

膣の入り口あたりは肉棒を外へ押し返そうと締め上げているくせに、子宮に近づくと最奥へ引きずりこむかのように吸い付いてくる。

痛みと比例しているかのように溢れる蜜液はとめどなく生成され、それが破瓜の傷口を防ぐようにコーティングしていく。

海斗が腰をほとんど動かさないこともあって、沙良紗が感じている激痛が徐々に治まっていく。

後の残るのは、下腹部から感じる男の分身が放つすさまじい圧迫感だった。

 

「ひは、っぁ、かふぁ――ぁ、ぁぁ……」

 

沙良紗の口から、悲鳴ではなく困惑まじりの喘ぎ声が吐き出される。本人も戸惑っているのだろう、触れ合っているしなやかな肢体の節々から混乱と快感が入り混じった感情が見て取れる。

 

おまんこ(・・・・)がヒクヒクして、吸い付いてくるみたいだ……。もうほとんど痛みを感じなくなってきたんじゃないか?」

 

腰を小さく突き上げ、子宮と膣を(つつ)いてやる。途端、沙良紗が甘い艶声で喘ぎだす。

彼女の秘肉は予想以上に早く男に順応したらしく、膣道の締め付けが徐々に変化を見せ始めた。

痛いくらいに締め付けてくるだけだった破瓜直後と違い、肉棒をしごき、射精を促すような扇動へと変わる。

自分の身体の信じられない反応に戸惑いを隠せない沙良紗の首筋に唇を落としながら囁く。

 

「気づいてるか? さっきから随分といい声で喘いでいるんだぞ、君は」

「はっ、あ、はうぅううんっ……や、やだぁ……違――っ、あうぅっ! こっ、こんなことってぇ……はぁぁんっ♪」

 

沙良紗の腰がくいっくいっ、と上下し、コリコリとした子宮口と擦れ合って痺れる様な快感が生まれる。

彼女の動きに同調させるように、海斗の腰使いも徐々に強さを増していく。

挿入の角度を微妙に変化させ、完全に塞がっていない傷を極力痛めつけないように注意を払いながら膣肉を解きほぐしていく。

 

「あひ、はぁぅっ、ぁ……かひっ、あひ、ぃ――んあぁああっ♪」

「ン……ここがGスポットか。そうか、君はここがイイんだな?」

 

円を描くような動きで粘液の潤いに満ちた膣内を堪能していた海斗の分身が、沙良紗の性感帯……Gスポットを探り当てた。

子宮口より少し手前の、膣壁上部にあたる場所――尿道海綿体とも呼ばれる最も敏感な性感帯のひとつ――を亀頭のカリで強めに擦ってやる。

 

「かひゅっ!? は、ぁ……かは――……ぁぁ、ひっ、あぁぁぁあああああ――!!」

 

身体をのたうたせ、甘い喘ぎ声のボリュームが爆発的に膨れ上がった。

先程までの戸惑いは鳴りを潜め、沙良紗は海斗が与える快楽に囚われ、完全な虜となってしまった。

部屋中に響き渡る悦声は女の喜びに満ち溢れ、抵抗の意識を見せていた手足が海斗へ伸び、縋りつく様に掴み掛る。

涙に込められた悲しみは女の悦びによるものへとうつろい、抗えない愉悦の衝動に心と身体が支配されていく。

あれほど拒んでいた男を……海斗(・・)を完全に受け入れた沙良紗の肉体は、より一層の繋がりを求めて激しく彼の分身を責めたててくる。

 

「あひっ、ひぃぃうっ、ひゃあぁっ……ぁ、だ、だめ……ダメ、ぇ――」

「何がダメなんだ? 言いたい事はちゃんと言わないとわからないだろう? そんな悪い子には――オシオキが必要かな?」

「ぇ……お、オシオ――きっひぃいいぃ!?」

 

片手を乳房から離し、陰毛の中から顔を覗かせていたクリトリスを摘み上げる。

口に手を当てて悲鳴を呑み込もうとしたものの、すぐに堪えきれなくなって悲鳴じみた悦声を吐き出しだ。

柔らかくほぐれきった秘肉が歓喜に震え、肉棒への絡みつきがより一層強まる。

 

「ぁぁ、ぁ……や、やはっ!? な、なんで私っ……こんな、ぁ……腰、動いてぇ……!?」

 

海斗の突き上げだけでは物足りなくなったのか、自分から腰を揺さぶり、快感を貪ろうとしてきた。

止めようにも身体が言うことを聞いてくれず、沙良紗の腰の動きはどんどん大胆に、激しいものへとなっていく。

 

「ちっ、ちがうぅぅ……こんあ、のぉ……私じゃ、ない……違うんだからぁ……っ♪」

 

淑女として相応しい心構えを学び、規律を重んじる環境下で育った沙良紗の心の隅で、男に跨り、愉悦に蕩けきった表情を浮かべているであろう今の自分は淫らに堕落する女そのものだと、僅かに残された理性が叫ぶ。自分があれ程忌み嫌っていた男に媚びするなどの行為は、何よりも嫌悪すべき物であったはずなのに。

 

「いやぁ……ぁ、あひ、こんなのっ……私、こんなのぉ……悦んでなんかいないのにぃ……あひぃん♪ そっ、それなのにぃ……!」

 

腰の動きが止められない。もっともっととカラダが疼き、海斗の味を刻み付けるかのように膣全体が大きくわななく。

淫靡な艶声は留まる事を知らず、すがりつくように廻された手足は海斗へ絡みついて放さない。

溢れる蜜液がシーツに水溜りを生み出し、室内に木霊するグチョグチョといういやらしい水音が僅かに残された理性を蕩けさせていく。

もはや男嫌いのきらいは微塵も見受けられず、ただ、セックスにのめり込んだ(オンナ)としての姿がそこにあった。

 

「俺もそろそろ限界だ……手加減なしでいくぞ」

 

早く解放しろと精子が暴れ狂う感覚に己の限界が近い事を悟った海斗の腰使いがさらに激しさを増す。

子宮口に亀頭をゴリゴリと押し付け、Gスポットを削り取らんばかりに掻き回す。

 

「あんっ!? ハ――やぁああん♪ はっ、はげ、し……っ! そんな、激しくっ……動かさないでぇっ♪」

 

甘える様なニュアンスを声の節々ににじませながら、全身をぶつける様な勢いで背中を仰け反らせ、天井を仰ぎながら淫声を吐き出した。

ぷるん、と踊るように前へ突きだされた美巨乳が踊り狂い、手のひらから零れ落ちそうになった柔らかい乳肉が淫らな変形を見せる。

乳房を押し潰されるほどの力強さに呼応したのか、沙良紗の膣肉が急激に収縮を繰り返してきた。

咥えこんだ肉棒をすり潰すような激しい締め付けが、凄まじい射精感を齎してくる。

蜜液を飛び散らせ、結合部から淫らな音が溢れ出す。

愛撫を受けていない方の乳房が踊るように跳ね揺らされ、男を惑わせる妖絶な舞を踊り狂う。

喘ぎ声は収まる兆しを見せず、許容の限界を超えた快感で満たされた女の本能が、最後の一手を待ち望む様に沙良紗を突き動かす。

本能の赴くまま、沙良紗はその言葉を口にする。

海斗と言う存在全てを欲した――『オンナ』としての望みを。

 

「わ、わらしっ……も、っ……限界、なのぉ……お願いっ――ちょうだい、ちょうだいよぉっ! あなたのっ、熱いせーえきぃ……沙良紗の子宮にどぴゅどぴゅってしてくらさいぃぃっ!」

 

予め教えられていた(・・・・・・・)最後の台詞を沙良紗が口にするのとほぼ同時に、海斗も限界を超えた。

塞いでいた精管を解放し、燃えるように熱い精子を一気に解放する。

尿道を通じて子宮口へ跳び出した精子の塊が子宮の内部へと叩き付けられ、流れ込んでいく。

子宮の中で暴れ狂う精子の感触に、沙良紗の官能も爆発した。

 

「あ、はぁあああぁぁぁぁぁっ! で、でてるぅ……えーせきがぁ……わらしのぉ……子宮にぃぃい……ンはっ、あ、に、妊娠しちゃう……くふっ、あなたの赤ちゃん孕んじゃうよおぉぉぉっ♪」

「くっうぅぅ!? し、締まる……っ!」

 

初めてのセックスによる絶頂が齎す痙攣は凄まじく、海斗は自分の分身がねじ切られてしまうのではないかと錯覚してしまう。

それほどまでに強烈な締め付けが齎された。

膣肉は暴れる様にわななき、精の一欠けらも逃すまいと搾り摂ってくる。

 

「くぁ、は――ぁ、ぁぁ……」

 

恍惚の笑みを浮かべながら絶頂の余韻に浸る沙良紗の身体から完全に力が失われる。

オルガニズムの衝撃が彼女の思考を完全に吹き飛ばしてしまったらしく、背中をもたれさせた海斗を呆然とした瞳で見上げてきた。

 

「はぁ……はぁ……――あ、あの……」

 

たったひとりで迷子になった幼子のような弱弱しさを漂わせながら、すがるような震える声で海斗を見つめてくる。

瞳の奥底に宿った『とある感情』を感じとり――しかし、気づかないフリをしながら、彼女の視線を受けとめる。

 

「名前……聞いてもいいですか……?」

「それは……本名の方か?」

 

仕事がら相手には源氏名しか教えないのがルールなのだが、精神が不安定な沙良紗を安堵させるためならやむなしだ。

部屋の隅、部屋の入り口からは死角になっている場所を流し見、あるもの(・・・・)が止まっていることを確認しながら頷く。

 

「高宮 海斗だ。お前さんよりもいっこ年上になるのかな」

「高宮 海斗、せんぱい。――あの、もし出来ちゃってたら……せきにん、とってくれますか?」

 

それがどういう意味を指すのか、言うまでもないだろう。

堕胎という選択肢もあるが……未成熟な少女にソレを言うのは憚られる。

そもそも、そういう事が無い様に排卵日を外した今日を選んだのだから、可能性は低いハズ。

しかし、初めてのセックス、初めての中出しに「もしかしたら……」と言う恐怖を抱いてしまったのだ。

時間を置けば冷静な思考も戻ってくるだろう。

だが、今の不安に揺れる沙良紗には、海斗の言葉が何よりも救いになるだろう。

 

「大丈夫だとは思うが……そうだな。もしそうなったら――俺なりの責任はとらせて貰うよ」

「ぁ……はい♪」

 

すこし安堵したように微笑みながら、身体の力を抜く。

まるで、行為の余韻に浸る様に海斗へ身を委ねながら。

 

 

 

 

「あらあら、あんなに気持ち良さそうにヨガっちゃって。ああなったらもう、海斗クンから離れられないわよあの娘」

 

言葉の節々に小さな辛辣さを含ませた理恵の声は葵の耳に届いていなかった。

彼女の視線は、沙良紗を組み伏せた体勢のまま息を整えようとしている海斗へと注がれている。

心地良い疲労と何かが満たされたと言う満足感が浮かぶ表情。

額に浮かぶ汗を拭うその仕草は、自分しか知らない『高宮 海斗』の姿――の筈だった。

なのに――……、

 

「はぁ……はぁ……あ、あの」

「ん? どした?」

 

ベッドに身を横たえたままの沙良紗が海斗を見上げる。

至近距離で見つめ合う形になったことが恥ずかしいのだろう、口元に手を当てて何やらもにょもにょ呟いている。

さすがに聞き取れなかったのか、首を傾げた海斗が耳を寄せようとした――瞬間、

 

「ん――ちゅ」

「む? ――んっ、ふっ、むぅ……」

「ちゅっ、んっ、んむっ――……っぷは」

 

近づいてきた海斗の首へ腕を回し、そのまま身体ごと押し付ける様に唇と唇を重ね合わせてきた。

勢いに押されるように上半身を起こした海斗に引っ張られ、胡坐をかいた彼と対面する形で抱き合う沙良紗。

対面座位と呼ばれる体勢になった2人は、そのまま情熱的なキスを交わし合う。

正確に言えば、キスを強請ってくる沙良紗を海斗が受け入れていると言った方が正しいか。

数十秒にも昇る長いキスを終え、離れているお互いの唇の間に唾液の橋が掛かる。

程なくしてぷつり、と切れたソレの名残、唇の端に付着した唾液を指先で拭ってやりながら、己の胸に頬を押し付け、甘える様にすり寄ってきた沙良紗の背中を優しく撫でてやる。心地よさそうに瞼を閉じてそれを享受していた沙良紗だったが、不意に何かを決意したかのように口を紡ぐと、彼の顔を見上げ、

 

「――――」

 

小声でなにかを呟いた。

 

「ッ!?」

「あ、ちょっと!?」

 

聞こえた訳じゃない。多分、海斗にだけ聞こえるくらい小さな呟き。

しかし、葵には沙良紗が何を言ったのかを正確に読み取ることが出来た。

子猫が飼い主に甘える様に、男に対する敵意が欠片も見えなくなった沙良紗の表情、それに見覚えがありすぎたから。

 

(あの顔……私と、同じだ――……!)

 

幾度か海斗と肌を重ね合わせた頃、行為の余韻で火照る体温を冷まそうとシャワーを浴びていた際に鏡に映っていた己自身の顔。

鏡に映った自分と沙良紗は、同じ表情をしていることに気づく。

だからこそわかってしまう。

彼女が、情欲と満足感に満たされた沙良紗が、海斗にどんな感情を抱いてしまったのかを。

それを理解したくなくて、理恵を押しのけるように踵を返し、全速力で逃げ出していった。

 

「海斗くんの……バカ……ッ!」

 

涙まじりに吐き出した悲鳴に、海斗の肩眉が跳ね上がったことに気づけないまま。

 

 

――◇◆◇――

 

 

どうやって自室まで戻ってきたのか、葵自身も覚えていない。

蹴り破る勢いで自室に飛び込むと、荒い息を整えることもせずにシーツの中へもぐりこみ、膝を抱えてしまう。

とめどなく溢れ出す涙を拭うこともせず、膝に額を当てて脳裏に焼き付いてしまったあの光景を思い返す。

自分ではない女の子とセックスする海斗の姿が生々しくリフレインされ、あれが夢の類でないのだと否応なしに理解させられる。

 

「……そうだよね。私と一緒にいるのって、無理やり命令されたからだもんね。海斗くんがお付き合いしてるヒトがいたとしたって、不思議じゃ無いもん。あはは、私ったらうっかりさん……なん、だか……ら……っ!」

 

努めて明るい声を出してみたが、無理やり感が多々あった。嗚咽まじりの涙声を零し、シーツの中で声を押し殺す。

膝を抱える腕は小刻みに震え、まるで足元が崩落してしまったかのような恐怖が全身を駆け巡る。

 

「やっぱり、あの沙良紗さんって子とお付き合いしてるのかな……」

 

行為に及ぶ前にツンケンとした態度をとっていたのは、愛情の裏返しだったのかもしれない。

そもそも、海斗が誰とお付き合いをしようとも、自分に口出しする権利などありはしない。

自分達の関係は、他者から無理やり強制させられているお仕事のようなもので、そこに惚れた、何だの感情は無かった筈だ。

大体、告白はおろか、『好きだ』とも言って貰えてない――セックス後のピロートークは除く――のに、彼女顔する方がおかしいのだ。

わかっている。頭の中ではわかっているのだ、そんなことは。

 

……なのに、どうしてこんな――

 

「胸が痛いよ……」

 

ズキン、ズキンと鈍い痛みが胸を打つ。

まるで切れ味の悪い刃物で突き刺され、肉を抉られているかのような痛みが葵に襲いかかってくる。

 

「海、斗……くん……」

 

涙が滲む。

 

「かい、とぉ……」

 

嗚咽が零れる。

 

「やっぱり嫌だ……ヤダよぉ……! いなくなっちゃ……ヤダぁ……!」

 

溢れる涙はとめどなく、雪山で遭難したかのような寒気が葵の心を蝕んでいく。

ようやく出会えた『大切なヒト』。ありのままの自分を、ひとりの女の子として『竜ヶ崎 葵』に触れてくれる存在。

彼が好きなのかわからない。自分の本当の想いがどこにあるのか、未熟な少女の中で答えは形を成せていない。

でも、それでも――……!

 

「一緒に、いて欲しい、よぉ……」

 

それが、葵の中にあるどうしようもない本当の気持ち。

例え海斗の重荷になったとしても……傍に、隣にいて欲しいという少女の願い。

迷惑をかけてはいけないと言う理性と、心の赴くまま願望を吐き出すべきだと言う理性がせめぎ合い、ぐるぐる、ぐるぐると螺旋を描く。

思考の袋小路に陥った葵は、部屋のドアが開かれたことにも気づけないまま、出口の見えない思考の迷路の中をさまよう。

 

「私、どうしたらいいの……助けて……助けてよ……かいとぉ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お姫様の願いなら喜んで」

 

声が、聞えた。

こんなどうしようもない感情を抱かせた元凶の……葵が誰よりも欲した男の声が。

 

「え――」

 

困惑を声に出すよりも先に、身体が温もりで満たされた。

誰かに抱きしめられたのだと頭が理解する。だが、何故彼が――海斗がここにいるのかわからない。

 

「かいと……くん……?」

「ん。海斗さんですよ」

「……何でいるの?」

「泣くぞコラ」

 

お互いの額をくっつけた状態で、本気で傷ついた表情をうかべる海斗。

その反応で、ここにいるのが本物の海斗であると、ようやく理解する。

 

「お前が泣いてるってのに、ほっとけるわけないだろが。まったく……ひとりで何でも抱え込もうとしてるんじゃないだろな? 俺に出来ることが無かったとしても、こうやって一緒にいてやることくらいは出来るからさ」

「……バカ」

 

本当に大馬鹿だ。

大体、誰のせいでこんな悲しい気持ちになったと思っているのだろう。

 

「――のせい……だよ」

「ん? なんだって?」

「全部、ぜんぶっ……海斗くんのせいだよっ!」

 

先程までとは違う感情の爆発で声を荒げる葵に気圧されるように、海斗の上半身が後ろへ仰け反る。

逃がさないとばかりに襟首へ掴み掛りながら、葵は胸の内からとめどなく溢れ出してくる感情を叩きつけていく。

 

「私は海斗くんのなに? なんなの!? どうしてそんな……そんな軽々しく一緒にいてやるとか言うの!?」

「ちょっ……落ちつけ! 順序を立てて説明を――」

「ねぇ、答えて! 海斗くんにとって私は何なのよっ!?」

 

単なる同居人? それとも、同じ秘密を抱えた共犯者?

どちらにしても、そんな上辺だけの関係なんて望んでいない。

葵が望んでいるのは素の自分を曝け出せる相手。

ありのままの自分を受け入れてくれる、大切な居場所になってくれるヒト。

誰の心にもある、犯されたくない、絶対に譲れない領域。

居心地が良い海斗のそこに、自分でない誰かが居座っていたのだと理解させられ……どうしようもなく心がざわめく。

 

(竜ヶ崎 葵(ワタシ)じゃあダメ、なの……?)

 

「葵……お前、やっぱあそこに居た――」

「答えて……こたえてよぉ……ひっく、えぐ……うあぁああ……」

 

堪えきれなくなった嗚咽を零す葵を抱きしめながら、海斗は悪い予感が的中してしまったことを悟る。

あの時、沙良紗にキスされた瞬間、葵の悲鳴のようなものが聞えた気がした。

まだ仕事(・・)が残っているのだから、最後までやり切る責任が己にはある。

だが、もし誤解(・・)で彼女を傷つけ、泣かせてしまったのだとしたら――海斗は自分が許せない。

だから、後のフォローを意地の悪いニヤニヤ顔を浮かべた理恵に押し付けて、急いで戻ってきたのだ。

しかし、悪い予感が的中したことに、ややこしい事態を招いた元凶共を胸中であらん限り罵倒し……覚悟を決める。

未だ答えを出せていない……けれど、間違いなく本心である己の気持ちを告げることを。

緊張で早まる鼓動におちつけと言い聞かせると、葵と視線を合わせながら、答える。

彼女が望んだ――『高宮 海斗』の本当の気持ちを。

 

「そんなん、お前……大切な存在(ヒト)に決まってるだろうが」

「っ、ぇ――」

 

背中に回された海斗の腕に力が籠る。

己の想いがこんなにも強いのだと示す様に。

 

「正直に言うとだな。真剣に誰かを好きになるって気持ち、俺はまだよくわからない――ってのが本音なんだ。多分、葵には信じられない事かもしれないけど、結構な人数の女性を抱き、肌を合わせてきた。中には俺らとそう年の代わらない女の子もいたし、特殊な空気にあてられて告白まがいを受けたこともあるからな」

 

公に出来ない仕事を行っているという自覚はある。

仕事上のパートナーに選ばれた女性達は異なる事情を抱えてこの業界に足を踏み入れている事も理解している。

労力を提供し報酬を得る。それは仕事を務める者にとってごく当たり前のこと。

しかし、中には本人の意志を無視した大きな力に干渉を受け、否応なしにこの業界へ放り込まれてしまった少女も少なからず存在する。

沙良紗も同じ境遇で、大切な何かを護るために今まで護り通してきた純潔を失うことになった。

そんな少女達へのケアをごくごく自然に行えるようになった海斗に、吊り橋効果もあって淡い想いを抱いてしまう娘が出てくることもある意味必然の事だった。

 

「なんかさ、確かに嬉しく思うところはあるんだ。俺も男だし、仕事で出会う相手は皆美人って呼べる人らばっかりだったから。けど、さ……そう言うのって、違う気がするんだ」

 

一時の迷いでしかないかもしれない。

冷静になれる時間を経れば、胡蝶の夢のように淡く消え去ってしまう薄い感情なのかもしれない。

真っ当な恋愛をする者達から見れば、大切な何かが欠けている歪な想いなのかもしれない。

 

それでも……女の子にとって誰かを好きになるという気持ちはとても大切なものだと思うから。

だから、中途半端な気持ちで答える事は出来ない。

誰かと付き合う事になったとしたら、それはきっと自分の中で確たる答えを――未だ理解できていない『愛情』という想いをきちんと理解し、自覚できるようになってからだと……そう思うから。

 

「葵をどう思っているのか、俺はお前にどうしてほしいのか……答えはまだ見えないままだ。けど、ひとつだけはっきりと言える答えがある。お前は……『竜ヶ崎 葵』は『高宮 海斗』にとって、傍にいてくれることが当たり前の日常になった……『大切な存在(ヒト)』なんだ」

 

好きか嫌いかで問われれば、間違いなく好きだ。

でも、それが親愛から来るものなのか、異性に対する恋慕によるものなのかが海斗の中ではあやふやなまま。

愛情云々よりも先に身体を重ね合う行為に及ぶ……そんな普通じゃない日常を過ごしてきたために、胸の中で燻っている感情の正体が掴めない。

 

「いい加減な答えしか言えなくてゴメンな。でも、できる事ならもう少し待っていてほしい。叶うなら、俺自身の想いにちゃんと答えを出すその時まで。それまで――ずっと一緒にいるから」

「……ホント?」

 

不安に揺れる瞳から流れる涙を拭い、真っ赤に上気した顔で海斗を見る。

 

「ああ……本当だ」

 

葵を安心させられるように柔らかい笑顔を浮かべながら、神妙に頷く。

そもそも葵との生活に楽しさを感じているというのに、余所で男女交際する必要性など皆無だろう。

 

「じゃあ……あの女の子のことは良いの? 彼女さん……なんじゃ」

「は? 彼女? ……誰が?」

「へ?」

「何を吹きこまれたか知らんが、でっかい誤解を生んでいるってのはよくわかった。――あのアマ、今度会ったら覚悟してやがれ」

 

小悪魔の羽と尻尾を生やした某金髪お姉さんが「くしししし♪」と笑っている姿を幻視して、海斗の額に青筋が浮かぶ。

彼女が両親のアトリエと専属契約を結んでからというもの、何故か(・・・)海斗のお相手を務めた女性へあること無い事吹きこむようになった同僚(・・)は、葵にまで食指を伸ばしたようだ。

しゃくり上げる葵の背中を擦りながら、事情を話していく。

朝の電話は親からの呼び出して、飛び込みの仕事――AV撮影の依頼――が入ったと言う連絡だったこと。

小遣いと言う名の給料を受け取っている身なのだから、仕事はきっちりこなせと押し切られ、やむなく実家へ一時帰宅したこと。

道すがら、今日執り行う撮影の参加者……AV女優役の女の子を迎えに行ったこと。

その相手こそが沙良紗であり、処女であった彼女のケアやフォローも任されたこと。

葵が覗いていたのは撮影の現場そのものであり、海斗的にはあくまでも仕事の範疇にあったということ(そもそも、らしくもない淫語――『おっぱい』とか『おまんこ』とか――を多発していたのも、目と耳で視聴者を刺激するAV撮影を行っていたからだ)。

そして、撮影がひと段落した瞬間、葵の悲鳴じみた声が聞えた気がしたので慌てて戻っていたということを、掻い摘んだ説明をすませた。

ようやく落ち着いたらしく、包まっていたシーツから這い出してきた葵を後ろから抱き締めながらようやく誤解を解くことが出来た海斗は、ほっ、と安堵のため息を吐く。

 

「そっか、沙良紗ちゃんとはあくまでもお仕事の相手ってだけだったんだね。なら、どうして初めからそう言ってくれなかったの。コソコソ隠す様に家を飛び出したりしたら、気になってしょうがないでしょ」

「いや、その……なんて言えば良かったんだ? 『仕事で女抱いてきます』って言えと? 同居人に? ――勘弁してくれ」

 

身体を寄せ合い、お互いの体温を感じとりながら、疲れを多分に含めた低い声が出てしまう。

AV撮影に行ってきますなんて、どう言いつくろえというのか。単なる羞恥プレイにしかならないだろう。

 

「う~ん、でもねぇ~、私を悲しい気持ちにさせてくれたのは事実だしぃ~?」

「くうっ!? な、何が望みだ……」

「えぇ~、私なにも言ってないよ~。でも~、どうしてもお詫びがしたいっていうんなら。考えなくも無いけど~?」

「……どうぞ、愚かな私めにお詫びをさせて戴けないでしょうか」

 

明らかに声が怒っている。何故いきなり不機嫌になったのか見当もつかない海斗の背中を、冷たい汗が流れ落ちる。

こういう時の女の子は無敵でさいきょ~だと言うことを、同居生活の中で理解させられていた故に、抵抗する気概はすでにない。

 

「ん~……じゃあ、ね……明日、一緒にお出かけしよっ」

 

ベッドの枕元に備え付けられた戸棚へ腕を伸ばし、一枚の広告をひっぱりだすと海斗にも見える様に広げる。

そこには2週間前にオープンしたばかりのレジャーランドの割引券が付いた広告チラシだった。

 

「シーマリンパーク=銀星って、俺達、沖縄に行ったばかりだぞ。まだ泳ぎ足りないのか?」

「前世が人魚の私に隙は無いんだよ」

「マナティだったりしてな」

「……それは、私が牛乳(うしちち)女だって比喩だったりするのかな?」

 

マナティ=海牛=海の”牛”=……牛乳(うしちち)

 

「ま、まさか、そんな……ハハハ」

「ふんっ!」

「のごす!?」

 

胸を隠す様に腕を組んで半眼になった葵から視線を逸らしつつ、乾いた笑い声を上げる海斗の鳩尾に肘を叩き込む。

胡坐をかいた上に葵を乗せているので逃げる事も出来ず、良い感じに急所へ突き刺さった肘鉄に悶絶する海斗。

墓穴を掘った浮気者(かいと)を冷ややかににらみ上げながら、

 

「じゃ、明日はレジャーランドにお出かけね。もちろん荷物は海斗くんが運んでくれるんだよね?」

「は、はひ……」

「うん、よろしい♪」

 

何はともあれ、誤解が溶けていつも通りに戻った海斗と葵のお出かけ(デート)が決定した。

ひとまず一件落着かと腹部の痛みに耐えていた海斗であったが、2人で出かけた先でこれまた厄介な遭遇戦(エンカウント)に巻き込まれることになろうとは、予想だにしていなかったのだった。

 

 

 

 

「高宮 海斗、先輩、かぁ……」

 

とあるマンションの自室で、下腹部で暖かい鼓動を繰り返しているかのような錯覚を覚えながら、それを愛おしげに撫でていた少女がひとり。

彼女の机の上に、撮影所の代表、件、監督でもある男性から渡されたシーマリンパーク=銀星の無料招待チケットが置かれていた。




前話で海斗と手をつないでいた少女の正体は、AV撮影のお相手でした!
ついでにいうと題名の○○に入る単語はエロビの『撮影』でした♪ (もしくは『喧嘩』でも可)
見抜かれていた方もかなりおられたようですな。
でも、本職じゃなくて尻込みする素人さんって所がミソだったり。

新キャラな彼女達の紹介は、次話で語ろうかと。

にしても、葵嬢に強烈なライバルが登場しましたな。
桜色の髪、碧眼、ツインテ、ロリ巨乳、両家のご令嬢にしてやんごとない事情持ちというドラマまで保有――と、すさまじいハイスペックぶり。
ツンツン子猫系ヒロインな沙良紗嬢と甘えんぼワンコ系ヒロインの葵嬢の全面対決……はたして死闘の結果や如何に(笑)!?

ちなみに本作の主要人物には、キャライメージとして動物を当てはめていたり。
海斗君は密林の王者ベンガルトラ。
最強者でありながら、虎斑で密林に同化して身を潜める生態とかは当て嵌まるかなと。
ライバル(?)の桐生君は……チーターかな?
世界最速という看板を掲げ、スリムなスタイルが高い人気を誇る。
――が、実は狩りが下手で、他の肉食獣に獲物をかっぱらわれるのも少なくないヘタレ気質という……あれ? 予想以上にピッタリじゃね?

ま、それはともかく再びの水着回をお待ちください(爆)
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