『えっち』から始まる恋があってもいいじゃない? 作:カゲロー
けど、ものすごくスラスラ楽しく書けました♪
でも、誤字確認してたら日付変わっちゃいました……ちくせう。
「ぷーぅ」
頬を膨らませると言う行為は様々な意味を宿す。
例にあげると、不機嫌さをアピールするリアクションとして。
口内に酸素を取り込み、ハムスターのように両頬を膨らませることで「私、怒っていますっ」と内なる声を相手に送り込むのだ。
自己主張的行動でありながら、可愛らしさを損なわない一手であると言えよう。
「むぅー……」
その一方で、ギャップ萌えを誘発させる必殺技としての一面も持つ。
笑顔や可愛らしい幼さを感じさせる仕草が魅力的な少女であれば、上記の意味を持つ行動。
しかし、普段が凛々しい、所謂“かっこいい女性”と称される者が異性に向けてこのアクションをとることで、普段とのギャップに胸を打ち抜かれてしまうほどの衝撃を産み出す必殺兵器と化す。
遣い手によって千差万別に効力を変え、それでいて甲乙つけがたい威力を秘めた乙女の技……しかし、無敵に思われるこの技にも致命的な弱点が存在している。
「ん~……わからん。なあ、早苗。この例文の和訳ってどうやるんだ?」
「まったく、それでもアンタ日本人なの? 古文の現代和訳に手間取るなんて」
「仕方ないだろ、古典とか苦手なんだよ……。てか、出題者の気持ちになって考えろってアドバイスしてくれたけど、全然わからんのだが」
「バカねぇ。問題を作るのは先生なんだから、出題者がどういう回答を求めているのかを紐解いていけば答えを導き出せるものなのよ」
「――俺にはレベルが高すぎる」
「妙な所で応用力足りないんだから……もう。ほら、見せてみなさい」
「さんきゅ」
肩を並べ、期末考査最終日の追い込みに励む海斗と早苗の意識は手元のノートと参考書に集中しており、テーブルの向かいでむくれている葵の様子に全く気づいていない。
肩が触れ合うくらい身を寄せ合い、あまつさえ、文章を指でなぞる様に身を乗り出すものだから海斗の肩に早苗の豊満な乳房が押し当てられ、仄かに熱を帯びた吐息が耳元を擽っていく。
無自覚故にか、見せつけられるように繰り広げられる光景に葵の機嫌はさらに急降下するというまさに悪循環。
それは、とても単純で、簡潔で、ごくごく当たり前の――
古来より人々は、ソレを指してこう呼び続けてきた……即ち!
『相手が見てなきゃ意味ないでござる』
「――いい? つまりこの問題が求めているのは……ぁ」
「おお! なるほど、そういう考え方な訳か。ありがとよ早苗……さん?」
「ぅ……! べ、別に……なんでもないわ」
「そ、そか……」
参考書から海斗へ視線を戻した瞬間、しな垂れかかりながら至近距離で見つめ合うような体勢になっていたことにようやく気づいた早苗。
恥ずかしげに頬を上気させながら身を引き、そっぽを向きつつ口元を手で隠し、もじもじ。
ちらちらと海斗の様子を伺いながらどことなく潤んだダークブルーの瞳を向けてくる早苗の表情に、どきっと鼓動を跳ねあげてしまう海斗。
博識な委員長であった少女が一瞬で乙女な顔を見せたギャップにヤラれてしまったらしい。
どことなく『あま~い』空気が漂い始めた瞬間、むくれるお姫様の堪忍袋の尾が一瞬で弾け飛んだ。
効果音にすれば『ブチィイイッ!』 的な感じで。
「~~~~っ! ちぇりお!」
ヒュッ! と空気を切り裂くシャープペンシル。
スコンッ! と心地良い音を鳴らせた海斗の額。
ぷしゅーっ! と吹き出す真っ赤な液体。
「いだぁああああああっ!?」 とシャーペンが突き刺さった額を抑えて、のたうちまわる不届き者。
朗らかな勉強会は、刹那の間も空けずに修羅場へと変貌した。
「か、海斗ーー!? って危な! ちょ、落ち着きなさい葵!? どこで身に付けたのそんな投擲技術!?」
「通信教育“DI○様のナイフ投げ講座(初級編)”を受講した結果だよ!」
「いろんな意味で物騒すぎるわ!?」
何故か取っ組み合いに発展した葵達の喧騒を床に倒れ伏しながら見つめていた海斗は思った。
――全方位アタックとか喉元ブッスー! じゃなくてよかった、と。
ついでに輸血の準備もお願いしますと霞がかった意識の中で懇願しながら、海斗の瞼は静かに閉じられていった……。
「ゲームオーバー! 第三部ッ! 完☆結!」
「蝶歌、妙なこと言ってないで手当ての準備手伝ってくれ」
「は~い、ですわ」
手際よく輸血道具の手配やらをこなしていく伊織と蝶歌。
この日の図書館はかつてないほど血の匂いが立ち込めていたと噂されたが、幸いにも(?) 命に係わる大事が起こることはなかったとさ。
「な、何故に俺がオチ扱い……」
「処女相手にアナルプレイとかかました君が何を言ってるんだ?」
「……反論のしようもございません」
「全くですわ。そういうマニアッ――ゴホン、ゴホン。素敵イベントは是非とも伊織さんとしてもらいたかったですのに」
「――え?」
「え?」
「……」
「……」
「…………ふふふ」
「ちょ、伊織さん。その微笑の意味は!? ま、まさか……!? もうすでにお二人はっ!? ちょっとその辺を詳しくっ!」
「さあ……どうだろうね?」
(ダレカタスケテ……)
幼馴染にすら忘れ去られ、さりげなくガチで命の危機に瀕する海斗なのであった。
――◇◆◇――
「まったくもう! 海斗くんってば、もうもうもうっ!」
『愛の巣(真)』のソファの上で〈愉快な動物シリーズ〉のぬいぐるみを抱えながらむくれる葵。
毎度のように背骨を折られそうになっている〈うるうるウルフくん〉が悲壮感漂うオーラを醸し出している事なぞお構いなしに腕の力を強めていく。
声なき悲鳴を黙殺し、不機嫌度MAXな葵は昨日の図書館での出来事を思い返す。
「なによぅ……早苗ってば、あんなに海斗くんの事嫌ってたくせにっ」
脳裏に浮かぶのは肩を寄せ合い、仲良さげに試験勉強に励む海斗と早苗の姿。
先日までの嫌悪感はどこへいったのか、見る者全員が眼を疑う様な光景。
桃花は「ふ~ん?」 と含むものがありそうな何とも言えぬ微笑を浮かべ、伊織と蝶歌は新しい仲間を歓迎するかのように微笑み。
あながち的外れでもない勘繰りをしてくる周囲の指摘に、真っ赤になって否定の声を上げる早苗を見て驚きに目を見開いたものの、次の瞬間には妙に嬉しそうな満面の笑顔になってサムズアップした桐生を“イラッ”とした感情のままに殴り飛ばした一連の出来事がつい今しがたのように思い返される。
今日は試験最終日の午後。
午前中までですべての試験科目を終わらせた葵はこうして一足先に帰宅し、ぶつけどころのない不満とお怒りを〈うるうるウルフくん〉を締め上げることで発散しているのだ。
それでも気に食わないものは気に食わない。
「そもそも、用事があるからとか言って私を置いて帰ってちゃった癖に家にいないってどういうこと!? まさか雌猫とか早苗と逢引してるんじゃないよね?」
あの2人を両脇に侍らせ、高笑いしながら街中を闊歩する海斗を幻視して、〈うるうるウルフくん〉が言葉にすることも憚られる恐ろしき苦痛に襲われ……数秒後には吊り上げられた眉がふにゃっ、と弛む。
「え、えへへ……私の海斗くんはそんな事しないもんね~。私の事、す、好きだって……欲しいって言ってくれたもんねぇ~」
仔犬を抱き抱える母親のようにぬいぐるみを抱き込み、ソファの上をごろごろする。
体育祭での
「にへ、にへへへぇ~」
「……あの、葵、さん?」
「のわきゃうっ!?」
キラキラと輝く笑顔を浮かべた海斗に抱き締められる妄想に耽っていた葵が跳ね起きる。
逃げる様にソファの端まで後ずさった彼女を覗き込んでいたのは、いつの間にか帰宅していた海斗。
見てはいけないモノを見てしまったと言わんばかりのその表情から察するに、葵にとって非常に嬉しくない感想を抱いているのは間違いないだろう。
なぜなら、見たことも無いくらい優しげな微笑みになったかと思えば、羞恥心でプルプルと震える葵の頭を優しく撫でつつ、幼子をあやすように柔らかい口調で、
「大丈夫……俺は葵が妄想系電波っ娘でも受け入れてみせるからな?」
などと言っちゃったのだから。
「ち、違うんだよ!? 私は頭の中が危ない子なんかじゃ無いんだからねっ!?」
「ははは。落ち着くんだ葵ちゃん。大丈夫……大丈夫だから」
「全然大丈夫じゃないんですけどっ!?」
がうーっ! と両手を振り上げて暴れる葵。
結局、、海斗の誤解を解くまでに10分以上の時間がかかってしまったのは、それだけ葵の表情がアレだったから……とツッコまないのが優しさであろう。
「ああ、良かった……葵が戻ってこられて」と感涙を流す海斗と「ぜひー、ぜひーっ」と息を荒げて肩を上下させる葵の双方がようやく落ち着いたところで、本来の要件を思い出した海斗。
鞄の中から帰りに貰ってきたチラシを取り出して葵に見える様に広げつつ、口を開く。
「なあ、葵」
「はーっ、はーっ……え、なに?」
「明日の休み、デートに行かないか?」
「行くっ!」
ビシッと手を上げて即答してから、「あれれ? 私って、もしかして……ちょろい?」 と葵が自己嫌悪に沈むまであと数秒。
――◇◆◇――
休日を謳歌する人々によってごった返す街中を歩く2人の女性。
夏が近いと言う事もあって大胆に肌を露出したファッションに身を包んだ“女狐”こと理恵。
豊満な双丘を強調するタンクトップに、太ももが顕わになるホットパンツ。
健康的な脇や鎖骨が爽やかな陽光を反射して、煌めいているかのよう。
西洋人の血が流れているが故の日本人離れしたスタイルを惜しげも無く晒し、周囲の男性陣の視線を釘付けにしている。
そんな理恵の隣を歩くのは、彼女から一転して清楚な雰囲気に身を包んだ大学生風の女性。
腰まで届くふわりとウエーブのかかった長髪は光の反射によって薄茶色に色ずく。
少々野暮ったい大きめの眼鏡の奥には柔らかい曲線を描く大きな瞳。
どことなく天然さや純朴さを感じさせる柔らかな印象を見る者に与える容姿。
衣服も、白を基準とした色合いのカーディガンに無地のシャツ、ロングスカートというおとなし目のチョイス。
理恵を華やかで観賞用に飾り付けられた活け華と称するなら、彼女は野原に咲く可憐なコスモスと言ったところか。
対極にあるような雰囲気を醸し出す2人でありながら、見た目に反して仲は睦まじいものであるらしく、楽しげに会話を交わしている。
「へえ~。じゃあ
「うん。例年は希望者過多で抽選になっちゃうくらい人気があるんだけど、今年は私が選ばれちゃって」
「ふうん? ま、たしかに校長とかがちょくちょく取材受けてるの、ニュースで見てるわ。なっとく……あ。でも、大丈夫なん? 例のクズ……じゃなくて、下種な種馬男とは」
気遣いを顕わにした理恵の問いかけに、結衣の表情が曇る。
友人にそんな顔をさせる元凶になった男の姿を脳裏に浮かべ、あらん限りの罵倒をブツケながら、返答を待つ。
彼女の事情に介入した身として、結果をきちんと把握しておきたいからだ。
「ぁ……うん……。理恵があの人たちにちゃんと言ってくれたおかげだよ。性格の不一致で、このまま計画を進めるのは望ましくないって判断されたみたい」
「そっか。引き剥がされたんならよかったわ。――にしても、どれも彼もが海斗クンと葵チャンみたいにうまくいくわけじゃないのねぇ」
「理恵? 今何か――」
「うん、なんでも無いわ! ほらほら、今日は貴方の新しい門出を祝してはっちゃけるわよ! 少年、早く来なさい!」
「う、うぇ~い……」
ある意味で関係者な2人の事をうっかり口を滑らせそうになった理恵は、誤魔化すように結衣の肩を押してショッピングモールへ向かう。
賑やかな彼女たちの後方には、ここに至るまでに購入した戦利品の荷物持ちとして呼び出された桐生の姿が。
手首から肩にかけて無数の紙袋をぶら下げた桐生は、「いざ幼馴染チャンとショッピングデートになった時、テンパらない様に予行演習しておくべきね♪」とう理恵の口車にまんまと乗せられ、荷物持ちクンとして連れ回されているのだった。
傍目には女子大生に可愛がられる男の子のように見えるので男性陣からの視線が痛いこと痛いこと。
けれど、最近習得したパッシブスキル“残念ボーイ”によって、突き刺さる視線の意味に気づけないまま、アッシー君としてお姉様方の付き人を続けるのだ。
しかし、桐生は気づいていなかった。
人混みの向こう側、反対車線の歩道を仲睦まじく歩いている葵、彼女と手を繋いだ海斗がいたことを。
誰かの策謀という訳でもない。単なる偶然、間が悪かっただけというどこにでもある小さな理由によって、やっぱり桐生は葵とすれ違うのだった。
――◇◆◇――
休日という事もあって賑わう街中を並んで歩く海斗と葵。
当然のように手を繋ぎ、普段はあまり足を運ばない広場に来た2人は、偶然開催されていたバザールの露天を眺めながらデートを楽しんでいた。
一緒に暮らすようになってからも一緒に出掛ける機会はそれなりにあったものの、やはりどこか周囲の視線を気にしていたのだろう。
いざという時に追及から逃れられるよう、近場をうろうろする程度で済ませてきた。
しかし、幾人かの理解者を得て、心情に余裕が出来たことでお出かけを楽しもうと言う思いが湧き上がり、こうしていつもと違った賑わう場所へ赴いてきたのだ。
家庭菜園で収穫されたものらしい野菜や果実が並べられているおばさんの隣には、小学生程度の子どもが使い古したカードゲームやTVゲームソフトをシートの上に広げていく。
その一方で、洋服屋や靴屋など新品の製品が艶やかに飾られた露店が人目を引く立地に陣取り、制服の上に半被を纏った店員が客引きに声を張り上げている。
どうやらこの祭りは、バザールとフリーマーケットを合体させているものらしい。
祭り独特の高揚感と賑わいで包まれた会場は、初夏の熱気をものともしない活気で満ち溢れている。
こういった場所のお約束である露店で購入したたこ焼きを摘まみながら、ゆっくりと露店を見て回っていく。
やがて、食べ終わったたこ焼きの空ケースをゴミ箱に放り込んだ際、葵が目を細めてとある露店に釘付けになった。
「わぁあ……!」
「どした? ……ああ、なるほど。宝石細工ね」
葵が目を奪われていたのは、宝石店の商品らしい色鮮やかな指輪やネックレスと言った金細工だった。
台の上にケースも無く外気に曝されているそれらは手作業で生み出された物独特の繊細な技術が光る一品ばかり。
陽光を反射して淡く輝くルビーが目を惹くネックレスや、傷一つない真珠のイヤリングなど、主役である宝石の魅力を最大限引き出す計算された装飾が施されている。
その割に値段はリーズナブル。利益よりもお客様の笑顔こそがなによりの御代だと言わんばかりの価格設定だ。
きっと、裕福層を狙った大手メーカーとは異なり、個人経営故の判断なのだろう。
店番をしている人懐っこい笑顔を浮かべるおばさんの恰好が、普通のブラウスとスカートの上に店名が刺繍されたエプロンを羽織るだけというのも予想を裏づけている。
「おやまあ、可愛らしいお客様だこと。どうだい、お兄さん。恋人へのプレゼントに、ひとついかが?」
「こいっ……!?」
他人からごくごく当たり前のように恋人関係に見えると言外に告げられ、顔を赤く染める葵。
こういうところは初心なままなお姫様の頭をちょっぴり乱暴にぐりぐりと撫でつつ、並べられた商品を眺めていく。
「わ~うぅ~!?」 と情けない声を出しながらも振りほどく素振りを見せず、きゅっと目を閉じてされるがままに身を委ねてくれる葵への愛しさを実感しながら、微笑ましそうに「あらまあ」とか言っているおばさんへ自分の目に留まった『あるもの』を指差しつつ購入を告げる。
「これ、お願いします。あ、出来れば包んでくれると嬉しいんですが」
「え? ……ああ、そういうことだね。わかったよ、ちょっとお待ちなさい」
海斗の考えを見抜いたおばさんは、目尻を更に緩めながら手早く梱包を済ませていく。
ぐりぐり、うりうりと撫で繰りまわされていた葵がようやく解放されたときには、手のひらサイズの紙袋に納められた『あるもの』を海斗が受け取っていた。
「ありゃ? いつの間に。ねえ、海斗くん、何買ってくれたの?」
「ん~……まだ秘密だ。家に帰ってから見せてやるよ」
「えぇ~……ずっこいよぅ」
眼を閉じていたせいで中身を見れなかった葵がぶーぶー文句を垂れるのを黙殺し、2人の会話から聞き捨てならなかった単語を聞き取ったおばさんが「ま、まさか……もうすでに同棲をっ!?」 と戦慄するのを余所に、むくれて頬を膨らませた葵を片腕に引っ付けたまま、この場を後にする。
――喜んでくれる……かな?
ジャケットのポケットにしまった『これ』を見せた時の反応を想像し、海斗の頬が柔らかに弛んだ。
――◇◆◇――
休日デートを満喫した後、『愛の巣(真)』に帰宅し、夕飯を済ませてまったりくつろぎタイムに突入した頃。
ベッドの上で微睡んでいた海斗へ、淵に腰掛けた葵が声をかけた。
「ねぇ、海斗くん……」
「ん? なんだ?」
「あの、ね? お願いがあるっていうか……その、わがまま言ってもいいかな?」
「?? あ、ああ、構わないけど……どした?」
「うん。あのね――」
珍しく言いよどむ葵。
恥ずかし気に眉根を下げ、口元を軽く握った片手で隠しながら、可愛らしいおねだりが飛び出した。
「私……
「……? ……!? ~~~~っ!?」
こうかはばつぐんだった。
普段のふてぶてしさとか冷静さとかをかなぐり捨てた、年相応の青年としての表情で驚愕を顕わにする海斗。
顔はもちろん、身視や首筋に至るまで真っ赤に染まり、言葉を失ったかのように口をパクパクさせている。
反射的に振り上げられた腕はところなさげに虚空を彷徨い、プラプラと彷徨っている。
「あ、あああ葵サン? いったい何がどうなって、ンな発言に繋がったのでございましょうか!?」
「ちょ、驚きすぎだよぉ。もう……あのね? 今までえっちした時って、危険日とかちゃんと計算してたでしょ? 期限に余裕もあることだし、いきなり赤ちゃんできちゃったらいろいろ大変だからって。――でもね、最近私思うんだ」
腰掛けていたベッドによじ登り、四つん這いになって海斗にすり寄っていく。
尻もちを突くような体勢で硬直した海斗になんなくたどり着くと、肩を軽く押して馬乗りにならながら彼と見つめあう。
「早苗とか沙良紗とか……後は幼馴染の2人も妖しいよね?」
甘い声の囁きだというのに、何故か血の気が引いていく音が耳に届く。
二の腕を押さえつけてくる葵の指先が皮膚に食い込んで、地味に痛い。
「海斗くんって、けっこうオープンっていうか、ある程度まで距離が近くなった相手をすごく大切にしちゃうでしょ? それは素敵な事だと思うんだけど……同時に不安にもなるんだ」
「そう、なのか?」
「そうなの。女の子って生き物は、自分だけを見て欲しいっていうわがままを抱いちゃう生き物なのです」
だからこそ、証が欲しい。
何があっても、自分のところへ戻ってきてくれる確かな証が。
「それで
「むぅ……イヤなの?」
「そうじゃなくて、これじゃあ『アレ』を用意した意味が無いと言いますか」
歯切れ悪そうに視線を彷徨わせる海斗に疑問を抱くが、ひとまずそれは置いておく。
今優先すべきなのは……確認しておかなければならない事は、たったひとつ。
「ん……っ」
唇を重ね、甘い声で囁く。
色香は女の武器だと教えてくれた桃花の助言に従って、有無を言わせぬままキスの雨を降らせていく。
唇の次は頬。額から耳たぶにかけてちゅっちゅっと甘える様に啄むソフトキス。
くすぐったさと耳朶に響く熱い吐息に、海斗の雄が昂っていくのを感じ、内心で拳を握る。
有耶無耶になんかしてやらない。ちゃんと、答えを聞かせて欲しい。
今だけじゃない、これからもずっと一緒にいたいから。だからこそ、大胆になれる。
――
ピンクの舌先で首筋を舐めつつ顎のラインを伝って動き、もう一度彼の唇に舞い戻る。
今度は重ねるだけじゃない、押し開かれた口内の熱を共有し、敏感な舌を絡め合わせるディープキス。
溢れ出す吐息と唾液の混ざり合うクチュクチュという音。徐々に動きが大きくなっていく舌の動きに合わせて、海斗の力強い両腕が葵の背中へ回される。
愛しさしか感じない彼女を強く、されども優しく抱き寄せ、これが答えとばかりに舌を激しく動かした。
息苦しさすら感じるほど鮮烈なキスを通して、脳裏に雷光の如きスパークが奔る。
発汗によって濡れた肌着が徐々に湿り気を帯びていき、防音が施された室内に男女の吐息とくぐもった喘ぎ声が響き渡る。
唾液の糸を引きながら唇を離していく。室内灯の光に照らされて白濁混じりの銀色に光る唾液の橋が伸び……ぷちんと切れる。
頬にかかった唾液の残滓を拭いながら身体を起こした海斗は、自分に跨りながら潤んだ眼差しを向けてくる葵の頬に手を当てつつ、答える。
「葵……俺からもお願いがあるんだが……いいか?」
「……うん」
手を重ねた彼の手に頬をすりすりさせる葵を見つめながら、言葉を続ける。
「子作り……するか? 俺のお嫁さん」
「……はい、よろこんで♪ 私の旦那様っ」
満面の笑みを浮かべながら、2人の唇がもう一度重なり合った。
――◇◆◇――
「んっ、んむ、んむっ……っぷぁ……ぁっ、あ……ふむぅ……」
クチュクチュと淫靡な音が、ベッドルームで静かに木霊する。
衣服を脱ぎ、ベッドに横たわりながら生まれたままの姿で抱き締め合う2人の唇は、互いを貪りつくさんほどに密着し、荒ぶっていた。
零れ落ちる吐息をも打ち消す喘ぎ声と艶音。三半規管を通して脳髄を侵食する淫靡なる讃美歌が理性という枷を外し、獣の本能を引き出していく。
そこに在るのは純粋な欲求。想い人を独占したいと言う、原初なる欲望。
葵の背中に回された両腕は滑らかな玉の肌を滑るように撫で、ツンッと突き出た尻肉をやや乱暴に揉んでいく。
引き締まった尻肉の弾力と肌触り、胸板に押し当てられてぐにゅぐにゅと淫靡に押し潰される乳房の感触。
高まっていく昂揚に呼応して硬さを増していく双丘の頂のおりなす刺激がアクセントとなり、下腹部に血流が集まっていくのを抑えることが出来ない。
その一方で、首に腕を回し、抱き寄せた彼の唇に夢中の葵も、敏感な乳首が擦れる刺激と臀部から駆け上ってくるふわふわとした官能に満たされ、瞳が淫蕩に染まっていく。
すでに、秘唇から溢れ出す蜜液は太ももを伝ってシーツに流れ落ちるほどであり、彼女の身体が海斗を受け入れる準備か整っている事を物語っている。
しかし、大好きなキスをもっと続けたいと考えた葵は、秘部から奔るジンジンという疼きを誤魔化すように太ももを擦り合わせ始めた。
「――ッ!?」
瞬間、海斗の脳裏に稲妻の如き衝撃が走る。
一気に高まった射精への衝動を強靭な理性で抑え込み、どうにか沈静させてから視線を下げ、そして状況を理解した。
「ちょ、っぷ……ま、あお、葵……た、タンマだ……っちゅ」
「っぷは……! っはあ、はあ……何?」
「おま、脚……」
「へ? ……ぁぅ」
葵の頬に、カッと朱色が射す。
彼女が疼きを誤魔化すように閉じた太股。蜜液で艶めかしくコーディングされた秘唇を中心点に形成されたYラインが海斗の肉茎を挟み込んでいたの。
股の付け根に彼の分身が収められたように見え、尿道口より溢れ出した先走りと蜜液が混ざり合って、テカテカと光り輝いている。
葵が太ももを擦り合わせる度に、亀頭のエラが尻肉にしごかれて射精を促してくる。
敏感な先端部分に送り込まれる刺激に肉茎が反応して硬さを増せば、搔き分けられた陰毛の奥で自己主張するクリトリスを擦り付け、葵にも刺激を送り込む。
それに反応して彼女が太ももを擦りつける力を強め――という感じに官能のループが形成。
いちゃいちゃを楽しめる前技を続けようとしても、彼らの肉体は当人の意志に反抗するかのように刺激を作りだし、性行為を……“子作り”を強要してくる。
もう、これ以上待てない。いますぐ膣肉を剛直で掻き回し、子宮の中に子種を注ぎ込んでほしいと渇望するかのように。
――もう、だめぇ……我慢、できないよぉ……。
下腹の疼きが全身に広がってしまい、どうしようもなくなってしまった。
砂漠に迷い込んだ旅人が水を求め、欲するように。
葵の手が彼の肉茎へと伸ばされる。
「んぁ……あつ、いぃ……」
「……っ!」
根元を握りしめ、形と感触を確かめる様にやわやわと揉みしだく。
ほど良く引き締まった太ももからソレを引き抜き、扱く様に指を上下させながら海斗を仰向けにさせ、馬乗りになる。
リボンを外して流していた長髪が、汗に濡れた彼女の頬に吸いつきながら垂れた一房が乳丘の先端にかぶさっている。
計らずとも、グラビア雑誌やエロ漫画でよく見るグラビアポーズを再現した葵に目を奪われ、されるがままに四肢を脱力させる海斗。
自分に注がれる熱い視線をひしひしと感じ、それがまた昂揚の火種となって葵の背筋を駆け昇る。
ゾクゾクと心地良いそれは、彼の心を釘づけにしているという優越感。
海斗へ想いを寄せられている牝たちを思い浮かべ、思慕を寄せる彼を独占しているという実感を葵は味わっていた。
「ねぇ……海斗くん」
「んっ!? ……な、なんだ、葵?」
逆立つ肉茎ごと押し潰すようにのし掛かり、クリトリスを隠す包皮に肉茎の裏スジを擦りつける様に腰を律動させる。
女性特有のなだらかなラインを描く少女の下腹部から己の凶暴な分身が覗くという光景は非常にエロティックで、思わずと言った風に呻き声が出てしまう。
亀頭にくらべて幾分かは鈍感な肉棒の裏側への刺激とは言え、蜜液で半端に濡れた陰毛とコリッとした包皮に擦れる感触はたまらないものがある。
しかもそれが、自分を喜ばせようとする愛しい少女によるものだと言うシチュエーションも相まって、愛おしさとか、今すぐ挿入したいという欲求とか、様々な激情が込み上げてきて理性を押し流そうとする。
だが、男として、官能系の職業に携わるプロとしてのプライドがそれを許さず、たどたどしいながらも会話を続けることが出来た。
海斗の葛藤など知る由も無い葵は、発情した女独特のフェロモンを纏わせながら彼の顔を覗き込む。
せめて、これだけは聞いておきたいから。
「私と早苗……どっちが欲しい?」
「は?」
「だっ、だからぁ……こんな風にえっちコト平気でしちゃう私じゃなくて、早苗のほうに魅力感じたりするのかなぁ……って、思ったり」
親友である早苗の魅力を――同性という視点からだが――十分理解している葵の中にあった不安。
以前に図書館で頭蓋を撃ち抜く暴挙に及んだのも、偏に親友へ彼が心変わりしてしまうのではないかという怯えから来るものだったのだ。
沙良紗はまだいい。
海斗本人が『仕事上のパートナー』と明言しているし、恋人という“日常”の関係にならないと明言している。
蝶歌は幼馴染というスタンスを崩さないだろう。彼女の口ぶりからも、海斗への思いが“Like”であり“Love”ではないとわかっているから。
伊織は……性別とかいろんな意味で微妙だが、とりあえず後回し。
今重要なのは、葵からしても魅力がたくさんある上に、実は相性もそんなに悪くない早苗と海斗が深い関係になってしまうのではという不安をハッキリさせておくべきなのだ。
計画関係者なマッド集団が歓迎を顕わにしているので、もしかしたら子づくり計画の
葵がそんな不安を抱いているのだということにようやく気づいた海斗は、思い人とのデートで舞い上がっていたから気づかなかったのだと自覚する。
「考えすぎだって。大体、アイツとは本番……
「そ、それは……お楽しみは最後にとっておくっ! 的にも考えられるでしょ。お、おし……お尻を……その、ちょうきょーして……かいはつ? を堪能してから仕上げとばかりに……どぴゅっ、て」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ……。それじゃあ調教系エロゲの主人公じゃないか。てか、そんな趣向してると思われてたのか、俺!?」
「……だって、押し入れの床板に二重底で隠してあったえっちなゲームがそんなんだったし」
「……」
つい、と目を逸らす。
心なし、海斗を見下ろす葵の視線が冷たい。
折角、彼女不在の合間を利用して日曜大工で造り上げたお宝保管庫が、こうも容易く暴かれてしまうとは。
沙良紗を始めて抱いた数日後、事情を知ったマッド集団に『プレイの参考にどうぞ』と手渡され、思わず受け取った挙句に全CGコンプリートしてしまったお宝の処分に踏み切れなかった己の弱さが憎い。
「ふぃ、フィクションと現実は別物だと思うんだ。あれはあくまで創作物としては良いものであって、リアルにそーゆーことやらかそうと言う欲求はございませんことよ?」
「ふーん? じゃあ、アレは燃えないゴミの日に出しちゃうね」
「ええっ!? ――あ、なんでもありません……くうっ!」
目尻を押さえながら嗚咽を込み込む。
己が分身を握り締める彼女の力がそろそろヤバい事になりかけている。
このままでは、『ぽきっ♪』と使い物にならなくされそうだ。
それでもギンギンに荒ぶっているのは、自分にMっ気が秘められているから……ではないと信じたい。
彼女をとるか
葵と早苗……どっちがいいのかを。
「……葵」
「うん」
「……?」
「……?」
アレ? と首を傾げる
しばし間を開け、呼びかけられたんじゃないと理解した葵の顔が、耳が、首が……赤を通りこした朱色に染まる。
やっぱりかと溜息を零し、海斗はもう一度、『答える』。
「俺は、葵がいい」
ストレートな告白に硬直してしまった葵の様子に悪戯心が芽生えた海斗の両腕が伸び、豊かな乳肉をむにゅうと掴む。
「ふにゃう!?」
可愛らしい悲鳴を上げて悶える葵を見上げながら、柔らかくもハリがあって瑞々しい乳肉をリズミカルに揉んでいく。
乳首はどんどん硬さを増して自己主張を繰り返し、掌でそれごと乳房を押し込めば独特の芯のような弾力によって指が押し返される。
表層はふんわりと包み込む抱擁感を楽しめ、指を沈めればゴム鞠のように押し返そうと突っぱねてくる。
何度揉んでも飽きることの無い最高の乳丘を躍らせる様に腰をくねる葵。
押し倒されながらもイニシアチブを取り返そうと指に込める力に強弱をつけて快感を送り込んでいく。
「んあっ……ふあっ、は、ぁ、んくっ……ふあっ♪ も、もぉ、ダメだってばぁ……ていっ!」
「うおぅ!?」
海斗の想いを再確認したことも相まって、瞬く間に絶頂へ押し上げられていく葵だったが、このまま流れに乗じてお宝の件を有耶無耶にしようという海斗の根端に気づき、腰を少し浮かせてくいくいっと小刻みに前後させて肉茎を扱いてきた。
まさかの不意打ちに間抜けな声を出してしまった海斗の反応に気を良くした葵は、昂揚して桜色に濡れすぼる舌を覗かせて唇を舐め、唾液でコーティングさせたソレを彼の胸板に押し付け、吸い付けていく。
ちゅっちゅっとキスマークを刻みつけ、己の所有物だと主張するかのようにキスの雨を降らしていく葵。
重力に引かれて垂れ下がった髪が肌に擦れてくすぐったく、愛撫へ向けていた意識が散らされてしまう。
「んふふ~♪ 海斗くんってば感じちゃってるでしょ……可愛いっ。もっとしてあげるね……ンッ」
「くっ、う、うぉ……ちょ、これ、ヤバ……!」
愛液と先走りによって滑りが良くなった腰の動きがどんどん加速し、完全に頭を出したクリトリスが亀頭のカリと擦れ合ってえも言えぬ快感を齎す。
肉棒から手を離し、海斗の胸に身を沈める葵の腰がより早く、淫らに動く。
秘唇に圧迫された肉棒は、粘性の液体独特の淫靡な摩擦音を鳴らせながらこすれあい、溢れる蜜液を飛沫として飛び散らせる。
予想以上の快感で完全に勃起した互いの乳首が擦れ、引っ掛かり、その度に電流が奔る。
喘ぎ声が抑えられず、どちらの艶声かの判断も出来なくなる。
もはや新しい快感を貪る事しか頭になくなってしまった2人は、本能の渇望に後押しされて、頂へと駆け昇る。
「んっ、ふ、ふっ、あ、はぁぁああああんっ!」
「くぅ、ぁ……く、お、おおおおっ!」
上体を反らし、官能の叫びを上げた葵の秘唇がきゅうっと締まり、ちょうどこすれ合っていた亀頭を挟む様にしてしごき上げる。
絶頂の震えが小刻みな振動となって肉茎へ浸透し、彼女から僅かに遅れて白濁液が吐き出された。
「ふあああああああっ! あ、熱い……! お腹ぁ、熱いのおっ!」
腹部に染みついた精液独特の匂いに刺激されたのか、葵がもう一度身体をびくんっと震わせた。
射精に至った海斗の肉茎は、キスのお返しとばかりに葵の腹部へ亀頭を擦りつけている。
硬さを全く失っていないソレの熱さを自覚して、「んくっ……」と葵の喉が鳴った。
「あは♪ 海斗くんのカチカチだねぇ……もう、えっちなんだからっ」
「……否定できないのが悔しい」
「んふふ~、まだまだ足りないってプルプルしてるよぉ。大丈夫、すぐに……んっ! シテ、あげるんだか、らぁ……あ、ああああっ!」
人さし指を海斗の唇に添えて微笑んだ葵は、ベッドに膝をつきながら腰を持ち上げ、そそり立つ肉茎に手を添えながら秘唇へと誘っていく。
逆の手を海斗の唇から肉ビラとも呼ばれる大陰唇へ移動させ、人差し指と中指でしっとり濡れた秘唇を押し開き、テラテラと淫蕩に輝く秘肉を顕わにさせる。
生々しくも魅力的な光景を目の当たりにして、血管が浮き出るほどに硬化した肉茎を膣口へ押し当てると、ゆっくりと形を確かめる様に腰を下ろし、雄々しき怒張を呑み込んでいった。
「あ、んっ……んんうっ! や、やっぱり、おっき……んああっ!」
膣肉のヒダヒダが待ちかねたと言わんばかりに煽動し、瞬く間に最奥へと誘っていく。
引っ掛かりを覚えることも無く、両者の腰がぴったりくっ付いた時には、亀頭の先端が子宮口と熱いキスを交わしていた。
彼女の膣は、肉茎の先端と根元を締め付ける様にきゅっと窄めて射精を促してくるくせに、真ん中あたりがふわっと優しく包み込んでくるような俵型になっている。
粘度の高い蜜液で満たされた膣内はふんわりと優しく擦りつけてくる箇所と、ギュギュッと締め付けてくる二種類の膣ヒダを併せ持つ葵の膣は、海斗の分身を受け入れるために存在すると言わんばかりにぴったりフィットし、強弱をつけた絶妙の力加減で扱いてくる。
引き抜く時は膣ヒダが擦られるゾクゾク感を、差し込まれる時は身体の芯を押し上げられるような衝撃を交互に与えられる感触に、葵の半開きにされた唇からか愛らしい喘ぎ声が零れ出す。
「あぁん、あ、はァ……んはっ、くぅ……うあぁああ……っ」
下腹を満たす肉茎の存在感を確かめる様に腹部を手で擦りながら、色っぽく喘ぐ葵を見つめる海斗の官能もどんどん高まっていく。
「ン……! 葵の胸、ぷるぷるしてるぞ……あむっ」
「ふひゃあああっ!? ちょ、や、やら……あ、あ、あああぁぁあああ~っ!」
彼女はベッドに手をついて上体を浮かせていたので、魅惑に揺れる乳房を間近で観察できた。
たわわに実った果実を啄む様に、踊る乳首を口で捉え、吸い付く。
ちゅうちゅうといやらしい音を立てながら乳首を吸いながら、肉茎を締め付けてくる彼女の腰を掴んで思いっきり引く。
中腰になっていた葵の腰が海斗のソレに叩きつけられ、パツンッ! と空気がはじけ飛ぶ。
リズミカルに律動を繰り返していた所で、急に子宮口が亀頭に押し上げられる衝撃は隔絶した快感を産み出し、戦慄にも似た電光が脳裏に奔る。
視界が一瞬だけ真っ白な世界に染め上げられ、葵の表情が一気に陶酔したソレへと移り変わっていく。
「あ、あは、あああ――あ、あひいっ! ひ、ひっ……ぁ……!」
彼女の脇腹を掴んで離さない海斗が腕を動かすたび、膣口付近まで引かれた肉棒を子宮口まで一気に刺し貫かれてしまう。
その度にあられもない淫声を上げながら、更なる快感を求めて葵の膣ヒダが雄々しい肉棒を締め付けてくる。
絞り上げる様にぎゅうっと締め上げたかと思えば、ふわっと優しく包み込む様に緩み、気を弛めた瞬間に再び締め付けてくる。
膣の天井にあるツブツブにカリが引っ掛かるたびに射精感が込み上げてくるので、歯を食いしばって耐えなければならない。
出来る事なら今すぐ出したい。欲望の赴くままに白濁液をブチ撒け、愛しい彼女のナカを自分色に染め上げたい。
「けどっ……! 独りよがりはダメだよ、なあっ……!」
イクときは一緒に。
2人で決めた約束を果たすために、海斗が腰の突き上げをより激しくしていく。
ブリッジするかのように腰を突き上げ、葵の頭頂まで突き破らんばかりの勢いで律動を繰り返す。
「あっ、ああっ、あ……だ、ダメなのォ! 奥っ、ずんずんって……きちゃうのぉ!」
「やっぱり……っ、ココがイイんだろ?」
「わかんない……で、でも……あんんっ! 子宮をずんってされるとぉ……びりびりってきちゃうのおっ!」
涙すら流しながら笑う葵の唇を奪いながら強く抱き寄せ、子宮口へも亀頭のキスをした密着状態で小刻みに腰を揺すり、官能を送り込んでいく。
性液を誘う子宮頸管粘液が肉茎を包み込み、葵の秘膣が迫り来る射精の時を今か今かと待ちわびているのが解る。
痙攣したように背筋を震わせる葵と舌を絡ませるディープキスを交わしながら、浮かび上がりそうな意識を繋ぎ止める最後の鎖を引き千切る勢いで最後の一突きを繰り出した。
「――ァ、あ、あぁぁああああああああっ! と、飛んじゃう……飛んじゃうよおっ!」
「くっ!? す、すげえ締め付け、だな……オイ!」
「い、イク……! イクの、ぉ……~~~~ッ!! ふぁぁああああああっ!」
眼の裏で何かが弾け、理性が消し飛んだ。
その瞬間、かつてない快感の波が怒濤の如き勢いで押し寄せて、全身を蹂躙していく。
同時に限界を迎えた海斗の肉茎から白濁の精が迸り、官能の震えに身を委ねる葵の膣内へと注ぎ込まれていく。
恍惚の表情で脱力した葵を抱きしる海斗は、初めて意識した子づくりの達成感に胸を満たされていた。
葵の首筋に顔を沈めて、香りを嗅ぐ。
甘酸っぱい果実のような香りに心地良さを感じながら彼女の温もりに身を委ねていると、焦点のあっていなかった葵の瞳に虹彩が戻ってきた。
「……んぁ……?」
「お、気がついたな。ほら、こっちに来な」
「んぅ」
すっかりおとなしくなった分身を葵のナカから引き抜くと、サラリと指通りの良い黒髪を撫でるように彼女を抱き寄せる。
行為の余韻を味わうように、火照った肌を重ね合わせて微笑み合う。
「んぅ……♪ もっと……シテ?」
「……喜んで」
自慢の髪を愛おしげに梳かれる心地良さに、葵は眼を細めながら身を委ねた。
――◇◆◇――
「おっと。大事な事を忘れてた」
「んぅ?」
葵を撫でていた海斗が、何か大切な事を思い出したように身体を起こし、枕元に置いていた小箱に手を伸ばす。
綺麗な包装紙と銀色のリボンで梱包されたソレは、名の知られた宝石店のものにも引けをとらないと一目で分かる上品さを感じさせる。
「葵、ちょっと手を出してくれ」
「えっ? あ、うん」
海斗に遅れて上半身を起こした葵が言われるまま左手を差し出す。
何が始まるのか全く分からなくて首を傾げる彼女に見えるよう持ち上げた小箱のリボンを解き、蓋を開ける。
「え……!? こ、これって……ウソ!?」
ドキン! と胸の鼓動が高まる。
思わず右手を口元にあてて声を抑える葵の目の前で、箱の中に納められていた白銀の輝きを放つシルバーリングを取り出した海斗が差しだされていた彼女の左手を取って、深い絆を司る
その瞬間、葵の頬が、かっと赤くなり、心臓が荒れ狂う様に激しく鼓動を刻みつけた。
胸の奥がきゅんと疼き、海斗の顔が輝いているような錯覚を感じる。
舌は震え、何か言わなくては思うのにうまく言葉に出すことが出来ない。
「な、なに……これ……!?」
「ん。シルバーリングだな」
あっけらかんと言う海斗。
しかし、彼の頬も朱が差したかのように赤く染まっている。
「そ、そう言う事を聞いてるんじゃなくて! どうしてっ! あの、わ、私に……?」
「……今更それ聞くか?」
「だ、だって、けっきょく早苗にも手、出したし……他の娘って可能性もあった訳で……」
「ぬぐぅ!? そ、それは反論のしようもないと言うか全面的に俺が悪いと言いますか……その、ゴメン」
「あ、謝らないでよぉ。実は早苗から事情は聴いてるし、海斗くんが浮気したとかそーゆうのじゃないの知ってるから! ちょっと、その……すねちゃっただけだったんだよぉ」
「……ありがとう。でもな、これからの事もあるし、ちゃんと言葉にしておきたかったんだよ」
頭を下げて改めて謝罪すると、シルバーリングを填めた左手を抱きしめる様に胸元にあてて視線を彷徨わせている葵を抱き寄せる。
とくん、とくんと心地良い心音が耳に届き、茹った頭が冷静さを取り戻していく。
「俺は多分、これからも葵を不快にさせる様な真似をするかもしれない。
「え……」
瞳を大きく見開いた葵を見つめながら、ずっと言おうとしてきた言葉を紡ぐ。
この先、何があっても絶対に変わらないと確信する……己が本心を表す台詞を。
「葵。お前が好きだ」
ただ、一言。想いの全てを乗せて告げる。
嘘偽りない、真っ直ぐな
「かい、と……くん?」
「嘘じゃないからな? 体育祭の時も言っただろーが。お前の全部が欲しいって……まあ、そーゆーことだ」
恥ずかしそうに頬を掻く海斗を見つめながら、葵は改めて自分の本心を理解する。
――そっかあ。私、どうしようもないくらいに好きになっちゃってたんだ。
笑顔を浮かべた葵の唇が海斗の頬に落とされる。
ちゅっちゅっと啄むソレが頬のラインをなぞる様に流れていき……重なり合った唇がひとつになっていく。
感じるのは熱く、柔らかい唇の感触。
鼻孔をくすぐる、愛おしい人の匂い。
そして――胸を満たす暖かな想い。
お互いの存在を確かめるように抱き締め合いながら、ゆっくりと唇を放していく。
甘く優しいキスの余韻に浸るように、蕩けた様な笑みを浮かべながら、葵が呟いた。
「私の心を奪っちゃった責任とってね? ……私の大好きな旦那様♪」
「喜んで承りましょう。……俺の可愛いお嫁さん」
ふにゃっと笑い、頬を摺り寄せる。仔犬が甘えてくるような仕草に胸を打たれながら、壊れ物を扱う様に優しく抱きしめる。
優しい涙を零す葵の髪を梳くように撫でながら、もう一度口づけを交わす。
自分の中で確かなカタチとなった……その想いを伝えるために。
あたたかな想いが籠められた、優しくも安らぐような――そんなキスを。
繋がれた手の中で、誓いのシルバーリングが月光を受けてキラリと輝いた。
祝♪ 初デート&(意識しての)子づくり!
修学旅行前のあれはたまたまああなっただけで、最初からデート目的に出かけたのは今回が初めてなので。
指輪装備で、わん
でも、ぶーたれちゃうし嫉妬もしちゃうのです。だって恋する女の子なのですから!
ちらっと今後の複線も張ったことだし、書きたいこと書けて満足です♪
……最後にもう一言だけ。
――――エロ可愛いヒロインは最強です! (ドヤァ)