『えっち』から始まる恋があってもいいじゃない? 作:カゲロー
ハーメルンの小説を更新するのは10ヶ月ぶりでしょうか?
ゴタゴタがあって更新する機会がなくて……忘れられていないか冷や汗が止まりません。
いえね? 執筆は続けていたんデスよ?
ちょっとオリジナルの短編とかをいくつか書いたりして、ついついこっちの更新を後回しにしてしまって……。
でも、短編ひとつ書き上げるのに結構な日数かけてたのに、こっちの続きを書き始めたらすらすらと完成までいっちゃった不思議。
……いちゃいちゃエロ系に適性でもあるんでしょうか?
まあそんなわけで、これからもよろしくお願いします。
「はぁ、はぁ……っく!?」
息も絶え絶えに呼吸を乱す少女が眼前に聳え立つ『境界線』に両手を打ちつけながら悔しげにした唇を噛みしめる。
細やかな腕を痛めることも厭わずに握り締めた拳を繰り返し叩きつけるものの絶望なる現実を変える事は叶わない。
どうすればいいの!? と混乱する思考のまま視線を彷徨わせた瞬間、彼女の背筋に走る冷たい悪寒。
ばっ! と勢いよく振り返れば、ゆらゆらを虚空に揺らめき、距離を詰めてくる魔手の軍勢が視界一杯に広がり、引き攣った悲鳴が喉の奥から零れ出す。
自分を護る様に腕を抱きしめ、瞳を恐怖と悲痛に染め上げた葵はじりじりと迫り来る『悪鬼』に追い詰められて後ずさる。
――が、再び彼女に絶望を齎す境界線に逃げ道を阻まれ、袋の鼠となり果ててしまった。
それは白亜に塗られた分厚い壁は防音材が組み込まれた鉄壁の防壁。
彼女の声を無慈悲に打ち消し、僅かな希望すら叩き潰す絶望よりの使者……!
「やだ……やだよぅ……! 海斗くん……っ」
零れる嗚咽悲しみで濡れる。
夢であってほしい。こんな現実、認めたくない。
しかし、摺り足で後ずさる足の裏が床と擦れて生まれた痛みが、自分の置かれた危機的状況が現実であると彼女に囁く。
逃れる術の無い卑劣なる脅迫文によって呼び出され、引き摺り込まれた部屋は、無機質な内装と鈍い輝きを放つ金属器によって埋め尽くされていた。
金属の治具が擦れあう甲高い音に産毛が逆立ち、『悪鬼』のひとりが手の中で弄ぶ紐状の物体の擦れる音が葵の心を押し詰めていく。
「――竜ヶ崎 葵。これ以上の抵抗は無意味です。潔く諦めなさい」
『悪鬼』が宣告するかのような口ぶりで告げる。逃げ道はないのだと、諦めて生まれたままの姿を曝け出せと。
そう言って目尻に浮かぶ涙を拭うことも出来ない葵へ見せつける様に掲げてみせたのは、彼女が最近習得したお嫁さんスキルのひとつ【パリッと爽やかアイロン掛け】によって手入れされた制服。
可愛らしいリボンがあしらわれたピンク色のブラとショーツ姿な葵へ自らの戦利品でもあるそれを意気揚々と見せつけることで彼女の抵抗心を折りにいく作戦だ。
『悪鬼』共によって剥ぎ取られた自らの制服を見て歯噛みする葵。
自分を取り囲む奴らの視線がお気に入りのブラに包まれた胸元……より正確に言えば二の腕に押し上げられる形になった乳房に注がれていることに遅ればせながら気づいて、折れそうになった反骨心を再び奮い立たせる。
こんな卑劣な奴らへ見せるために、店員さんの頬を引きつらせるほど真剣に悩み抜いて購入した勝負ブラ&パンティーなのではない。
怒れる乙女心を瞳に映る炎へと変え、正面に立つ『悪鬼』のリーダーを睨みつける。
その姿に葵の感情を感じとったのだろう。
リーダー格の『悪鬼』はわざとらしい溜息をついて――片手を振り上げる。
「仕方ないか。……――ヤレ」
「「御意!」」
「っ!? 二人掛かり……きゃあっ!?」
腕が振り下ろされると同時に駆け出した『悪鬼』たちが左右から挟撃するように葵に迫り、咄嗟の判断が遅れてしまった彼女の両腕を掴む。
手首をガッチリとホールドすると、拘束から逃れようとする彼女を押さえつけながら捕えた腕を捻り上げた。
「あううっ!?」
「ふっ、いい格好だな? まるで誘惑するかのように胸を突き出す姿……扇情的じゃないか」
「~~~~ッ!! この外道っ!」
バンザイするように身体の前から頭の後ろへ回れる形で拘束されたため、自然と胸部を前方へ突き出す体勢になってしまった。
さらに追撃として飛びかかってきたさらなる二人の『悪鬼』に両足首も抑えられてしまい、葵は十字架に磔にされた聖人のように束縛されてしまう。
苦悶の声を零しながらもがく彼女に恐怖を与えるためか、ゆっくり、一歩一歩床を踏みしめながらリーダーが近づいてくる。
その手の中には、さきほど同士が弄んでいた白い縄のようなもの。
両端を掴み、不気味に揺れるソレを葵に巻き付け、締め上げようというのだ。
だが、そのためには邪魔なシロモノが残されている。
「乙女の大切なモノを護る最後の守護者。君の役目もここまでだ。さァ、総てを曝け出すがいい!」
声高々に宣言すると共に、リーダーの脇に控えていた『悪鬼』の腕が葵の胸元を護るブラジャーへと伸ばされた。
カップを繋ぐフロント部分を鷲掴みにすると、器用に手首の返しだけで裏側のホックを外して奪い取る。
瞬間、拘束具としての役割も果たしていたブラより解放された柔肉が踊る様に飛び出した。
海斗との性生活によって豊かさを増したソレはマシュマロの如き滑らかさとゴム鞠の如き弾力を兼ね揃えた至高の宝具。
重力に逆らうようにツンッと突き出した乳房は自らを鼓舞するかのように周囲を威圧し、蛍光灯の光を反射して白く輝いている。
途端、『悪鬼』共の視線に驚嘆、羨望、情欲……幾重もの感情が浮かび上がった。
降り注ぐ視線を感じ、かっ、と葵の頬に朱が射す。
こんな卑劣な方法をとることしか出来ない輩に肌を曝け出すことになるなんて!
悔しさで歯軋りする葵の脳裏に、悲しげに微笑む海斗の姿が過ぎる。
――ごめん……ごめんね海斗くん……。
「懺悔か? だが、罪を犯した罪人に過去を悔いることなど許されない」
「なっ!? なにが罪なのよ!?」
「わからないのか。――ああ、そうだろうさ。貴様ら罪人は何時だって自らの傲慢さと罪深さを理解しようともしない。だが、そんなことは許さない。今ここで、貴様の罪を暴き出してやる!」
嗚咽を堪える葵に言葉を投げかけるでもなく感情を感じさせない無表情で佇んでいたリーダーが握りしめていた白いソレを視界に写し、反論する葵の顔が一瞬で青ざめた。
許しを請いたい。やめてほしいと泣き叫びたい。
だが、彼女らはやめてくれないだろう。
なら、自分に出来ることは自分自身に誇りを持ち続けることだけだ。
覚悟を決めた葵の眼差しを真正面から睨み返すリーダーは許しがたい激情に駆られるまま白いソレを葵の身体に巻きつけ、縛り上げた。
素肌の上を這いずりまわるソレの悪寒に耐える葵の声に重なって、固唾を呑んでリーダーの言葉を待っている『悪鬼』共の喉が鳴る音が無音の空間に響き渡る。
やがて、シュルシュルという無機質な音が止むと、絶望で真っ青に染まった“少女”の唇から『その言葉』が告げられる――……!
「【
『ごっはぁぁあああああっ!?』
「ば、ばかなあ!? 新学期の時はギリギリ【
「で、でも、間違いなく“ぼりゅーむあーっぷ”していやがりますとのことですわ!? ウエストもなんかこう……“しぇいぷあっぷ”されて……っ!!」
『ノゥオオオオオオオオ――ッ!?』
『悪鬼』と化していた女子生徒たちの吐血が宙に舞う。
彼我の間に隔絶されたあまりの戦力差に泣き崩れる者。
天を仰ぎ、理不尽な現実から目を背ける者。
床を叩き、滂沱の涙を流す者。
ごくごく一部の“いろいろ”と豊かな少女たちはホッと胸を撫でおろし、
その誰もが、可愛らしく美しい下着姿の少女たち。
ここは愛武学園の保健室。
学園名物、長期休暇に突入する生徒たちの体調を確認するために開かれた健康診断の会場だ。
『悪鬼』と化して
「おっぱいの大きさが戦力の決定的な違いじゃないんだからねっ!?」 と主張する、可愛いという表現がよく似合う『ちっぱ~い』。
「揉んだらおっきくなるってホントかな……?」 と人目を憚りながらコソコソ部屋の隅に身を寄せ、たどたどしい手つきで“もねもね”してしまう『なみちっちぃ~』。
美しい形を誇らしげに語る『びっにゅう~ん』や、「これくらいのサイズになっちゃうと可愛いデザインのってあんまりないのよね~」と自分で持ち上げながら談笑する『でっかぱいぱ~い』のグループによって形成された勝ち組~ズ。
仁義無き乙女の聖戦の舞台となった純白の舞台は、勝者と敗者、理不尽なる現実を少女たちへと突きつけながら
「泣くくらいなら、やめときゃいいのに」
呆れ顔で煙管を吹かす不良保険医お姉さまの呟きは、留まるところを知らない悲鳴と歓声の二重奏に呑みこまれていく。
おい教師、仕事しろよとツッコミが無いのを良いことに、レースの薄カーテン越しに空を見上げつつ香の煙で肺を満たす優雅なひと時を堪能するのだった。
ちなみに、ちっぱい筆頭の桃花サンは成長著しい親友たちとの戦力差に光を失ったレイプ目がよく似合う狂気モードに変貌。
頭部を斜め45度の角度に折り曲げ、ゆらゆら左右に揺れる亡者の如き様を見せるちっさい友人をフォローすべく、
「……へぇ~、それはそれは。私には一生関わり合いのないお悩みをお持ちのようでございますねぇ~」
と瞳孔開きっぱなし&無表情という寒気がする
この日以降、桃花の前で胸に関する話題が禁句となったのは言うまでもない。
――◇◆◇――
「なんてことがあったんだよ! どう思う?」
「ハハハ」
「どういうこと!? 私の苦労話のどこに笑う要素があったのっ!?」
「むしろ、なぜにわからんのか。ああもう、口元にソースついてるぞ。ほら、じっとしてろ」
「うみゅぅ……」
学生生活の中でひっそりと存在するオアシスタイム、別名“昼休み”。
空腹によって修羅と化した学生たちでごった返しているであろう食堂の喧騒も聞こえない静かな
地面に敷いたビニールシートの上に腰を降ろした二人の間には、海斗くん特性の重箱が鎮座し、色とりどりのおかずとおむすびが顔を覗かせている。
初夏の爽やかな日差しとそよ風に靡く新葉の擦れる音が心地良いBGMとなって、ほとんど新婚さんカップルと化した二人の頬を撫でていく。
数日に一度は昼食を同席しようと二人で取り決めてから何度めかになるお弁当タイム。
午前中に予定されていた体育測定に備えるべく、
食前茶で喉を潤すなり、もう待ちきれないと箸を動かし続けること早十分、あっという間に普段の昼食分程の量をぺろりと平らげた葵は、ひと息ついて余裕が出来たらしく、箸の動かすスピードを幾分か落として体育測定の出来事を話し聞かせていた。
口の周りをハンバーグソースでルージュするという、年頃の娘さんとしては非常にいただけない恰好で。
慣れた手つきでハンカチを取り出した海斗に口周りを拭ってもらいながら、箸を離さないのは流石と言うべきか。
いつのまに俺の奥様は腹ペコキャラにジョブチェンジしたんだと、主夫街道まっしぐらな旦那様はちょっぴり呆れ顔。
それでも、どことなく幼い仕草を見せる葵の姿に、胸をドキドキさせてしまうのは惚れた弱みという奴か。
「……ん?」
拭き終ったハンカチを仕舞おうとして――思わず手元に目を落とす。
海色の生地を染める焦げ茶色のハンバーグソース。
なんとなしに鼻元へ寄せて、クンクンと。
「ひゃわああああっ!? 何してんの!? なにしてくれちゃってるのかなあ、海斗くんっ!?」
「え、いや、……うん。何してんだろ、俺?」
「知らないよっ! もう、おバカっ」
「あた、あたた……。こら、ぽこぽこ殴るな痛いだろ。――つか、これでも箸離さないってどんだけ腹ペコだったんだ?」
「燃焼率が高い体質なの! お腹のお肉とか付きにくい、『ぱーふぇくとぼでぃー』なんだからねっ」
「でも、胸部装甲は順調に成長してたんだよな――あいだーっ!? ちょ、刺さった! 箸が俺の旋毛にっ!?」
「元凶がいけしゃあしゃあと何言ってるのっ。そもそも、おっきくなっちゃったのは海斗くんが私の……その、……おっ、おっぱいを『もみもみ』したり、『ちょんちょん』引っ張ったり、『ちゅーちゅー』吸っちゃったからでしょっ!」
「ちょ、声がデカい!? まったくもってその通りだが、世間体というものがとても怖くてだな!?」
ぎゃーすかぎゃーすか、弁当のお零れを狙って息を顰めていたカラスも喰わぬ……もとい、カラスも甘ったるく形容し難いナニカが込み上げてきたかのような表情で逃げ去っていくほどの痴話喧嘩が繰り広げられる。
これまた十分後、肩で息をするほどに疲労したバカップルが仲直りをした姿がそこにあった。
どうやら、内なる不満を大声で吐き出したため、ある程度発散されたようだ。
ただし、先ほどまでと違う点が一つ。
「結論。私がセクハラされちゃったのは海斗くんのせいです」
「あーもー、それでいいです。……で? 何故俺の膝に乗っかっているのか」
「海斗くんのせい、つまり海斗くんが悪いと当方は結論づけました。よって、贖罪を申し付けます。……あーん」
胡坐をかいた海斗の腕に抱かれながら、はにかむ様に舌をぺろっと出した葵が可愛らしく『おねだり』をしてくる。
まったくしょうがない奴めと大袈裟に肩を竦める海斗は、心臓の鼓動が速まってくのを悟られないよう冷静な表情を作りつつ、お姫様のおねだりに応える。
片手で葵の腰を抱きしめ、もう片方で箸を操ってお姫さまがお目当ての一品を摘み上げる。
「ほい、あーん」
「あー……んむっ♪」
葵が最初に『あーん』されたのは、今日の自信作でもある三種のミートボールのひとつ、小振りの
タネにレンコンのみじん切りを加えることでしゃきしゃきとした食感と歯ごたえを生み出す。
さらに噛めば噛む毎に内側から卵の濃厚な甘みがさっぱりとした鶏肉と絶妙のハーモニーを奏でるのだ。
濃厚なカマンベールチーズとチェダーチーズを混ぜ合わせたチーズ玉が入ったチーズボール、あえて意表を突いた仕込み無しのガッツリハンバーグボールからなるミートボール三連星。
空腹にあえいでいるであろう葵を想い、昨晩から仕込みを済ませていた海斗自信の一品だ。
無論、野菜と魚のバランスも考えられたメニューとなっていて、王道の塩じゃけやポテトサラダ。千切りキャベツに惣菜も数種とバラエティに富んでいる。
旦那様の愛情がいっぱい詰まったおかずを手ずから食べさせてもらう幸福感に、葵の額に浮かんでいたお怒りのシワが瞬く間に霧散していく。
インターバルを挟んで一通りのおかずを食し、空腹を満たせたお姫さまが食後の麦茶を一飲みすれば、すっかりいつも通りの葵お嬢様の笑顔が舞い戻ってくる。
――かと思いきや、海斗が自分の昼食を始めるなり、「うにゅぅうう~っ!?」 と顔を真っ赤にさせて胸をぽかぽかと叩いてくるではないか。
「どした?」
「どしたじゃないの! それっ、お箸! 私があーんされた奴っ」
「んん? あー、そう言えばそうか。関節キスだな」
「もお! そういうの禁止! はいストーップ!」
胸元で両手を交叉させてバッテン印を作る葵に、思わずらしくない「ええっ!?」 と驚愕の声を上げてしまった。
「いや、お前……いまさらだろ?」
「そうだけどそうじゃないのっ! む、む~! 乙女心の問題なのっ!」
「理不尽が過ぎるぞ!? 基準が分からん」
「とにかく、だーめーなーのーっ!」
両足をバタつかせる葵にてんやわんや振り回されつつも、こんな時間も悪くないと海斗は思う。
恋は盲目。
偉人の言葉を、身を以て理解した初夏の一幕であった。
――◇◆◇――
「あっ……は、ぁ……はうぅうううっ!!」
ファンシーなぬいぐるみで彩られた新婚夫婦(仮)の寝室で、甘い少女の悲鳴が響く。
彼女の耳に届くのは、ぴちゃぴちゃと粘着質な液体を舐めとるような舌使いの音。
思わず目を閉じて頭を振ってしまうものの、視界を閉じてしまった事で敏感になったのだろう。
淫蕩なソレに混じって濡れすぼった彼女の陰毛を撫でる様に擽る吐息の感覚が笑み言えぬ快感となって彼女の下肢を駆け巡った。
股の間から肉付きの良い太ももへ、引き締まった足を撫でる様に駆け抜けたソレは足の指先まで一秒もかからず到達し、きゅうっとシーツを握る足の指に力が籠ってしまう。
彼女は今、ベッドの上で拘束されている。
立位……つまり膝立ちになって両手を後ろ手に拘束されているのだ。
腰の辺りでリボンらしき布地によって縛られた両手首を解くことが敵わず、ベッドに倒れ込もうとしても、
「やぁぁ……海斗ぉ……く……っ!!」
再びの衝撃。今度はアソコから背筋を駆け昇って脳天へと突きぬけていった。
まるで地面から放出された電撃に躰を貫かれたかのような衝撃。
瞑っていた瞳は大きく見開かれ、だらしなく弛んだ口元からはどうしようもなく発情した“牝”を思わせる喘ぎ声が溢れ出す。
目尻に浮かんだ涙を拭うことも出来ない葵は、快感と興奮で震える上肢を何とか前のめりに俯かせ、
ソレに気づいた海斗は、溢れんばかりの蜜液で淫靡に濡れすぼった秘唇を舐めていた舌をひっこめ、
「ん? どうかしたか?」
意地悪そうな笑みと共にそんなことを言い出した。
「いっ、いじわるっ! こんなことして許さないんだからねっ!」
「え~? でも、悪い娘にはお仕置きが必要だろう? お袋さんから言われたこと無いか? 『ご飯を残しちゃいけません』ってな」
夕食時、いつもより箸の進みが悪かった葵は料理の半分も口にせず席を立った。
海斗が体調でも悪いのかと心配するのを余所に、「何でもないから」の一点張りで部屋に閉じこもったのが今から一時間ほど前。
もの凄く名残惜しそうに残された料理を見つめながら、後ずさりでリビングの入り口まで移動した後、涙を流しながら寝室目掛けて駆け出した彼女の奇行に疑問を覚えつつも、そんなに気にしなくてもいいかと結論付けた海斗は後片付けを済ませて入浴のため風呂場へ。
数十分後、桜色に肌を染めた海斗が鼻歌まじりでリビングに戻って目撃したのは――キッチンの戸棚に仕舞っていた菓子類を開封し、ハムスターのようになるまで頬をパンパンに膨らませつつ貪り食う葵のお姿。
一瞬の静寂。
ドアを開けた体勢で固まった海斗に気づき、頬を膨らませたまま振り向いた葵の菓子を咀嚼する音だけが室内に響き……海斗の主夫魂が大爆発。
荒ぶる猛虎と化した海斗に気圧されリビングで正座になった葵から事情を訊き出してみれば、あきれることに、
「わっ、私が今日ひどい目に遭ったのは、海斗くんの美味しいご飯を食べ過ぎちゃってたせいもあると思うの! だからその……食事制限を考えてみたりした……なんだけ、その……」
人さし指の先をつつきあわせながら視線を彷徨わせる葵のお腹から「きゅぅ~っ」と可愛らしいお声が。
まあつまり、ダイエットを決意したので食べる量を減らそうと努力しようとした……らしい。
胸も脂肪だから、これ以上大きくならない様に(他人の視線的な意味でも、水泳選手としての意味でも)、シェイプアップが必要と感じたのだとか。
――が、いきなり普段の半分まで食事を減らすのは流石に無理があったらしく、海斗が入浴している最中でお腹の虫が大合唱。
胴にも堪えられなくなった葵はフラフラとキッチンまで彷徨い出でて、冷蔵庫に仕舞われたおかずの残り――ではなく、何故かチョコレートやポテチの類を引っ張り出して今に至る、と。
抑制された食欲が、お菓子を求めちゃったんだよ! とは本人の弁。
とまあこんな感じで。
まったく反省の色を見せないどころか開き直ってさえいる我儘お嬢様にお灸を据えてやろうと決意した海斗くん。
そういうことなら、よく効くダイエットを知ってるぞと落とし文句で彼女を寝室へ引っ張り込み、室内着――Tシャツとスパッツを素早く剥ぎ取ると、ぬいぐるみの装飾に使われていたリボンを紐代わりに腕を縛り、ベットの上で膝立ちになった彼女に寝ころんだ自分の顔の上を跨らせて……えっちなお仕置きタイムへ突入したのだ。
秘唇に舌を這わせ、彼女が身悶えるごとに魅惑のダンスを踊る乳房を両手で持ち上げる様に掴む。
敏感な乳首を押し潰す様に掌を当て、逞しい彼の掌でも納まりきらない柔らかな双丘は指の動きに合わせていやらしく、淫らにその形を変えていく。
彼の手によって、深部に芯を残していた未成熟の果実であった乳房は、始めて肌を重ねた時に感じた様な痛みを欠片も感じなくなっていて。
指先が乳肉に沈み込むたびに、掌が柔肌と擦りあわされるたびに快感混じりの艶声が溢れ出してしまう。
海斗の指が動く度に、葵の肩が痙攣するようにビクッビクッと震えてしまい、全身から力が抜けていく。
そのまま脱力しきり、ベットに身を投げ出したい欲求が彼女を襲うものの、海斗は乳房を持ち上げるように下から揉み上げて来るので倒れることが出来ない。
かといって背中をのけぞらせて後方に倒れ込もうとすれば、そうはさせまいと胸を掴む指に力が籠り、乳首を引っ張ってきた。
敏感な乳首を抓られる痛みが彼女の逃げ道を塞ぐ。
すると、彼はご褒美とばかりに秘唇に舌を這わせ、挿し入れてきて。
皮を剥かれて露出した
指先よりも柔らかく、彼の熱を感じやすい
腰をくねらせ、痺れるような快感に身悶える葵の熱を帯びたソレは、瞬く間に彼の口を、顔を濡らしてしまう。
室内灯の灯りに照らされてキラキラと輝く粘着質なソレを視界の端に捉えてしまい、葵の頬が桜色から朱へと染まり替わる。
恥ずかしいのに、叶うなら今すぐ逃げ出したいのに。
彼女の心臓は張り裂けそうなほど激しくドキドキを繰り返し、快感に震える躰はもっともっとと彼の唇に、彼の手に躰を押し当ててしまう。
足の指が掴むシーツのシワはどんどん深さを増し、頭を振るごとに舞い踊る黒髪が全身を濡らす興奮の汗で躰にへばり付いてくる。
それはまるで、桜色に染まった滑らかな肌、まろやかな曲線を描く魅惑の裸体を黒曜石のような黒がコーティングしているかのよう。
愛しい少女が自分の上で羞恥と興奮混じりの表情を浮かべて快感に浸っている。
男心を擽るシチュエーションに、海斗の興奮もまた抑えようがないほどに高まっていく。
寝間着のズボンを突き破るほどに荒ぶった己の分身を自覚しながら、最後の追い込みとばかりに膣口に突き刺した舌の動きを加速させた。
同時に熱を帯びた乳肉を押し潰さんばかりに乱暴な手つきで揉みしだき、怒濤の津波の如き快感を送り込む。
「ああっ、あ、あは……っ!? ま、まっ……ふぁ、あ、あぁぁあああああーっ!?」
ビクンビクンッ! と躰を痙攣させた葵が絶叫と共に背中を逸らし――四肢からフッと力が抜ける。
絶頂と共に噴出した潮で顔面を濡らしながら彼女の股から抜け出して身体を起こした海斗は、躰を痙攣させて小さな喘ぎ声を零し続けている葵に覆い被さり抱きしめた。
彼女の背中に手を回し、両手を拘束していたリボンを解いて自由にすると――突然、獲物を見つけた大蛇のような俊敏な動きで海斗へ絡みつき、抱きついてきた。
両腕は首へとまわされ、足は腰へ。
しがみつく様に抱き着いてきた葵と至近距離で見つめ合うことになった海斗は、すぐ目の前で怒りとも懇願とも取れる葵の泣き顔と向きあうことになり、
「どうして欲しい?」
「いっ……いじわるいじわるいじわるっ! 海斗くんのバカっ! おー嘘つきっ!」
「おやおや、心外だな。食事を蔑ろにした挙句、間食に走ったお馬鹿さんへのお仕置きと、ダイエットの手伝いをしてやっているんじゃないか。感謝してくれてもいんだぞ?」
「なにが感謝だよぅ……」
むくれるように頬を膨らませた葵を愛おしげに撫でてあげながら、海斗は腰を揺すって位置を合わせていく。
その動きに反応したのか、葵の腰が海斗に合わせる様に動き、荒ぶる陰茎を秘唇へと誘っていく。
そして――
「ふっ、知らなかったのか? セックスって体力使う上に、体温が高まりやすいから発汗を促進しやすいんだよ。まあ、男の方が汗掻きやすいが……さっきのお仕置きで葵も汗まみれになってることだし? 効果はあるんじゃないか」
「あっ、汗の種類が違うと思うんだけどっ!? 確かに運動って言えばその通りなんだけれどもっ……なんか違わないかな――あ、あああああうっ! ちょ、不意打ちはずっ、ズルいよおっ!」
途中だった反論は、秘唇にめり込んだ亀頭が膣道に沈みこんでいく官能によって淫声へと変えられてしまう。
巨乳と言ってよいほどに成長した乳房はパンパンに張り詰め、まるでミルクが詰まっているかのようなソレが男の胸板で淫靡に押し潰され。
待ち焦がれていた
「葵……っむ」
「ふぁ、ん……んっ、んふっ、んにゅぅぅうううう~~っ!」
喘ぎ声を零していた葵の唇を己の唇で塞ぎ、熱に侵された様に熱く蕩けきった少女の口内を侵す。
舌を絡みつかせ、歯の表面をなぞり、内頬を、上顎を、歯茎を、彼女の総てを舐め、味わい、感じ合って……一つになっていく。
互いの唾液が混ざり合ったソレが双方の喉を通り過ぎていくとほぼ同時に、亀頭がコリコリと膣ヒダとは異なる感触の子宮口へと到達した。
正常位の抱き合う形で繋がった二人はどちらともなく腰を動かし始めて、躰の芯を貫く快感を双方に送り込む。
ガチガチに起立した陰茎が膣ヒダを抉るように挿入を繰り返し、子宮口を突き上げる様にノックすれば頭の中がはじける様な快感を葵に与え。
膣のヒダヒダが陰茎を扱き上げ、いちばん深いところに沈ませた敏感な亀頭を子宮口が吸いついてくれば、海斗の背筋を戦慄じみた官能の衝撃が駆け巡る。
腰の奥の熱に反応して子宮頸管粘液が放出され、膣道に突き刺さった陰茎を包み込む。
蜜液と混ざりあったソレは挿入の際に入り込んだ空気の気泡と混ざりあい、にっちゃにっちゃと淫蕩な音を生み出す。
膣ヒダがキュンキュン疼き、戦慄くヒダの動きがより激しさを増していく。
その動きに誘われるかのように、海斗の腰の動きがかき混ぜる様に円を描くソレへと変化していき、膣内の至る所がエラと陰茎そのもので擦られてしまう。
瞬間、葵の脳内でバチンっとブレーカーが落ちたかのような音が鳴り、視界総てが白い光で埋め尽くされた。
「あっ、あ、あーーっ!!」
悲鳴とも艶声とも取れる喘ぎ声と共に躰を痙攣させる葵。
瞳は蕩けたようにとろんと潤み、唾液で淫靡に濡れた唇からピンク色の舌先が覗いている。
お仕置きという名の愛撫によって限界近くまで昂っていたため、瞬く間に絶頂を迎えたらしい。
溢れんばかりの蜜液と子宮頸管粘液で満たされた蜜壺は痙攣を起こしたかのように突き刺さった陰茎を締め上げ、射精を促してくる。
丁度引き抜く際中だったこともあり、もっと敏感な亀頭が戦慄く膣ヒダで全包囲されてしまっていることも、ひときわ大きな快感を海斗に与える要因だ。
歯を食いしばり、込み上げてくる射精の欲求に耐える。
これはお仕置きなのだ。
こんな簡単に
果たしてどれほどの時間がたったのか。
葵の両脇に手をついてベットのシーツを握り締め、下腹部から広がる快感に耐える海斗に抱きついていた彼女の四肢の力が、ふっと弛んだ。
律動していた膣ヒダの拘束が緩み、葵の瞳から焦点が失われていく。
意識が飛んだのか、半開きの唇からは言葉にならない喘ぎ声が零れ落ちるのみ。
そんな彼女を抱き抱えたまま両手でパンパンに張った尻肉を掴み――
ズンッ! と膣奥まで一気に貫いた。
「きゃぁぁああああっ!? あっ、あああ、あああぁぁぁああああーーっ!?」
白い世界から一突きで引き戻された葵の悲鳴をかき消すかのように激しい腰つきで、一心不乱に膣道を搔き分け、抉り、突く。
子宮の入り口を先っちょで擦るに留めていたさっきまでとはうって変わり、亀頭の先端が子宮に突き刺さるほど激しく突き上げられる。
激しい腰使いは互いの太ももを打ちわせてパンパンとリズミカルに音を慣らし、躰の内側を掻き回されるかのような快感を葵に送り込んでいく。
息が詰まり、呼吸がでいているのかさえ分からない。
絶頂に達し、感覚が鋭敏化している最中での激しい交わいに反応して、葵の全身から際限なく汗が流れ出していく。
昂奮によるものか、それとも怯えによる冷や汗か。
僅かな理性をそんなとりとめもない思考に回す余裕は彼女に残されておらず、ただひたすらに全身を侵す官能の嵐に身を委ねていた葵の背中が、不意に弓なりに反らされた。
本能で感じ取ったのだろう。彼女の躰が、子宮が求める海斗の
再び飛び込んだ真っ白な世界で、煌びやかに輝く宝石のような輝きに包まれた――瞬間、
「イッ……ク……! またっ、イッちゃぅぅううううっ!!」
「ッ!!」
海斗が感じたのは、引き摺りこまれるかのような錯覚。
陰茎をしごく様に蠢いていた膣ヒダが、まるで螺旋を描く波のように律動し、射精を促してきたのだ。
膣奥まで貫き、子宮口をこじ開けた瞬間に襲い掛かってきたソレに対抗する余裕は海斗に残されておらず、本能の赴くままにソレを解き放った。
灼熱の精液が子宮へと降り注ぐと共に膣の収縮がかつてないほど激しく、強くなった。
「うっお、おお……!? 絞っ、られ……!」
「ああああんっ! せ、せーえきがぁ! かいとくんのせーえきが……わたひのぉ……しきゅぅにぃ! あんっ、だ、だめぇ! またイッちゃうからぁああっ!」
終ることが無い射精がもたらす快感は、官能の津波となって海斗の、葵の心を呑み込んでいく。
道徳や理性などという感情は跡形もなく押し流され、残されたのはただ目の前の愛しい存在を求める本能のみ。
子宮と膣道に染み込んでいく精液の感触で悦に染まった葵の唇に海斗の唇が重なった。
言葉は無く、ただ貪るようにお互いを求め、絡み合う。
射精が終わっても交わりは終わりを見せず、官能によって引き上げられた体温がどれほどの時が経過しても冷める兆しを見せない。
お互いの後頭へ手を回し、自分の方へ引き寄せながら唇を、躰を重ね続ける。
ぴちゃぴちゃ、と淫蕩な水音のみが室内に木霊する。
それは、両者が眠りにつくまで鳴りやむ事は無かった。
翌朝、ベッドの上で寝転がったまま、腕の中でむくれているお嬢様に怒りの『おでこぐりぐり』(海斗の胸板に額を擦り付け、不機嫌さをアピールする葵の必殺技その3)を繰り出されている海斗の姿があった。
頬を膨らませるお嬢様のお怒りを鎮めるように彼女の背中を撫でながら、
「いや、ほら、汗一杯掻いただろ? な? ダイエットになったんじゃないか。手の縛りだって後になってないし……うみゅ、いひゃいいひゃい」
頬を抓られた。地味に痛い。
「そーゆー問題じゃないのっ! もぉ、海斗くんのお馬鹿っ。えっちの権化っ。節操なしっ」
「……そんな俺は嫌いか?」
「う……! そっ、そーゆーズルいところが嫌いっ」
「俺は葵の全部が好きだけどな」
「~~~~ッ!? もうもうもうっ、どうしてそーゆー恥ずかしい台詞を真顔で言っちゃうのかなあ!?」
ぽかぽかぽかと照れ隠しの犬パンチが炸裂。効果はいまひとつのようだ。
結局、この後。
いちゃいちゃしまくるうちに「もし私が恥ずかしい目に遭っちゃったりしたらアナタが責任取ってよね―――私の旦那様っ」「喜んで引き受けよう――俺の愛しい奥様」という結論に達し、無事に仲直り(?) を果たしたそうな。
――追記。
この後、はっちゃけたようにいちゃいちゃした甲斐もあり、二人仲良く今日が平日だったことを記憶から飛ばししてしまい、後日、教育実習生として派遣されたとある女性とのフラグを立ててしまうことになるわけなのだが……小鳥が啄む様なキスを交わしまくっている現時点の彼らには知る由もないのだった。
次話の構想はあるんですが執筆の時間がなかなか……。
それでも、小説を書くのも読むのも好物なのでこれからもよろしくお願いします。