Uncontrollable insanity 作:彼方からの旅人 M
始めは嘘かと思った。
「ねぇ」
でも、血の滴りが。その嗅いだ事のあるその臭いが。
「何を見ているの?」
それが紛れもない現実なんだということを、ボクに突きつけていた。
「何を言っているの?」
目の前にいるピンク玉は、もうボクの知るピンク玉ではない。
「理解出来ないんだ。君は何を言ってるの?」
君はもう、狂ってしまったんだね。
「カービィ……」
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「あー、暇ダヨォ」
「暇ねぇ」
ここはボクの船、ローアの中。ボクとスージーはそこで暇だ暇だと言い合っていた。プププランドは今日も平和だ。研究しようが何をしようが時間は緩やかに過ぎ、事件も何も起こらない平和さ。ボクやスージーも住み始めた頃は、研究や実験に没頭していたんだケド……。
「そろそろ、研究のネタもなくなってきましたわよね」
「ダヨネェ……」
長い時間をここで過ごす中、思いつく限りの研究実験はほとんど全部こなしてしまった。とどのつまり、やることがなくなったのである。
「ここ、変な事件も起きないですものね」
「平和すぎて飽きるよネェ……」
呆れ返るほど平和なプププランドとは、よく言ったものだ。現に今呆れ返るほど平和なのである。スージーがキカイ化シンリャクとかいうので侵略しに来て、星の戦士にぶっ潰された以降何も事件が起きていない。あれからもう何年たったんだろうか。そういえば……。
「最近サァ………カービィ見ないと思わない?」
「…………そういえば。ローアにも、家にも来てませんわね」
「ダロォ?」
呆れ返るほど平和なプププランドにも勿論事件は起こるわけで、その事件の解決をするヒーローだって勿論いる。それが星の戦士、カービィだ。ボクもスージーもカービィに野望を止められ、救い出され、今ここにいる。腹が黒くて自己中心的で、嫌味たらしいムカつく奴だけど。誰よりもプププランドを愛しているのは、プププランドの仲間達を愛しているのは、きっとカービィだ。勿論、そんなヒーローもいつもは平和だから好き勝手過ごしてる。ボクやマルク、スージーやタランザ達が住んでいるドロシア宅、ローアの中、デデデ城、色んなところで好き勝手遊んでるような奴なんだケド…。
「そういえば…タランザも言っていましたわ。デデデ城にもしばらく来ていないのですって」
「街でも見かけないヨネェ……とうとう引きこもったのカナァ?」
「あのカービィが引きこもるなんて、天変地異でも起きるのかしら」
「また事件でも起きたりシテ………」
そこまで言い合って、プッと二人で噴き出した。
「ナイナイ、絶対ないネェ」
「どうせゲームでもしているのですわ、放っておきましょう」
そうダネェと言い合い、ボクらはまた次の研究の題材を探す。何も起こらないと信じて。
でも、この平和はもう……長くなかったらしい。
まさか本当に事件が起きるなんて……。
ボクはこの時、思いもしなかったんだ。