常夜灯に照らされる部屋の中でチッチッと秒針の音がやけに大きく耳に響く。間もなく日付が変わろうというのに、眠気が襲ってくる気配は全くない。
―――私・・・・・・楽ちゃんが好きだよ
羽のその一言が、楽の頭の中で何度もぐるぐると繰り返される。
うっすらと朱に染まった頬、少し照れたような笑顔、柔和な光を湛えながらもまっすぐに見つめる瞳。初めて見る「羽姉」ではない女性としての羽の姿がそこにあった。
―――・・・・・・オレ、やっぱり羽姉の事、姉ちゃんとしか見れねぇよ・・・・・・
悩んだ末の羽への答えだったが、本当にあれで良かったのだろうか。なるべく傷つけずに済んだのだろうか。もっと良い言い方はなかったのだろうか。様々な思いが頭の中を駆けめぐる。
―――意識してなきゃ、こんなに困るわけねぇだろ
いつか羽に女性として意識しないかと聞かれたときの返事が頭をよぎる。羽をきちんと「姉」として見なければいけない。一種の強迫観念ともいえるものが楽の中にはあった。一人の女性として羽を見るようになってしまったときに、自分の心はぶれないでいられるのだろうかと考える。
―――あれで良かったんだ
そう自分に言い聞かせる。自分は小野寺のことが好きだ。羽の告白を受けたとき、小野寺の事を考えながらもなぜか千棘の顔が浮かんでしまったのが気掛かりだったが、自分が今、結ばれたいと思っているのは少なくとも羽ではない。
「はあ・・・・・・」
自然とため息が漏れた。自分で決めて返事をしたものの、一つ屋根の下で暮らす羽の気持ちを考えると、胸が苦しくなってくる。
かたんと何度目かの分針の音が聞こえたとき、楽の背後ですっと障子が開く気配がして誰かが部屋の中に入ってきた。
―――まさか、羽姉!?
とん、と障子が閉じられ、ひたひたと楽のそばまで来ると、楽の背中に寄り添うように横になった。ふわっと漂ったシャンプーの香りは、間違いなく羽のものだった。
「・・・・・・私ね、あのあとずっと考えてたの」
突然の羽の訪問に言葉を失っている楽の背中に、羽がそっと語りかける。
「あのまま、夜ちゃんが持ってきた縁談の相手と結婚することになってもいいのかなって」
胸の前で握った羽の手にきゅっと力が入る。
「立場ってものがあるのも分かる、組織のことを考えたらそれが一番なんだろうなってのも分かる、でも、でも・・・・・・」
背中で羽が小さく震えているのが分かった。
「羽姉・・・・・・」
振り向こうとした楽の視界を黒い影がすっと覆い、直後に熱を帯びた柔らかなものが唇を塞いだ。
「・・・・・・えっ?」
羽にキスをされたのだと気付いたのは羽が唇を離し、目の前に羽の顔があることを認識できた後だった。
「羽・・・・・・姉・・・・・・?」
目の前に楽に覆い被さるようにして見下ろす羽の顔があった。どこか悲しそうな笑顔を浮かべ、潤んだ瞳で楽を見つめている。
「・・・・・・ごめんね、楽ちゃん。」
そう言って羽が再び唇を重ねてきた。優しく、相手の存在を確かめるようなキスだった。楽はその柔らかな感触に、全てを委ねてしまいたい衝動に駆られそうになるのを必死で抑え、羽の肩を掴んで唇を引き離す。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、羽姉!」
羽は表情を変えないまま、静かに楽を見つめ返している。
「そ、その、羽姉さっきも言ってたじゃんか、姉弟としてって。なのに、なんで・・・・・・」
楽の顔の横に手をついたまま「・・・・・・そうね」と、ぽつりと呟いて羽は言葉を続ける。
「夜ちゃんに結婚を急かされてるって話は、さっきしたよね」
「あ、ああ」
「その縁談をまとめるのって、一週間後なの」
「ちょ、なんでそんな急なんだよ」
「こんな話は前からもあったんだ」
すっと羽が体を起こす。
「これまでは断ってきたけど、二十歳になった以上は大人として、そして首領として責任を果たさなくちゃいけないって・・・・・・」
羽がふっと顔を逸らせた。その横顔には諦めにも似た表情が浮かんでいた。楽は身体を起こすと羽の方へ向き直った。
「でも、そんな・・・・・・、羽姉の意志だって・・・・・・」
「楽ちゃんだって分かるはずだよ?」
「・・・・・・え?」
「千棘ちゃんと恋人のふりをしているのはどうして?」
何か言おうと口を開きかけるが、何も言葉が出てこなかった。
「ね?そういうことなの・・・・・・」
組織が大きくなってくると、その中、特に上に立つべき者は個人の意志では行動できなくなることがある。まさに楽と千棘の関係はそうして始まった。そして今、羽は組織のために自分の心を殺そうとしているのが楽には分かった。
「・・・・・・だからって、いいのかよ?」
「しょうがないよ。もう、私しか残ってないんだから」
そう言って、無理矢理の作り笑いを浮かべる。
「・・・・・・」
楽はこんな時に何もできない自分が歯痒かった。もし、あのときに羽の告白を受け入れていたら、あるいはずるいことだと分かってはいるが、返事を曖昧にしてとりあえず保留にしておけば状況も変わっていたのではないかという考えが頭をよぎる。
「・・・・・・やさしいね、楽ちゃんは」
楽の沈黙の意味を察したように羽が微笑む。
「でもね、全部を諦めたってわけじゃないんだよ」
「え?じゃあ何か・・・・・・」
「いい方法があるのか?」と聞こうとした言葉を遮るように、羽が楽の胸に顔を埋めてきた。
「ちょっ、羽ね・・・・・・」
「私を・・・・・・貰って・・・・・・」
羽を離そうとして、その肩に伸ばしかけた楽の手が止まる。
「私を貰って欲しいの、楽ちゃん」
胸に添えられた羽の手が、きゅっと楽の浴衣を握った。
「で、でも羽姉、俺は・・・・・・」
「・・・・・・うん、分かってる。だから、お嫁さんにしてって言ってるんじゃ・・・・・・ないの」
「え・・・・・・?」
楽には、羽が何を言っているのか理解できなかった。
全く「そういう」発想に至らない楽の鈍さを羽はもどかしく思う一方で、その純粋さがあるからこそ好きでいられたのだとも思う。
「少しの間・・・・・・そう・・・・・・「そのとき」が来るまでの少しの間だけで良いから、わたしを楽ちゃんの恋人にして欲しいの」
「・・・・・・」
「もちろん学校や人目のあるときはこれまで通りにするよ。でも、こんなふうに、本当に二人きりの時だけでいいの。そのときだけで良いから、わたしを甘えさせて」
「羽姉・・・・・・」
「わたしには、もう楽ちゃんしかいないの。楽ちゃんとの思い出があれば、この先もきっと頑張っていける」
楽の襟合わせを握る手にさらに力が入る。
―――・・・・・・わたし、ずるいこと言ってる
羽は、自分がしている楽の優しさに付け込むようなやり方にちくりと胸が痛んだ。でも、それでもと羽は思う。
「だから、お願い。楽ちゃん・・・・・・」
見上げると、目の前に楽の顔があった。その表情は困ったような迷っているような複雑なものだったが、真剣に考えていてくれていることだけははっきりと羽に伝わった。
「楽ちゃん・・・・・・」
楽の頬に羽の手がそっと触れる。頬に添えられた羽の掌からじんわりと温もりが伝わってきた。
楽の目をまっすぐに見つめながら、柔らかな光を湛えた羽の瞳がゆっくりと近付き、すっと目が閉じられる。
楽はもう抗うことができなかった。それはずるいことで、間違っていることかもしれない。たとえ自分の心に嘘を付く事になるとしても、だけれども、そのことで羽が短い間でも幸せになれるのならそれでもいいのではないか?羽の唇を感じながら楽はそう思い始めていた。
楽の両手が羽の肩に添えられ、その掌に力が入る。しかし、今度は羽を引き離そうとはしなかった。
―――楽ちゃん・・・・・・
楽が自分を受け入れてくれた。そのことが羽の心を走らせる。楽の頬に添えていた手を背中に回し、楽を力一杯抱きしめた。
二人はお互いの温もりを確かめ合うように唇を重ね、舌を絡ませていく。粘膜が触れ合い、体温を直接交換することがこんなにも気持ちを昂ぶらせることを二人は初めて知った。
「ふっ・・・・・・んん・・・・・・」
時折、重ねた唇の間から羽が漏らす艶めかしい吐息が楽の耳朶を刺激し、羽から上るシャンプーと女性特有の甘い香りが鼻孔をくすぐる。薄い寝間着しか遮るもののない胸元からは、羽が抱きつく腕に力を入れるたびに柔らかな乳房の感触が伝わってくる。
―――や、やばっ・・・・・・
自分の意志とは関係なく下半身に血液が集まっていき、むくむくとペニスが頭をもたげてくる。なんとか鎮めようと意識を集中してみるが、普段でも難しいものが、今のこの状況でできるわけなどなかった。
―――まずい、まずい、まずい!
焦る気持ちと裏腹に、ペニスはいっそう硬さを増してくる。トランクスがペニスを押さえつける窮屈さに、楽はついに耐えられなくなりもぞりと腰を動かした。
「・・・・・・?」
急にそわそわと落ち着きがなくなった楽を不思議に思い、羽が顔を離して楽を見上げる。
「どうしたの?楽ちゃん」
「あ・・・・・・、いや、な、なんでもないから!」
楽の顔が明らかに動揺している。羽の表情がますます怪訝になり、そして何気なく視線を下へと移した。
「・・・・・・え?」
羽には最初、「それ」が何なのか理解できなかった。胡座をかいた楽の股間で、浴衣を突き上げているものが勃起したペニスだという答えに至るまで数瞬の間を要した。
羽は二、三度目をしばたき、そして状況を理解すると一瞬で茹であがった。
―――わ、わ、わ~!
かろうじて声を堪えることには成功した。もともと、半ば楽に抱かれることを覚悟して来た羽ではあったが、いざこうやって現実に直面すると動揺してしまう。
「わ、悪い、羽姉。これは、その・・・・・・、勝手に・・・・・・」
ばつが悪そうに目線を逸らせる楽の姿を見て、羽はふうと小さく息を吐くと意を決した。
「いいの・・・・・・、楽ちゃん」
羽は羞恥に顔を染めながらも、慈しむような表情を浮かべて楽を見上げ、楽の股間へと右手を伸ばすといきり立つペニスを包み込むようにそっと触れた。
「ゆ、羽姉・・・・・・!?」
羽の思わぬ行動に楽が狼狽える。
「楽ちゃんなら、わたしは大丈夫だから・・・・・・」
自分に言い聞かせるように言いながら楽の胸に顔を埋め、ペニスに添えた掌を閉じる。楽が「うっ・・・・・・」と小さく呻くような声を上げ、身体をぴくりと震わせた。
―――す、すごい・・・・・・
羽は顔を埋めたまま、無意識にごくりと喉を鳴らしてしまった。初めて触れた男性器は、トランクス越しにも分かるほどの熱を帯びており、そこだけ意志を持った別の生き物のようにぴくぴくと震えていた。
初めての羽には、それが大きいのか小さいのかは分からない。ただ、羽の手の中には収まりきらない「それ」が、本当に自分の中に入るのだろうかという不安はある。しかし、同時に手の中で息づく温もりを自分の中に受け入れたいという欲求が羽の身体の奥できゅうっと疼き、じわりとした温もりを生み出してくる。そして、その思いが愛でるような動きとなって、包み込んだ楽のペニスを優しく刺激する。
「うっ・・・・・・、ゆ、羽姉・・・・・・」
楽にとっても初めてのその刺激は、徐々に楽の息を荒くする。自分でするのとは全く違う羽の手の感触に興奮が昂まっていく。もはや、何とか勃起を抑えようという気持ちは消え去ってしまい、トランクスの中では痛いくらいに自分のペニスがいきり勃っている。
「ゆ、羽姉っ!」
「きゃっ!」
ついに楽は感情が抑えられなくなり、羽の身体を掻き抱くと布団の上へと押し倒してしまった。咄嗟のことに驚いた羽が思わず声を上げる。
「あ・・・・・・」
羽の小さな悲鳴を聞いて楽が我に返る。楽の顔に見る見る罪悪感の色が浮かび、慌てて身体を離そうとするのを羽が腕を回して抱き締める。
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしただけだから」
微笑みを浮かべながら、楽の耳元へキスするように優しく囁いた。
「いいの、楽ちゃんの・・・・・・好きにして・・・・・・」
「・・・・・・ごめん」
楽の口から無意識に漏れた言葉は、目の前にいる羽に向けてなのか、想いを寄せる小咲に対してなのか、あるいは千棘に対してのものなのか、楽自身にも分からない。
「大好きよ、楽ちゃん・・・・・・」
そう言って羽が唇を重ね、楽の迷いを消そうとでもするかのように自分から舌を絡めていく。楽もそれに応えて舌を絡め、心の中の罪悪感を打ち消そうとするように羽の温もりに身を委ね、そして羽の身体を求めていった。
「んっ・・・・・・」
楽が羽のキャミソールの胸元に手を這わせると、羽が小さく身をよじって声を上げる。薄いナイロンの生地越しに、乳房の柔らかな感触と温もりが伝わってくる。
ごくりと楽の喉が鳴る。震える手で乳房を包み込むと、掌に勃起し始めた乳首の感触があった。
「はぁぁ・・・・・・」
楽の掌が乳首を掠めた瞬間、羽の口から甘い吐息が漏れた。
羽自身にとっても初めての感覚であったため、自分の口から漏れてきた甘い声色が自分のものだとは俄には信じられなかった。性の知識はそれなりには持っていたが、これまでオナニーもしたことがなかった羽にとっては未知の感覚だ。
「あっ・・・・・・んんっ!」
楽の指先が羽の乳首を転がすと、甘い電流が乳房を走り、抑える間もなく喘ぎが漏れる。同時にその電流は下腹部の奥を刺激し、体の中から漏れ出た温もりがじわりと性器まで降りてくるのがはっきりと感じられた。
羽の喘ぎを聞いて、楽の手の動きが徐々に大胆になる。躊躇いがちだった愛撫が明確な意志を持って乳房を揉み、乳首を転がす。
「やっ、あっ、あっ」
刺激を受けるたびに羽の乳首は硬さを増していき、はっきりと分かるほどにキャミソールを突き上げていた。
楽はその感触を直に感じるために、キャミソールの下へと手を潜らせる。ほっそりとした羽の身体はしっとりと汗ばんでいた。わき腹からなぞるように手を上げていき、乳房に直に触れる。肌理の細やかな滑らかな肌が楽の掌に吸い付くようだった。
羽の豊かな乳房は驚くほど柔らかく、楽の手の動きに合わせて自在に形を変える。乳房の頂点ではぴんと勃起した乳首が指先を押し返し、刺激を与えられるたびに「んっ、んっ」と抑えた喘ぎを羽が漏らす。
楽がキャミソールをたくし上げて胸元を露わにする。羽の豊かな乳房は横たえているにも関わらずきれいな形を保ち、乳首は痛々しいくらいに勃起していた。
常夜灯に照らし出された羽の美しい裸身に楽の動きが止まる。
「は、恥ずかしいよ、楽ちゃん・・・・・・」
思わず胸元を隠そうとする羽の手を楽が掴んで妨げる。
「すごくきれいだ、羽姉・・・・・・」
「・・・・・・ばか」
羞恥に顔を染めながら羽が顔を逸らせる。
楽は吸い寄せられるように顔を寄せると、羽の乳首を口に含む。
「んんっ!」
乳房の頂から快感が溢れる。楽が勃起した乳首を舌先で転がし、唇で挟む。そして、もう一方の手で乳房を揉みしだき、乳首を指先で転がされる度に甘い声が漏れる。
―――だめ・・・・・・、気持ちいい・・・・・・
快感を与えられると下腹部の疼きが大きくなる。その切ないようなもどかしいような疼きに自然と内腿を擦り合わせてしまう。性器の合わい目がぬるりと滑るのがはっきりと感じられた。
やがて楽の手が乳房からわき腹、腰骨から臍に向かって身体の線をなぞりながら、そして羽の反応を窺うようにしながら降りてくる。
ペチコートのゴムに触れたところで、迷うように手の動きを止めた楽だったが、羽が嫌がる素振りがなかったので意を決してその下、さらにショーツの中へと探るように手を進めていく。
「くぅ・・・・・・」
下着の中に楽の手が潜り込んでくるのを感じて、恥ずかしさのあまりにぎゅっと目をつむり身を硬くしてしまう。
楽も羽が身を硬くしてしまったのを感じたが、もう手を止めることはできなかった。
ショーツの中に手を差し込んで間もなく、指先に羽の陰毛の感触があった。それはこんもりと盛り上がった恥丘の上に予想外の密度で密生していて、羽が成熟した大人の女性であることを示していた。
柔らかな恥毛の丘をカーブに沿って指先を進めていくと、急激な角度で恥丘が谷底へと落ちていく。
緊張と羞恥で、ぴったりと内腿を閉じていた羽だったが、楽の指先が止まっていることに気付くと、恥ずかしさを堪えながらおずおずと足を開いていった。
僅かに開いた隙間に導かれるように楽は指先を進めていく。ショーツの奥は熱帯のように湿度を帯びた熱を持っている。そして、陰毛の森を抜けるとぬるりと指先が滑った。
「ああっ!」
その直接的な快感に、抑えることもできずに喘ぎを上げた。
楽は初めて触れた女性の性器の感触に指先の神経を集中させる。ふっくらとした大陰唇にもまばらに陰毛が生え、性器から溢れたぬめりで肌に張り付いている。ぴったりと閉じた割れ目の中心から、僅かに顔を覗かせているのは小陰唇だろうか。
「ん・・・・・・」
躊躇いがちに割れ目に沿って中指を滑らせると、羽がぴくんと身体を震わせた。再び、今度は中指に僅かに力を入れて割れ目をなぞると、割れ目は容易く綻び、楽の指を温かく包み込む。
―――う、わ・・・・・・
ぬかるんだ羽の割れ目の中は熱く息付き、指の腹に複雑な肉の感触がまとわりつく。本能に直接訴えかけるようなその感触に誘われるように、楽は夢中で指を滑らせる。
「あっ・・・・・・、あっ・・・・・・」
羽は初めて与えられる性器への愛撫に、シーツをぎゅっと握りしめながらも抑えきれない喘ぎを漏らす。
ものすごく恥ずかしいのに無意識に腰が蠢き、徐々に足が開いていくのを止められない。性器から溢れたぬめりは、時折つうっと会陰を通ってお尻の方へと垂れていく。
「あっ、くぅぅっ!」
それまでとは異なる突然の強い刺激に、羽の身体がぎくんと跳ねた。楽の指先が、顔を覗かせ始めた真珠色のクリトリスの先を撫でたのだ。
楽も中指の腹に感じた、感触の変化に気付く。割れ目の上の方、大陰唇が合わさるあたりに僅かな肉の盛り上がりがあり、そこから小さな肉粒が顔を出し始めていた。
―――こ、これって、クリトリス・・・・・・だよな?
楽の喉がごくりと鳴る。確かめるように、その小さな肉粒を指先でくるりと転がしてみる。
「や、ああぁっ!」
再び与えられた鋭い刺激に羽が抱きついてくる。
―――なに?なに、今の!?
乳首や性器とも違う鋭い感覚、まるで電気が走ったようで、しかもそれは信じられないほどの快感だった。
「はっァァァっ!」
羽が戸惑っている間にも、楽は夢中で刺激を与えてくる。刺激を受けたクリトリスは勃起して鞘の中から完全に姿を現し、さらに強い快感を生み出していった。
「やっ・・・・・・、ダメ!楽ちゃん・・・・・・ああっ!」
次々に与えられる強い刺激に、もはや羽は声を抑えられなくなっていた。同時に自分の身体の中で起きている変化に戸惑いを覚える。楽に刺激を与えられる度に、身体の奥に快感が蓄積されて風船のように膨らんできている。それが限界まで来てしまったら自分はどうなってしまうのだろう。羽は漠然とした不安を感じてしまう。
「ま、待って・・・・・・、楽ちゃん。ね、お願い・・・・・・」
結局、羽は「その先」を覗くのが怖くなり、力を振り絞って楽の身体を離した。
「あ・・・・・・、わ、わりい、つい・・・・・・」
羽に身体を押されて楽が我に返る。初めての経験で頭に血が上っていたことに、そこで初めて気が付いた。
羽は「いいの」と言うように首を振ると、上気した顔で楽を見つめた。
「もう、大丈夫・・・・・・だと、思う。だから・・・・・・」
その言葉に楽の胸がどくんと高鳴る。実際、楽の方も興奮でペニスがはちきれそうになっていて、少しの刺激でも射精してしまいそうだった。今すぐにでも羽の中に挿入してしまいたい。だけれども・・・
「羽姉、本当に・・・・・・いいのか?」
羽は自分のことを好きだと言ってくれた。しかし、自分はただ流されて欲望のままに羽を抱こうとしている。
「えっ・・・・・・と、羽姉だって、その、は、初めてだろ?なのに、こんな形でなんて・・・・・・」
いいのかよ?と尋ねようとした楽の唇を羽が塞ぐ。
「さっき「わたしを貰って」って言ったよね?」
楽の頬に手を添えた羽が唇を離して潤んだ瞳で見上げている。
「わたしは、楽ちゃんに初めてを貰って欲しいの。だから、楽ちゃんは気にしなくていいんだよ?」
「でも・・・・・・」
こんな状況になっても優しさを見せる楽に、羽は胸が熱くなる。でも、だからこそ楽に抱かれたいと羽は思う。
楽の頬に添えた手を楽の腰に回し、ゆっくりと浴衣の帯をほどいていく。
「ね、お願い・・・・・・」
震える手で楽のトランクスに手を掛けようとしていた羽の手を楽がそっと掴む。
「・・・・・・分かった」
羽の手首を掴んでいた手をそのまま掌に重ねて指を絡ませながら、楽は自分の方から唇を重ねていった。
「ん・・・・・・」
羽は幸せそうに目を閉じると、握られた手に指を絡ませる。
貪るように舌を絡めながら、楽は羽のペチコートとショーツを脱がし、自分のトランクスも脱ぎ捨てた。戒めを解かれたペニスは、興奮でこれまでにないほど勃起し、腹に付きそうな勢いで反り返っている。
楽は唇を離すと、羽の足の間に身体を入れて羽を見つめた。
「来て・・・・・・、楽ちゃん」
楽は小さく頷くとゆっくりと身体を沈めていく。
「ん・・・・・・」
うっすらと綻んだ割れ目に、ペニスの先端が触れると羽が小さく声を漏らす。濡れそぼった割れ目に亀頭が少し埋もれたところで、楽がぐいっと腰を突き出すが、ぬるりと割れ目を滑ってしまい「うんっ・・・・・・」と羽が喘ぎを上げた。
―――た、確か下の方だったよな・・・・・・
今度は慎重に割れ目を探っていく。ぬめる粘膜が亀頭の先を刺激し、早くしないと挿入する前に果ててしまいそうだった。
「・・・・・・そ、そこ」
割れ目の下のあたりを探っていると、羽が消え入りそうな声で楽に教えた。羽に示された場所にペニスを当てて腰を進めると、ぬるりとした感触とともに亀頭の先端が肉の孔に潜り込んだ。
今度は外してしまわないようにと、慎重に腰を進めていく。十分すぎるほど濡れていたそこは、予想外のスムーズさで亀頭を全部呑み込んだ。
「んっ・・・・・・、痛っ・・・・・・」
しかし、そこから先に進めようとすると、ゴムの壁のようなものに阻まれ、同時に羽が苦痛に顔を歪める。
「だ、大丈夫か?羽姉」
自分で訊いておきながらも、それは愚問だとも楽は感じていた。実際に羽は身体の一部を引き裂かれようとしているのだから、苦しくないわけがない。
「うん・・・・・・、大丈夫だから。続けて、楽ちゃん」
楽を気遣って羽が微笑みを浮かべる。その気丈な姿に楽は胸を締め付けられ、同時に愛おしさを感じてしまう。
「ごめん、少しだけ、我慢してくれ」
「うん」
再び、楽はゆっくりと腰を進めていく。羽にできるだけ負担を掛けないようにと、溢れ出たぬめりをペニスになじませるようにして、ゆっくりとピストンをしながら徐々に膣の奥へとペニスを進めていく。
「うっ、くうぅぅっ」
羽が苦痛にぎゅうっと目を瞑って楽の肩を強く掴み、立てられた爪からぎりっと痛みが走る。しかし、そんなものは処女膜を裂かれようとしている羽のことを考えたらなんともなかった。
ぐいと腰を進める度、熱くぬめる肉壷の奥にある小さな孔を、自分のペニスがめりめりと押し拡げようとしているのが感じられる。
「ごめん、あとちょっと・・・・・・だから」
額にうっすらと汗を浮かべて苦痛に耐えながら小さく頷く。
羽の苦しそうな表情に罪悪感を覚えながら、ぐいと腰に体重をかけていった。
「・・・・・・ぃっ!」
ぶつっと何かが弾けるような感触とともに、ペニスの先に感じていた圧迫感が突然消えた。ずるりと亀頭が羽の膣を押し拡げてペニスが呑み込まれる。
楽の肩を掴んでいた羽の手にさらに力が入り、楽の皮膚に傷を付ける。しかし目の前では額に大粒の汗を浮かべ、眉間に深い縦皺を刻んで破瓜の痛みに耐える羽の姿があった。
ペニスを根本まで挿し込んだまま、羽の中の熱さと狭く収縮している膣壁の圧迫をペニス全体で感じている。
「・・・・・・羽姉」
苦痛に耐える羽をいたわるように、そっと羽の柔らかな髪を撫でた。
羽がぎゅっと閉じていた瞼をうっすらと開け、荒い息を整えながら楽を見上げる。その瞼の端には涙が滲んでいて、その涙を楽は親指でそっと拭ってやった。
「楽ちゃん・・・・・・」
「ん?」
涙を拭った楽の手に自分の掌を重ね、そっと頬を寄せる。
「ありがと、わたしのワガママを聞いてくれて」
その言葉に、楽の胸がちくりと痛む。
「羽姉・・・・・・、俺は・・・・・・」
楽の唇に羽の人差し指がそっと触れて言葉を遮る。
「今は、いいの。わたしはこれだけで、十分幸せだから」
羽の手が楽の背中に回り、優しく楽の身体を抱き締めた。羽の身体から伝わる温もりを感じながら、楽は無言で羽の頭を掻き抱く。
「う・・・・・・」
そのとき、張りつめたペニスが膣の中でずる・・・・・・と動き、その刺激に楽はぶるりと身震いした。
「・・・・・・楽ちゃん?」
「あ、ごめん。痛かったか?」
羽が楽を見つめてふるふると首を振る。
「ねぇ、もう大丈夫だから、楽ちゃんの好きに動いてもいいよ?」
「え・・・・・・、で、でも・・・・・・よ」
楽が自分のことを大事にしてくれているのが伝わってくる。その想いだけで羽は幸せだった。
「いいの。ちゃんと最後まで・・・・・・しよ?」
そう言って楽を抱き寄せると、楽の首筋に優しくキスをした。
「ごめん、羽姉・・・・・・」
楽がゆっくりと腰を引く。ペニスをきつく圧迫していた膣壁は、幾分ほぐれてはいたが、それでもまだ狭い。
「くぅ・・・・・・、んっ」
破瓜を終えたばかりの生傷を擦られて、羽が苦しそうな声を上げる。
楽は罪悪感を感じながらも、亀頭寸前まで抜いていたペニスを再びゆっくりと沈めていく。狭いながらも、羽のぬめりと破瓜の血が潤滑液となってずるりと奥まで突き刺さる。
「ん、んんっ!」
楽の背中に回った手に力が入る。
楽は身体を少し離すと、背中を曲げてきれいな紡錘形を描き続けている乳房の頂点へと唇を這わせた。破瓜の痛みの中でも、赤み掛かったピンク色の乳首はツンと硬く尖っている。優しく唇で挟むと、舌の先でくるりと転がす。
「はぁぁぁっ」
羽が荒い息を吐き出した。すると一瞬すぼまった膣から力が抜け、さらに柔らかくなる。それに合わせてゆっくりと腰を引く。相変わらず、膣の中は狭いのだが、もう皮がひきつられるような痛みは感じなかった。
再び亀頭寸前まで抜いたペニスを根本まで埋め込んでいく。
「んん・・・・・・、あぁっ!」
羽がのけぞり、白い喉を晒す。その声には甘い響きが混ざり始めていた。
破瓜の傷を擦る痛みは、時間とともに収まってきている。代わりにそれまで痛みの奥に潜んでいた快感が徐々に強くなってくる。
楽にも目の前にいる羽の変化が感じられた。抽送がスムーズになるのにつれて、羽の表情が艶を帯びたものに変わってきている。
「楽ちゃん、楽ちゃん・・・・・・」
うわごとのように羽が楽の名前を呼び、その瞳は艶やかに潤み続けている。
それを見て楽も徐々に抽送のペースを上げていく。
「はぁっ、あっ、ああぁっ」
ペニスを突き入れると羽が悦びの喘ぎを上げる。時折、眉間に浮かぶ縦皺は、もはや破瓜の痛みではなく快感を堪えるものになっていた。
乳房の谷間や細い首筋に汗が滲み、腰を動かすと楽の胸板につぶされた乳房がぬるぬると滑る。
「ゆ、羽姉、俺、もう・・・・・・」
二人の結合部から上がる粘った水音を聞きながら、楽は限界が近いことを悟り、夢中で腰を振りたくる。
「いいよ、楽ちゃん。来て・・・・・・、来て!」
羽が叫ぶようにして楽の背中を掻き抱く。
その声を聞きながら、ペニスの付け根がきゅうっと収縮していくのを感じた。膣の中でペニスがぐぐっと膨れ上がる。
「うっ!ぐぅっ!」
楽はうめきながらペニスを膣の際奥まで突き入れ、羽の身体を力一杯に抱き締めた。その瞬間、これまで感じたことがないくらいの大きな快感が身体を走り、ドッとペニスの先から大量の熱くたぎる精子が吐き出される。
「あっ!ああぁぁぁっ!」
羽も子宮を叩く熱いほとばしりを感じながら、楽を強く抱き締め声を上げる。楽は痙攣するように身体を震わせながら、最後の一滴まで羽の膣奥に放出した。
再び静まりかえった楽の部屋に、二人の荒い呼吸だけが響いている。羽は荒い息を吐きながらも柔和な微笑みを浮かべ、掌で汗の滲んだ楽の背中を慈しむように愛撫する。
「楽ちゃん・・・・・・大好き」
羽の幸せそうな囁きに楽の胸が痛む。楽はただ黙って羽を抱きしめることしかできなかった。
―――これからどうなっちまうんだろうな・・・・・・
楽は薄暗い天井を眺めながらそんなことを考えていた。視線を移すと楽の腕の中に潜り込むようにして、羽が幸せそうな顔で寝息を漏らしている。
あの告白以来、羽に対する楽の見方は全く変わってしまった。それまで「姉」だったものが「女性」に変わり、その変化に戸惑いながらも、楽の中で少しずつ羽に対する想いも変化していく。その変化は、楽自身にもはっきりと自覚できるものではなく、まだぼんやりとした霧のような曖昧なものでしかない。
ただ、今だけは隣で幸せそうに眠る二つ年上の幼なじみの女の子を、心の底から愛おしいと思う自分がいる。それはたぶん、身体を重ねたことによる熱病みたいなものだろう。しかし、この想いがこの先どうなっていくのか、楽には見当も付かなかった。
―――羽姉・・・・・・
心の中で呟きながら、羽の頭をさらりと撫でた。
「ん・・・・・・、楽ちゃん・・・・・・どうしたの・・・・・・?」
腕の中の羽がうっすらと目を開けて見上げてきた。
「あ、悪い。別になんでもないんだ」
「ん、いいよ・・・・・・」
そう言って小さく微笑むと、羽は再び楽の腕の中で丸くなると寝息を上げ始めた。
自分の心の変化に対する漠然とした不安を覚えながらも、今だけは肌から伝わる羽の優しい温もりに身を任せ、楽は眠りの中に落ちていった。
『ユイネエ ~オトナニ~』を読んで頂きありがとうございました。浅倉椎です。
やっと予告どおりのニセコイもの、羽姉さんです。
・・・・・・
何でしょう。ホントはもうちょっとライトでイチャラブな感じになる予定だったんですけど、ちょっと重たい感じになってしまいました。
これはたぶん楽の性格をあまり変えたくなかったというのが大きいところなんだと思います。
もっと割り切って能天気キャラにしてしまえば、もう少し楽チンだったんでしょうけどね。
果たして「妖精作戦」以来、ハッピーエンド症候群を患っているオイラに続きが書けるのだろうか?
引き続き気長に待って頂けると幸いです。
ではでは
あ、次回作はまだ元ネタすら決まっておりません。