羽が集英組を出て行ってから2週間が過ぎようとしていた。
2月に入り、空気は相も変わらず冷たかったが、楽は廊下の窓を開けて桟にもたれ掛かりぼんやりと空を眺めていた。2月の空はきんと晴れ渡り、冬独特の硬質な青さで目の前に広がっている。
羽は楽に抱かれたその週末に集英組を出て行った。羽が集英組を去ってから、楽は学校でしか羽と顔を合わせたことはない。学校での羽は相変わらず「先生」としての羽であって、それ以前となんら変わることはなかった。
「女ってわかんね・・・・・・」
ぽつりと呟くと、楽は手にした携帯の画面へと視線を落とした。
「・・・・・・元々ね、決めてた事なんだ」
学校への道すがら、羽は出て行く理由を楽に語った。
「正直、楽ちゃんの返事は予想してたからね」
あっけらかんとして語った羽に、楽は戸惑いを覚えている。昨夜の今朝で、楽はどんな顔をして羽に接すればいいのか、悶々と悩んでいた自分がばからしくなるほど、いつもと変わらない、いつもの羽だった。
「でもね・・・・・・」
ほんの少しだけ頬を染めた羽が、悪戯っぽく楽の顔をのぞき込む。
「やっぱり、勇気を出して良かったって思ってる。そういう意味では夜ちゃんと万里花ちゃんに感謝しなきゃね」
「・・・・・・?、なんで橘なんだ?」
「ナイショ♪」
口元を指先で押さえた羽が「ふふっ」と笑う。その屈託のない笑顔にちくりと胸が痛み、思わず楽は視線を逸らしてしまった。
―――昨夜は半分勢いで受け入れちまったけど、本当に良かったんだろうか・・・・・・
あれから幾度となく行っている自問を繰り返す。受け入れてはみたものの、この関係が真っ当なものだとはとても思えない。だからといって羽を突き放すこともできない矛盾に、楽は心の中で頭を抱えた。
「ごめんね、楽ちゃん。私のワガママで困らせちゃって」
表情を曇らせる楽の姿を見て、羽の笑顔が苦笑いに変わる。そして、その羽の困ったような笑顔が、更に楽の心に棘を刺すのだった。
―――いや、受け入れるって決めたんだ。だったら・・・・・・
楽は顔を上げると羽の目をまっすぐに見つめた。
「・・・・・・楽ちゃん?」
―――その時までは、俺が羽姉を幸せにしてやらないと。
ほとんど無意識に手が伸びて、羽の白い手を掴む。
「・・・・・・え?」
子供の頃から変わらない、柔らかくて小さな手。羽が一番辛かったときに握ってあげることができなかったこの小さな手を、次の誰かに渡すまでは自分がしっかり握っててやるんだと、楽は心の中で決意した。
「行こうぜ。急がないと遅刻しちまう」
楽は吹っ切れたようにニカッと羽に笑いかけると、その手を引いて歩き出す。
「うん!」
羽も満面の笑みで答えると、握られた楽の手をきゅっと握り返し、楽の腕に身体を寄せた。
手の中にある携帯の画面には、羽からのメールが表示されている。曰く、ようやく新居が片付いたから週末に昼食を兼ねて遊びに来ないかというお誘いとともに、新居の住所と地図データが添えられていた。
「定期デートはまだ先だし、今週は確か空いてるはず・・・・・・」
他にも何か見落としがないか一通り考えてから、了解のメールを送る。
―――そういや羽姉が出て行ってから、学校以外で会うのって初めてだよな。
「あの日」の朝、二人で登校(当然、学校が近くなったら別れたのだが)して以来、教師と生徒という立場でも二人きりになることはなかった。だから羽との関係を意識する機会は良くも悪くも無かったのだが、あらためて二人きりになるという状況を考えると緊張してしまう。
―――ま、考えてもしかたねえ。千棘とのデートのつもりで気楽にいくか。
楽は携帯をポケットにしまうと、窓を閉めて教室へと足を向けた。
そして、あっという間に週末はやってきた。
今日も天気は快晴で、風もほとんどないため日差しに暖かさを感じる余裕もあるほどだ。
―――やっぱ、こうやってあらためて女の子の部屋に行くとなると緊張するな・・・・・・
ふう、と白い息を吐いてマフラーを巻き直す。
結局、今日まで羽と個人的に話をする機会もなく、メールのやりとりをすることもなかったため「恋人」として顔を合わせるのは今日が初めてとなる。おまけに「あんなこと」があった後となると尚更だ。
あの夜以来、楽の羽を見る目は間違いなく変わり、はっきり女性として意識するようになった。それからというもの、ことあるごとにあの夜の羽の香りや温もり、柔らかさといったものが脳裏によみがえる。そして、あの夜のことを思い出しながら、自慰に耽ってしまうこともあった。それは健全な男子高校生としては、ある意味自然なことともいえるものだったが、ついこの間まで「姉」だった相手を性の対象にしてしまっていることに自己嫌悪を覚えてしまう。その一方で恋人の部屋で二人きりという状況の下、起きるかもしれない「イベント」に対して少なからず期待を抱いている邪な自分もいるのだった。
携帯の地図アプリに表示されている位置情報からすると、羽の住むアパートまではもうすぐそこだ。結局は色々思い悩んでも、なるようにしかならないという結論に至り、前を向いて歩みを進めていく。
「っと、ここだな」
そこは真新しい、今風の小洒落た2階建てのアパートだった。普段はあまり意識することはないが、曲がりなりにもマフィアの首領でもあるのだから、もっと凄いところに部屋を借りたのかもと思っていた。
「まあ、羽姉の性格を考えたら・・・・・・な」
苦笑しながら羽の住む部屋、2階の角部屋へと向かう。
「よし」
緊張を押し込めるように軽く気合いを入れて、インターホンのボタンを押した。
「はーい。・・・・・・あ!楽ちゃん?ちょっと待っててね」
インターホンのスピーカーから聞き慣れた羽の声が返ってくる。こちらが返事をする前に分かったという事は、カメラの機能が付いているのだろう。ドアの向こう側からぱたぱたと足音が近づいてきて、かちゃんと鍵が開く。
「いらっしゃい!待ってたよ、楽ちゃん」
勢いよくドアが開いて、中から満面の笑みを浮かべたエプロン姿の羽が顔を出した。
「お、おう」
その勢いと笑顔に押されて思わず後退ってしまう。
「ほら、楽ちゃん、上って上って♪」
「お、おじゃまします」
手を引かんばかりの勢いの羽に気圧されながらも中に入ると、とたんに食欲をそそるいい匂いが鼻をくすぐった。
「お腹空いてるでしょ?すぐ準備するからね」
長い髪は引っ詰めにし、白のゆったりとしたカットソーに膝下までのロングスカートという、集英組に居候していた頃にもよく見た、気取らない羽の普段着姿に楽は懐かしさを覚えた。
「へえ、結構広いんだな」
カウンタータイプのキッチンと一体になったリビングは、かなりの広さがあった。フローリングの上には毛足の長いカーペットが敷かれ、真ん中に少し大きめのちゃぶ台が置いてある。しかし、他の調度品といえば部屋の角にテレビ台と、その他はパソコンラックくらいしかないため、全体的にすっきりというかがらんとして見える。
「ほんとはもっと小さいところが良かったんだけどね、夜ちゃんが・・・・・・」
「夜ちゃ・・・・・・さんが?」
見た目は少女だが、楽よりも年上(らしい)で妙に迫力のあるお付きの女の子(?)を思い浮かべた。
「首領なんだからセキュリティのしっかりしてるところじゃないとダメだ・・・・・・ってね。最初なんて、わたしのお給料より高いマンションに住わませようとしてたんだから」
料理の手を止めて顔を上げた羽が、困ったような笑顔を浮かべた。
「ここでもかなり渋ってたんだけど、夜ちゃんが隣に住むってことでね、なんとか納得してもらったの」
小さく肩を竦めて見せて再び料理に戻る。
「夜さんが、隣に・・・・・・?」
楽はとたんに監視されているような気がして、壁へと視線を向けた。
「あっ、でも今日はいないみたいだよ。最初は夜ちゃんも一緒にって誘ったんだけど、何か用事があるからって断られちゃった」
「そ、そうか」
心の中だけで胸をなで下ろした楽は、再び羽へと視線を戻した。
―――つうか、それって気を利かせてくれたんじゃ・・・・・・
あの日から1週間が過ぎても羽がお見合いをした気配はなかった。更に1週間以上経った今に至っても縁談を進めている気配は全くない。あの夜がそう簡単に見逃してくれるとは考えられないから、今の羽と楽の関係を知った上で「執行猶予」を与えて貰っているのだろうと楽は理解した。
そして、あらためて女の子の部屋に二人きりという、今の状況を意識してしまう。これまで小咲や千棘の部屋で二人きりになることはあっても、それはあくまで「友達」の範疇でしかなかった。しかし、今回は「恋人」で、しかも一度身体を重ねた相手である。
「?、どうしたの楽ちゃん?」
羽を見つめたまま止まってしまった楽を訝って、羽が首を傾げる。
「いや、何でも・・・・・・。それより、なんか手伝うことないか?羽姉」
楽はごまかすように立ち上がると、羽の方へと向かう。
「ありがと。じゃあ、お言葉に甘えて手伝って貰おうかな」
「まかせろ」
芝居掛かった仕草で楽が腕をまくり、ぐっと力こぶを作ってみせる。
「ふふ♪頼もしいね、楽ちゃん」
そう言って羽は嬉しそうに微笑んだ。
「そういや羽姉って餃子以外の料理は苦手なんじゃなかったっけ?」
目の前に並んでいる料理を見て、楽は率直な疑問を口にした。
羽のところで昼食と聞いたときから、餃子かいいとこ中華だろうと決めつけていたのだが、蓋を開けてみると豚の角煮や肉じゃが、ほうれん草のお浸しといった和食がメインとなっていた。
「・・・・・・美味しくない・・・・・・かな?」
子供みたいに箸の先をくわえた羽が、不安そうな表情を浮かべて上目遣いに楽の顔を伺った。
「いや、美味いよホントに。ただちょっと意外だっただけで」
「よかった!」
楽の言葉を聞いた羽の表情がぱあっと明るくなり、手にしていた箸をぐっと握りしめた。
「だって一人暮らしを始めるんだから、ちゃんとしたものが餃子しか作れないと困るし、いつも外食ってわけにはいかないじゃない?だからね、今は餃子以外の料理もがんばって練習してるの!」
嬉しそうに羽がまくし立てる。その姿が年上の羽を子供っぽく見させて、楽を微笑ましい気持ちにさせる。
「それにね・・・・・・」
うっすらと頬を染めながら、伏し目がちに羽が続けた。
「楽ちゃん、和食・・・・・・好きでしょ?だから・・・・・・」
「・・・・・・お、おう」
羽の不意打ちに、楽も顔が熱くなってくる。言葉が途切れ、二人の間に沈黙が流れるが、それは決して居心地の悪いものではなく、くすぐったくなるような暖かな沈黙だった。そして、どちらからともなく目を合わせ、同時に吹き出した。
「でも良かった、楽ちゃんに美味しいって言ってもらえて♪」
両手で頬杖をついた羽が心底嬉しそうに微笑んだ。その幸せそうな笑顔に、楽の心臓がとくんと震える。
「ま、まあ、それでもまだ俺には及ばないけどな」
つい軽口を叩いてしまうのは照れ隠しだ。
「あっ、ひっどーい。見てなさいよ、ぜったい楽ちゃんより上手になってみせるんだから」
「ははっ、期待してる」
そんな他愛もない会話をしながらゆっくりと時間が過ぎていく。しかし、その時間ひとつひとつが羽にとっては宝物だった。今の関係がいつまで続けられるか分からない。でも、だからこそ大切にしたいと心の底から願うのだった。
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
両手を合わせた楽に、羽がおどけるようにぺこりと頭を下げる。
「楽ちゃんはお茶とコーヒー、どっちがいい?」
ちゃぶ台の上の食器を片付けながら羽が訊く。
前屈みになって食器を集める羽のゆったりとした襟ぐりから、真っ白な胸元とそれを包み込む下着の一部が覗き見えた。その白さと柔らかそうな谷間が、羽と身体を重ねた夜のことを思い出させる。
「楽ちゃん?」
返事が返ってこない楽に顔を上げて、羽が不思議そうに首を傾げた。
「ん?あ・・・・・・ああ、お茶・・・・・・かな」
言葉を濁らせながら、ごまかすように楽も片付けを始める。
「変な楽ちゃん♪」
くすりと微笑むと、ちゃぶ台の食器を集めた羽が立ち上がり、楽に背中を見せて台所へと向かった。羽の背中で揺れる黒髪をぼんやりと見つめていた楽は、小さく頭を振ると残ったものを集めて羽の後を追った。
「はい、どうぞ」
「サンキュー、羽姉」
楽の前にマグカップを置いた羽が、楽の隣にすとんと腰を下ろす。マグカップから立ち昇る湯気に乗って、緑茶の爽やかな香りが辺りを満たした。
南向きの部屋の窓から午後の日差しが差し込んでくる。もちろん暖房が効いているおかげだが、ぽかぽかと暖かい部屋にいるともう春なのではないかと錯覚してしまいそうだった。
―――ずっと、こうしてたいな・・・・・・
何をするわけでもなくゆっくりと過ぎていく二人の時間。他愛もない会話をしながら笑い合っているだけで、羽は心の底から幸せを感じていた。
―――でも、ね・・・・・・
少しだけ視線をずらして隣の楽を見る。楽は羽の恋人であろうとしてくれている。でもそれは「あろうとしている」だけであって、あくまで真似事でしかない。多少は自分のことを想ってくれているかもしれないが、大部分のところは、たぶん義務感なのだろうと羽は感じていた。
「どした?羽姉」
羽の視線に気付いて楽が顔を向ける。小さな頃から変わらない、屈託のない楽の笑顔にとくんと胸が鳴る。
「楽ちゃんは、優しいね」
「?、なんだよ突然」
楽がくすりと笑って肩をすくめた。
「ううん、何となく。そう思っただけ」
楽に身体を寄せると、その肩へと頭を乗せる。
「昔から、楽ちゃんはずっと優しかったもんね」
「羽姉・・・・・・」
ふわりと漂う甘い香りと、触れ合った身体から伝わる優しい温もりが楽の心を刺激する。
「・・・・・・なんてね。さ、お片付けの続きしなきゃ♪」
思わず取ってしまった自分の行動に、急に気恥ずかしさがこみ上げてきて羽が身体を離す。顔が熱い。そんな顔を見られるのが恥ずかしくなり、立ち上がろうとした。
「羽姉!」
ほとんど反射的に羽の手を掴んでいた。楽自身、どうしてそんな行動を取ってしまったのか自分でもよく理解できなかったが、一つだけはっきりと分かっているのは、羽の温もりが離れた瞬間に感じた喪失感だった。
「楽・・・・・・ちゃん?」
顔を赤くした羽が楽に振り向き、二人の視線が重なった。羽の手首を握った掌から体温と一緒にとくんとくんと脈動が伝わってくる。
羽の温もりを感じたい。それが邪な欲望から来るものなのか、愛情から来るものなのかは分からない。だからといって、もう止まることはできそうになかった。羽の手首を握った手に力を入れて羽を引き寄せる。
「あ・・・・・・」
突然のことに羽が小さく声を上げる。楽に抱き寄せられたのだと気付いたときには、すでに楽の腕の中だった。
思いも掛けなかった楽の行動に羽は戸惑ったが、それでも楽の方から自分を抱きしめてくれたという事実が羽の心を暖める。
「楽ちゃん・・・・・・」
楽の背中に手を回して抱きしめると、幸せそうに目を閉じた。触れ合った胸元から、楽の温もりと心臓の鼓動が伝わってくる。
羽が視線を上げると、間近に楽の顔があった。お互い吸い寄せられるように顔が近付き、二人の唇が重なった。
「ん・・・・・・」
楽の腕に力が入り、二人の身体がさらに密着する。
小鳥が啄むようなキスは徐々に熱を増していき、どちらからともなく舌を絡ませていく。お互いの唾液が混じり合い、体温が交換されるに従って二人の気持ちも昂ぶっていく。
「・・・・・・もう、まだお片づけが残ってるのに」
うっすらと朱がさした顔で羽が見上げる。
「後でいいよ・・・・・・」
「ダぁ~メ・・・・・・んんっ!」
弟をたしなめるような口調で釘をさそうとした羽の口を半ば強引に塞ぎ、再び舌を挿し入れた。
「んっ・・・・・・、んっ・・・・・・」
重なり合った唇の間から、時折羽の甘い声が漏れる。若さに任せた楽の荒々しい舌の動きに、羽も必死で舌を絡めて応えていく。その健気さを楽は愛おしく思い、羽の温もりをもっと感じたいという気持ちが強くなる。
そして、羽の身体にも変化が起きていた。この前も感じた甘い温もりが、身体の奥でじわりと沸き起こる。
―――あ、やだ・・・・・・
この間、初めて味わった「濡れる」という感触。その感触に思わず内腿を擦り合わせてしまっていた。そんな羽の反応を見ていたかのように、楽右手が羽の乳房を包み込んできた。
「っ!!」
乳房に楽の手が触れた瞬間、羽の身体がびくっと震えた。この前と違ってブラジャーの硬いワイヤーの感触が伝わってくるが、その下にある乳房の柔らかさは十分感じられた。
「ま、待って、楽ちゃん」
ともすれば甘い誘惑に負けそうになるのを抑えながら、なんとか力を振り絞って羽が身体を離す。
「何?」
「その・・・・・・暗くなってからに、しよ?明るいと・・・・・・恥ずかしいよ」
顔を真っ赤にして少女のように恥じらう羽を楽は可愛いと思う。しかし、そんな羽の仕草が却って楽の気持ちを昂ぶらせてしまうのだった。
「悪りぃ、もうムリ」
再び羽を抱き寄せて、髪の間から覗く耳たぶを甘噛みする。
「あんっ・・・・・・。じゃあせめてシャワーを浴びてから・・・・・・」
「・・・・・・ダメ」
羽の耳元で囁いて、うなじへと唇を滑らせていった。柔らかな髪と甘い香りが楽の鼻孔をくすぐり、僅かに塩気を含んだ汗の味がアクセントを添える。
「んっ・・・・・・、でも、でも・・・・・・」
身体を離そうとするが腕に力が入らない。
楽に抱かれることに抵抗があるわけではない。むしろその点に関しては折り込み済みだったと言ってもいい。ただ、昼間のうちから求められるとは思っていなかっただけだ。
―――下着はヘンなの着てないはずだけど、こんなに明るいと・・・・・・
「あっ・・・・・・」
羽が色々と頭を巡らせていると、楽の手が再び乳房に触れてきた。しかもその動きはさっきよりも大胆になり、明確な意志を持って揉みしだいてくる。
「やっ・・・・・・」
楽の手の動きに合わせて、乳房の奥から甘い感覚が沸き起こる。その甘い感覚は羽の体の中心を伝い、きゅうっと子宮を疼かせる。
―――やだ・・・・・・力が・・・・・・入らない
楽の手が優しく羽の髪を撫で、再び唇を重ねてきた。身体を離そうとして楽の胸に置いた手は、最早ただ添えられているだけになり、今度は羽の方からも積極的に舌を絡めてくる。
羽の反応が変化してきたのを見て、楽が羽の上着の下へと手を潜り込ませた。
「んっ」
腋を撫でるように這い上がってくる手の感触に、羽がくすぐったそうに身じろぎする。掌に伝わってくる絹のような感触と火照った肌が、楽にあの夜を思い出させる。はやる気持ちを抑えながら、下着のラインに沿って背中に手を回すがホックにたどり着いたところで動きが止まってしまう。外し方が分からなかったのだ。
「・・・・・・?」
手を背中に回したまま、手の動きを止めてしまった楽に羽が問いかけるように視線を上げる。
―――あ、もしかして・・・・・・
困ったような表情を浮かべている楽を見て、羽は微かに微笑みを浮かべた。
「・・・・・・後で、教えてあげるね」
戸惑っている楽の胸に顔を埋めると、後ろ手でキャミソールの下に潜らせブラジャーのホックを外す。
「わ、悪りぃ・・・・・・」
ばつが悪そうに楽が謝るが、羽にとってそのぎこちなさは好ましいものだった。
「・・・・・・ちょっと安心した。」
「え?」
胸の中で囁いた羽に楽が思わず聞き返す。
「ううん、何でもないよ」
そう言って羽は顔を上げると、そっと目を閉じた。楽もそれ以上追求することなく顔を近付けると唇を重ねた。
「ん・・・・・・」
二人はそうするのが当たり前のように唇を開き、互いの温もりを確かめるように舌を絡ませる。再び二人の息が荒くなり始め、心の昂ぶりに合わせて二人の口腔の間を舌が行き来する。
「あっ」
羽の服の下に潜り込んだ楽の手が、今度こそ直に羽の乳房に触れてきた。しっとりとした肌理の細やかな肌が楽の掌に吸い付いてくる。掌から伝わる肌の感触と乳房の柔らかさに理性が飛びそうになるのを抑えながら、乱暴にならないようにと揉みしだく。
羽の呼吸も徐々に乱れていき、再び下腹部に甘い疼きが沸き起こり、羞恥を堪えるように楽の肩を掴んだ手に力が入る。そのすがるような羽の仕草を楽は愛おしく感じた。同時に、羽の甘い声をもっと引き出したいとも思うのだった。
「あぁっ!」
楽の指先が乳首に触れた瞬間、羽は思わず喘ぎを漏らしてしまった。すでに羽の乳首は硬く勃起し、楽の指が乳首を転がす度に甘い電流が乳房を走る。
「んっ、あっ・・・・・・」
楽の愛撫に反応して喘ぎを漏らす羽にゆっくりと体重を掛けてカーペットの上に押し倒す。羽が艶を帯びた潤んだ目で見上げている。その瞳に吸い寄せられるように唇を重ねながら、乳房をまさぐっていた手を下にずらすと下着ごと羽のカットソーをたくし上げていった。
「っ!?」
一瞬、羽が身体を強ばらせるが構わず胸元を露わにする。
「やっ、ダメ・・・・・・」
シミ一つない白い胸元はうっすらと朱に染まり、形の整った乳房の頂点では赤みを増した桜色の乳首がぴんと勃っていた。あの夜と違い、昼間の明るい部屋で見る羽の身体の美しさに、思わず楽はごくりと喉を鳴らす。
「そ、そんなに見ないで・・・・・・」
恥じらいで目の下を朱く染めた羽が楽を見上げるが、楽はそんな羽の言葉など聞こえないかのように乳房に顔を寄せると勃起した乳首を口に含んだ。
「あぅっ!!」
快感にびくんと身体を震わせた羽が声を上げる。温かな楽の口の中で乳首が転がされ、電流のような快感が身体の芯を駆け下りる。すでに勃起していた乳首がさらに硬さを増し、乳首を転がす楽の舌を押し返そうとする。
「あっ、あっ」
羽は喘ぎを上げながら自分の性器が熱く熱を帯びていることをはっきりと感じていた。触れて確かめてみるまでもなく、羽は自分の性器が濡れていることが分かり、もぞりと腰を震わせた。
そんな羽の仕草を見ていたかのように、乳房を愛撫していた楽の手が身体の線をなぞりながら下りて行き、スカートの下へと潜り込む。
スカートを捲りながら太腿を這い上がってくる楽の手の感触を感じながら、無意識に足を僅かに開く。
「はぁっ・・・・・・」
ついに楽の手が羽の股間に届き、クロッチ越しに割れ目に触れた。ショーツの布地がぬるりと滑り、羽が熱い吐息を漏らす。濡れはすでにクロッチの外にまで染み出していて、楽の指先をじっとりと湿らせた。その感触に楽の興奮はさらに昂まり、指先に力を入れて割れ目をなぞると、布地越しにも熱くぬかるんだ羽の性器の感触が指先に伝わってくる。あの夜に触れた羽の柔らかな粘膜の感触が蘇る。
楽は乳房から顔を離し、羽のスカートのジッパーへと手を伸ばした。
「あっ・・・・・・やだ・・・・・・」
羽が胸元を隠しながら身をよじる。楽は構わずスカートを引き下ろすと、薄いピンクのショーツに包まれた下半身が露わになる。クロッチの中心は溢れ出た愛液で細長い濡れ染みを作っていた。
目の前の光景に、目眩にも似た感覚を覚えながらも楽はショーツに手を掛け脱がしていく。
「だ、ダメェェ・・・・・・」
羽があまりの恥ずかしさに顔を覆う。ショーツが引き下ろされるにつれて恥丘の上に茂る陰毛が現れ、性器に張り付くようにショーツが裏返っていく。クロッチの上には夥しいほどの愛液が艶を作り、羽の性器へと透明な糸を引いていた。楽はショーツを足首から抜き取ると、身体を羽の足の間へと割り入れる。
「お願い・・・・・・、あんまり・・・・・・見ないで」
羞恥に震える羽の懇願とは裏腹に、楽は羽の性器から目が離せなかった。初めて目にした羽の性器は、ふっくらとした大陰唇の半ばまで柔らかそうな陰毛で覆われ、うっすらと開いた割れ目の間にてらてらと輝く濡れを蓄えていた。
楽は羽の内腿を両手で押さえると、割れ目の輝きに吸い寄せられるように顔を寄せ舌を伸ばした。
「ひゃ・・・・・・あぁっ!!ら、楽ちゃん!なにして・・・・・・」
突然、性器に感じた明らかに指とは異なる生暖かい感触に羽が声を上げる。羽が指の間から視線を落とすと、楽の頭が自分の股間に埋もれているのを見て、そこで初めてその感触が楽の舌だったということを理解した。
「だっ、だめぇ!そんなところ・・・・・・き、汚いからぁぁ!」
しかし、楽は咄嗟に力が入った羽の内腿を押さえたまま、尚も舌を伸ばして割れ目の間の愛液を掬い取る。羽の言うとおり、シャワーも浴びていないそこは、小水のアンモニア臭や汚れからくるであろう獣臭のようなものが独特の生臭さを持った愛液の匂いに混ざっていた。しかし、楽にとってはそのような臭いも、可憐な容姿に反して羽が持つ生々しい一面だと思うと一層興奮を掻き立てられるのだった。
「大丈夫だよ、羽姉。すごく・・・・・・きれいだから」
言いながら、楽は鼻先で陰毛をかき分けて舌先を割れ目の奥へと潜り込ませる。
「あっ・・・・・・はぁぁっ!でも・・・・・・でも・・・・・・」
楽はそう言うが、半日しか経っていないとはいえ楽を迎えるために色々動いているし、何度かトイレにも行っている。
―――は、恥ずかしくて死にそう・・・・・・。でも、でも・・・・・・
「あぅっ!」
汚れた性器を舐められているという異常な状況にも関わらず、指とは比べものにならない快感に身体が震える。
「やっ、はっ・・・・・・あぁっ」
羽の意志とは関係なく喘ぎが漏れ、より快感を求めて足が徐々に開いていく。楽は羽の足が閉じなくなったのを知ると、右手の親指を割れ目の上方、合わい目にある肉の盛り上がりにあてがい、滑らせるように力を入れた。
つるりと楽の指によってクリトリスを覆っていた肉の鞘が剥き上げられ、米粒大の真珠色の肉粒がむき出しになる。楽は羽の呼吸に合わせてひくひくと震える小さな肉粒を舌先で転がした。
「ああッ!!」
その強い刺激に羽の腰が跳ねる。前回の時は指による刺激で、しかも楽の経験が浅いこともあり痛みも混じっていたが、今は純粋に快感しか感じない。
「やあっ!あっ・・・・・・あぁっ!」
楽の舌がクリトリスを転がす度に腰が蠢き、叫びにも似た喘ぎを上げる。羽の視界の中で時折ちかちかと星が瞬き、膣からは止めどもなく愛液が溢れ出る。赤みを増したクリトリスは完全に勃起し、包皮から指を離しても鞘の中に戻ろうとはしなくなっていた。
―――やっ、やだっ・・・・・・また・・・・・・あの感・・・・・・じがァァ
次々と与えられる刺激に、あの夜と同じ感覚が再び沸き起こってくる。下腹部の奥、子宮のあたりに溜まった快感が風船のように膨らんでくるような感覚。おそらく自分の身体は絶頂を迎えようとしているということが、今の羽にははっきりと分かった。
―――こ、怖い・・・・・・
今でも信じられないほどの快感なのに、絶頂に達してしまったらどうなるのだろう。しかし、そんな羽の不安をよそに楽の舌が与える快感の波が次々に押し寄せ、長くは持ちそうもなかった。
「うっ・・・・・・あぁっ!楽ちゃん・・・・・・待っ・・・・・・んんっ!」
快感に喘ぎながらも楽の頭へと手を伸ばす。楽の癖毛に指を埋めて、楽を股間から離そうとするが快感が強すぎて全く力が入らない。
―――だ・・・・・・だめ、もう・・・・・・
下腹部の奥で子宮がきゅうっと収縮して、ぴくぴくと腰が小さく痙攣を始めた。そして、そんな羽の反応を感じ取ったかのように楽の舌先が羽のクリトリスをぐりっと力を入れて転がした。
「ひっ!やっ・・・・・・あああぁぁっ!!」
快感が電流のように身体の中心を駆け上がり、羽の視界に火花が散った。あまりの快感にがくがくと腰が跳ねる。楽の頭に添えていた手に力が入り、楽の頭を自分の股間にさらに押しつける形となってしまっていた。
「はっ、はっ、はあぁぁ・・・・・・」
絶頂の波が収まり、羽の腰から力が抜けてカーペットの上へと落ちる。羽は初めての絶頂の余韻で身体が弛緩してしまい、愛液と唾液に濡れた性器を晒していた。うっすらと桜色に上気した大陰唇がわずかに綻んで、濡れたピンク色の粘膜を覗かせている。
「・・・・・・羽姉」
楽が羽の性器から顔を上げると、胸を大きく上下させて呼吸を整えていた羽が優しい眼差しで楽を見た。そして、楽に「来て」と言うように手を伸ばす。
その手に誘われるまま、楽が身体を起こすと羽は楽を抱きしめた。
「楽ちゃん、ひどい」
その言葉とは裏腹に甘えた声色で羽が囁く。
「わ、悪りい。つい・・・・・・」
「ふふ♪冗談だよ。ね・・・・・・楽ちゃんも・・・・・・」
そう言うと楽の背中に回した手で、楽のトレーナーを脱がせるような仕草をした。楽はそのときになって初めて自分がまだ着衣のままだったという事実に気付く。
「あ、ああ」
楽は身体を起こすと自分も服を脱ぎ始める。ジーンズのベルトに手を掛けたとき、その下でいきり立っているペニスの存在を意識した。これからそういう行為に及ぼうとしているのだから、当然といえば当然の生理反応なのだが、そのことがひどく節操がないような気がして、ついつい羽に背中を向けてしまう。
そんな楽の姿を羽は心の中で可愛いと思いながら、楽の背中に身体を寄り添わせた。
「楽ちゃん・・・・・・」
背中に羽の体温を感じた楽が身体を回して羽を抱きしめる。そのまま唇を重ねると、羽をカーペットの上へと押し倒していく。
貪るように羽の舌を絡め取りながら、右手を羽の下半身へと滑らせていった。
「んっ」
再び触れた羽の性器は、未だ熱く息づいていた。わずかに開いた大陰唇の合わい目にはとっぷりとぬめりが溜まり、楽の中指を容易く滑らせる。その割れ目に沿って指を上下させるだけで、そこは自然に綻び楽の指を温かく包み込む。
中指にまとわりつく小陰唇を感じながら、ぬかるんだ肉の窪みに指先をあてがいゆっくりと力を入れた。
「あっ」
楽の指先が膣に潜り込んでくる感覚に羽が小さく声を漏らす。すでに十分すぎるほど潤っていた羽の膣は、何の抵抗もなく楽の中指を受け入れた。
羽の膣の中は驚くほどの熱を持っていて、複雑にうねる襞が楽の指を包み込む。時折、羽の呼吸に併せてひくひくと蠢く膣の中を楽はおずおずとまさぐっていく。
「んんっ」
クリトリスとはまた違った快感に羽が身体を震わせた。
膣の中を遠慮がちに楽の指が愛撫する。それは加減が分からないが故の楽の優しさだったが、同時に羽はもどかしさも感じていた。楽の指が動く度、快感ともどかしさで腰が蠢く。
羽は無意識のうちに楽の股間へと手を伸ばし、硬くいきり立っている楽のペニスを掌の中に包み込んでいた。
「っ!?ゆ、羽姉?」
突然の出来事に楽が戸惑いの声を上げる。その声に羽は答えず、楽の胸に顔を埋めたまま荒い息と喘ぎを漏らしながら楽のペニスを優しくさする。
羽はどうして自分がそんな行動を取ってしまったのか分からなかった。ただ、身体の奥に沸き上がってきた、どうしようもないほどの飢餓感にも似た欲求。気が付いたら掌の中に楽のペニスがあった。
―――熱い・・・・・・
前回触れたときは下着越しだった。初めて直接触れた楽のペニスは想像以上の熱を持っていて、そこだけまるで別の生き物のようにびくびくと蠢いていた。
男性器の愛撫の仕方など分からなかったが、楽がしてくれた愛撫を真似るようにして、指先で鈴口から溢れ出たカウパー氏線液を塗り広げながら亀頭を撫でた。
「ウッ」
今度は楽が自慰では得られない快感に呻きを上げる。胸元の羽に視線を下げると、羽が何かを訴えかけるように潤んだ瞳で見上げてきた。
「・・・・・・羽姉」
楽の言葉に羽はペニスを握っていた手に微かに力を入れた。
言葉を交わさなくても分かる。一つに繋がりたいと二人の心が重なった。
楽は羽の膣から指を抜くと、体勢を変えて羽の足の間へと身体を入れる。羽も楽のペニスから手を離すと両手を楽の背中へと回した。
楽は下腹部を打たんばかりに脈打っているペニスの根本を握ると、亀頭の先端を羽の割れ目へと押し当てた。
「はあっ・・・・・・」
亀頭が大陰唇を割り拡げる感触に羽は甘い吐息を漏らす。
すでに楽の指でほぐされていたせいか、今回は容易に膣口を捉えることができた。楽は捉えた膣口を外してしまわないようにゆっくりと腰を沈めていく。
「んんっ!」
ぬるりと滑った亀頭が膣口を押し拡げる。心は求めていても、一度の経験だけではほぐれるはずのない膣口が抵抗を見せる。
「くっ・・・・・・うゥッ、ああっ!!」
半ば強引に侵入した亀頭が入り口の狭い部分を通過してしまうと、狭いながらも濡れた膣はずるりと一気にペニスを飲み込んだ。
「まだ、痛むのか?羽姉」
額に汗を浮かべ、荒く息を吐く羽に楽が労りの声を掛ける。羽は上気した顔で楽を見上げると小さく横に首を振った。
「まだ、ちょっと・・・・・・ね。でも、もう大丈夫だよ」
確かに亀頭が入り口を通過する瞬間は、ぴりりと引き攣られる痛みがあったが、今はほとんど痛みは感じなくなっていた。むしろ楽が自分の中を満たしている充実感の方がはるかに強かった。
「無理しなくてもいいんだぞ?」
なおも羽を気遣う楽に優しく微笑みかける。
「無理じゃないよ。それに・・・・・・」
言い掛けた羽であったが、何かに気付いたのか口を噤むと恥ずかしそうに視線を逸らしてしまった。
「それに?」
察しの悪い楽が羽に問いかけると、羽は拗ねたように口を尖らせ楽をぐいっと抱き寄せた。
「・・・・・・気持ち良い方が、強いから」
「・・・・・・えっ!?」
耳元で恥ずかしそうに告げられた言葉に楽は驚きの声を上げた。
「もう・・・・・・、女の子に全部言わせないでよ」
耳まで真っ赤になって楽をぎゅうっと抱きしめる羽に、バツが悪そうに「ごめん」としか楽は答えるしかなかった。
「だから・・・・・・ね?」
楽を抱きしめたまま首筋に軽くキスをしてその先を促す。
楽は小さく頷くと根本まで挿入していたペニスをゆっくりと引き抜いていく。そして亀頭のエラまで膣口から抜くと、再び抜いたときと同じ速度で根本まで挿入する。
「はあぁぁ・・・・・・」
抱きしめた腕に力を入れて、羽は満ち足りた吐息を漏らす。
初めて身体を重ねた夜と比べて、羽の膣の中は明らかに変化していた。膣口付近の窮屈さはあるが、その奥は柔らかさを増し、ねっとりと楽のペニスを包み込んでいた。楽は羽を抱きしめたまま、さらに奥までペニスをねじ込ませていく。
「うぅ・・・・・・んんっ!」
まるで赤熱した鉄の棒で身体の中心を貫かれているようだった。ぐりぐりと膣奥を捏ねられる度、子宮が震え快感が身体の中心を駆け上がる。
腰を密着させたまま楽が右手を前に回す。身体を起こしてできた隙間へと右手を滑り込ませ、羽の乳房に触れる。柔らかくも張りのある瑞々しい乳房は横たえてなお綺麗な半円形を保ち、その頂点では赤く充血した乳首が痛々しいほどに硬く勃起していた。たぷんとした乳房の重みを味わいながら指先で乳首を転がす。
「アウッ!」
びくんっと白い喉元を晒し、喘ぎを上げた。
「あっ、あっ、あっ」
五本の指で乳房を揉みしだき、指先で乳首を摘む。その度に羽は息苦しい喘ぎを漏らしながら、ペニスを挿し込まれた腰を悩ましく悶えさせた。
「だ、駄目・・・・・・、駄目ぇぇ・・・・・・」
指先で押さえつけた乳首をぐりっと捏ねると、膣壁がぴくぴくと痙攣し、ペニスを握りしめてきた。
「ウッ」
その刺激に思わず楽がうめきを上げる。楽の方も限界が近付きつつあった。楽は羽に覆い被さるように両手を突くと抽送を開始した。
「やっ、あっ、ああっ!」
打ち付けられるペニスのリズムに合わせて羽が喘ぎを上げる。楽の背中に回していた手が放れ、脱ぎ散らかしたままの服を掴む。整えられた眉が苦しげに歪み、胸の谷間に溜まった汗が身体を反らせた拍子に首筋へと流れ落ちていった。
二人の繋がった場所からは楽が腰を振る度に、ぐちゅぐちゅと粘った水音が響く。かき混ぜられて白濁した愛液が割れ目の奥から糸を引き、幾筋もの複雑な模様を楽の陰茎に描き出していた。
「楽ちゃん・・・・・・、わたし、もう・・・・・・もう・・・・・・」
羽が服を掴んでいた手を離し、すがるような目つきで見上げながら楽の首筋へと回してきた。
楽が腰を突き出し、ずんっと膣奥へとペニスを突き入れた。
「アグゥッ!!」
快感の衝撃に羽が身体を反らせ、ぎゅうっと膣壁を収縮させる。楽ももう限界だった。
「羽っ、一緒に、一緒にィ!」
楽の下腹部に引き返せない快感が膨らんでくる。どうしようもない射精欲求を歯を食いしばって、必死に耐えながら抽送のピッチを上げていく。
「うん!うんっ!!」
羽も楽に回した手に力を入れて、楽の首筋に頬を押し当てるように抱きついた。無意識のうちに足の裏に力が入り、楽のペニスをさらに奥へと導くように腰を浮かせる。子宮が楽の精子を受け止めようと下がってくるのを感じた瞬間、羽の中で快感が津波となって弾けた。
「やっ、あっ!ダメっ!ああぁぁぁぁっ!!」
びくんっびくんっと羽の身体が痙攣し、膣壁がぎゅぎゅぅっと収縮した。
「うッ!羽っ、羽ィィィ!!」
その締め付けに楽も限界に達し、羽をきつく抱きしめながらペニスを膣の一番深くまで突き入れると、羽の子宮へと熱くたぎる精子を何度も何度も叩きつけた。
「あったかい」
楽の腕の中にすっぽりと収まっていた羽が、身体を密着させたまま楽を見上げた。
沈みかけの夕日が窓の外の風景を赤く照らし出している。南東向きの羽の部屋には西日は射し込まない。薄暗くなった寝室のベッドの中で、二人は裸のまま身体を寄せ合っていた。
ベッドの中でお互いの体温が混ざり合う。その柔らかな温もりは二人の心の距離を一層近付けた。
「ね、楽ちゃん」
うっすらと頬を染め、柔らかな光を湛えた羽の瞳が楽を見つめる。
「何?羽姉」
「さっきね、楽ちゃん、最初の時ね、わたしのこと『羽』って呼んでくれたんだよ」
ふふっ、と幸せそうに笑いながら羽が告げる。
「えっ、マジ?」
全く自覚のない楽が戸惑いの声を上げた。だが、よくよく記憶の糸をたぐってみると確かに呼び捨てにしたかもしれない。
「ホントだよ♪」
羽はいたずらっ子に言い聞かせるように、楽の鼻の頭をちょんと突ついた。
「あ~、わりぃ、羽姉」
楽はバツが悪そうに、羽に突つかれた鼻の頭をぽりぽりと掻いた。
「ううん、違うの。嬉しかったの」
少し恥ずかしそうにうつむいて、楽の胸元に囁いた。
「それって・・・・・・」
「どういう」と訊こうとした瞬間、楽の腹がぐうと鳴った。一瞬、きょとんとした表情を浮かべた羽がクスッと吹き出した。
「いっぱい、したもんね♪」
何ともいえない表情を浮かべる楽に、羽はお姉さんの口調で微笑みかける。
「晩ご飯も食べてくでしょ?お買い物に行こっか」
「そうだな。だったら晩飯は俺が作るよ、羽姉」
楽の思いがけない提案に羽の表情がぱあっと明るくなった。
「いいの!?やった、久しぶりの楽ちゃんの手料理♪」
子供のようにはしゃぐ羽の姿に楽が優しく目を細める。触れ合っている肌の温もりが無性に愛おしく感じられた。
「そうと決まったら、支度しなくちゃ・・・・・・」
はしゃぐ羽の言葉が不自然に途切れる。
「ごめん、もう少しこのままで居させて」
楽が羽の身体を優しく抱きしめていた。
「うん・・・・・・」
羽もまた楽の背中に手を回すと楽の胸へと顔を埋め、幸せそうに目を閉じるのだった。
『ユイネエ ~ヌクモリ~』を読んで頂きありがとうございました。浅倉椎です。
やっと予告通りの羽姉さんです。
・・・・・・
書く書く言い続けながら、いつも後輩ちゃんにやられてしまい、結局前作から9ヶ月も経ってしまいました。
お気に入り登録されている方々、忘れてしまっているかもしれませんが、お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
さてさて、今回で何とかハッピーエンドへの道筋は何となくつけられたかな、と思っております。
次回、羽姉さんはいつになるか分かりませんが、頑張ってみたいと思います。
ではでは
てゆーか、今回えっちシーン長すぎ。
羽姉さんスキ過ぎて暴走しちゃったよ。