※この作品はR-18です。

ダンジョンに性交を求める眷属の物語   作:kuracjaponski

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第七章-発情期-

 

 ミアハ・ファミリアの運営する青の薬舗で、ナァーザは店内をうろうろしていた。

 

 うろうろ。うろうろ。回復薬の詰まった小瓶を手にとっては別の場所に置き、また元の場所に戻す。小瓶が陳列した棚に埃が付着していないかどうかと注意深く調べ始めたかと思えば、身を翻して帳簿を付け始める。

 

 (落ち着かない…)

 

 黄昏時の西のメインストリートに、夕陽が沈んでいく。しばらく前に魔石灯が切れてしまった店内では、窓から入り込んでくるオレンジ色の薄明りだけが光源だった。ダンジョンから戻った父親を迎える、小さな子供の叫声が聞こえてくる。ふと背伸びをして店内から窓の外を眺めると、寄り添いながら手を繋いで歩いていく三つの長い影が伸びていた。

 

 「いいなぁ…」

 

 思わずぽつりと声を漏らす。主神の帰りを待つ長い間、ナァーザはそわそわしながらうろうろと店内を動き回るのだった。その時、来店を告げるベルが鳴った。

 

 「おかえりなさいっ!ミアハさ…」

 

 『『あっ』』

 

 二人は同時に声を上げた。一方は嬉しそうに顔を綻ばせ、もう一方は迷惑そうに顔をしかめながら。

 

 「…何しに来た、変態ヒューマン。本日の営業は終了、皆さま本日もご来店ありがとう…」

 

 ぎぃ、と入口のドアを開け退店を促しても、その男は動かない。口元に浮かんだいやらしい笑みが、黄昏色に染まっていた。

 

 「あのムカつく神様は留守か。丁度良かった、実はこの前の約束についての話なんだけどな」

 

 ハムザは重みのあるバックパックをどさっとカウンターに投げ捨て、開いて見せた。中に詰まっていたのは、大量の金貨。それを見たナァーザの目が大きく見開かれる。

 

 「これがその、約束の金だ。ちゃんと百万ヴァリスあるかどうか、確認していいぜ」

 

 「約束って、百万ヴァリスを前金で持ってくれば交尾をするかどうか考えてあげてもいい、と言った事…?」

 

 確かにそんな事を言った記憶はある。しかし、ナァーザは彼が本当に持ってくるとは思っていなかったから、すっかり面食らっていた。カウンターに座り、帳簿を付ける振りをしながらもちらちらとバックパックへ向かう。

 

 「何だ、考えてあげるとかじゃなくて、セクロスさせてくれるっていう約束だったじゃないか!俺はこの日のために毎日ダンジョンへ通いつめ、夜通し肉体労働のバイトをしながら稼いだんだ。すべては君を愛しているからだ、ナァーザ。セクロスしよう!」

 

 ぐぅ…と声が漏れる。ナァーザは返答に窮していた。主神への恋慕も然ることながら、見知らぬ変態の求愛を受け入れる理由などない。仮にもこの男が本気で自分を想い、一生をかけて守り、その才覚で自分の生活と運営する薬舗を豊かにしていける人物だとしても…普段の彼女ならば断わっているだろう。

 

 しかし、たった一回抱かれるだけで百万ヴァリスが飛び込んでくるのだ。薬舗を運営するのに充分すぎる金額を手に入れれば、主神にも少し楽をさせてあげられるだろう。

 

 それに、今は交尾をすることがあながち悪いことには思えない…むしろ、体はずっと疼いていた。強い雄の子種が欲しい。出来る事なら有名なロキ・ファミリアの狼人(ウェアウルフ)あたりに頼み込んで、一日中滅茶苦茶にしてもらいたい。彼女は自覚していた。どうやらやっかいな発情期が来ているらしい、と。

 

 発情期が来る度、彼女は悶々と湧き上がる性欲と格闘していた。一晩中自慰を続けることもあった。だから運悪くこんな時に変態が大金を持って現れ、交尾を要求してきたことは彼女にとって不運だったとも幸運だっと言える。

 

 「…私は貴方のこと全然知らない。だから今夜は一晩中、貴方に()()()()()…」

 

 今すぐやりたくて仕方がない。しかし獣欲が強まっているとはいえ、理性はある。見知らぬ男に金を餌にやられてしまったとなれば誇り(プライド)が傷つくし、何より主神が悲しむだろう。だから今夜、この男の事をもっと知ってしまえばいい。少なくとも変態だが悪い奴ではない…。そういう確信が欲しかった。

 

 「…それと、百万ヴァリスは出資にしよう…。スポンサーを見つけて、出資させた。そのお礼に、ちょっと外で食事…」

 

 ハムザは途切れ途切れの情報を要約する。

 

 「え~っと…。つまり俺が出資したお礼に食事に付き合ってくれて、ナァーザちゃんは俺の事を詳しく知るために一晩中俺についてくる、ってことか…?」

 

 「…うん」

 

 「それって同じじゃねぇか?」

 

 「…違う」

 

  まぁ別にそういうことならいいかと言うや否や、ナァーザは金貨の詰まったバックパックをこじ開けた。

 

 (…凄い。本当に百万ヴァリス…)

 

 これだけあれば、本当に薬舗の運営を軌道に乗せられるかもしれない。必要以上にカモから巻き上げる必要がなくなるかもしれない。まっとうな商売を始められるかもしれない…。

 

 (…ふふふ。あとは食事を奢らせて、どこかで襲い掛かってくるのを待つだけの簡単なお仕事…ちょろい)

 

 「…ふふふふ」

 

 大金を前に、ナァーザは笑みを隠せない。困窮している者に大金を持たせれば、誰だってにやけ笑いが止まらないはずだ。

 

 がちゃり、と机の引き出しを開けて鍵を取り出す。商品棚に鍵を掛け、主神への書置きを残してナァーザに外へ押し出される。外はすっかり暗くなっていた。入口の扉に鍵を掛け、気だるげな目でじっとハムザを見上げ、ナァーザは耳をぴこぴこ動かしながら言った。

 

 「…じゃあ行こ。ハムザ」

 

 

 暫くして、青の薬舗では主神ミアハが眷属の書置きを読んでいた。

 

 『新しい出資者カモが見つかったので少し出かけます。ごはんはこれで適当に済ませてください』

 

 「やれやれ、お客を騙すのはやめろとあれほど言っているというのに…あいつも分からないわけではあるまい…」

 

 ミアハは書置きの隣に置かれていた一枚の金貨を手に取って、夕餉の買い出しへと向かっていった。

 

 

 

 「で、どこに行くつもりなんだ?」

 

 二人は西のメインストリートをバベル方面へ、オラリオの中心街へと向かっていく。青の薬舗はダンジョンから遠く、この辺りには冒険者の姿もあまり見ない。土地勘がない上、オラリオに来てまだ数週間。ハムザが知っている店はそれほど多くない。

 

 「…それはハムザが決めること。私はただついていく…」

 

 先を歩く自分の後ろから、ナァーザはてくてくと歩いてくる。犬人(シアンスロープ)に特有のふわふわで大きな尻尾を左右に揺らしながら。

 

 (うーん…。馴染みのない店に入ってぼったくられるのも格好つかんし、『豊穣の女主人』はリューちゃんが怖いからなぁ…)

 

 「…とりあえず俺は帰って飯食う」

 

 「…了解」

 

 ナァーザはハムザの後を追ってどこまでもついていった。

 

 ●

 

 

 テルクシノエ・ファミリアの夕食と言えば、専らバーベキューだった。テント生活の彼らに複雑な調理は向いていない。炭を焼き、金網で肉と野菜を焼くだけの単純なバーベキューは彼らの生活にすっかり馴染んでいた。今晩は主神が不在な代わりに、ナァーザが隣に座っている。焼かれる肉の匂いに釣られ、隣人たちが集まってきた。

 

 「あらぁ~ハムザく~ん!彼女ガールフレンドがいるならそう言ってよ~。やぁねぇも~」

 

 「くそっ、ホモは黙ってろ。気持ち悪いからくねくねするな!」

 

 隣人の中には娼婦もいれば、男娼もいる。この男娼は以前からハムザのケツを執拗に付け狙っているようだった。

 

 「今日はねぇ~前から紹介したかったお友達を連れてきちゃったんだ~。ほら、アロンソ~挨拶してっ!」

 

 「…クン・アロンソよ。会いたかったわぁ、ハムザくん(ぽっ」

 

 (…くそっ)

 

 この日は何故かホモがホモを呼び。

 

 「あらぁ~!?モホメッドじゃない!いやぁ~ん元気してた~?あら、ゲイザーまで一緒なのぉ~?いやぁ~ん久しぶりぃ。ほらっ、お肉一緒に食べましょ~っ!」

 

 (…くそっ!!)

 

 ホモがホモを引き連れて現れ。

 

 「ねぇ~今日はみんな(ホモ)でエッチな話で盛り上がっちゃいましょうよ~!」

 

 (…くそがぁっ!!!)

 

 ホモに主導権を奪われて。

 

 ついにハムザは決壊した。

 

 「おらぁぁぁぁぁぁっ!てめぇらこれ以上ここで屯するなら容赦しねぇぞ!さっさと散れぇホモ野郎ども!ホモたいさ~~ん!」

 

 剣を抜いて全力でホモを追い払うハムザ。ナァーザは肉を口に加えながら、遠い目でその様子を眺め入っている。息を切らせながら戻ってきた彼に、肉をごくりと飲み込んで聞いてみた。なぜそんなにホモを毛嫌いしているのかと。

 

 「…はぁ、はぁ。ちっ、ホモ野郎め…。ナァーザちゃん、悪かった。ホモは嫌いなんだ。昔俺がまだ小さかった頃、公園の厠で用を足していてな…。でっかい大人が声を掛けてきたんだ」

 

 『ねぇボク、おじちゃんのおちんちんおっきいと思わない?』

 

 「…そのホモは勃起した巨大なちんこをまざまざと見せつけてきた。俺は硬直した。言葉が出なかった。そしてあろうことか、そいつはまだ小さい俺の目の前でシコり始めやがった…」

 

 そして俺は走った。ホモが出た、ホモが出たぞと絶叫しながら。それ以来、男はどうも信用ならん。ホモを見ると、腰が引けて血の気が失せていくのがわかる。剣を振り回すのも一苦労だ…。

 

 ナァーザは彼の昔話に耳を傾けていたが、ぷっと噴出した。

 

 「きっとハムザはホモに好かれる運命。…これからもたくさんホモと交尾できるといいね」

 

 「このわんこめ…あとでたっぷりお仕置きしてやる」

 

 ハムザは肉を口に放り込む。肉汁が口の中一杯に広がった。新鮮な羊肉は臭みが全くなく、火で焼くだけでも旨い。

 

 「…ところで、その『銀の義手(アガートラム)』は本物の腕じゃないんだろ、どこまで動かせる?器用にナイフも使えるじゃないか。それにどんな感じで腕を失くしたんだ?」

 

ナァーザは食器を置いて、少し間を置きながら話始めた。

 

 「…詳しい事は言えない。言いたくない。…私が言えるのは、ダンジョンでへまをしてしまってから、ずっとミアハ様に迷惑をかけてしまっているということだけ…」

 

 彼女が言うには、主神であるミアハはダンジョンで大怪我をして帰ってきた彼女のために、莫大な借金をして『銀の義手(アガートラム)』を贈ったらしい。その金額は彼らのファミリアを瓦解させるには十分すぎるものだったが、たった二人きりになり粗末な生活に浸ることになっても、決して後悔はない。むしろ、主神の愛情を嬉しく思ってさえいる…。

 

 「でも…。モンスターを見ると、その時の記憶が蘇る。震えて、何もできなくなる…。トラウマっていうやつ。きっとハムザのホモ事件と同じ…」

 

 (そっか…この人も私と同じ…。悩みを抱える人間なんだ。…悪い人では、なさそうだし)

 

 ぱちぱちと炭の弾ける音が聞こえる。辺りには静寂が訪れ、先ほどのホモ騒ぎが嘘のようだった。

 

 「ナァーザちゃんはあのもやし男神(おがみ)が好きなのか?」

 

 もやし男神。ナァーザちゃんのファミリアの主神。ミアハとかいう神のことだ。軟弱そうな体つきだが、神の例にもれず顔だけは良いのが癪に障る。

 

 「…私はミアハ様のためなら死んでもいい。それにずっとあの方と一緒に居たいと思ってる…」

 

 それが恋なんだとしたら、きっと好きなんだろう。ナァーザはそう言った。その話を聞いてハムザはテルクシノエの話を思い出した。確かあじゃぱーが何だとか言っていたような…。

 

 「いいかナァーザちゃん、神の愛は根本的に性質が違う」

 

 「…?」

 

 「アジャペーだ。アガパーだったか?まぁどっちでも良い、神が子に与えるのは無償の愛。つまり、親から子への愛情と同じなんだ。あのもやし男神は君の事を想ってはいるが、あくまでも父親のようにだ。それ以上の感情はないとはっきり言える。その愛情を、君はき違えている」

 

 「……」

 

 「まるで恋人から恋人への気遣いのようだ、と君は勘違いをしている。ところが実際は違う。もやし野郎は君の事を愛してはいる…だがあくまでも神として、父親としてだ。なんたって奴らは子供を作れないからな。()()()だから」

 

 「………インポではない、と思う…」

 

 「でも俺は違う。ナァーザちゃんを愛してる。それはもう死んでしまうくらい愛してる。毎日セクロス出来るくらい君のことを欲してる。これは神の愛なんていう得体のしれないものじゃない。真実の愛だ。君を幸せにできるのは神じゃない。他の男でもない。俺だけだ。俺はインポじゃないからな」

 

 (なんかこんな感じのことを言ってたよな…。だいぶうろ覚えだけど、まぁ大体あってるな?)

 

 「…そんなの、私にはわからない…」

 

 「…なら俺が教えてやる!」

 

 ハムザはがばっとナァーザを押し倒す。

 

 「…あっ…」

 

 (Lv.1の癖に、意外と力強い…それに、顔近い)

 

 鼻と鼻がくっつく程の距離で、目の前に変態ヒューマンの顔がある時に。

 

 ナァーザは反射的に目を閉じてしまった。

 

 ●

 

 テントの中では、ぱんぱんと躰のぶつかり合う音と嬌声が漏れている。この付近にもし一人でも噂好きの隣人がいたならば、きっとテントを覗いていたことだろう。一体この住人は今夜、どんな女性を抱いているのだろうかと。しかし歓楽街の住人達は他人の性生活にどこか無頓着な節があった。仕事として躰を売っていれば、セックスくらい食事と同じくらい当たり前のことだと思うようになる。それは以前会話をした娼婦のアマゾネスの至言だった。一体誰が他人の食事の様子を監視したがるだろうか…。

 

 腰を打ちつける音が大きくなるにつれ、女性の喘ぎ声が一段と大きくなる。長い嬌声の後、弛緩したような男の声が上がる。絶頂を迎えたらしい。そんなクライマックスを迎えても、隣人は無頓着のままだった。

 

 もし今テントの中を覗いた者がいたならば、その者は恍惚の表情を浮かべる可愛らしい犬人を見たかもしれない。男に後背位から突き上げられ、だらしなく四肢を弛緩させるその姿を。絶頂を迎えてなおペニスを求めるように尻尾を左右に振り回す、その淫乱な姿を。彼女は獣のように激しい交尾を望み、本能のまま雄の精液を搾り取る。大人しそうで、知性的な普段の表情からは窺い知ることの出来ない豹変。犬人(シアンスロープ)がその姿をさらけ出すのは、いつも決まって交尾の相手にだけだ。

 

 「…エロいなぁ。ナァーザちゃん」

 

 ハムザは一度目の射精をたっぷりと膣内に注ぎ込んだ。未だに硬直したペニスを引き抜き、それをぺちぺちとお尻に叩きつける。

 

 「…ああうぅ…。もっと欲しい。ハムザ、精子足りてない…もっと中に出さないと、妊娠できないよ…」

 

 ナァーザの尻尾が、ペニスを包み込んだ。ふわふわの大きな尻尾が巻き付いてくる。そのまま強い力でペニスが引っ張られ、愛液でぐしょぐしょになった恥部へ導かれる。

 

 「…はやく。もっと交尾しよう…。もっと雄に蹂躙されたい。強い力で組み伏せて、たくさん中に出してほしい…」

 

 「ぐひひひ…。オラリオ到着から半月にして、犬人(シアンスロープ)の交尾相手に選ばれるとは光栄だなぁ。偉大なる主神様に感謝、感謝…」

 

 ずぶりとペニスを挿入する。そのままぐりぐりとナァーザの膣を味わう。

 

 「んっ…。ああうぅぅぅ…。ねぇ、いっぱい出そう?たくさんちょうだい…いつでもイっていいからね…」

 

 (そういえば、ナァーザちゃんにはスキルのこと言ってなかったかなぁ…。ま、いっか。今夜はこのままハメ倒して事後報告だ)

 

 「ぐひひ…。ナァーザちゃんみたいなエロ可愛い犬人に中出し出来るんなら、百万ヴァリスなんて安いもんだ…。ぐっ…」

 

 「…いつでも出させてあげる。いいよっ雄の精液欲しい…っ。犯して、犯して、雌にしてっ…!」

 

 ナァーザの尻尾が腰に巻き付いて、信じられない程の力でハムザを押し付ける。

 

 (ぐおっ…!?)

 

 ペニスは膣内のもっとも深い位置で固定され、一ミリたりとも動かせない。そのまま、波打つナァーザの膣内で絶頂に達した。

 

 「あぁぁぅぅ…。あん、出ちゃったの…?ふふふ…すぐイっちゃって…。そんなに良かった…?」

 

 「おぉ…最高だ…。なんというか、やっぱりちょっと違うんだな、犬人のおまんこって。ちんこから精子を抜き出すことに特化してる感じだぞ。最高に良く締まる…」

 

 (それに…本人はイクことに頓着しないんだな…。イカせることと、中出しされる事自体に喜んでる。オナホとしては、最高に便利じゃないか)

 

 種族が違えば、セクロスも違う。様々な種族が集うオラリオなら、多種多様なセクロスが楽しめるに違いない。ハムザは満足げにペニスを引き抜くと、今さっき出した精子がどろりと太ももに垂れてきた。

 

 「…しかし何度も中出しを懇願されるとは、ナァーザちゃんもエロ娘だな。これであのもやし野郎の事も忘れることができたんじゃないか?」

 

 ナァーザは尻尾をふりふりしている。

 

 (セクロス出来て喜んでるのか?いまいち反応が掴めんなぁ、犬人(シアンスロープ)っていう種族は…)

 

 「…別に普通。交尾の時は、みんなこう。中出ししないなら、交尾の意味ないから…」

 

 「…なんというか、文化の違いだな」

 

 ナァーザは体勢を起こして近づいてきて、袖をぎゅっと引っ張る。

 

 「…責任取って。こんなに中出しして逃げるのは、絶対許さない。朝も昼も夜も、私の事考えてくれないと嫌…ハムザが他の女の子と話すの見るのも嫌…」

 

 (げっ…発情期にセクロスしたら犬人(シアンスロープ)ってみんなこんな感じになるのか?)

 

 

 

 「私は嫉妬深い…。絶対逃がさない…。犬人(わたし)の鼻は、案外利くんだ…」

 

 (げぇ……。何かマジッぽい。ナァーザちゃん、意外と粘着質だった…?)

 

 ハムザは自分のスキルの事を思い出した。精子に魅了効果付与と書いてあった気がした。しかし、相手にどう作用するかどうかは未知数だ。エイナちゃんやアスフィちゃんを見ると、一応効果は出てそうだが、こんなにはやく惚れさせてしまうものなのだろうか…。ともかく、やってしまったら後はどうなるかを静観する事しかできない。どうか最悪な事態に陥りませんように、とハムザは心で念じながらナァーザが帰って行く様を眺めていた。

 

 

 「おぉ、どこに行っていた?ナァーザ」

 

 青の薬舗に戻ってきたナァーザは、ミアハの前に百万ヴァリスの詰まった袋を取り出した。

 

 「…そんなことより、新薬を開発しましょう。ミアハ様。出資金が手に入りました。これでミアハ・ファミリアは安泰です…。ふふふふ、ふふふ…」

 

 (…私からは逃れられないこと、教えてあげる。愛しのハムザ…)

 

 

 ハムザがナァーザとのセクロスに疲れ、ベッドで真っ裸になりながら横になっていると、主神テルクシノエが帰ってきた。

 

 「よう。その調子だとしっかり中出ししていたようじゃな。相手はだれだ?」

 

 「この話したナァーザっていう犬人(シアンスロープ)だ。なかなか良かったぞ、思い出したらまた勃ってきそうだ…でも、ちょっと下手したら刺されそうな雰囲気があったなぁ…」

 

 おや、と主神は首をかしげる。

 

 「刺されんよう強くなれ。しかし百万ヴァリスはどうした、もう貯まったのか?」

 

 「そうだ。賭博場で雑魚を狩り、なんと二百万ヴァリスを稼いできたぞ」

 

 なんと!主神は驚いた。百万ヴァリスを中出しセックスに使っても、まだ百万も残っている。買おう、額縁を。あの詩を飾る豪華なやつを買おう。彼女は息まいている。

 

 「稼ぎの良い眷属さまさいこーじゃ!私はお前が眷属で本当に良かったと思っているぞ…」

 

 「そうだろう、そうだろう。まぁ、賭博で俺に勝とうなんてゴブリンがドラゴンを相手にするようなものだ。祖国を出てから、どう食い凌いできたと思ってる。賭博なんて朝飯前だ。はははっ!」

 

 「私の目にはそう映っておったぞ、お前はなかなかの切れ者だとな。ともかく、明日は怪物祭(モンスター・フィリア)じゃ。一緒に見物しにいこう。祭りに浮かれた無料(ただ)まんこが沢山いるはずじゃ。そいつらを一緒に引っかけにいこうじゃないか」

 

 悪くない…。祭りと言えば、セクロスと相場が決まっている。明日も最高の一日が待っている。そんな気がしてならない。

 

 『はははははは…!』

 

 二人は夜に隠れ、愉快そうに声を上げ続けた。

 

 

 

 ガネーシャ・ファミリアの本拠地(ホーム)、主神の部屋で彼は眷属と対峙している。慈しみを湛える神の表情とは異なり、眷属は顔をしかめ続けている。不機嫌なのは、明らかだった。

 

 「ジーガ、これがそうだ」

 

 差し出されたのは、ディアンケヒト・ファミリア製『銀の義手(アガートラム)』だ。切り落とされた右手の代わりになるもの。彼が待ち望んでいた瞬間が、ついにやってきた。彼は『銀の義手(アガートラム)』を取り付け、それを動かしてみた。…動く。それも、自由自在に。研ぎ澄まされた剣の如く滑らかな光沢が、暗い部屋で輝いている。

 

 「礼を言うつもりはねぇ。この件はお互い悪りぃんだ。だから俺がこれから何しようと、目ぇつぶってもらうぜ、ガネーシャ」

 

 シャクティ団長に見張らせるのもやめろ。迷惑はかけねぇつもりだ。俺は本気だとジーガの辛辣な言葉が主神に投げかけられる。

 

 「…俺は、民衆の王(ガネーシャ)ガネーシャだ。民衆は皆俺の庇護を受ける。例えそれが悪人だろうとも…。だが俺も、我が子の苦しむ様を見て、何もするなとはいえん。好きにしろ。その責任は全て俺が負う…。ただ明日だけは騒ぎを起こすな」

 

 「…怪物祭(モンスター・フィリア)か。いいだろう。世話かけるな、主神様」

 

 「…俺は、ガネーシャだからな」

 

 眷属が荒々しく部屋が出てから暫く経ち、蝋燭の火が燃え尽きた。すぐに部屋に暗闇が訪れた。しかし、ガネーシャの目から悲しみが消え去ることはなかった。

 




練習で書いているものです。クオリティはあまり追及していないので、誤字脱字、本編との矛盾等はご容赦ください。
ご意見・ご感想大歓迎です。
変な点があったら教えてください。しょっちゅう加筆しています。
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