こばやしさんちのめいどらごん 作:書いてる人
一週間どころか3日目にして約束は反故される形に。
理由は買い物[※2話]に行った際に小林さんの方から手を繋いでくれたからだ。
その後もなんとなく過ごしているうちにカンナが家にやってきたものだから本当に何もなくなった。
本当に、以前の生活である。
え?私、小林さん襲ったんだよね?
あれは夢?
大体小林さんから襲ってもらえるよう作戦を考えたけれど、最終的に色気か薬かに頼らざるを得なくて失敗に終わっている。
「こ、小林さんこれコーヒー!!」
「ご、ごめんトール!寝坊で時間ないから!!」
ガチャンッ!!(玄関の閉まった音)
「…こ、ば、や、し、さんっ!」
「ごめんちょっと仕事持ち帰ってきてるから後でね」
ガチャンッ!!(扉の閉まった音)
コーヒーお薬作戦も、お色気作戦も失敗に終わった。それに三日後にはカンナが来てしまい攻めようにも攻めきれないのだ。
薬は夕食にいつも混ぜているのに……、効果ないのかこれは。
「こ、小林さ、」
「あ、ごめん眠いから先寝るね、おやすみトール」
ガチャンッ!!(寝室の扉が閉まる音)
今の受けた対応がこれである。インターネットで見つけた薬の作り方なんて信用すべきじゃなかった。
無駄な徒労。謎の疲弊。
数日前に見た小林さんが見たい。今すぐにみたい。カンナが居なかったら今すぐににでも襲っていたかもしれない。
グウウ!だめだ!小林さんから襲ってきてもらわなくてはいけないのに!!
「……トールさま」
「は?!な、なんですかカンナ」
ソファで一つ眠そうに欠伸をしていたカンナに声を掛けられる。
カンナがコトリと首を傾かせた。
「トールさま、小林にさけられてる?」
「…………、な?!いやいやいや!あははは何言い出すんですかカンナったら!!」
とかいっといて、ある。多分、絶対。普通に過ごしているとわかる。そう、ほんの少しの違和感は確実にある。
それに最近、すごく早く寝るようになった小林さん。
私を、避けるように…………。
「……小林、おこってない?」
「っ、…………。は、はい。怒ってません、」
…………きっと。小さく付け足した。
ない、と、言い切れなかった。
…………、今の生活に不満があるわけじゃない。
カンナも居て、楽しい。
でも。
ーーーーーーーーー
ガチャン!
と。扉を閉めてそのまま背を預けたままずりずり座り込む。
トールとカンナちゃんはこの後のテレビを見終わるまではこちらの部屋に来ない。
「〜〜っ、はっ、はぁ、!!く、ぅ!」
最近変な動悸がするのはトールの仕業か?!い、いや、流石にそれは違う、だろう、多分。本当だったらしばく。それに怒る。
「……っ、はぁ、ねよ、」
数日前からじわりとこれはきた。
朝起きた時は何ともないが、仕事場で少しずつ動悸がしてくる。
病気かと思ったが、どうやらそれが女性の前でだけだとわかった。なぜ、女の私が女性にどきまぎしなければいけないのか。
まだ、仕事場だけなら良しとする。大体動悸といってもほんの少し緊張したみたいになるだけだ。
問題は家。
家に帰って二人を目にすると、動悸。いや、それは間違いか。
カンナちゃんは流石に容姿や態度が子供だからかそういったものはない。
ただ困った事にトールには反応する。
そう、トールにだけ、異常に反応する。
動悸、はもちろん。
風呂に入り、今、この寝る直前が一番つらい。
…………疼く、というか。
小林さんっ!
と、今、こんな状態でトールが笑顔で詰め寄られるとうっかり、うっかり!うっかりだから!!
こう、引き寄せて、だ、だきしめ、
「〜〜〜っ!!」
ぐしゃぐしゃと頭を掻き毟る。
寝よう!
とりあえず寝たらこの疼きや動悸もリセットされる。それだけはわかっている。
ここ最近早寝なのはそういう理由だ。
布団に入り込んで寝る。少しスマホをつついて紛らわして寝ようとしたがなかなかうまくいかずに諦める。眼鏡を定位置に置いて布団にくるまる。
…………。
……………………。
「……は、…っ、……はぁ…はぁ…」
寝れない。
体の熱がこもっている。
熱い。
疼く。
「…は、くっ、そ、」
顔が死ぬほど赤いだろう事は鏡を見なくてもわかることだった。自明の理というかなんというか。
隣の部屋からは微かにテレビの音。こちらに来る気配は無い。
気付いたら手を伸ばしていた。
我慢ができない、
自慰だ。
「っ、ぁ……〜〜っ、」
本当に我慢の限界だったのだ。少し触るだけでピクリと震えてしまう。
みっともない、と思う、とても強く、そう思う。
手を下着の中へ滑らせそろそろと触れた。ゆっくりと、少しずつ奥へ指を入れる。クニクニと、触っていく。
くちゅ、ちゅ、と、そのうち音がする。
「は…、は…、ぁ、」
もっと、もうすこし、奥の、
「っあ、?!ぅ、〜〜!」
豆の部分を焦って強く中指でこすり上げてしまい、全身が痙攣したようにビクビクと震える。
驚きで声が漏れて咄嗟に左手で口を覆った。
…っまだ、
あと、あともう少し。
キュッと丸まるように、壁側に体を向けた。
…………やりづらい。が、前、このベットで、トールに犯された時の窮屈感ととても似通って、いて…、
すんすんと鼻で空気を吸う。
「…………、」
シャンプーの甘い香りがしない。
私とトールは同じもので洗っているのに、自分の髪とトールの髪とでは何か違うのだろうか。
くちゅ、
「ーーーっ!っ!!」
弱い場所を、何度もこすり上げたトールの手を思い出して、同じようにする。
自然とトールの事ばかり考えているという事に、私は一切気がつかない。
「……ーーーっ!!ぁ、!!」
イった。
ビクビクと震える体。
指を曲げ、軽くこするだけで快楽が全身に響く。っう、っく、と震えるたびに変な声が漏れる。イったあとの余韻に浸る。
ぼーっと視線を何処へ見るでもなく壁の何でもない場所を彷徨わせる。
息がはぁはぁと落ち着かない。心臓もどきどきしたまま。
苦しい、けど、気持ちいい。さっきまでの火照りが少しだけましになる。
まだあと一回、と続ければまだまだしそうな勢いのためここでやめないととそう思う。
「……は、ふぅ、はー、」
手を、洗わないと。
息がもう少し落ち着いてからじゃないと、二人に変な目で見られそうだ。
ごろりと、手に注意しながら壁側から反対へ寝返りを打つ。
「え、」
「……小林さん」
目を見開いたまま立ち尽くすトールがそこにいた。
ルコア「うわーーーーーーーー!!トラウマになるやつ!!
良い子のみんなは親にしこってるとこ見られないように気をつけようね。
ああこれを見てる時点で良い子はいないのか。僕ってば失念してたよ。悪い子万歳だね」