「責められる側と責める側ではフェアな勝負はできませんから、ハンディをもらいます。」
風呂上がりの桃色に茹った裸体を隠しもせず、仁王立ちの律が俺にそう言った。
「高野さんは30分俺には触らないでください。」
ハンディってなんだ?男同士の戦いにそれってありか?とも思ったが、ここで律のご機嫌を損ねたらそもそもこの勝負がお流れになるからそこは黙っとこう・・・。
とは言っても、あまりにも言いなりっていうのも面白くない。
とりあえず軽い牽制を一つかますことにした。
「へえ、俺をイカせるのに30分もかかんのお前。」
すでに勝負は始まっているのだ。俺はわざと律を挑発するようにフフンと鼻を鳴らして言うと、律が眉間に皺を寄せ少し考えるようなそぶりを見せた。
「わかりました。じゃあ15分にします。その間高野さんは動かないでください!」
まったくこいつは馬鹿で可愛いな・・・。
そんな風に思いながらも一応にやにやはせずに俺はベッドに横になった。
今から勝負の始まりなのだ。
▽
律が寝ころんだ俺にまたがり身体をさすってくる。風呂から上がって少し経って冷えている俺と風呂から出たばかりの温かい律の体温の差が心地よい。
顔が近づき唇と唇が触れる。すでに催している俺自身と律のものも擦れるように合わさり気持ちがいい。
まずはプロローグってところだろうか?
今となってはずいぶん達者になったこいつの舌技で咥内をもてあそばれながら、腰のあたりをさすっていた律の手がやがて中心に達し、俺の存在を主張しているそれに行き当たる。
つかまれ軽く扱かれ、敏感な先端の割れ目をつつくようににさすられるとさすがに少し腰が引けた。まだ早いっつうの、俺・・・。
口から離れ身体を起こした律が、ベッドヘッドボードに置いてあるなじみのボトルを手にする。
いつもは俺がそれを手にするのだけど今日はまずは律が先行だ。
律は涼しげににっこりとほほ笑んで、俺に見せつけるように高い位置から片方の手にそのどろりとした液体をこれ見よがしに滴らせた。
ねっとりとしたそれを両手に擦り付けるようにしたあとで、俺自身にもたっぷりとすり込む。
手で擦ると表皮が上下してまた強い刺激が襲った。
やばい、これじゃあ早々に降参することになりそうだ。相手も男、いいところはわかってやがる・・・。
触れない約束を破るとさすがに怒るだろう・・・。ならばと「そんなことばっかりしてるなんて芸がないな。」と言葉で挑発をすると、律がむっとしたような顔をして手を放し立ち膝になり俺を見下ろした。
律の細く長い指が自身の胸を下からさすりあげ胸のとがりに達し、ツイっとつまむと「はん・・・。」と律の喉が小さい声を上げた。
さらに乳首を刷り上げるようにまさぐり、抓るように刺激を与えると「あん・・・。」とのけぞる律ののどぼとけがごくりと動き、つられたのか俺の喉も鳴った。
律の左手は背中から下に伸び、双丘の隙間を撫で、やがて蕾に達したようだ。いつもは俺の手でほぐすそこを律は自らの手でまさぐり気持ちよさそうに息を上げた。
秘孔の奥がくじゅぐじゅと卑猥な音を立てている。
「先に中に入れていたの?」
問うが返答はなかった。目の前で展開されるこれは・・・。
やばい。理性が飛ぶ・・・。
そう思った時、律の手が自分をもてあそぶのを止め、俺の今や爆ぜんばかりに質量を増したそれに手をかけると、自身の柔らかくなったそこにあてがういゆっくりを腰を落として沈めたのだった。
[newpage]
▽
15分の約束などとうに終わった今、さんざん煽られた仕返しとばかりに俺は刻み込むように律の中に打ち込み続けた。
後ろから律の顎を引くと、のけぞる形になった律は苦しそうな声を上げる。
一体あれからどのくらいの時間が経ったのだろうか?お互いに何度精を吐き出したのだろうか?
すでに何もわからなくなっている。
これじゃあ勝負もへったくれもないな・・・。
少しだけ残った思考力がこの[[rb:プレイ > ゲーム]]が無効になりつつあることを告げていた。
「ぁん・ぁぁあぁ・・・、もぅ・んん・・、」
抑え込んで体中を愛撫し、もはや理性などかけらもないであろう律の声は言葉にならず、漏れた息だけがかすれた音となって宙に散る。
「なに?ちゃんと言って。」
うなじに強く歯を立てると、「あ!」とまた声を漏らしぶるっと震え、切なそうに眉間の皺を深くしながら「もう、いや・・・、やめて・・・。」と首を振る。
「すごくいい。の間違いだろ。」
耳に息をかけるように小声でささやくと、そんなささやかな刺激でさえも気持ちがいいらしく、律は首をすくめてまた身体をフルフルと震わせた。
だらしなく口を開いたままの顔がひどく淫らでいい。
何をしても快感を得るその淫乱な身体もまたいい・・・。
だけど、身体はこれほど正直なのにお前の吐く言葉はいつも嘘つきだ。全身でもっと欲しいとねだっているくせに。嫌だやめろと言う。
本当にやめたらその目で俺を射抜くように睨むくせに。
腰を強く引き、ガツガツと律の中を脳天まで貫くように突き上げると、与えられる刺激が強すぎるようで耐え切れずシーツを裂くように強くつかみ、腰をねじりながら逃げようとする。
目じりに涙が浮かんでは頬を伝い流れ落ちる・・・。
シーツに広がる水滴は汗か涙か?はうっと喉を鳴らす律の唾液もついでとばかりにダラリと滴り落ちた。
ぐずぐずになりながら、尚も喘ぎ続ける律にそそられる。
「なあ、そんなに気持ちいい?」
律にはもはや思考をする余裕はないようで、その問いに対する答えはない。
答えられるような状態だったら羞恥で居ても立ってもいられないだろう。
律が今律自身さえも放棄して俺だけど感じていると思うとまた背中がぞくりと泡立つ。この世界には二人しかいない。
今は他に誰もいない。
律の太ももの付け根から尻のラインが桃色に染まり、その上ふっくらとして美味そうでかじりつきたくなる。セックスと食事は似ている。
口にしたすべてのものを身体に収め糧とする食事欲、そう、俺はお前のすべてを食らい尽くしたいといつだって思っている。
この身に取り込んで咀嚼して一つになれればどれほど幸せなことだろうか・・・。
後ろから抱き合う感覚はいいところにあたる分だけ律には気持ちいいようだけど俺としては不満だ。
顔が見えない。
足首をつかんで肩に担ぎ上げると律の身体が上向きになった。涙とよだれでぐずぐずの顔とうつろな双眸、なんて艶めかしいんだ・・・。
もっと喰らいたい。すべてを飲み込みたい。
欲望は凶器だ・・・。
身体ごと律に体重をかけて浅く入ったままの自身を強く押し込むとヒヤっという悲鳴とともに律の中が俺を絞め殺すようにきつく締まった。
相変わらず律の括約筋はいい仕事をするね・・・。
俺が最奥に到達したことによる刺激で、律が中だけで何度目かの絶頂を迎えたのだ。
悲鳴のあとに、律のかすれた切ない声が聞こえ、やがてくぅと長く息を吸う音がする。
あまりの気持ちよさに一瞬で持ってかれそうなほどに射精感が高まり、律から逃げようと腰を引くのだけどくわえ込んだそこが俺を離さない。
うねる律の中は居心地がいいのか悪いのかわからないほど熱く、次へ次へとせかされるようだ・・・。
少しものんびりさせてくれない感覚は追い立てられるようで忙しない・・・。
何度でも何度でもここに来たいと思うのに、うっかりしているとあっという間に怒涛の中に放り出されてしまう。
まだもっと、絡みつくこの刺激を感じていたいのに、もっともっと強く激しく・・・。
律はハクハクと胸を上下に揺らし、メスイキの余韻に浸るがここで止まるというのは無しだろ?
まだ硬さを保ったままの律自信をつかみあげると、再び快感が律をさらったようだ。
はんっ!とのけぞって「あ、だめ・・・、たかの、さん、もう・・・」と声を上げるが、乱れきった律の姿に腰が揺れるのを止めようがない。
「まだイッてないからな。」
優しくなどできない。残虐な気持ちが支配していく。
「もう俺の負けでいいから・・・。」
少しは理性が戻ったらしい律だけど、もう何を言っても今更容赦などできようもない。つながったままの蕾の縁に指を差し込むとそこはいやらしくひくひくと指までをもくわえ込んだ。
入口の柔らかな部分を押しながら、わざと抽送を緩くすると足りない刺激に律の腰が揺れる。
「イヤとか言ってたくせになんていやらしいんだ?お前。」さらにゆるゆると律自信を扱くと「や、あ、もう。イヤ・・・。」とまた嘘を吐く。
先端から流れ出る蜜にこっちも終わりが近いことがうかがえた。
「イヤなんて微塵も思ってないくせに。」律のいいところを、固く膨らみ切った俺自身で内側からさすりあげると、律がまた嬌声を上げる。
小鳥みたいにもっと鳴いて、囀りを聞かせて。
わざと乱暴に髪をつかんで律の顔を上げさせ口を寄せると、まるで飢えていたように律が舌をからめてくる。口の端からは唾液がだらだらと流れ落ちるが、今度は俺が噛みつくように強く唇をふさぐと ふっと苦しそうな息が口の端から漏れた。
胸のとがりを抓るようにつまみ上げると感電したかのように律の身体に力が入り、与えられる刺激を逃すことができなくなってとうとう懇願するように「もうイキたい・・・。」とつぶやいた。
「さっきみたいに上で自分でして。」
律から自身を引き抜きそういうと、少しだけこっちに戻ってきた律がおずおずとまたがり、両手を添えて大きく広げた足の間に俺を誘う。
もはや潤滑剤か精液かもわからない液体が、ぬるりと律の太ももを伝い俺の股に垂れ落ちる。汗にまみれた肌が触れあって気持ちが悪いはずなのに、まるで隔てるものがなくなったかのようにぴたりと張り付いて心地よい。
律の手によって導かれた俺自身は熟れた蕾にゴクンと一気に飲み込まれ、再び俺たちは一つになった。
律が両手を俺の腰に当て身体を上下させると、律自信もプルンと腹の上で踊る。見上げる顔は苦しそうに歪み、身体は汗にまみれて、首に張り付いた髪の毛が跳ねそれを飛ばす。
怪しく光る眼は、しかしうつろで俺を見ているようで見ていない。
今どこに行ってんのおまえ?
快楽に陶酔しきった恋人の妖艶な顔にぞくりとする。いよいよ俺自身も限界を迎えそうだ。
律の作るリズムに逆らうように下から強く突き上げると律が再びうめくように声を上げ、律のオスがタクタクと精を吐き出しすと、俺の膨らみ切った欲望もその刺激によって一番深いところで爆ぜ、脳内に真っ白な快楽の閃光が広がった。
ファサリと落ちてきた律の身体を受け止め、その髪をなでると律が俺の唇に顔をよせキスをねだる。
そう、律はいつも最後にキスを欲しがる。
口の中を今度は犯すように嘗め回すと律は満足そうにうっすらと目を瞑った。
「ねえ、高野さんも気持ちよかった?」
律がうわごとのように上がる息の合間にそう聞く。
「すごくよかった。」
すべてを預けて俺にもたれかかる律の頬を撫でてそういうと律はまた嬉しそうに笑った・・・。
[newpage]
▽
事の起こりはバレンタインのチョコを誰が贈るかという話だった。
律は男同士なんだからどちらかだけ贈るというのも変だと、妙に勢いよく主張するので男としてはもらいたい日だろ?と返す。
「俺も男ですけど。」と律は口をへの字にするが、そんなことは嫌というほど知ってる・・・。
まあ・・・、実際問題チョコをもらうとかなんとかなんてどっちでもいいと思っていた。律が欲しいって言うなら別に俺がやるし、律がくれれば俺はうれしい。
もちろん『好きです』って言葉付きでな。
でもむきになる律がかわいくてついいじわるしたんだな・・・。
「だってさ、男として俺のほうが強いと思わね?」
「つ、強いって何ですか?!」
「背も高いし、年も上だし・・・。」
「ムッ・・・。それは強さと関係ないと思います。」
「それにさ、お前はえーし。」
「は?早い?なんです?それ?」
「あの時のこと。お前あっという間にトロトロじゃね?」
「な!何ですかそれ。俺は別に早くないし!そもそも誰と比べてるんですか!」
おお、見事な切り返しだ。確かに誰と比べてるんだ?って、そりゃ「俺とだろ?」
「そんなのずるいですよ!攻められっぱなしなら当然そうなるにきまってます!」
「だからお前がバレンタインくれればいいんじゃね?」
「おかしいです!それ絶対に納得できません!」
「じゃあどうすれば納得するんだ?」
「勝負します!男の沽券にかけて。」
股間じゃなく沽券ね。ま、いいんじゃね
ってことで冒頭に戻るわけだ。
揶揄っただけだったんだけど、律がむきになるから止まらなくなって結局こんな濃い夜を過ごすことになった。
つうことで以上だ。
皆々様、ハッピーバレンタイン♪
終わる。