※この作品はR-18です。

おかしな存在がハーレムを作る話   作:ウル・ウルス

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難易度

 

アナスタシアを堕してから他の女達に手が出せないまま1週間が経とうとしていた。

 

それは堕した女達の雰囲気の変化を無意識の内に察知しているのからなのだが、それ以前に他の3人はタクトにとって相性が悪い。

 

 

 

堕天使のイルム。

 

神族でありながら性格はイタズラ好きで虐殺を好む魔族のそれで、フラッと出ていってはどこかの国を潰して帰ってくる。

 

それ故に城にいることが少なく、つけ込む隙を探るのに手間取っている。

 

 

 

水精のターニャ。

 

性格は臆病でルナリアを凌ぐ超感覚でこっそり近付いてもすぐに逃げられるか見破られかける。

 

しかも、ターニャはイルムに溺愛されていて、イルムが城に居るときは常に共に行動しているときた。

 

 

 

そして何より厄介なのは……

 

 

 

「あれマーズファルドくん?1人なんて珍しいね」

 

 

 

不死者に似合わぬ明るい笑みを携えて人畜無害そうに話しかけてくるこの女。

 

 

 

「俺はマーズファルドじゃなくてタクトだ」

 

 

 

マーズファルドと呼ばれることにうんざりしたふりをしながらできるだけエレーナの本心を探ろうとする。

 

 

 

「ふふふ、本当にマーズファルド様には成らないんだね」

 

 

 

しかし、エレーナはますます笑みを深めるだけでその腹の内は分からない。

 

 

 

「ところでタクトくんはイルムちゃんを見なかった?」

 

「見てないけど」

 

「そっか、またどこかへ勝手に行っちゃったのかな」

 

 

 

エレーナはあまり気にした様子もなくそう言うと、タクトと腕を組み中庭の方へ歩き出す。

 

 

 

「なにを」

 

「私はマーズファルド様の愛人の1人だったからね。君が否定してもマーズファルド様の半身であることには変わらないから、久しぶりにお話させてよ」

 

 

 

お話させてよと言うわりには振りほどけないくらいの力で拘束している。

 

なんだったら間接までかけられている気がする。

 

魔族相手に力業で勝てるわけもないので、仕方なく付いていく。

 

そのまま連れていかれた中庭にはラストが二人分の紅茶とお茶請けのケーキを運んできていた。

 

明らかにこうする事を計画して近づいてきた。しかも、それを隠す気もなく、むしろ自分でネタバラシをする。

 

 

 

こんな風にこちらの裏をかき、本心を探ろうとしてものらりくらりと躱される。

 

 

 

「ところで、タクトくんは魔族が神族に戦争を仕掛けないか分かる?」

 

「なんだよ急に」

 

「まぁただの雑談だよ」

 

 

 

相変わらずニコニコと笑顔を絶えさないエレーナだが、話をしていればエレーナの目的を探れるかもしれないので話を会わせる。

 

 

 

「確か魔族は神族の聖気に弱いからだったよな」

 

「そう、そして神族も魔族の力に弱い。戦争なんてしたら被害がとんでもないことになるから、どちらも仕掛けられない」

 

 

 

神聖な神族は穢れた魔力を浴びればすぐに力を失ってしまい、邪悪な魔族は聖気を喰らうと浄化されてしまう。

 

互いに矛の威力が高すぎる故に手出しできないでいるのだ。

 

 

 

「そこで話は戻るんだけど、ウチには元神族が二人いるんだよね」

 

 

 

その二人と言うのはイルムとターニャーの事だろう。

 

 

 

「イルムちゃんは魔力で穢れて堕天しちゃってるけど、ターニャちゃんは穢れる事無く神族のままなんだよね」

 

「何でなんだ?」

 

「ターニャちゃんは聖気が強くて魔界でも浄化し続けちゃうんだよね」

 

 

 

だから彼女は対魔族において最強に近い力を持っていると紅茶を啜りながらエレーナは付け加える。

 

 

 

「でも不思議だよね。いくら穢れないと言っても魔界にいるだけでかなり疲れるのに、人間界じゃなくてわざわざ魔界に来るなんてね」

 

 

 

その瞬間にエレーナが意味ありげな視線を飛ばしたのをタクトは見逃さなかった。

 

そして、それだけでエレーナの言わんとしていることの意味が分かった。

 

 

 

「最近ね、アナスタシアちゃんもスクスク成長するようになったし、アカーハちゃんは大人しくなったし、ラストちゃんは仕事が早くなって私のする事が減っちゃったの。だから少しタクトくんと話せてよかったよ♪」

 

 

 

タクトが口を開こうとすると、エレーナは最後の一口を飲み干し、席を立つ。

 

 

 

「また今度話させてよ」

 

 

 

その言葉と共に向けられる笑みにタクトは冷や汗を流す。

 

この女は明らかにタクトの行動に気付いている。気付いた上でタクトに他の女を堕とすヒントを与えている。

 

正直に言ってマーズよりはるかにやりにくい相手だ。

 

 

 

「何を企んでいる」

 

「さ~てね♪」

 

 

 

最後に体裁を取り繕わずに問い詰めてもエレーナは振り向きもせずに立ち去ってしまう。

 

実体の見えないものほど警戒させるものはない。だから少しでも情報を分析して、あいつの目的を予想して対処法を見出だす。

 

 

 

(あいつは俺にマーズファルドに戻って貰いたいわけではないようだった……)

 

 

 

俺の事をマーズファルドからタクトと言い直したことからもそれは分かる。

 

 

 

(かといってマーズにもそれを期待していない)

 

 

 

それなら俺がマーズを手に入れようとしていることに気付いているのに、俺に情報を渡すはずがない。

 

 

 

(なら愉快犯か)

 

 

 

それもない。

 

あいつの目には確固たる考えが有った。

 

それはまるで誕生日プレゼントをまだ開けちゃダメとお預けを喰らっている子供を彷彿とさせるものだった。

 

 

 

(あいつは俺の計画まで理解しているのか?)

 

 

 

理解している上でそんな雰囲気を出してあるのなら…………

 

 

 

「考えても無駄か」

 

 

 

どのみちマーズを堕すにはエレーナも堕す必要がある。エレーナが何を考えていようとこちらはその上をいけばいい。

 

マーズファルドの影響か簡単に手に入らない女を攻略するときほど充実した感覚を得られるときはない。

 

そういう意味ではあの女はタクトにとって最高峰の女ということになる。

 

 

 

タクトは久しく感じていなかったなにがなんでも自分のものにしたいという支配欲が汲み上げ、笑みを張り付けていた。

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