「なんかちょっとムラムラしてきた」
「……」
とある休日の昼下がり。
俺が携帯ゲームをしていると妻であるこなたがそんなことを言い出した。
ソファーに寝ころんでいた俺はチラリとそちらの方へと見やり、すぐに視線を携帯の方へと向けた。
「昨日の夜いっぱいシたじゃん……」
「うん。でもムラムラしました」
「……」
「……ねぇ、一回ヤろう?」
「断る」
付き合って、結婚して、そして生活をしていて分かったことだが、この世界の女性の性欲は凄まじい。
情熱的に求めてきて、ネットリと絡んできて、そして回数が多い。
昨夜も仕事から帰って来たにも関わらず、どこにそんな体力があるんだと言わんばかりに貪られた。
おかげで今も少し眠いし、腰が痛い。
だから俺はこなたのアプローチを断る。
「どうせなし崩し的に何回もされるでしょ? それに昼からなんて……」
「なに言ってんの! そこが燃えるんじゃん!」
「……」
「おう、昨夜ぶりの蔑み攻撃! その視線でキョウきゅんを五人は食べられる!(ジュルリ)」
「キョウきゅん言うな」
何を言っても勝手に高ぶるので、俺は付き合わずに携帯ゲームに集中することにした。
……お、クリティカルだ。この調子ならこのボスにも勝てそうだな。
そうやってポチポチと操作していると、ふと腰辺りに違和感を感じた。
なんだ? と思って視線を下げると……。
「……おい」
「うん? なに?」
「なに? はこっちのセリフなんだけど……」
「そりゃあナニだよ」
「……」
親父ギャグ……いや、この世界ではお袋ギャグか。
俺の視線を気にせずに、こなたは俺のズボンをトランクスごとずり下ろした。
「あれ? 元気ないね?」
「そりゃあ昨日あんだけしたらこうなるよ。
言っとくけど、俺は一切手伝わないからね? シたいんだったら、適当に舐めて使っていてよ」
「む~……いいもん。元々そうするつもりだったし」
ああ、そうですか。
こなたに向けていた視線を俺は携帯に戻しクエストを進める。
「ン……」
しかし、いざされると俺の体は自然と下半身へと意識を集中させていた。
こなたはいきなり俺のモノを咥えて咀嚼するかのように口の中でソレを弄ぶ。まるで飴玉を舐めているかのように右へ左へと、その小さな口で……。
っと、いかんいかん。俺はする気はないんだ。ゲームだゲーム。
「……あっ、勃ってきた」
「……」
「ンフフ……こいつは俺が育てた」
なんかアホなこと言っている……でも反応したらそれはそれで負けた気がするから、聞いていない振り聞いていない振り……。
しかしそんなことお構いなしに、こなたは俺のモノに夢中となっていく。
「ん♡ ん♡ ンフ♡」
ジュプ、ジュポッと音を立てながらこなたは己の青い髪を振り回しながら頭を上下させる。チラリと盗み見ると頬を赤く染め上げて熱心に愛撫しており、その姿に色気を感じた俺は思わず反応した。
「っ……」
「ん……お? キョウきゅんもしたくなった?」
「……別に」
「むふふ……私はいつでもウェルカムだから♡」
そう言うとこなたは口淫を続ける。さらに短パンとショーツを器用に素早く脱ぎ捨てると、彼女の大事な部分を俺の足にコスリ付けて来た。足から感じる熱と水っ気に、どれだけ興奮しているのかが分かった。自分が気持ちよくなるために使っているのか、それとも俺に伝えるためなのかは分からない。だが……俺のモノはすっかりその気になってしまっていた。
こなたをそれが分かったのか、俺のモノから口を放すとニンマリと笑みを浮かべた。
「ひっひっひ。下の方は正直よのゥ」
「……」
「あれ、反応なし? まぁ、いいや。コッチは反応しているし」
では失礼して。こなたがそう言うと下半身にかかっていた僅かな重みが一瞬無くなり、しかしすぐに返って来た。上半身に。
「……おい。画面が見えないんだけど」
「良いじゃん良いじゃん。嫁さんの顔を至近距離で拝めてさ」
「ふん」
「あっ……もうっ。梃子でもシないつもりだね。でもいいもん。勝手にヤるから」
そう言うとこなたは上半身を起こして腰を浮かせると、俺のモノを掴んで天井へと向かせる。しかしその先にあるのは彼女の体で……。
「では……いただきます♡
そのままジュプリッと自分の中へと挿入した。
瞬間、快感と共にこなたという一人の女性の熱が俺を襲い、思わず声が漏れ出そうになった。しかし、すんでのところで耐え忍び、鼻から息を出す。
もはや、俺は意地でも反応しないつもりだった。揶揄われるのが癪だと思っているのだろう。でも、今のこなたはそれを気にする余裕はなさそうだった。
「んっ、あっ、はっ、っつ、ふっ……!」
先ほどまで浮かべていたチャシャ猫のような笑みは消え、代わりに女豹のように熱っぽい表情を浮かべている。
俺のモノが最奥にコツコツと当たる度に熱い吐息が彼女の口から漏れ、ジュブ、ジュボッと淫靡な音が結合部から奏でられている。
ギシギシとソファーが悲鳴をあげ、その度に視界が体が揺れる。
獣だ。
彼女は獣だ。
だから、こんな真昼間に発情してこうやって交わることができる。でも、今の彼女はとても愛おしい。
熱に浮かされたかのように、俺を求めるその姿が胸の奥を燻る。
……そんな顔を見せられたら、もう。
俺は意地を張るのはやめて、携帯を置き、妻の名を呼んだ。
「こな――」
「――んっ、んああああっ!!」
「……へ?」
しかしその前に、俺の腰の上で踊っていた彼女は突如嬌声を上げて背中を思いっきり逸らした。
同時に俺のモノに感じる圧迫感が増し、愛のシャワーがソファーを汚す。
……え?
うそ。
マジで?
今起きたことが信じられず、俺は呆然とこなたを見上げる。
荒れていた呼吸が整った彼女は、フーッと息を吐くと晴れ晴れとした顔でこう宣った。
「いやー、満足満足。やっぱり昨日の疲れがあるからすぐに終わったよ。
あー、さっぱりした」
「……」
「……あれ? キョウくんゲームしていたんじゃないの?」
不思議そうにこちらを見るこなたの顔を見ていると、俺の中には一つの感情がフツフツと湧き上がって来た。
つまり、なんだ? こなたは本当に俺を使って性欲を発散していただけだった? つまりアレか。俺はバイブか。肉バイブか。
俺のモノをここまでギンギンにさせておいて、自分は勝手にイって満足?
確かに俺は勝手にすれば、とは言った。でもさ……それはどうなのよ。
俺は沸き上がった感情――怒りに従い、携帯を傍に置く。
今更俺の変化に気づいたのか、こなたは冷や汗を流す。
「あの? キョウくん? どうし――あひん!?」
何かを言いかけたこなたを無視して、俺は思いっきり腰を突き上げた。
それによって彼女の小さな体は跳ね上がり、口からは快感からの悲鳴が上がる。
だが、俺は止めない。止めてやらない。止めてやるもんか。
「あん♡ ちょ♡ 待っ♡ んはぁ♡」
「オシオキの時間だよ。ベイビー?」
「さっき♡ イッた♡ ばかり♡」
そんなものは知らん。
俺はこなたの腰を掴んで固定し、いつもよりも二割増しの激しさで交じり合う。
侵入するのを拒もうとするのを無理矢理突き入れ、逃がさないと抑え込んで来るのを引き摺りながらギリギリまで腰を下げる。それを俺ができる全力でする。
そうするとこなたは体を痙攣させながら俺に倒れ込み、まるで陸の上げられた魚のように跳ね続ける。
そんな彼女に、俺はそっと口元を寄せて……。
「射精すまで辛抱とか考えているでしょ?」
「……それがっ、なにっ?」
「――何時間でも我慢してあげる」
「っ!? うあ……!」
絶望に顔を真っ青にするも、すぐさま快楽の波に攫われて頬を上気させて喘ぎの声を上げるこなた。
そんな彼女を愉しみながら、今日は一日家で過ごすことになってしまった、と思った。
……それはそれで良いか、と考えつつ。