「少なくとも、そう言わざる得ないかな…私の、君からの情報とこれまでの資料からの調べでは、君に惚れてしまった女性との関係を断ち切る術は、相手との間に子を宿すしか…今の処、別れる手段は見出せないな…」
「どうして子供を産んで別れるのですか?」
「今…君に夢中になってしまったいる相手に、子供が生まれれば女性は自然と子育てに夢中になり、君との関係を忘れるであろう…と言う事だ。実際結婚するまで仲の良いカップルだった男女が、子供が出来てから女性は男性との関係を後回しにしたり、男性を無視したりして互いの関係が冷めて別れる報告が多い。それが源因で離婚する夫婦もいる…それと同じだ…」
「つまり…僕に惚れた女性が居たら、妊娠させてしまった方が良いのですか?」
「まあ…単純に考えるとそうなるね…実際のところ、君との関係を持っている相手は全部で何人位いるのだね?」
「彼女を入れて…今のところ7名います、ほとんど義務教育の子ですよ。成人するまで待つしか無いですか?」
「その辺は君の判断に任せる。それにしても随分賑やかだね…ある意味、ドロ沼化へ一直線だね」
柳沢は笑いながら言う。
「笑い事では無いですよ。街に出掛ける度に女性を惚れさせてしまうかと考えると、満足に外出も出来ないじゃないですか…」
「ねえ、私以外の女なんかとは全員別れてよ」
その言葉に竜也は返事に迷う。
「今の君の勢いを考えると、地球上の半分近くの女性を惚れさせる効果はありそうだな…君1人で日本の少子化を防げれるかもしれないな…」
「冗談言わないでください」
「悪かった。ただ…実際、一般の女性が…君を見て本当に惚れてしまうのか…を、この目で確認したいので、1度一緒に街へ出掛けよう」
「分かりました」
2人が立ち上がると絵里も立ち上がった。それを見た竜也が
「君は研究所に残っていて…」
「イヤよ、私も付いて行くわ。貴方とは片時も離れたくは無いの」
「君は…残っていた方が良さそうだな…我々の研究の妨げになるかもしれないし…」
「彼の邪魔はしないから…私も連れて行って」
「どんな事があっても我慢出来る?」
「はい」
絵里は頷く。
「約束だよ熊切さん」
竜也が言うと、絵里はムッと膨れた表情で竜也を見て
「竜也さん、私を呼ぶ時は名前呼んでください。あと…さん付けは無しで…」
「はい…」
柳沢は車を用意して、竜也と絵里を乗せて街へと出掛ける。
車を走行中竜也のスマホにメッセージが届き竜也はそれを見ると、少しギョッとした表情をする。
「顔色が悪いけど…何かあったのかね?」
「義務教育の子からで…何故黙って外出したの…と言って来てます」
「ほお…君の彼女は千里眼の持ち主の様だね〜」
「失礼ですが…竜也さんの彼女は私1人で充分です。他の女は単に彼に纏わり付く泥棒猫ですよ」
「そうなのかね?」
「泥棒猫までとは言いませんが…自分のアパートに戻るのが怖いですね。今までは女性との性関係には憧れがありましたが…モテる様になってからは女性と言う存在が少し怖く感じてます。あどけない容姿に無邪気な性格とは裏腹に、強欲なまでに性欲が強いです。以前…ネットの海外のニュースで…何処かの国で精子ハンターと呼ばれる女性集団の記事を読みましたが…彼女達はある意味それに近い存在です」
「そうかね…まあ、多分…少女達は性に関して興味を持ち始めたばかりで、君に惚れ込んでいるから好奇心旺盛なんだろう…それにしても、君が怖くなるほど彼女達は性に夢中なのかね?」
「ええ…ある意味、性獣と言うか…幼獣と言っても過言では無いほどです。下手したら性行為のやり過ぎで、僕は再び病院送りになりますよ」
「なる程ね…」
柳沢はショッピングモールの駐車場に車を停めた。近くに私鉄電車の駅があり、柳沢は駅を利用する若い女性に声を掛ける様に竜也に言う。
竜也は駅に向かって歩いて行く、私鉄電車の駅ではあるが…街並みは整然と整っていて、街路樹の並木が街を彩っていた。柳沢と絵里は少し離れた位置から竜也の様子を眺める事にした。
電車が到着すると、竜也は駅から降りて来る人達の中から女性を見つけて声を掛け様とするが…上手く行かず戻って来た。
「病院の時とは違って、誰も見向きもしません…」
「君のこれまでの功績は…何か悩んで至りする相手が向こうから声を掛けて来たからだ…自分から相手に上手く声を掛けられないのは、時は失敗を恐れているからであろう?」
「ま…まあ、そう言う一面もあります」
それ聞いて柳沢は笑いながら言う
「そう言う意味では、絵里ちゃんを含めて君に関わった少女達の方が君なんかよりも、一回りも二回りも大人だと言えるね。彼女達は失敗を恐れずに君に声を掛けて来たのだから…」
それを聞いた竜也は少し悔しそうな表情をして、2人が居る近くで歩いて来る人影を見付けて声を掛けた。
「あ…あの、こんにちは」
「は…ハイ、こんにちは…」
相手は私立の学校に通う様な姿の女子中学生だった。
「あ…今日は、良い天気ですね〜ハハ…」
「はい、とても良い天気です」
「突然…声を掛けてしまってすみませんでした。どうぞ行って下さい」
そう行って竜也が立ち去ろうとした時、相手の女の子は竜也の腕を掴んだ。
「私…今日は、この後暇なの、宜しければ一緒に喫茶店にでも入ってゆっくり、お話をしませんか?」
「あ…でも、君は未成年者だし…周りに変に見られるよ」
「もし…誰かに声を掛けられたら…兄妹とか、モデルのスカウトとか…雑誌記事の編集とか色々誤魔化しはありますから…心配は無いですよ。それに…私は今、恋人募集なの…迷惑で無ければ私の彼氏になってくれますか?」
「え…あの…僕でも良いの?」
「私は貴方見たいな人を探していたの…」
隠れて2人の話を聞いていた柳沢は手を叩いて感心した。
「何とも頭の良い子だ素晴らしい。それにしても…誘うのが女の子の方とは相変わらず奥手だな竜也君は…」
隣で一緒に光景を目の当たりにしていた絵里は女の子に対して激しい敵対心を抱いていた。
「生意気なヤツよねアレ…チョット竜也さんに近付き過ぎじゃない?」
苛立つ絵里は親指の爪を噛みながら言う。
「え…と、じゃあ…何処かへ行く?ただ…帰りが遅くなると親も心配するそうだし…あまり初対面の人と仲良くするのも…変だよね?」
「その辺の事は気になさらなくても大丈夫です。私の両親は現在、海外に行っております。私の家は、執事が前面的に私の管理を行っていますので…事前に通達して置けば大丈夫です。ちなみに…自己紹介がまだでしたので教えます。私は鬼頭沙耶(きとう さや)と言います。この近くの私立中学に通っております」
沙耶と言う名の少女を竜也は改めて見た。小柄な姿で中学生と言わなければ小学生にも目られてしまいそうな程身体は細くて背丈も若干低い。
紺色の私立に通うブレザーの制服がとても良く似合っていて、頭の両サイドに束ねた黒髪のツインテールが可愛らしさを強調している様にも感じられる。
顔立ちは可愛らしく、眉まで垂らした前髪が印象的だった。
左肩と右肘にバックを抱えていた。
「あ…え、と僕は村石竜也と申します…」
竜也は軽く礼をする。
「よろしくお願いします」
と、沙耶は両手を揃えて深くお辞儀をした。
「ねえ…もう充分でしょ?」
竜也に近付く女に対して苛立ちが抑え効かなくなって来た絵里は、ついに表に飛び出してしまった。
「こ…コラ!」
柳沢は呼び止めようとしたが絵里の方が早かった。
絵里は竜也の前に現れると、彼の腕を掴み自分の方へと寄せて抱き締める。
「もう…用は済んだから行きましょう。これ以上こんな小娘に貴方が関わる事は無いのよ」
竜也は膨らみのある、柔らかい絵里の谷間に顔を押し当てられて息苦しい状態だった。
「く…苦しい…」
そう言われて絵里は竜也を自分の胸から離す。
プハーッと深呼吸して竜也は一命を取り遂げた。
「失礼ですが…どちら様ですか貴女は?」
華やかな会話を邪魔された沙耶は鋭い目付きで絵里を睨み付ける。