「どうするの?」
「とりあえず、研究所に昨夜…彼がベッドインした時に出た体液を届けるわ。それ以外の事は…これから決めましょう」
「お兄ちゃんが居ないのは、琴美寂しい…」
沙耶が立ち上がって2人を見る。
「帰って来ないのは仕方ないよ、自分の身をしっかり護れなかった彼が悪いのだから…私達は彼が戻って来るのを待つしか無いのよ」
「何時になるかも分からない状況で?」
絵里が不安そうに言う。
「探す手掛かりさえ有れば良いのだけど…」
それを聞いた琴美がスマホを取り出す。
「私のクラスに、1人凄く感の良い子がいるの」
それを聞いた絵里と沙耶が「おお!」と、返事をする。
「皆、その子をニュータイプとかって言っているの」
「どんな子なの?」
「感は良いけどね、ちょっと性格が苦手よ。気が強くて…あんまり好きじゃ無いわ」
「とりあえず電話して見ましょう。話しずらいなら、私達が話をするわ」
「うん…分かったわ」
琴美は相手の携帯に電話を掛ける。
プルル…
凛のスマホに着信が入る。
(琴美ちゃんからだわ…)
隣を見ると竜也は眠っている。凜はボタンを押して車の運転席との間にシャッターを掛けて通話を始める。
「もしもし…どうしたの?ロリザルちゃん」
最初の挨拶からいきなり毒説の言葉にイラッとした琴美は、負けずに言い返す。
「お元気そうで何よりね、尻軽メスロリビッチ様。今はどんな男性の股を選んでお尻を振っているのかしら?」
「あら…お気遣いありがとうね。最近素敵な人と巡り合えて、最高の気分よ。お子ちゃまの方には少し理解され難いかもしれないけど…」
「へえ…どちらの雑種ですか?放置状態な相手でも最高なんて思えたら、眼科に行く事をお勧め致しますよ。まあ…琴美は素敵な人と巡り合たけど、凜ちゃんがそんな人物に出会えるなんて、相当クジ運が強くないと難しいじゃなかな?」
「言ってくれるわね、オチビのくせに…まあ、正直言ってビジュアル系ではないわよね。でも…ハリウッドスターと日本の俳優を足して、5で割って、3で引いた感じではあるわね。お頭の弱い方には少し理解し難いかもしれないけどね」
「あらそう…面白い事言ってくれるわね!」
「いいえ、自分のクリちゃん虐めに勤しむ琴美ちゃんに比べたら大した事は無いわよ」
「どう言う意味よ…それ?」
「だって…琴美ちゃんって、体育用倉庫に行くと必ずハードルに跨るでしょう?」
「た…たまにでしょ?」
「噂になっているわよ、貴女が必要も無いのにハードルに跨るから、使う頻度が少ない筈のハードルの色落ちが激しいってね、特に角なんかは丸くなっているって言われているわよ。それに貴女…結構体操服のズボン新しいのに変える頻度激しくない?よく股の部分、擦れて交換しているみたいね。相当溜まっているのじゃないの?」
「べ…別に琴美だけじゃないわよ。他の子だってそれくらいしているわよ!」
「そうなの…そう言えば貴女って、ペン型消しゴムとか電動歯ブラシ等が入ったポシェットを常時持ち歩いているわね。トイレに入る時も…何に使っているのかしら?」
「あ…貴女には、か…関係の無い事よ!」
「ふ…ん、トイレの中で、電動歯ブラシの音が聞こえた事あったけど…?」
「別に私が何処で何を使おうと勝手でしょ!」
「そう言えば…以前貴女がトイレから出た後に、そのトイレに入った時、便座に粘った物があったけど…アレは何?」
「よ…涎よ…」
「涎出る程、気持ち良い用足しって何?」
「し…知らないわよ!」
ムキになった琴美はつい勢いで、スマホの電源を切ってしまった。
「ああ…もう、腹立つ~」
大人しい琴美が頬を紅くしながら苛立った表情を見るのは沙耶は初めてだった。
「ちょっと琴美ちゃん、通話切っちゃダメでしょ」
「あ…」
そう言われて、勢いで電源切った事に気付く。
「まだ…相談する前に会話を切っちゃって、どうするのよ」
「ごめんなさい、あまりに変な事言ってくるから…つい…」
今の通話の一部始終を見ていた沙耶がふと…ある事に気付く。
「もしかして…電話の相手は鮎川凜ちゃん?」
「そ…そう、何で分かったの?」
「なるほどね…確かに琴美ちゃんだと接し難い相手よね…」
「知っているの?」
絵里が沙耶に聞く。
「ええ…鬼頭家と鮎川家って…それぞれ市を代表するくらいの財閥なのよ。商売敵でもあって、表向きは良きライバル見たいな関係だけど…結構競り合っている中なのよ。鮎川財閥には娘が2人いて、妹は穏やかだけど…姉は結構キツイ性格で、姉は不思議な能力があるらしく、話をしなくても相手の考えている事が分かるらしいの・・・今の貴女の会話で、もしかしたら・・・と、思ったのよ。相談はちょっと難しいわね」
「素敵な人に出会えたって言ってたわ」
琴美が沙耶に話す。
「素敵な人ね…誰なのか分からないけど…探って見る価値はありそうね」
「彼女にもし…竜也さんが取られたらどうするの?」
絵里が沙耶に聞く。
「その時は力ずくでも奪い返すまでよ」
沙耶は真剣な眼差しで言う。
「琴美チョットお手洗いにいってくるね」
そう言って琴美は席を外した。
突然通話を切った琴美との着信を終えた凜は少し考える。
(琴美ちゃんが理由もなくあたしに連絡して来る筈が無い…何か理由があるはず…。彼女は確か鬼頭家と縁のある家系…鬼頭家には沙耶がいる。彼女は知的で才能も豊かな女子…、彼女達が私を頼るのは、相当自分達にとって大切な何かを探す事…)
ふと…凜は隣で眠っている竜也を見る。
(彼が持つ人を惹きつける能力は…あたしが想定する範囲を越えているわ、既に琴美ちゃんは彼に会っている…。沙耶さんは…どう何だろう?彼に出会っていれば、必死に探し求めてもおかしく無い状況ね…だとすれば、こちらが先手を打って少し眩ませて見るのも良いかも…彼は絶対に誰にも渡さない!)
「悪いけど…絵里さん、今度は貴女が電話してくれる?」
「え…私が?」
「私は…既に凜とは顔見知りで、私が電話に出れば、確実に竜也さんを探しているって、彼女に勘付かれてしまうわ。ただでさえ彼女は人の行動を察知する事が出来るから…彼女に関連してない人物が対応した方が、こっちとしては有利なのよ」
「そう…分かったわ、で…何を話をすれば良いの?」
「今から紙に書くから、その通りに話を進めて」
沙耶は紙とペンを用意して話す内容を書き始める。
その直後、琴美のスマホが鳴り出した。
沙耶は着信をして来た相手の名前を見て唖然とした。
「凜ちゃんからよ」
「え…?」
まさかの予想外の展開に絵里は驚く。
「絵里さん電話に出て」
「分かったわ」
絵里は琴美のスマホに出る。
「もしもし…」
電話向こうの凜も想定外の状況に少し戸惑いはあった。
「あの…どちらさまですか?」
「あ…初めまして、琴美ちゃんの友達です」
「どうも…初めまして」
「私は絵里と申します」
「初めまして絵里さん。私は鮎川凜と言います。琴美ちゃんの知り合いに、高校生の友達がいたんて初めて知りました」
いきなり自分が高校生だと言い当てて来て、絵里は少し驚く。
「凄いですね、まだ何も話していないうちから、私の素性を見抜くなんて…」
「大した事は無いわよ、声色と話し方で、大体の予想は付くわ。それにしても…貴女達3人で何をしてるのかしら?」
それを聞いた絵里が、唖然とした表情で沙耶を見て紙にペンで書き込む。
『貴女の事も勘付いているわ』
それを見た沙耶が驚いた。まるでこっちの状況が筒抜けの様だった。
「沙耶さんて結構理知的だけど、一つの事になると視野が狭くなるのよね。彼女の最大の欠点がそれよ」
「へ…へえ、そうなんだ」
頷きながら絵里は沙耶を見る。
視線が自分に注がれた沙耶は何を話しているのか気になった。
「絵里さんが電話に出て話をする…て言う事は、多分沙耶さんが自分が電話に出ると…あたしに何を探しているのか勘付かれてしまう恐れがあるからでは無いのかしら…?」
絵里は蒼白した、まるで自分達の行動が手に取られる様に見抜かれている…。
凛に対して絵里は、おぞましい物を感じていた。
「琴美ちゃんは無邪気で突くと面白いのよね、からかい甲斐があるのよ。ただし…からかわれた後って、彼女はオナ二ーする癖があるからね、本人にクリちゃん虐めのし過ぎは注意って言った方が良いわよ」
それを聞いた絵里が琴美がトイレに行った事に気付く。
『琴美ちゃん、オナニーしに行った事も気付いている』
それを見た沙耶がゾッと震え上がった。
こんな相手に竜也が奪われていたら、果たして彼を奪い返す事が出来るのか?
『取り敢えず、彼女に現在どんな相手と交際しているのか聞いて…』
それをみた絵里が凜に話しかける。
「今は…どんな相手と交際しているの?」
「そうね…私にとって最高の人よ。この人となら生涯一緒にいても大丈夫って感じの人」
「それは具体的にどんな感じですか?」
「とても素敵…それ以上の言葉は無いわね」
絵里は沙耶の方を見る。
『エッチはした?』
「ベッドとかでは経験は済ませた?」
「ご想像にお任せします」
『会わせてもらえる?』
「その相手を紹介させて頂けますか?」
「彼が了承して頂ければ、そうしますね。後日改めて連絡するわ」
そう言って凜は通話を切る。