※この作品はR-18です。

村石君の華やかな憂鬱   作:Mr,J

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第53話

見知らぬ男女達の車に乗った美穂は無言の表情で2人を見ていた。

助手席から美穂を見ていた少女が話し掛ける。

 

「そんなに緊張しないで下さい、貴女を怪しい場所に連れて行くつもりは無いですので…」

 

少女は、美穂に向かって挨拶をする。

 

「初めまして私は、鬼頭沙耶と言います、よろしく」

「私は篠崎美穂と言います。よろしく…。ところで私に協力したい…と言ってましたね」

「ええ…是非とも、お願いしたいのです。同じ仲間としてね…」

「はい?」

 

運転席で車を運転している男性が信号待ちしている時に、美穂に自分の名刺を渡す。

 

「私は研究所で脳外科関係の研究をしている柳沢と言います。村石竜也君は先日…ウチの研究所に来たのです」

「え…彼が来たのですか?今はどちらに居ますか教えて下さい!」

 

美穂は、席を乗り出して柳沢の肩を掴む。

 

「まあ…ちょっと、落ち着いて焦る気持ちは分かるけど…これから少しずつ説明するので、聞いて下さい」

「あ…はい」

 

美穂は、席に戻って2人の花を聞く事にした。

 

「先日…私は、彼と会って一夜を過ごしたの。私の家には執事が居て彼に外出許可を与えたのだけど…それっきり彼は戻って来て居ないの…。それで私達は彼の行方を追っているのだけど…唯一彼が居る可能性が見つかったの」

「それは…何処ですか?」

 

沙耶は、柳沢に向かって話す。

 

「先生、タブレット借りますね」

「どうぞ」

 

許可を頂いた沙耶は、タブレットのグーゴルマップを使って、ある場所を検索すると、その場所を美穂に見せる。

 

「多分…この家に居ると思われます」

 

それは上空から航空写真で撮影された場所だが…とても大きな屋敷だった。

 

「これは…なんかの施設ですか?」

「個人の家です。敷地面積だけで考えるなら…東京ドームよりも大きいと思われます」

「こんな場所に竜也さんが、幽閉されて居るのですか?」

「幽閉では無いですが…何らかの経緯でこの家に入った可能性は考えられます」

「鮎川家と呼ばれる大きな財閥の家だよ、政府運営にも加担している。そちらのお嬢さんの住む鬼頭家とは、昔から商売敵として競り合っている中だった…」

「今は…恋敵かもしれないけどね…」

 

その話を聞いた美穂が、自分のスケールを超えた場所に恋人が居ると感じて、想像が追い付かななって来た。

 

「それで…私には、どんな協力が必要なのですか?」

「研究所に着いてから詳しく話すわ」

 

そう言っている間に車は研究所に着いてしまって、3人は車から降りると研究所の中へと入って行く。

ロビーで3人はテーブルを囲んで話を再開する。

沙耶は昨日の一部始終を美穂に伝える。

 

「竜也さんは、今朝…電車でアパートに戻る予定だったの、でも…アパートに戻る途中で、誰かが彼の魅力に取り憑かれて彼を誘惑したのよ…。その相手を探そうと私の従兄弟の子が、色んな事を見抜く事が出来る子に相談しようと思ってたのだけど…上手く相談に乗って貰えれなかったの…彼女との会話の中で、相手には恋人が出来たらしく…その相手が多分…竜也さんじゃないかと思われるのよ…」

 

沙耶の話を聞いた美穂は、沙耶を見て答える。

 

「あくまでも推測の範囲の話ね…その相手がもし…彼でなかったら、相手に迷惑を掛けた事になるわ。まして…大きな屋敷に住む娘となると、下手に手出ししたら…かなりの慰謝料を要求されるわよ。その辺の事は考えているの?」

「確かに、それは一理あるな…」

 

柳沢が頷きながら答える。

 

「この家に住む鮎川凛とは、私は昔からの顔見知りよ…彼女の事は私が良く知っているわ。これまで何人かの男性と交際して来て結構…欲が強いのよ。彼女は私と会って話をする時にどんな男性と交際したかを…話すけど…。これまで1度も自分と会った男性に対して決して『素敵』とか『最高』なんて言う事は無かった。今日…私の知り合いに電話して貰った時だけ、現在の交際相手に彼女は、そう言ったのよ」

 

その言葉に美穂は口を閉ざして考える。

 

「他に何か…言っていたかしら?」

「上手く情報を掴める事が出来なかったわ、彼女は感が鋭くて…私達が何を調べようとしてるか、あっさり見抜いてしまったので…電話は直ぐに切られたのよ」

 

話が終わると…美穂は「成る程ね…」と、頷く。

 

「貴女の話からは…竜也さんを拉致した奴は鮎川凛の可能性は考えられるわね。でも…屋敷に入るのは難しいのでは無いの?仮に竜也さんが居たとしても、連れ出すのは難しいでしょう?」

 

美穂が『拉致した奴』…と言う言葉を使って柳沢は少し驚いた。

 

「そこで…私は貴女に協力を求めたのよ。貴女は彼が病院に居る時に彼と知り合った、他の女性達とも知り合っているはず。その方達の中の誰かと連絡して欲しいわ」

「まあ…連絡は可能よ・・・他の人達も皆、彼に会いたがっているからね。で…どんな女性を呼ぶの?」

「そうね…入院した事の無い女性が良いわね。それで竜也さんとも肉体関係があると思われる方で…」

「そんな相手居るの?」

 

柳沢は思わず沙耶に向かって言う。

沙耶の言葉に思わず美穂が笑いながら答える。

 

「居るわ…とっておきの子が…」

 

それを聞いた柳沢は、少し恐れた表情をする。

 

「で…その子には、何をさせるの?」

「私の調べでは、鮎川家は日本舞踊の稽古を定期的に行って居るわ、無料体験も行なって居るの。その時に…その子を屋敷に入れさせて、竜也さんが居るか…を探らせるのよ。上手く行けば、奴から彼を救える筈だから…」

 

沙耶も凛に対して『奴』呼ばわりし始めた。

 

「成る程ね…分かったわ、とりあえず彼女には…一応伝えて置くけど…。一言だけ言っても良いかしら?」

「何か…?」

「ハッキリ言って、その子以上に…日本舞踊が1番似合わない子は、多分いないと思えるくらい、彼女は清楚とは程遠い感じの子なのよね…」

 

それを聞いた柳沢と沙耶は呆気に取られた。

 

〜梅木家…

 

「コラッ雫ー!」

 

家の外からも聞こえそうな母の大声が響く。

 

「もう…なに〜?」

 

髪を掻きながら、シャツとショートパンツをだらしなく着て、ソファーで横になっていた雫が面倒くさそうに母を見る。

 

「貴女ね、女の子なんだから…もう少し包み深くしなさいよ」

「はあい…ふぁ…」

 

欠伸しながら、ソファーに置いてあるクッションに顔を乗せる。

 

「って…言っている側から、ダメじゃない!顔を洗って来なさい」

「はい…はい…」

 

お腹辺りを掻きながら起き上がり、廊下を歩いて行く。

 

「全く…一体何処で女の子らしさを置き忘れて来たのかしら…?」

 

母が呆れた表情で雫を見ている時、家の固定電話が鳴り出した。

 

「はい、もしもし…梅木ですが。はい…?」

 

母は少し不思議そうな感じで雫に声を掛ける。

 

「雫ー、あなたに電話よ」

 

そう言われて、雫は洗面所からタオルを首に掛けて電話に出る。

 

「はい…私ですが…何か?」

 

電話に出た雫は一瞬「え?」と、声出してしまった。

電話相手の話を真剣に聞いていた雫は最後に「分かった…」と、言って電話を切る。

そして…受話器を置いて、部屋に戻ろうとした時に、母が気になって雫に話し掛けるた。

 

「何の話しだったの?」

 

母から電話の内容を聞いた雫だが・・・

 

「アレ…何だっけ?」

と、3歩歩いた時点で先ほどの事を忘れてしまっていた。

 

「あ…思い出した、御手洗いに行こうとしてたんだ」

 

トイレから戻ると、雫は母に向かって

 

「さっきの電話って誰だっけ?」

「貴女が出たのでしょう!」

「あ…そうだ、えっと・・・日本舞踊が何とか言ってたのよ・・・確か?」

 

その言葉に母は呆気に取られた。

 

「貴女…まさか、本気で日本舞踊を学ぶの?」

「ん…学ぼうかと思う」

「まず先に、貴女には女の子らしさを身につけないと無理ね」

「そうなの?ところで日本舞踊って何をするの?」

 

雫の言葉に母は少し呆れ返っていた。

 

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