愛し合う夫婦のキスが続いている。
当然その間、俺は挿入だけした状態で置いてけぼりなのだが、まあそんなのはどうでもいい事だろう。
夫であるファマルは極度の興奮のおかげか、苦手だったはずの女の口臭を気にもせず妻の唇を貪っている。
「ねえ、ララ。気持ちいいの?」
「うんっ。ファマルのキス、いいのっ!」
「そうじゃないって。ホリノウチさんのおちんちんが」
「あっ」
「どんな感じか言ってみて。今夜のララは2人の肉便器なんでしょ? ご主人さまのおちんちんを、ララはいららしいオマンコで咥え込んでるんだよね。挿入しただけでイッてたのは、もうバレバレだから」
そう俺の後ろで囁くように言うファマルの声は、心から楽しそうだ。
(なあ、このかわいい顔した男の子はSなのか? 寝取られ願望があるから、M気質なのかと思ってたんだが。オマエの弟分なんだろ)
(まだどっちでもねえけど、たぶんSになるんだろうな。これから)
(どういう意味だよ?)
(決定的に経験不足だったんだよ、ファマルは。こっちじゃ男と女の立場が逆。おそらくだが、こんなかわいらしい顔立ちだから小さな頃からチヤホヤされてきたし、親同士が決めた許嫁であるララがずっとそばにいた。つまりはオレ達と違って、満たされた人生を送って来たって訳だ)
(だからなんだ?)
(察しがわりいなあ、オリジナル。家が繁盛してる料理屋で、女にモテて許嫁にはこれ以上ないほど愛されてる。就職先はこの大都会でも名の通ってる商会の本店で、将来の目標として議員にまでなってやるって本気で思えるほどなんだ。つまりファマルは結婚をして夫婦の性生活って壁にぶち当たるまで、これ以上ないほどに満たされていた)
満たされていれば、性に対する興味の発露が遅れたりもすると言いたいのだろうか。
だがそんなのは朝起きたら肉棒が硬くなっていたりして、自然と……
(ああ、そうか。こっちじゃ、男は月に1度しか発情しねえんだった)
(そうそう。だからファマルは結婚するまで、自分のだけじゃなく、女の性欲とも向き合った経験すらなかった。ララはファマルを愛してるからこそ、隠し立てせずに女の、自分の性に対する浅ましいほどの欲望を告げたんだろ)
(んで自分じゃ嫁さんを満足させられねえやって諦めて、寝取られ願望が?)
(たぶんなあ。まあ、オレ達がどんだけ考えを巡らせたって、それはただの想像でしかねえさ)
(でも今は、めっちゃ煽ってんぞ。自分とキスしながら他の男のチンコで感じてるんだろって言われて、奥さんが半泣きじゃねえか)
(だからファマルが今まで自分にはないと思い込んでた性欲を自覚したなら、オレ達ほどじゃなくてもSになるだろうって話だろうが)
(わかったような、わからんような……)
ファマルの言葉責めは続いていて、感じていないなら腰を振って見せろとまで言い出している。
元からMっ気があるからか、それとも喘ぎなど上げない自信があるのか、ララはその言葉に従って腰を揺するように動かし始めた。
「ん、くっ」
「あれえ。なんか感じてない、ララ?」
「か、感じてないっ」
「そうは見えないけどなあ。じゃあ、もっと大きく腰を振ってよ」
「そんなの」
「ほら、早く」
(おい、ドッペルゲンガー)
(ああん?)
(……なんか俺、SM好きの夫婦に買われたバイブみてえな扱いなんだが)
(そんくれえ許してやれっての)
(でもよ。っておい)
(ん?)
(奥さんの締まりがハンパねえんだが)
(ドMだからな。愛するダンナの唾液が口に染みた状態で言葉責めまでされて、本心じゃ腰を振りまくって今すぐにでもイキてえんだろうよ。ここは黙って見守っててやろうぜ、肉バイブ)
(さらっとトラウマを抉るんじゃねえ、タコ助)
ファマルは自分とのキスで性感帯になっているララの口に指でも突っ込んでいるのか、くぐもった荒い吐息だけが耳元で聞こえる。
「ほら、もっと腰を振りなよ。感じてないんでしょ?」
「ふぐぅっ。んんっ、んっんっんっ……」
「やっぱり感じてるんじゃないか。僕の奥さんは、とんでもない淫乱なんだねえ」
「ち、違っ」
たしかに荒い吐息を掻き消すように、ぱちゅんぱちゅんと淫靡な水音までが聞こえ出している。
ララは必死で喘ぎを押し殺してはいるようだが、膣の締まり具合からしてそのガマンも長くは保たないだろう。
試しにソファーの背後にファマルがいるので俺にしがみついている状態のララの肩を押し、振り返ってファマルに俺の隣を顎でしゃくって見せた。
「隣に来ておっぱいでも責めてやれってよ、ファマル」
「それは。……愉しそうですね」
「だろ?」
「ついでにローターでも渡してやれ、ドッペルゲンガー」
「あいよ」
ファマルは今までにない機敏な動きでソファーを跳び越えるように移動し、荒い呼吸のたびに震えるララの巨乳に手を伸ばす。
「ああ、もう乳首がビンビンじゃないか」
「やあっ。い、言わないでっ!」
「本当の事だからね。それより、腰の動きが止まってるよ? 自分の言う事を無視する奥さんなんて、僕は愛せる自信がないなあ」
「う、動くからっ。だから嫌いにならないでっ!」
「もちろん。さあ、じゃあもっと激しく腰を振って」
「ん゛っ……」
ララが腰を振り出したので満足気なファマルに、ドッペルゲンガーがピンクローターの使い方を教えている。
そのレクチャーが終わったら酒とタバコをくれと無線で言うと、ドッペルゲンガーは苦笑いしながらもしっかりと頷いた。
ララはよく喘ぎを押し殺しているが、上がる水音はどうしたって消せやしない。
それを指摘されて羞恥に耐えるララの表情は悪くないが、そんな顔を見たらもっと悦ばせてやりたいと思うのが俺達のような人種だ。
笑顔のドッペルゲンガーが、さらにいい笑顔のファマルに新しいピンクローターを手渡す。
前にも使った、粘着テープで固定できるようになっているタイプの物だ。
「この面を肌に貼って、テープで固定してやるんだ。先に渡したテープがない方はどこに使うべきか、わかるな?」
「もちろんです、兄貴」
嬉々として2つの乳首にピンクローターを貼り付けたファマルが、両手にスイッチを持って微笑む。
それでも腰を振り続けていたララだが、スイッチが押し上げられると同時に声にならない声を上げながら激しく豊満な肢体を震わせた。
「これイッてんのか、オリジナル?」
「だな。膣が蠕動してっから間違いねえ。ファマルの嫁さん初イカセって事んなる」
「僕が、ララを……」
「体臭も気にならなくなってるみてえだし、ベッドに移動してもっと責めてやったらどうだ? バイブならいくらでもあっから、自分の手でイキまくらせてやるんだ。いいよな、オリジナル?」
「ああ」
「わ、わかりましたっ!」
ドッペルゲンガーが持ち上げるようにしてララを立たせると、なんとファマルは何かを決意した様子でその股間に手を伸ばす。
「へえ。臭いだけじゃなく、感触も克服しようって肚か」
「それに、見た目もです。女の人って、舐められるのが好きなんですよね?」
「おう。クンニが嫌いな女なんていねえさ。どうだ、嫁の淫乱オマンコは」
「こんなに濡れるんだなあって、驚くって言うか呆れるって言うか……」
「ははっ。そんじゃ、ベッドに上がってもっと呆れてやればいい」
「はい」
ドッペルゲンガー達がベッドに向かったので、葡萄酒を呷ってからタバコに火を点ける。
なんだかんだ回り道はしてしまったが、こうなればもうファマルとララの性生活は大丈夫だろう。
こちらの世界では毎日のように発情する嫁を、バイブや指で慰めてやるのが家を守る男の役目らしい。
歪んだ寝取られ願望は、ファマルが自分にはそれすらできないと思い詰めたゆえに浮かんだ、窮余の一策であったはずだ。
ララの喘ぎが聞こえてくる。
さっきまでとは違ってその声は高く、のびのびと尾を引くように部屋の空気を震わせた。
「やれやれ、呆れた弟分だ。体臭だけじゃなく見た目のグロさも苦手だって言ってたが、ノリノリでオマンコにバイブをぶち込んでやがるぜ」
「まあ、兄貴分の役目は果たしたな。ほれ、注いでやるからオマエも飲め。この葡萄酒は上物だぞ」
「オリジナルがオレに酒を勧めて、酌まですんのかよ。明日は、砲弾でも降ってくるんじゃなねえか?」
「ほっとけ」
それでもドッペルゲンガーは素直にソファーに座って俺の酌を受け、一息でその酒を飲み干す。
「おら、もう一杯だ」
「サンキュ」
それ以上の言葉はないまま、お互いにタバコを1本灰にした。
どう考えても俺自身だとは思えないし、どうにも気に食わない性格をしているが、まあこんなツレでもいないよりはいいだろう。
最低でも1年は、旅の空の下。
「いざとなりゃいい囮で、どうしようもなくなりゃ非常食だしな」
「お、おい。今なんか、人として言っちゃいけねえ事が聞こえたんだが……」
「うっせえよ。オマエ風情が、人としてとか言えると思ってんのか」
「これだから赤目の子のイカレ中尉は」
「お互い様だろうがよ。いいから、飲め。明日からは、ちっと先を急ぐ。しばらく酒なんかマトモに飲めねえかもしんねえぞ」
「なんでだよ。しばらくはのんびり走って南に向かうんじゃねえのか?」
「そう思ってたが、旅の1泊目でこれだからな。ミリアとフランがくれた金には、なるべく手を付けたくねえ。明日でグラン地方を出て、次の街からは観光客じゃなくて冒険者として南を目指すぞ」
「となると、オレ達のレベルじゃ銃を出せねえ日も出てくるな」
「そうなる。冒険者仕事でちゃんと稼げなきゃ、メシも粗末になるぞ。あまりにも稼げねえようなら、オマエが歩哨に立って野営もあり得る」
「うへえ……」
言葉こそうんざりしたような声音だが、ドッペルゲンガーの口の端はわずかに持ち上がっている。
それはそうだ。
コイツが本当に俺ならば、そんな旅が嫌いであるはずがない。
「兄貴、ホリノウチさんっ」
「ん?」
「どしたよ、ファマル?」
「準備ができたから、こっちへ」
準備?
お互いにそんな言葉が頭に浮かんでいるらしいドッペルゲンガーと顔を見合わせると、ベッドが軋む音が聞こえた。
そこに視線をやれば膣と肛門にバイブを挿入されたララが四つん這いになって、その光景を見せつけるように尻を高く上げている。
「ご主人さま、もうオマンコもケツマンコも充分にほぐれました。どうかその逞しいオチンポで、淫乱マゾ奴隷をメチャクチャに犯してください」
「おいおい……」
「さあ、早く行きましょう。口は僕がバイブで気持ちよくするんで、たっぷりとララのオマンコとケツマンコに射精しまくってください」
「いやだって、バイブでも奥さんを満足させられんなら、俺達は必要ねえじゃねえか。寝取られ願望だってもうなくなってんだろ?」
「ヤダなあ。約束もあるし、兄貴とホリノウチさんなら大歓迎ですよ」
「約束だって?」
「あ……」
小さな声に視線をやると、ドッペルゲンガーが気まずそうに視線を逸らす。
「はいっ。いつか兄貴とホリノウチさんがグランドールに戻ったら、それまでにセックスが強くなった僕と3人でララをトコトンまで喘がせてイキまくらせる。ララの体中が精子まみれでベトベトになるくらいに。それも、兄貴達が好きな時に好きなだけ。忘れてませんよ?」
「……なんつー約束をしてんだ、このタコ助は」
「い、いやあ。あれはそう言っとけば、ファマルが気合を入れて女に対する苦手意識を克服するだろうと思ってだな」
「んで、どうすんだよこれ? ファマルはすっかりその気だぞ」
「とりあえず今日はヤリまくって、旅から帰るまでに考える」
「……クズが」
「それがオマエだっての。ほら、行くぞ。淫乱オマンコが、ヨダレを垂らしてお待ちかねだ」
「マジかよ、ったく」